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27.第一回、愛は盲目クイズ大会
しおりを挟む「フィーネさんって妹の?」
「でも彼女は亡くなったんじゃ」
少女達は戸惑ったように顔を見合わせた。
当然だ。彼女達にはフィーネの姿が見えない。
「どういう意味かしら」
「ううん、そうね」
悩んでる悩んでる。
下手なことを言ってルドルフに嫌われたくないからだろうか。少女達はチラチラとこちらを見てくるものの、否定的な意見を述べることはしなかった。
その姿はまるで合理的な答えを探すクイズ大会。愛とはこんなにも人を盲目にさせるのだろうか。私だったら開始十秒で「頭のおかしなシスコンだから」と片付けるところだ。
そんなこんなで、時間は刻一刻と流れた。
そして遂に一人の少女が答えを導き出す。
「……分かったわ!」
「えっ」
「なになに?」
胸の前で両の手を合わせる少女に対し、他の子達が一斉に飛びついた。
かくいう私も興味が無いと言えば嘘になる。愛が生み出すその答え。私は興味津々で彼女の言葉に聞き耳を立てた。
「きっとエレナさんの姿に、ありし日のフィーネさんの姿を見たのよ!」
……えっ?
「ほら、エレナさんこの間、テストで一位だったじゃない? フィーネさんも一位を取っていたし、そこにきっと重なるものが!」
いや、それはさすがに暴論では。
テストで一位を取った私に、妹の姿を見るほど、ルドルフの目は節穴では無いと思う。きっと他の子達は否定するはず……
「そういう事だったのね!」
「!?」
「なるほど、納得しましたわ」
「!!?」
「言われてみればどことなく雰囲気も似てますね」
いや、絶対似てないから!
どこをどう見間違えれば、ふわふわのお姫様みたいな女の子と目つきの悪いギスギス女を同一視出来るのだろうか。
「それはー……ちょっと……気のせいじゃないかしら……?」
やんわり言葉を投げてみる。
しかし残念ながら彼女達は、私の言葉よりも、ルドルフの発言に合理的な理由を見つけたことに満足したのか、特に考えを改めることは無かった。
となれば、本家本元に否定してもらう他ない。
彼ならば十中八九、私とフィーネの同一性など否定するだろう。
「ねえ、そっそんな事はないわよね?」
私はルドルフに訊ねた。
しかし、彼の出した答えは沈黙だった。
「? ねえ、ルドルフってばどうしたの」
否定しないなんてらしくない。
隣に顔を向けると、ルドルフはなんとも形容し難い表情で少女達を見つめていた。いや、この場合、少女は少女でも彼女達の会話に混ざったフィーネをと言った方がいいだろうか。
「あっエレナさん!」
フィーネが彼女達の合間をスルリと抜けこちらにやって来る。
「今の聞きました? 私とエレナさんが似てるって!」
嬉しそうに告げるフィーネ。
……なるほど。どおりでこの男が否定出来ない訳だ。
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