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本編
キャリコの神乞い
しおりを挟む「神乞いを、したいです。」
とその子は言った。
竜樹は、心と身体の弱った人を見た事がある。心が弱るから身体が弱るのか、身体が弱るから心も弱るのか。2つが分かち難く、繋がっている事は確かだ。
元の世界で、会社に勤めていた頃、仕事内容や同僚との人間関係が、きっと生来の性格にも合わず、タイミングも悪くて弱ってしまった。そんな営業部社員の青年のお家に、書類を届けに行って、一人暮らしの部屋に上がり込んで、話をポツリ、ポツリと聞いた事があったのである。部屋の中は荒れていて、損なわれた健康をありありと示していて。
自分も大学の時、弱った事があったから、他人事とは思えず。営業部の人達も、悪い人達ではなくて、何か買っていってやって、とお金を渡してくれて。何が良いかは分からなかったけれど、きっと歯応えのあるものよりも、と。プリンにヨーグルトや、ゼリーにバナナなどの、食べやすくて喉の通りが良いもの、をコンビニ袋にぷらぷら、ぶら下げて。
瞳が漆黒のビー玉で。つるっとしていてピクリとも動かない、生命のエネルギーの枯渇を示したそれが。竜樹の気持ちの痛みを、同情を、底なしに吸い込むかとも思えて。
健康な時なら思い至る、色々な解決策が、対処もできないし、身体も、動けない。誰かの力が、必要なのだ。
結局その青年には、実家との連絡を。目の前で電話させて、竜樹もお家の人と話して説明もし。
今、とても弱っているこの人は、誰か近しい人の懐で、安心してゆっくり休んで、身体と精神と両方を病院に診てもらって、癒す必要があるよ、と淡々と。
目の前の、細い猫っ毛の灰銀髪を、ギュッと引っ詰めて後ろに縛った子供、10歳だという痩せぎすの少年は。冴え冴えとしたガラスの脆い光を放つ、ポッカリ深い紺の瞳が、あの青年を思い出させて、痛々しい。
白がアイボリーに見える、仕立ては良いがアンティークのシャツ1枚。シュッとしたズボンに革靴、どれも古色が、空気に馴染んで、ぼんわりと溶けてゆきそうに淡い、弱々しい輪郭。
護衛で指示役のマルサ王弟が、竜樹や3王子、チームワイルドウルフやルムトン、ステュー、撮影スタッフを後ろに、守っている。空いている楽屋の一室で、相対しているのは呪術師だというその少年、キャリコ。
手錠だと、子供の手首ではゆるゆるなので、縄で後ろ手に縛られて、警備兵が付き。保護者らしき、髪色や顔の部分、痩せた体型の傾向がキャリコに似た女と、全体は似ていないのに、肌の色や質感がそっくりな男が、観念した沈鬱な表情で、控えている。
「キャリコ。神乞いをしたいのだな。覚悟は、出来ているんだな。」
マルサ王弟が、腕組みをして、厳しい表情。
「はい。自分のつみは、分かっています。」
まだ細く高いその声は、けれど抑揚がなく、心の動きを感じさせない。
竜樹は神乞いが分からず。
この緊迫した、尋問、そう尋問なのだ。子供なのに、この、頬も磁器のように白い少年キャリコが、ジャスミン嬢に頼まれてタイラスを眠らせる呪いを施した、呪術師なのだ。
人の身体を精神を著しく損なう呪いを行った、依頼者は当然罰される。そして、実際にかけた呪師者も、当たり前に罰される。
それが、たとえ子供であっても。
「かみこい、なに?」
ひそそ、とニリヤが竜樹に、ささやいている気持ち、だけど小さい声にしきれず響く。
「かみこい、何だろね。マルサ、かみこい、って何だい。」
マルサは振り向かず応える。
「神乞いは、罪人が。自分で神に、罪を悔いて、見合う償いの仕方を言って、こうこうこういう風に償います、だからどうかお赦しください、って赦しを乞う儀式だ。」
「懺悔して自分から申告するんだね。覚悟がいるのは、何故?」
