王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
上 下
434 / 563
本編

あの日のどんぐり

しおりを挟む

イリキュートは、エタニテと目をチョコとだけ合わせたその後、とぼとぼバトルフィールドの外側を歩いていた。
胸に拳、握り込んでいるのは、どんぐりのブローチ。リーダー選抜対戦をやる事が決まって、クマの郷に帰ってきてからすぐに、どんぐりを拾ってきて作った。

形のいい、色々な種類のどんぐりを。水に浮かべて、浮いたのは虫喰い。沈んだのにも虫がいる事があるから、煮沸して、乾かして。
糊の木を傷つけて瓶に採り、用意して。鍛冶屋に頼んで作ってもらっていた、キラキラしたくず金属のパーツや、折に触れて拾った綺麗な石の飾りを、磨いて大切に集めたもの。それぞれ選んで、足したり引いたり、木の丸いボタンの土台にくっつける。
小さな葉っぱの形に切った布を下に、素朴な、でも精一杯に素敵にと作って、ブローチピンを接着した。

その細々した作業を、イリキュートは、女衆達の付き合いや次代のリーダーの仕事をほっぽらかして、やった。何度もやり直して作り上げた。
出来上がって、ほう、と少し、気持ちが浄化されたような、落ち着いた気持ちになり。これを、お姉ちゃんに渡せたら。その時は、出来上がった興奮で、図々しくそんな事を思ったりも、したのだけど。

エタニテお姉ちゃんと、小さな頃、一緒に拾ったどんぐりーーー。

『キレイね。イリキュート、あんたはキレイで可愛いモノが好きなのね。器用だわ。大人になったら、そういうの作って売るといいわよ。』
幼い頃のエタニテが、どんぐりのボタンを、ニコニコと摘んで陽に掲げて、褒めてくれた。
『私が女衆のまとめ役になったら、イリキュートがステキなものを作って売れるように、他の人にも勧めて、皆でお店をやりたいわね!』
『うん!お姉ちゃん、おねがいね!』

「お姉ちゃんは、わたしを、ずっと守ってくれてたのにーーー。」

いつも先頭をゆく、お姉ちゃんみたいに、立派になりたい。
憧れて。
そんな気持ちが、いつしか、お姉ちゃんみたいに出来る、私だって!
と対抗する気持ちになっていき。

いつまでも皆の子供扱いにイラついて、お姉ちゃんさえいなければ、私にもっと、皆の認める気持ちが!となって。

意地悪したい気持ちが、なかったなんて言えない。

謝りたい。謝れない。
恥ずかしいけれど、このままクマの郷の女衆を、自分が纏める力はない。どんなにバカにされても、お姉ちゃんに、帰ってきてもらわないと。

歩いていたら、ぐるっと周って、ブレイブ王様達がいる観客席の近くへ来てしまった。護衛の厳つい獣人が、帯剣してビシ!と何人も立っている。
自分達の郷なのに、あまりの場違い感。あ、引き返、そうと。

きゅる!と振り返ったのはニリヤ。何の気配を感じたのだろうか。
パシフィストの第3王子。茶色の髪が、くるんとなったうなじ。
あ、のお口をして、直ぐに。あんよが高くてぷらぷらしていた座席から、よいっと飛び降りて、たかたか!と慌てる護衛を引き連れて、イリキュートの側に走り寄ってきた。

「エタニテかあちゃの、いもうとのひと!こっち、こっちよ!おはなし、しましょ!」
「え、ええ•••?」
引っ張られて、護衛の少しとうの立った美丈夫の人もニコリと手で、さぁさぁと促して、偉い人ばっかりがいる特別席へ。
え、えええ?!とイリキュートは抵抗したのだが、護衛の人が肩を抱いて、後ろからグイッと押してきた。とと、トト、と、抵抗する踵が、軽々と前に運ばれて。

「いもうとのひと、つれてきたー!」
「ニリヤ、やったねー!」
「お話しようね!」
オランネージュ王子。ネクター王子。ワイルドウルフのファング王太子。そして、名前をおぼん辺りから聞くようになった、アルディ王子。
皆ニコニコとして、席を詰めて空けてくれる。
ギフトの竜樹が、ニコニコとそれを見ている。

「ええ!?いえいえいえ!王族の方達と、席をなんて、恐れ多くて•••!」
「良いのよ。いらっしゃい。王子達がお話聞きたいのですって。秘密のお話なのよね、さあ、私の隣にいらっしゃいな?」
ニコ!

