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106.あなたそれ二股ってレベルじゃないですよ?
しおりを挟むどうせまたレイズ様の性格の悪い冗談だと思ったのに。
「私、花嫁じゃないんですか?」
「違う」
お前に聞いてるんじゃないよ。私が訊ねているのはベルさんだって。
ほのぼの朝食タイムが一瞬にしてカオスになってしまったこの状況。出来れば上手い切り返しでまた美味しい朝食タイムに戻って欲しいけど、どうもそうはいかないか。その証拠にいつもはヘラヘラ笑って笑ってごまかすベルさんが、今は極めて真顔でこっちを見ている。
「ごめん、あれから色々あってさ」
色々ってなんだ、色々って。
悪いけど行間読んだり、空気を察したり出来るほど私の人間性は器用に出来ていない。言いにくそうにしているところ悪いけど、さっさと回想編に突入してもらおうか。私が飽きてしまわない範囲で。
じいっ
私はベルさんを凝視した。
「どういう事ですか?」
「実はね」
===
~ルセリナの告白後 in花嫁選びの会場内~
ヒューベルに告白後、倒れてしまうルセリナ。
「お疲れ様」
彼女を支えたヒューベルは、スタッフを呼び出し別室へと運ばせた。
ルセリナを見送った彼は、会場にいる人々を見渡して大きく宣言する。
「此度の花嫁選定の結果、俺は彼女を選ぶことに決めた!」
わっと盛り上がる会場内。
「けれど彼女だけじゃない、俺はこの土地に住む全ての民を平等に愛している!」
歓声はますますヒートアップ。
そこに不平不満を言うものは一人もいない。
「よって宣言する」
彼は静かに呼吸を整える。そして。
「俺は民全てと結婚すると! だからもう、花嫁選定の儀式なんて必要ない!」
声高らかにそう告げた。
===
「以上、回想終わり」
「……回想、終わり?」
「うん」
花嫁選びも終わり、いつものもっさりとした姿に戻ったベルさんがボサボサ髪の隙間から、こちらの表情を窺っている。
「怒った?」
「いや、怒ったっていうか」
ちょっと頭が追いつかない。
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「そうだよ」
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「老若男女問わず」
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「あ、もちろん領のみんなが俺以外の人と結婚してもそれはそれで問題なし。俺とも結婚して、その相手とも結婚する、それだけのことだよ」
ベルさんはそう言ってようやくいつもの笑顔を見せてくれた。
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