王子様を放送します

竹 美津

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本編

始まりました歌の競演会

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拍手喝采、国歌を歌い吹く本番終わって、テヘッと嬉しそうな3王子達は、ステージ中央でニコニコして、それぞれ腕を後ろに組んだり、ラプタ笛を懐に入れたり、ピッと姿勢良く合図待ち。

「オランネージュ殿下、ネクター殿下、ニリヤ殿下、素敵な国歌のお披露目、ありがとうございました!どうぞステージの特別席へ。」

司会のパージュさんの誘導で、王子達は、たったかた!とん、たとん!とスキップ混ぜながら、ステージの審査員席ともなる自分達の椅子へ。きゃらきゃら。本番終わって、嬉しくって笑っちゃうんだ。ここには、儀式なんだから畏まって!なんて言う人はいない。たなびくローブ、太陽、月、星の煌めきを模した魔道具の光が座るまで追ってピカピカしたので、本当に星が走るようで。

ふふ、と目元を綻ばせて、パージュさんは3王子が落ち着くのを確認して。

「ーーーさて、皆さん、国歌、いかがでしたか?ギフトの竜樹様のいた所では、国々に、それぞれ国歌があって、皆誇りを持って、嬉しく覚えて、歌えるんだそうです。この度作られた国歌、『希望の歌』は、これからパシフィストでも、色々なイベント毎にちょくちょく歌われる予定です。良かったら覚えて一緒に歌って下さいね。私達、パシフィストのお国に幸あれと寿ぐ、私達の歌です。何だかやっぱり、誇らしいですね。」

こっかだって。
私達の。国の歌?
何だか素敵な言葉だったけど。
ざわざわ、騒めきの中に子供達の真似して歌う声が、ちらほら。

「さあ!それでは、審査の方法を説明していきます、が!実際にやってみながらお話していきましょうね。まずは最初にこの方の歌から参りましょう。」

緩急つけて、盛り上がっていこう!

ステージ上手から登場したのは、吟遊詩人VS貴族出身の歌い手バトルでも先行を務めた、吟遊詩人ノート青年である!拍手喝采!!

吟遊詩人達は、競演会に集まるのに、着の身着のまま、ステージ衣装など用意してはいなかったけれど。テレビなのだから、諸外国にだって放送されてるのだし!と衣装さんも張り切って、イメージに合う、華美すぎない素敵なコーディネートをアドバイス。衣装をデザイナー直営のお店から借りて、宣伝も兼ねてというやり方も竜樹から耳に入れ。
出演者と相談しながら。吟遊詩人ノートも、さっそうと焦茶のチェスターコート•••萌える黄緑コード刺繍が控えめに袖口、襟元、裾を飾るものを羽織り、所々黄緑を差し色にしたシャツにベスト、オフホワイトのパンツに編み上げブーツ。
髪は長く、茶色のリボンで縛っているが。頬周り耳の前、顎の長さにサラリとかかる、顔を包んでいる焦茶のストレート。
あの、いかにも!な吟遊詩人帽子は被っていなかったけれど、手にしたリュートがしっくりと、大きな手に馴染んで。

スタンドマイクが、サササと運ばれてくる。昨日リハーサルをして、自分が歌った映像と音とを、客観的に見せてもらっているので、出演者達もマイクの使い方を覚え、ちゃんとノートも自分の口の高さにマイクを調整した。

「吟遊詩人ノートさん!彼は各地を吟遊しながら、祝い事の歌を得意として盛り上げてきたそうです。吟遊詩人になったのは、親譲り。父親の手に引かれて、各地を転々と旅しながら手ほどきを受け、生来の歌好き。よちよちの頃から、お歌を歌って投げ銭を集めていたそうですよ!そんな吟遊詩人そのものの彼が歌うのは、今日のような収穫祭に招ばれた時に歌う、鉄板の歌。『実りの時に』です。彼の父が創り、広めて、ご存知の方も沢山いるのでは?それでは、準備も出来たようですね。ノートさん、一言!」

促され、ペコリ、と優雅に胸に手を当ててお辞儀をしたノートは。堂々、お客さん慣れした、心許すニコリで。

「こんにちは!吟遊詩人ノートとは俺の事です!『実りの時に』は親父が創ったんだけど、いつも、この歌があるから食ってける!お前の血は、半分くらいこの歌で出来てんぞ、って言われてました!親父は足を悪くしたから、もう一つ所で留まって歌うたってるんだけど、そんな親父と、今日のお客さん達、テレビやラジオのお客さんにも、この競演会の最初を飾るに相応しいと思ってもらえるはず!この歌で出来てるノートが、歌の力を精一杯に届けます!それでは、聞いてください!」

溌剌たる言葉切れ、オーケストラピットの指揮者と目配せして。今日は吟遊詩人バージョンからランクアップして、オケバージョンなのだ!