「自分から赦しを願う。甘い償いでは、わざわざ神に願ってのこと、赦されず却って罰が重くなったりするんだ。神は厳しい。人に裁かれる方がまだまし、な結果になりがちなんだ。」
じゃあ、何故、神乞いをわざわざするのだろう。
「その代わり、神乞いをすれば、その儀式は公にされ、結果がどうあれ皆に認められるから。償い、罰された後は、誰にも後ろ指をさされず、生きていく事ができる。」
自分を諦めた願いではないのだな、という事は、分かった。
「神乞いするなら、この歌の競演会の、開会式の前にやろう。竜樹、テレビは少し位、時間が後ろに伸びても大丈夫なんだろ?会場も。」
マルサの問いに。
「あ、うん。テレビも会場も、お尻の時間は決まってないから、大丈夫だよ。間を埋める何かを考えなきゃだけどーーー。」
「間は、いらないさ。神乞いがある。」
まさか、公に、って、マルサ。
ハッとした大人達の中、ゆっくりと頷いて、マルサは断言する。
「そうだよ。公に、だ。この呪い騒動は、神様も関係しているし、それがニュースにもなって、会場のお客も、テレビを見てる皆も、犯人を知っている。ステージで、テレビで放送して、神乞いするなら、呪術師の犯人間違いなんかもあり得ないし、今日の歌の競演会でケリがついちまうだろ。•••こんな呪い、いつまでも引きずってさ。感謝祭だってのに、さっぱりしないだろ。皆の前で、今やれば、神様だって償いと赦しを、聞いてくれやすいんじゃないか、多分。」
誰だってお祭りの前に、細々と面倒くさい事は済ませておきたい。穢れを払い、お祭りを。神様だって、きっとそうかも。
マルサなりの、子供なキャリコへの、気遣いもあるのだろう。まだ話をしてみなければ、キャリコがどんな子であるかは、分からないのだけれどーーー。
竜樹は黙っていられず、縄で戒められて静かな、竜樹の胸までもない大きさのキャリコに、話しかける。
「キャリコ君。君の神乞いが、テレビやラジオで放送されたり、ステージでお客さんに見られたりする。それって、どうだい?まるで見せ物のようかも、しれないよ。嫌なら嫌って、言うんだよ。」
少しの間、キャリコは黙っていたけれど。
「•••いやとか、ないんです。」
ん?
「いやが、ない?」
はい。と少し、頷いて、目は深いまま。
「私は、いや、とか、すき、とか、きらい、とか。ふつうの人にはある、揺れる感情が、あんまりないんです。魔道具で制限されているので、分からないです。」
瞬きもしないで、表情は変わらないのに、途方に暮れているように。キャリコは首を、ことんと傾けた。
その首には、細い銀の首輪が。黒くなって嵌められているのだった。
ステージでは、音楽一択道をゆくバラン王兄の婚約者、声の麗しいパージュさんが司会の準備をしている。
お祭り、なかなか始まらないなあ、とザワザワしているお客さん達。
パッとステージ上の大画面が、点いた。チームワイルドウルフ達の、アンファン!お仕事検証中!をやっていたのに、いっとき何故かテレビの放送が真っ暗になって沈黙し、どうしたんだろね、って皆、言っていたのである。
パージュさんの元に、サササとカンペが渡されて、彼女はそれを、ん?と読み、ギョッとして、す、と息を止めた。
じっくりカンペを読んだ後、目を瞑って、すう、と息を吸い。
大画面に映っている、チームワイルドウルフや3王子、竜樹達と共に、後ろ手に縄で歩かされている、キャリコ少年を、不思議そうに皆が見つめている。
合図がきて、パージュさんが落ち着いた声で、けれどキッパリ、マイクで話し出す。
「皆さん。今日はお祭り、感謝祭ですね。良く晴れて、お祝いに相応しい日です。そんな日、歌の競演会の前に、呪いは天に解いていただけるよう、絡み合った罪咎は、明らかにして、ケリをつけてしまいましょう。」
ザワザワ、が、次第に、しん、となる。