ラーヴ王妃が、麗しの笑顔で。王子達が詰めて空けた席を、とんとん、と叩いて呼んだ。

シ ン ダ。

心臓が止まりそうだが、そのニッコリに、いいえは言えない。
ゆらりゆらりと近づいて、震えながら席に着くと、ラーヴ王妃の、お花のような匂いと、あったかい毛皮のお日様の匂いの混ざった、何とも魅惑の香りに、ひええええ、とイリキュートは肩が硬く、胸の前のどんぐりを冷や汗、握りしめて怯えた。

「おなまえ、なあに?ぼくニリヤ。」
「い、イリキュートと申します。ニリヤ殿下。」
いりきゅーと。うん、うん、と納得して、くりっと顔を傾げたニリヤは。
「イリキュートは、どうして、エタニテかあちゃに、あやまらないの?わるいことしちゃって、ケンカは、ゴメンでなかなおりだよ?」
当然、謝るべきだよね?と。疑いを一片も含まない、パチっとした瞳で、聞いた。
兄殿下2人も、ワイルドウルフの王子殿下2人も、そしてさり気ない風にしているけれど、ラーヴ王妃とブレイブ王様も。竜樹だって、じっと黙って、返事を待っている。

慄いて。ひゅ、と息を吸う。
謝れるモノなら。
「あ、•••謝るってことは、許してくれるよね?って聞いてる、って事だから。わた、私のしたこと、謝って済む、モノかしらって。図々しくて。塊が喉に詰まって、許してくれなんて、言えなくって•••。」
しょんぼりしたイリキュートの姿、声に、ラーヴ王妃の口角が、キュ、と上がった。よしよし。反省してない訳じゃ、ないのだな。

「そうなの?でもー、ごめんねしないと、ワルカッタナァ、っておもったよって、しってもらえないよ?」
なかなおりしないと、ここが。
と、ニリヤは、小さな胸に手を当てて、シャツを掴んで。
「ぐるぐる、もやもや!イタタ!ってなって、なおらないじゃない?」
「うんうん、傷ついたら、謝ってもらいたい、って、思うよ。謝らなくてもいいよ、ってなったら、もう相手がどうでもいい時だもん。」
ネクター王子が、何となく沈んで頷く。
オランネージュ王子がネクターの背中をさすさすして。
「そうだな。それに、エタニテ母ちゃんは、クマの郷に戻りたくないのに、強引に戻したら、嫌なことされたな!って余計に嫌いになるかもよ?」

嫌いに•••。

うっ、と涙が浮かぶ。
どんぐりを拾った幼い日に、戻れたなら。

「本当は、謝りたいのよね。」
す、と背中に、温かい手が。ラーヴ王妃が、優しい眼差しで、イリキュートの俯く顔を覗き込んで。
「その、手に持っているモノは、なあに?」
「これは•••。どんぐりのブローチです。子供の頃、お姉ちゃんは、私が作ったブローチを褒めてくれたな、って思ったら、あげたくなって、作ったけど•••こんな粗末なもの、神の眷属様になんて。」
言い訳ならいくらでも。しない言い訳なら。怖くて、怖くて。

「ファングが小さい時。」
とん、とん、とラーヴ王妃は背中を柔らかく叩いてくれる。
「彼は、初めての私達の子供で、しかも後継ぎの男の子で、周り中によいよいされて。それを受け止められる、良い子ではあったけど、ある日ね。」
あんまり可愛い可愛いで、いじられすぎちゃって、クッションに顔を突っ伏して。
「もう、やーーーーっ!!!さわらないで!あっちいって!!!って。わんわん泣く様子も可愛かったのだけど、本人は、煩わしくて思うようにならなくて、本当に、わーってなっちゃったのでしょうね。誰だって、好きにやってみたいし、落ち着いて、アレコレ言われずに過ごしたいわよ。私も、可愛い可哀想で、これからは少し、そっとしておいてあげるのよ、って釘を刺したりしたんだけれどね。」
ファング王太子は恥ずかしそうにした。そ、そんな事、あったんだ。