ポロリロリロン♪

踊れや踊れ
村娘カロレッタ
はち切れそうな葡萄を摘んで~♪


娘が葡萄を摘んでは彼氏と恋の掛け合いをし、拗ねては和解して祭りで踊り、神に捧ぐワインは良く出来、獣は良く狩れて、今宵は夜更かし。長老はムニャムニャ祝い事を言い、満月、2人の影は重なってーーー。

という『実りの時に』。会場は知っている歌にノリノリになって、手や足を打ち地に蹴って、会場全体が温かく。

「吟遊詩人ノートさん、『実りの時に』でした。楽しい歌でしたね!審査員の、ハルサ王様、マルグリット王妃様、オランネージュ王子殿下、ネクター殿下、ニリヤ殿下。そして、音楽に造詣の深い審査員として、バラン王兄殿下、吟遊詩人から貴族の歌劇まで幅広く範囲とする、音楽評論家のアプロディスさん、往年の名歌手、シュショテ夫人。8名が、それぞれ聞きながら審査を致します。」

ペコリ、と目礼をする審査員達は、ステージ端で、何やらメモをしながらうんうん頷いたり、フン、フン♪とノッたりしていたのである。

「はい!ぼく、のーとさんに、ニリヤよかったでしょうを、あげます!」
ニリヤがお手てをハイッと挙げて。
吟遊詩人ノートは、審査員席に向いて、嬉しそうに聞いている。

「はい、ニリヤ殿下、ニリヤ賞をノートさんにあげるんですね!ノートさんの歌、どこが良かったですか?」

「すごく、わぁってなって、たのしくなったところ!」
わぁって、の所で手を大きくまるっ、とした。観客席が、ふふふわ、と柔らかく笑いに包まれる。

「ええ、ええ、最初の歌うたいさんに相応しい、楽しい歌でしたね!はい、ではニリヤ殿下、ニリヤ賞の美しい宝石とリボン、第1回の歌の競演会のメダルが付いたブローチを、ノートさんに着けてあげて下さい!」

とっとこと、とニリヤが審査員席を出て、しゃがんで着けやすくしたノートの胸にブローチをつける。金の輪っかが二重になり、2点で重なりクロスして、上等なリボンが結ばれて。輪の真ん中に揺れるように下がったメダル、宝石は輪っかのクロスした所にキラキラしている。ピタッと生地を挟んでつけて、魔道具でけっして落ちないので、ニリヤにも簡単に、よいしょ、とつけられた。満足して、ノートの胸をぽん、と叩いてニッコリ見上げたニリヤに、ノートは、ほこほこと笑い、ありがとうございます、と深くお辞儀した。

「このように、出場者の事を気に入った王族審査員達が、お名前のついた賞を、好きなだけ好きだなと思った人に贈ります。複数もらえる人も、いるかもしれません!手ずから着けて下さいますよ。ニリヤ殿下の賞のブローチは、ニリヤ殿下の選んだ石が付いています。好きなお色という事で、黄緑を選ばれたようです!ニリヤ賞は美しいペリドット。ノートさんの瞳とも、似合っていますね!ではでは、音楽評論家のアプロディスさんにもお話を聞いてみましょう。」

アプロディスはお髭のピンと立った、丸っこいおじ様であった。振られて、うんうん、と興奮した顔で。

「ノート君。私は、ノート君のお父様の、チャント氏の歌も聞いた事がある。それも、全盛期の。王都の収穫祭に来て、ちょうど『実りの時に』を創ったばかりの、同じ歌を。ーーー君の歌は今、その時のお父様に似て賑やかでいて、もっと爽やかで、だけれど何処か、するりと綺麗だけで聞き逃す事のないひっかかり、ざら、と味がある声だ。それを気になる者もいるだろうが、私はとても素晴らしいと思う!もっともっと、熟していけば、と、この先も感じさせる若さある歌。素晴らしかった、ありがとう!」

アプロディスは歌が大好きなのだなぁ、と思われるコメントを述べて、ノートはそれをまた、嬉しそうに。ありがとうございます!と受けて。

「は~い。では、吟遊詩人ノートさんでした。では、観客席の出場者席にどうぞ!これからのステージを、じっくり見て待っていて下さいね。って、最初に歌ったら、ずっと競演会が見られて、お得ですね!ーーーなんて事はおいといて、審査は審査員がしますが、それは半分だけなのです。歌の競演会で出場者が全て歌い終わった後、審査の時間として休憩があるのですが。この野外円形ステージの会場外で、その時間、記念の腕輪を販売致します。宝石ほどとはいきませんが、王族審査員達の賞のブローチと色を合わせた、手に取りやすく美しい石を使った、この競演会用に造られた色とりどりの腕輪で、記念にピッタリ!お客さん達に腕輪を買っていただく時、同時に投票のメダルをお配りします。その投票のメダルを、聴いていて素敵だなぁ、と思った歌い手さんの箱に入れていただけます。箱は、この会場のオーケストラピットの前に、写真付きで備えつけておりますので、この人だな!と選んで入れてみて下さい。審査員の最終決定に、会場の投票結果も公表して、総合的に金の優勝者、銀の準優勝、銅の3番賞を決めてゆきます!皆さんも審査に参加できるんです!是非こぞって参加してみて下さいね!」

それでは、次の方にまいりましょう。次の方はーーー。


この審査システムは、竜樹と、何でも実現バーニー君と、この歌の競演会の実行委員達で頑張って考えた。審査する時、勝ち抜きにするか?点数をパネルで出すか?でも、点数って言っても、このパシフィストでは、数を書けない読めない人だっているよね?