「ジャスミン嬢に頼まれて、タイラスさんに呪いをかけた呪術師、キャリコ少年が、神乞いを致します。彼はまだ、10歳です。皆さん、どうか、お立ち会い、お見届けになって下さい。彼の償いと神の裁きが済んだら、若い彼の人生を、どうか良き方向へと。大人である私たちが見守ってゆきましょう。お子さん達は、どうか彼の告解を聞いて、我が身として考え、再びどこかで同じ事が起きないように、胸に留めておいて下さいね。その為にも、経緯を明らかにしてまいりましょう。では、神乞いの儀式を始めます。」
元々開会式で、神への供物、音楽を捧げる見届け役だったファヴール教皇が、す、とステージ下手から。
そして、その後ろに、竜樹達やチームワイルドウルフ、ルムトンとステュー、3王子、護衛達に撮影スタッフ。
大画面にはアップでステージ上手が映り。そこから、兵に連れられた、後ろ手に縛られたキャリコ少年と、おずおずと付き添いの父母が、ゆっくりステージの真ん中へ。
しん、とした中に、ひそひそ。
誰だって?キャリコ?
子供の呪術師だって!?なんで!?
あのおにいちゃんどうしたの?
ファヴール教皇が、す、と右手を挙げた。
「罪人、汝の名を述べよ。」
「はい。キャリコです。」
キャリコはステージでも緊張などせず、淡々と。
「では、これより罪人キャリコの神乞いを始めます。キャリコ、その罪を、何故犯してしまったのか。ここで、委細残らず話して、償いの気持ちと共に、神に赦しを乞い願いなさい。けっして嘘をつく事のないように。もし偽りを述べれば、神はそれを赦しません。さあ、ゆっくり、思った通りに、話してごらんなさい。」
キャリコは、呪術師である。
呪術師の家系に生まれ、育つ中で、自然とそれを身につけた。
呪術師は別に、重い呪いをかけて犯罪を犯すのが仕事ではない。
(のろい)ではなく、(まじない)が普段の生業なのだ。もっともっと、軽い、おまじないを頼まれて、少し不運が幸運に傾きますように、とか、ネクターがステージにビビりまくっていたけれど、晴れの舞台で緊張しないように、試験に風邪をひきませんように、不眠が少し眠れるように、などなど。おまじないは、はっきりと実行力があり、そして、小さなおまじないは、同じ理屈で大きく重い呪いにも発展できる。けれど、まじないが呪いになり、大きくなればなるほど、呪いをかける時の代償は大きくなり、呪いが万が一返された時の反動は酷くなる。
キャリコは呪術師の才能が、もっと幼い頃から、とてもとても、とてもあった。
小さなおまじないを勉強していく。進めば大きな呪いも勉強する。呪術師は、呪いを破るのも仕事だから、かけるやり方も知っていなければならない。
キャリコはぐんぐん呪いを覚えた。
それは、家業が呪術師の、父と母が、恐れるほど、素晴らしく。
「負の感情が、あっては、ならないと。私は、まだ、子供だから。嫉妬や、悔しさ、いたずらの気持ち、そんな感情の揺れで、大きな呪いを、勝手にかける事が、力を振るってしまう事が、あってはならないと。父と母は、私に、感情を抑える魔道具の首輪をつけました。5歳の時だったと思います。だから、私は、呪術がほとんどできない、お嫁にゆくから教える必要もない、妹が。のびのびと愛されていても、嫉妬することは、なかったんですけど。」
キャリコは感情を抑制されている。
子供らしく喜んだり悲しんだり、賑やかで可愛い、手を広げて抱っこをせがむ、愛を乞う、そういう所が、欠け落ちた。
天真爛漫な妹とキャリコへの接し方に、どうしても温度差は出てしまう。ましてや、既にキャリコは仕事を受けていて、父と同じ位稼いでいたし、その力を恐れる気持ちもあって、庇護される対象に、なかなか思われなかったのだ。