ゆらゆら、揺れて今にもこぼれ落ちそうな、イリキュートの瞳は熱く、溶けて落ちてしまいそうだった。
「み、みんなが•••。」
キュウ、と喉が鳴る。

「みんなが?」
優しいその手に、やっぱりお母さんな、包容力のある手に、縋ってしまいそう。

「みんなが、好意で、色々教えてくれてる、って分かってる。わかってるから、今、いっぱいいっぱいで、少し、1人になりたいんだ、落ち着いてやりたい、って、言えなくて•••。」
ぽろ、ぽろ、ぽろり。
「そうなの。」

「いりきゅ。なかないでぇ。」
ニリヤが眉をキュ、とさせて心配そう。大丈夫よ、ずっと我慢してたのよ。泣かせてあげましょう?とラーヴ王妃が優しく。

「わた、私、少し1人の時間がないと、どんどん辛くなっちゃうみたい。どんぐりのブローチ作って、分かったんです。こういうの、黙ってやってるのが、すごく好きなんだって。合ってる、って。お姉ちゃんみたいに、皆といっぱい話すの、そんなに好きじゃない。ううん、話を聞いてるのは好きなの。でも、どうするの、ああするの、こうするの?って判断を求められる、話をしなきゃなのに、すぐ応えられないの!」

うえっ、ひっく、と手の甲で涙をぼろぼろに拭いて。

すぐに応えなくても良いのよ、とか。やりようはあるわよ、聞くの大事よ、とか。
色々言いたい事はあったけれど、ラーヴ王妃は全てを飲み込んで、ウンウン、と聞いた。
今必要なのは、正しい意見じゃない。寄り添って聞いてあげる事なのだ。
「誰か、その気持ちを聞いてくれそうな人、いる?」

ううん、ふるふる、と首を振る。
「お助け役に付いてくれたのが、幼馴染の、お姉ちゃんの友達で、ひっく、エタニテを追放してまでなりたかった、まとめ役なんだから、ちゃんとやれ!って。助けてくれるけど、いつも、いつも、頑張ってね、って。」
渋い顔で、それでも事あるごとに助けてくれる幼馴染の女の子、生真面目な黒クマのプロシェに何か、別に普通の言葉でも、言われるたびに。
「お姉ちゃんを追放したくせに、って。言われたの、本当は1回だけなのに、ずっと、ずっと、言われてる気分で!!」
うえふ、うええぇ、と泣き泣き訴える。
「お姉ちゃんが帰ってきてくれたら。私が皆からお姉ちゃんをとっちゃったんだ、って思って。でも、でも、お姉ちゃん、もう、よその国で、幸せにやってるって。もう、戻らないって。遠くなっちゃった。2度と、どんぐりを拾ったあの日に戻れない!嫌われちゃった!私のせいで苦しんで、死んでまでして、ごめんなさい、って」
言いたいのに、もう言えないーーー。

とことこ、とネクターが寄ってきて、イリキュートの前に立つ。不愉快そうな、眉を顰めた顔をして。
ああ、やっぱり皆、私が嫌いなの。
ごめんなさい。ごめんなさい!
イリキュートは絶望感をもって、でも溢れて泣くのを、今更止められなかった。

ネクターは、つん、と背伸びをすると、イリキュートの頭を正面から抱え込み、抱いて、よしよし、ポンポンした。辛そうな顔で。
ラーヴ王妃は、ネクターの母の事を、詳しく知っている訳ではないが、巷に流れる外面の良い噂よりは、幾許か知っている事もある。
第二側妃、キャナリ・エトワール。ネクター王子を、一度も抱いた事のない母、と。

「ごめんなさい、って、言える時に言って。言われたら、何かが変わる訳じゃなくても、痛い気持ちが、救われることって、あるから。もう何も言えなくて、ってあきらめないで。まだ、エタニテ母ちゃんは、お話聞いてくれるよ。」
戻ってきてくれる、くれないとか関係なく、自分がスッキリするためでもいいから、ごめんねしなよ?
きっと、エタニテ母ちゃんのこころも、どこか救われるから。

ネクター王子の小さな手は、頭を撫でて、優しくて。
ラーヴ王妃の大きな、長い指の手のひらは、温かく何度も背中を撫でて。
イリキュートは、泣き止んで、とにかく作ったどんぐりのブローチを渡そうよ、と王族達に勧められて、やっと、何とか勇気を絞り出して。
そうしてみようか。してみようか。
嫌われているなら、今更、ブローチ一つ、何だ。渡してスッキリしよう。