偉い人に決めてもらうだけじゃなくて、会場に来て楽しんでいるお客さんにも、参加してもらいたい。記念の腕輪購入と、渡されたメダルを投票システムは、竜樹がフードフェスで、食べ終わった割り箸を推したい店の投票箱に入れて、重さで計って順位を出すやり方を、参考に出してみたりしたのを元に、今年はこれでいってみよう!と販売数予測もあやふやながら、少し勇気を出してやってみたのだ。
投票システムは、さて、この世界で受け入れられるだろうか。

それに、優勝から3位以外の人は、この歌の競演会に参加できるくらいに実力があるのに(流石に沢山出場希望者がいたので、予選もやりました)残念だったで終わるのは寂しくない?って事で、王族審査員賞も作った。投票の記念腕輪は、王族審査員賞のブローチの石の色と合わせてみたり。来年はまた、好きな色を選び直して、毎年買って色違いを記念にできる風に、などの考えも。

3王子は気軽に、ニリヤ賞、ネクター賞、オランネージュ賞を出して、出場者の胸にブローチを留めていく。お歌が好きで、楽しいな~と思いがち。審査もフンフン、頭を振ってノリながら、足もぷらぷら振りながらやっている。
バラン王兄、ハルサ王様、マルグリット王妃様は、時々、この人は!って感じに賞を出すので、ハルサ王様賞が出た時などは、観客席がドワッと沸いたりしている。

喜びの歌、失恋の歌(でもちょっと次の恋に心惹かれてたりな詞)、冒険の歌。
冬支度の歌、友情の歌。
中には悲恋の歌が得意な人もいて、各々自分の一番自信がある、または歌ってみたいチャレンジの曲をもってきているので、バリエーションは豊富であった。でも弔いの歌や、暗くて悲しすぎ重すぎる歌は、流石に歌われない。一応この、感謝祭、収穫祭に相応しいと思われる、許容範囲のドラマチックな歌たち。
雨の歌、花の歌、そしておらが土地の歌。
詞の世界に、物語に、取り込まれて胸踊り音楽にのって声響き渡る。

チームワイルドウルフ達も、フンフン獣お耳をピコピコピッピしながら、この人のお歌好きー、とか、たのしいでつ、とか言って。ルムトン副隊長とステュー隊長に、番組のオープニング歌う人、どの人が良いかなぁ、なんて時々思い出させられつつ楽しんで見て。


「ーーーーそれでは次は、ドゥアーさん。まだ若き駆け出しの、青年吟遊詩人です。歌で暮らし始めて2年。なんと貴族出身で、歌うために家を出て自立した情熱家。小さな街を回る毎日ですが、きちんとした音楽教育を受けて、野で修行するという2面を見てきている実力は、侮れません。ドゥアーさん、一言どうぞ!」

ドゥアーと呼ばれた、黒髪の青年吟遊詩人は、何だか。
見ていて心配になるくらい、顔色が白くて。

「•••••••••。」
「?ドゥアーさん?緊張されてるんですかね、大丈夫ですよ、息を吸って、吐いて!」

「•••••••••、••••••!•••••••••。」

はく、はく。
口がパクパクして。息を、吸えなくて。
今までの小さな街では、こんなに、沢山の。
沢山の人が、こっちを見ている事なんて。

まっ しろ に


ふぅぅ ゆらり バタン!!

えっ!と皆ビクッとなった。
ドゥアーは、マイクの前で、ゆらゆらしたかと思うと、ぐんにゃりバタンと倒れてしまったのだった。

ニリヤがお目々をまん丸にして、ネクターが肩をビクッとさせて、オランネージュがニハのお口のまま固まって。思わず3王子、駆け寄った時には、走り出て来たスタッフがドゥアーを抱き起こし、声をかけて揺さぶっていた。

「ドゥアーさん!大丈夫ですか!ドゥアーさん!」

「•••••••••ぅ、う。」

真っ白な顔色のドゥアーに、控えていた治療師がサッと出てきて容態を見る。競演会の続行危ぶまれ、と思ったりもする。治療師は、ドゥアーの状態を鑑定して、ホッと息を吐き、何事かを言い、ドゥアーを抱き起こして舞台袖に連れて行くようスタッフに指示を出して。
駆け寄った中にいたパージュさんに、話しかけて、何だかかんだか相談して。

観客席もザワザワッとしていたが。
相談終わって、何とか意識を取り戻したドゥアーがスタッフに抱えられてはけて、パージュさんも心配そうな3王子も所定の位置、席に戻り、治療師が、マイクを持って。

「大丈夫です。大丈夫です、皆さん。ドゥアーさんは、病気などではないです。極度の緊張による失神です。倒れた事による怪我もありません。充分に休めば治ります。ドゥアーさんの順番は後に回してーーー。」


舞台袖のドゥアーは。

「ら、らめだ、•••もうらめだ。」

ギュッと小さくなって、真っ白な顔色のまま、ショックを受けて項垂れて。
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