ヅガマン帝国戦記

始まりの日

　ある世界にある国があった・・・。その国は、周辺国を次々、植民地とし、支配していった。また、その過程で余り始めてしまった人口を次々、植民地に移住させていき植民地を支配させていった。工業区画、農業区画、商業区画、市民区画、また、特殊な能力を使い始めたものを研究する為の区画、それぞれの支配構造の盤石化、各種の法整備がなされた後、その国は、ズガマン帝国と名を変え、新建国演説がズガマン帝国と、市民区画で演説、新しい法に対する、各区画の代表が署名を行った。

ーーーー帝歴元年、春ーーーー
　「この法は、帝国と植民地、否、第1番地から第12番地を結ぶものである。先の戦争で、新しい人間といわれる者たちの出てきた、この者たちのように我々は新しくなろうとしているのである。この法を用い帝国の未来を掴むことを信じている。初代皇帝、リンクァ・ズガマン」
　この演説とともに、各区の代表が署名をしていく・・・。
　そんな中、一人の男が物陰に隠れるように動いた。次の瞬間、爆発音が会場を包んだ。
　「何が起きているんだ・・・。」
　代表として選ばれていた男が呟きながら倒れていった。
　<<帝都ーー帝宮内>>
 　「今頃、調停式が行われているかな?」
　男は部下に尋ねた。
　「そうだと思います。我々は大きなことやり終えましたね！」
　「そうかな?このような大きなことは事件が起きると思うがね・・・」
　男は吐き捨てるように呟いた。
　「あなたがそれを言ってしまうと、いらぬ混乱が起きますよ、次期皇帝」
　「そうだな・・・。冗談と聞き流してくれ・・・。」
ーーーー帝歴1年、冬ーーーー
　<<市民区画、第4番地>>
　ある男が演説をしていた。
　「帝国は我々をこのような土地に追いやり、あろうことか、私たちを帝都に住む人間の養分のように扱われている・・・。農業区画、工業区画で作られた物は、二束三文で買いたたかれ、帝都では私たちが1週間の生活費と同じ値段で売られている。同志たちよ！今立ち上がり、我々の権利を勝ち取るために立ち上がろうではないか！」
　男の演説が終わると少しの静寂と多くの喝采がその場を包んだ。
　「上手くいきましたね！同志、これで多くの支持がえられますね！」
　「そうだな・・・。だが、私たちと彼らは仲間だ、支持では無く、仲間が増えたことを喜ぼうじゃないか」
　その男は満足そうに、その場を去っていった。
　<<帝都>>
　「我が父、初代皇帝は、卑劣な区画民によって殺された！あろうことか、我が帝国の重要な文書である帝国普遍法の書類を焼失させた！彼らは、私たちの差し伸べた手を剣で切り落としてきたのである！我々はこの事態を受け、普遍法に改正をした、新帝国法を定め、施行していくことをここに宣言する！」
　帝国は、元年に行われた、新法の署名式を帝都で行うこととした。その背景には、署名式爆破事件ーー通称ーー種の花事件が起こってしまったことによる、各区画と帝都の緊張状態を顕わしていた。
　「素晴らしい演説でしたね、皇帝」
　男は、大仕事を終えた顔で話しかけていた。男は、これまでの日程調整、安全面の各種整備の責任者であった。とても、大きな仕事であったので成功すれば、戦争を終え、最初で最後かもしれない出世の機会で、他の追随を許さず、自身の地位を確かなものに出来るのだが、失敗してしまうと、自分の地位を追われてしまう。種の花事件の二の舞には出来ないという使命感、責任感で精神をすり減らし、体重がかなり減ってしまい、同僚からは病ではないかと心配されていた。
　「苦労を掛けたな・・・。」
　皇帝は、男の苦労を知っているため、彼をゆっくり休ませる目的で多くを語らず、彼の苦労を労った。
　皇帝には幼い子供しかいなく、皇帝と都市が離れているため、様々な思惑を持っている多くの大臣から守るため、自身の力、また、その皇子の力を盤石にする必要があった。その為、初代皇帝が襲撃され、殺されてしまった種の花事件を起こした区画民に対しての弾圧出来てしまう新帝国法を制定する必要があった。