「感情は、ないけれど。差があるな、って思っていました。たまに、親戚なんかが、妹に嫉妬とかしないの、って言う事も。でも、それをどうにかしたい欲が、私にはない。どこか、ぽっかり空いているような。何かが、足りないんだな、っていう感じだけ、していました。」
キャリコは、まじないで、誰か好きな人へ思いを少し、伝えやすくしたり。そして、邪魔な恋のライバルに、少し、大人しくしてもらう。そんな、ちょっとだけ人間臭い、まじないの相談を受けるたびに。
「ああ、これは私には、今、ないものだな。それは、何だか、生きてる。生きてるな、って感じで。少しだけ、ぽっかりした所が、埋まる感じがしたんです。」
ジャスミン嬢が、自分の都合だけで、結婚したい大事にしたいはずのタイラスを呪おうと、恋敵のポムドゥテール嬢に呪い返しを身代わりさせよう、と持ちかけてきた時。
その呪い自体を工夫してかける事も、少し勉強になるな、とも思ったし。
キャリコには、そうまでして、欲しいものがあるジャスミン嬢の、醜いけれどありありと生きているその、ぐつぐつとした感情を。
「私は感情が、あんまりないはずなのに。もやもや、って、それが、ほしいな、ああ、私に足りないものだな、って。それをしたら、もっと、この空っぽな感じが、埋まるんじゃないかって。そんな気がしたんです。」
罪になる事は、重々分かっていた。
だから、ちゃんと、経過をみて、呪いは解こうと思っていたらしい。
「私の寿命、10年分を代償として、呪いを解いて。ポムドゥテールさんに、呪い返しがいっても、その後、ちゃんと解けるように。ジャスミンさんが、思った通りの呪いの結果を、一度、出してみよう。彼女はどうするのだろうか。私、ジャスミンさんが上手くいくとは、思っていなかったので。簡単な、まじないでも、負の感情を乗せたものって、あまり結果はうまいこといかないものなんですよ。一度思い通りになったとしても、それが不幸の始まりに、なんて良くある事なんです。」
だけど。
「かわいい、って、はじめて思ったのです。妹も、かわいいと思えなかったのに。ジャスミンさんは、かわいいな、みにくくて、小さくて、かわいいな。きっと、私の、ぽっかりした所に埋まる気持ちも、こんなふうに醜い、それで、すごく、生き生きとした気持ちなんだろうな、って。」
ビー玉の紺、瞳が、揺れずに。
だけどそれを、動かない彼の瞳を、とても悲しいと。竜樹は胸痛く思った。
「私のつみは、ぽっかりした心を、埋めたいな、って思ってしまった所だと思います。父と母が、それがあると、きっと良くない事が起こるから、って魔道具で抑えていたのに。私は、感情があってはいけなかった。ジャスミンさんを、かわいいと思ってはいけなかった。だから、神様が、止めて下さったのです。テレビで見て、ああ、行かなきゃいけないな、と思って、名乗り出ました。」
聞いていられない。
きっと、魔道具で抑制していても、キャリコの感情は押さえ込まれて歪んで、ぎゅうと押し出されてきたのだろう。幼い頃から感情を出したりして、小さな失敗と成功で学んで、成長してこなかった歪みが。
心電図に波がなく、一直線になった時、人は生きるのをやめる。
生きているって、絶え間ない感情の波を、感じ味わって、コントロールして、でもできないことも、溢れることも、沢山あって。良い感情も、そうでない感情も。それらを色々と経験して、波にまみれて、いつかは時々上手く、自分なりに乗るように生きていける、かも。
それが、生きるって事なのに。
竜樹は確かに、穏やかな日常を愛しているが。でもだからって、全てが一直線になるような、止まった凪が続くのは、流石に死んでいると思ってしまう。
子供達がいて、愛する人がいて、やり甲斐のある仕事があって、時々だらけて。上手くいったりいかなかったり、日々、笑って泣いて。波に揉まれて、毎日が、愛おしいんじゃないかと思う。
キャリコは、生きたいって。
そう、言っているのに。
「私のできる償いは、タイラスさんにかけた呪いと同じーーー。」
キャリコが償いを自分から言おうとした時。
「ーー異議あり!」
もう竜樹は、黙っていられなかった。
チームワイルドウルフ達のお耳とお尻尾が、ビビビと震えて、ニリヤ、ネクター、オランネージュもお目々をまん丸くして竜樹を見た。ルムトン副隊長とステュー隊長は、ヤベェ!って顔で口を手、覆っている。
神への儀式を途中で邪魔する。
それが、どんな意味を持つのか、知ったこっちゃない!のだ。
ファヴール教皇が、鋭い目をギッと向けて、手で抑えるようにして、竜樹に。
「黙って。何人たりとも、神乞いを邪魔しては、ならないのです。竜樹殿、あなた、神罰を受けたいのですか!」
神罰は受けたくないが。言いたい事は、言わせてもらう。何せ、自由なギフトの人なんだから。
「いいえ、異議ありです。キャリコ君の気持ちは聞けました。どういう境遇であったのかも。私のいた世界では、裁きを行う時って、どんなに悪い事をした疑いのある人にも、弁護人っていうのがつきます。私は、キャリコ君の、弁護人に立候補したいと思います!」
しん、と静まったステージ。
目を剥いたファヴール教皇。
口を開けて、次の言葉を止められて、止まったままのキャリコ。
心配そうな、ニリヤ、ネクター、オランネージュ。
ぶるるらる。
響くはスマホのバイブレーション。
竜樹のマントのポケットに、視線が集中して、多分きっと、とスマホを取り出せば。
カッ
画面が光る。
ほわあ、ばさり、と
長い白髪の、左は金、右は銀の目の神様が。衣をたなびかせて天秤を持ち、ぬっ、するりん。スマホの画面から立ち上がって現れたるは、神々しき。
『我は裁きの天秤を持つ神、エキリーブル。竜樹、神乞いを途中で止めてまでの異議である。相当の思いがあってのことだろうね?』
ニヤリ、といい笑顔で笑う神様は、厳しいけれども話の分からない方じゃない、って竜樹は信じた。ただの同情、それだけではダメだ。神様にそんなの通じるものか。竜樹は脳みそを、グーッと集中させて話し出した。
「はい、神乞いを止めてしまって、申し訳ありません、エキリーブル神様。畠中竜樹と申します。私が異議を唱えたのは、勿論、キャリコ君の境遇に、気持ちを寄せて、痛みを覚えたからではあります。でも、それだけではないです。何だか、この世界の裁きの仕方って、一方的すぎやしませんか、って前から思ってたんです。調べて決めて、上から告げるだけ。それか、神様に頼めば、それは間違いないですよ。でも、それで本当に良いんですかね?」
それだと、上の人の考えに頼りすぎちゃう気もするし。人ならではの事情や、環境の悪さを鑑みた、これからを思った自分たちでの未来の作り方、を、神様に委ねすぎてはいないでしょうか?
『ん、ん。なるほど?』
人ならざる方の、ヒヤリと冷たい顔なのに、何故か愉快そうなエキリーブル神。ゆったり頷くと、手を出してちょいちょい、と竜樹の次の言葉を促した。
「勿論、最終的には、神様方の裁きにお縋りするにしてもーーー神の前に嘘はつかない、って、それが保証されてるって、とってもすごい事だと思いますし。ただ、そこに至るまでに、人同士でもっとどうすればいいか話し合って、こうしたいんですが、良いですか?って、いうのどうですか?えーっと、エキリーブル神様、俺のいた元の世界の、人が人を裁く、人ならではの裁判の仕方って、ご興味ないですか?」
『ん、ん。興味、あるね。』
すうーっ、と衣をそよがせたまま、エキリーブル神様は空中に腰を下ろして足を組み、肘をまた何もない空間について手のひらに顎をのっけた。ニンマリ、完全、聞く体勢である。
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