24 / 36
十五人目①
しおりを挟む
あー……。 危ない所だったわ。
私――星と運命の女神ズヴィオーズはほっと胸を撫で下ろす。
外に放り出されるところまでは笑えるで済まされたけど、アレを釣り上げるなんて運がなさすぎるわ。
……まぁ、Nしか引いていないカスみたいな運だったし当然かしら?
内容的には特に盛り上がる場面もなかったし特に感想はないわ。
ちょっと精神的な疲労を覚えていたけど――不意にお馴染みの引っ張られる感覚。
お、来た。 さーて、今度は外に放り出されるような事にはならないで欲しいわ。
さぁ、女神の導きの時間よ!
いつもの空間に現れたのは中年に差し掛かった男。
太良田 亮右。 三十九歳、職業は教師。
記憶を参照すると――あ、ふーん。 こういう奴ね。
地元の中学高でそこそこの年数勤務しているだけあってそれなりにやってるんじゃない?
上手くかどうかは知らないけど。
いつも通りの説明をすると太良田 亮右は私の顔、胸、股間を眺めた後、理解したと頷いたわ。
妄想するのは勝手だけど、気持ち悪いから後にしてくれない?
どうでもいいけどあんた仮にも教師なんだから、そういうのは控えたほうがいいんじゃないかしら?
まぁいいかと思っていると取りあえずお試しは引くみたい。
SR:身体能力強化(中)
あら、結構いいのを引いたわね。
現代日本で役に立つかは微妙だけど、この後に転生か転移を引けばそこそこ役に立つんじゃない?
いつも通り、引いた物に関しての説明をして、追加で引くかを尋ねる。
無駄に歳を重ねているだけあって色々と質問をしてきた。
割と基本的な事ばかりだったけど、この手の確認作業はそれなりに重要だ。
内容は――
何が出るのかは分からないのか?
あくまで本人の可能性を引き出すだけだから何が出るのかは私にも分からない。
……馬鹿ねぇ。 何が出るか分からないから面白いんじゃない。
排出率は?
レアリティが高いほど低いとしか答えられないわねぇ。
統計を取っている訳じゃないから体感になるけど、Nは六割、R三割、SR一割ぐらいじゃない?
それ以上? ゼロじゃないってレベルなので何とも言えないわ。
物品の場合、いつ頃手に入るのか?
いつか必ずとしか。 具体的な日時までは何とも言えないわ。
ただ、引いた以上は何があっても手元には届くようにできている。
――という質問に対してオブラートに包んだ回答を与えたわ。
後は実際に引かないと質問のしようもないでしょうね。
人間性には問題ありそうだけど、そこそこ考えているようで追加を引くか迷っているようね。
夢か現実かの判断が付かない事が大きな要因のようで、現実味がないので夢と断じる考えと夢にしてはリアルすぎるといった認識が鬩ぎ合っているようだ。
一応、次はないといった話はしている事も迷う要因ね。
人生半分以上過ぎてしまっている太良田 亮右に取って寿命は割と重要だ。
十代、二十代なら多少は許容しようといった気持ちにはなるでしょうけど、四十手前だと少し惜しい。
思考は見えているから理解はできるけど――
……ま、リスクヘッジしたいならちょっと普段の行いを見直した方がいいんじゃないかしら?
それでもガチャの誘惑には抗えなかったようで、五回引く事を決めたわ。
結果で追加を引くかの判断をするみたいね。
結果は――
SR:異世界転生権
SR:スキル:鑑定眼
R:スキル:剣術
SR:スキル:属性魔術(無)
N:銅貨
結果を見て私はあぁこれかぁとこの先に起こるであろう出来事を察した。
仕事なので引いた物の説明を行う。
最初の異世界転生はそのまま。 SRだからそこそこいい感じの世界に行けるんじゃないかしら?
問題はその後に引いた三つね。
鑑定眼は対象のステータスを読み取る能力で、剣術は名称そのまま。
属性魔術は属性に定義されない変わった魔法を扱う為の技能ね。
……どうでもいいけど属性魔術なのに無属性ってなんなのかしら?
言葉の不思議を考えながらスキルについての説明を続ける。
これは何かというとスキルと呼ばれる外付けの技能で、特定の世界でしか扱えない制限付きの能力になるわ。 最初に引いた身体能力強化とは効果的には似たようなものだけど、こちらは転生先の異世界でしか使えないといった制約がかかっている。
まぁ、転生は決まってるし、レアリティと効果を見ればいい結果だったんじゃないかしら?
太良田 亮右はガチャの結果と転生についての話を聞いて追加を引くかを悩んだけど、『転生』『魔術』『異世界』といったワードで胡散臭いと感じたのかこれ以上引く気をなくしたようね。
引く気がなないのはとっくに分かってはいるけど、念の為に確認を取る。
太良田 亮右が頷いた事を確認してから――
「では、私はこれで。 貴方に良き運命が訪れん事を」
――いつもの社交辞令を告げてその意識を後にした。
私――星と運命の女神ズヴィオーズはほっと胸を撫で下ろす。
外に放り出されるところまでは笑えるで済まされたけど、アレを釣り上げるなんて運がなさすぎるわ。
……まぁ、Nしか引いていないカスみたいな運だったし当然かしら?
内容的には特に盛り上がる場面もなかったし特に感想はないわ。
ちょっと精神的な疲労を覚えていたけど――不意にお馴染みの引っ張られる感覚。
お、来た。 さーて、今度は外に放り出されるような事にはならないで欲しいわ。
さぁ、女神の導きの時間よ!