今、散々、この人たちの前で、泣いたみたいに。




「ちょっと待ったぁああ!!」

バトルフィールドでは、ルールの説明がアルトによってされている所。要は竜樹の世界の、ボクシングである。安全の為、ヘッドギア、グローブを付けて、拳のみの攻撃で、ベルトから上を狙う。足や頭、肘などを使ってはダメ。
反則は即負け。判定は、クマの郷の身体動かし肉体労働班、木こり部隊より選ばれた審判がする。

「おぉ~っとお!試合前に、物言いがついたぁ!リグレス選手、何か言いたい事が!?」
リグレスは、鋭く尖った、それなりに覚悟の決まった目で、騒然と観客が囃す中、マイクを向けられ、話しにくそうに喋り出した。

「俺が、最初レザンとの対戦を控えた前の日に、大勢で襲って怪我させて。レザンをエタニテと郷から追い出しちまった、って皆、知ってると思う。ここにいる、対戦の選手の大半は、その時の襲撃に関係した奴らだ。」
おおおお!!と低く呻き声が響く。
今更ここで、何でここで?皆、当のレザンさえ、それで納得して出て行ったものを?

「何と!そんな因縁が、この対戦に!!ふむ、それでそれで!?」
アルトのオレンジの、甘い瞳が燃える。ただの対戦じゃない、これは、過去を塗り替える為の戦いなんだーー。

「レザンは、神様の眷属だ。見ただけで、強さが分かる。きっと誰も勝てない。でも、戦いたい!俺たち、真っ当に戦わないで、このままいられないんだ!それで今日は、この場を用意してもらった。俺たちが潰し合う事、そのものは良い。でも、俺たち、強いレザンと、皆、戦いたいんだ!」

「全く、若いもんは、バカなんだよなァ。」
クレヴィリーダーが、王族達から1段低い所ーーイリキュートからは死角になる位置に座って、はふ、と息を吐いた。妻のミュリエルが、呆れた顔で、でも、うんうんと。
「貴方も相当な、おバカさんでしたわよ。まあ、今もだけど。」
まだ娘エタニテの事で怒っている、ミュリエルなのである。

「ああ、バカもバカ。バカじゃねえ奴なんて、1人もいやしねえのよな。」
クレヴィリーダーは、とほほと笑って。でも、何だか戦って吐き出して、皆スッキリすんのかもなぁ、と腹黒オヤジなりに、うーん、と背筋を伸ばした。

「戦って、拳の一つも貰って、それで、出来たら俺たちだって拳の一発でも、入れられたら、って思う。遠くに行っちまった、レザンに、少しでも届かせたい。皆、レザンと戦いたいんだ!これはリーダー選抜対戦だけど、俺、今、ギフトの竜樹様の元で、幸せにやってるレザンに、リーダーの責任を負わせる気持ちはねえ。俺がやると言って卑怯な真似をしたんだから、最後までやる。だから、だからーー。」

《全員、相手してやる!順番に、かかってこい!》

すっく、と立ったレザン父ちゃんは、眷属の印、黄色い小さな薔薇の付いた、銀のホイッスルーもキラキラと。神々しく、そして雄々しく、強大に。
眷属たる声は、マイクなしでも朗々と。

「おおっとぉ!これは過去を清算する、男達の聖なる対戦!レザン父ちゃんに選手達は一発でも当てる事が出来るのか!その拳に、ひれ伏せ、涙しろ、諦めるな、立ち上がれ!!レザン父ちゃんの許可を得て、選手1人ずつ、対レザン父ちゃん戦、皆々様方、よろしいですね?よろしいですね!?」

いいよぉ!!がんばれー!!
殴られてきな!!
わあああぁ!!と盛り上がった観客は温かく。
カメラは、どん、どん!と切り替わる。レザン父ちゃんをアップで映し、そして挑む選手達を、1人1人、順番に。

全く、しょうがないなあ。
ふふ、と笑った竜樹も、何だか毒気を抜かれて、ほわほわと、純粋に。この男達の愚かな戦いを楽しく思い始めた。
エタニテ母ちゃんは、息子のデュランを抱いて、穏やかに笑っている。
きっと分かっている。
何もかもを受け入れた、深い、慈愛の笑顔で。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...