いつもの空間に現れたのは中年に差し掛かった男。
太良田 亮右。 三十九歳、職業は教師。
記憶を参照すると――あ、ふーん。 こういう奴ね。
地元の中学高でそこそこの年数勤務しているだけあってそれなりにやってるんじゃない?
上手くかどうかは知らないけど。
いつも通りの説明をすると太良田 亮右は私の顔、胸、股間を眺めた後、理解したと頷いたわ。
妄想するのは勝手だけど、気持ち悪いから後にしてくれない?
どうでもいいけどあんた仮にも教師なんだから、そういうのは控えたほうがいいんじゃないかしら?
まぁいいかと思っていると取りあえずお試しは引くみたい。
SR:身体能力強化(中)
あら、結構いいのを引いたわね。
現代日本で役に立つかは微妙だけど、この後に転生か転移を引けばそこそこ役に立つんじゃない?
いつも通り、引いた物に関しての説明をして、追加で引くかを尋ねる。
無駄に歳を重ねているだけあって色々と質問をしてきた。
割と基本的な事ばかりだったけど、この手の確認作業はそれなりに重要だ。
内容は――
何が出るのかは分からないのか?
あくまで本人の可能性を引き出すだけだから何が出るのかは私にも分からない。
……馬鹿ねぇ。 何が出るか分からないから面白いんじゃない。
排出率は?
レアリティが高いほど低いとしか答えられないわねぇ。
統計を取っている訳じゃないから体感になるけど、Nは六割、R三割、SR一割ぐらいじゃない?
それ以上? ゼロじゃないってレベルなので何とも言えないわ。
物品の場合、いつ頃手に入るのか?
いつか必ずとしか。 具体的な日時までは何とも言えないわ。
ただ、引いた以上は何があっても手元には届くようにできている。
――という質問に対してオブラートに包んだ回答を与えたわ。
後は実際に引かないと質問のしようもないでしょうね。
人間性には問題ありそうだけど、そこそこ考えているようで追加を引くか迷っているようね。
夢か現実かの判断が付かない事が大きな要因のようで、現実味がないので夢と断じる考えと夢にしてはリアルすぎるといった認識が鬩ぎ合っているようだ。
一応、次はないといった話はしている事も迷う要因ね。
人生半分以上過ぎてしまっている太良田 亮右に取って寿命は割と重要だ。
十代、二十代なら多少は許容しようといった気持ちにはなるでしょうけど、四十手前だと少し惜しい。
思考は見えているから理解はできるけど――
……ま、リスクヘッジしたいならちょっと普段の行いを見直した方がいいんじゃないかしら?
それでもガチャの誘惑には抗えなかったようで、五回引く事を決めたわ。
結果で追加を引くかの判断をするみたいね。
結果は――
SR:異世界転生権
SR:スキル:鑑定眼
R:スキル:剣術
SR:スキル:属性魔術(無)
N:銅貨
結果を見て私はあぁこれかぁとこの先に起こるであろう出来事を察した。
仕事なので引いた物の説明を行う。
最初の異世界転生はそのまま。 SRだからそこそこいい感じの世界に行けるんじゃないかしら?
問題はその後に引いた三つね。
鑑定眼は対象のステータスを読み取る能力で、剣術は名称そのまま。
属性魔術は属性に定義されない変わった魔法を扱う為の技能ね。
……どうでもいいけど属性魔術なのに無属性ってなんなのかしら?
言葉の不思議を考えながらスキルについての説明を続ける。
これは何かというとスキルと呼ばれる外付けの技能で、特定の世界でしか扱えない制限付きの能力になるわ。 最初に引いた身体能力強化とは効果的には似たようなものだけど、こちらは転生先の異世界でしか使えないといった制約がかかっている。
まぁ、転生は決まってるし、レアリティと効果を見ればいい結果だったんじゃないかしら?
太良田 亮右はガチャの結果と転生についての話を聞いて追加を引くかを悩んだけど、『転生』『魔術』『異世界』といったワードで胡散臭いと感じたのかこれ以上引く気をなくしたようね。
引く気がなないのはとっくに分かってはいるけど、念の為に確認を取る。
太良田 亮右が頷いた事を確認してから――
「では、私はこれで。 貴方に良き運命が訪れん事を」
――いつもの社交辞令を告げてその意識を後にした。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は蚊帳の外です。
豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」
「いえ、違います」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
亡霊剣士の肉体強奪リベンジ!~倒した敵の身体を乗っ取って、最強へと到る物語。
円城寺正市
ファンタジー
勇者が行方不明になって数年。
魔物が勢力圏を拡大し、滅亡の危機に瀕する国、ソルブルグ王国。
洞窟の中で目覚めた主人公は、自分が亡霊になっていることに気が付いた。
身動きもとれず、記憶も無い。
ある日、身動きできない彼の前に、ゴブリンの群れに追いかけられてエルフの少女が転がり込んできた。
亡霊を見つけたエルフの少女ミーシャは、死体に乗り移る方法を教え、身体を得た彼は、圧倒的な剣技を披露して、ゴブリンの群れを撃退した。
そして、「旅の目的は言えない」というミーシャに同行することになった亡霊は、次々に倒した敵の身体に乗り換えながら、復讐すべき相手へと辿り着く。
※この作品は「小説家になろう」からの転載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる