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本編
チーム、それぞれに検証開始!
しおりを挟むさて、また大画面広場に戻ってきた面々である。
今日はここを基地にして、検証隊がチームで色々な所へ赴き、情報屋のお仕事を、それぞれ自分達でどうやったら良いか考えて、こなしてくる事になる。
副隊長のルムトンと隊長ステューは、ムン!と腕組みをして、改めて子供達に言い渡す。
「それじゃあね、これから皆に、情報屋、やってきてもらいたいと思います!わ~!パチパチパチ!」
「しっかりやってくるんだぞ!隊長と副隊長は、ここで、モルトゥさんと竜樹様とモニターで皆の活躍を見ながら、お仕事検証を見守っています!」
アシスタントが、ばららっと駆けてきて。子供達にチーム毎に、折り畳み型で画面と、小さなボタンが付いた携帯電話、この世界での希少な最新型を渡した。
ルムトンが携帯電話を手に、カメラに向かって見せながら。
「凄いでしょ!これ、最新型の電話。遠く離れてても、お話できちゃう。皆、見た事ないでしょ!特別に、チーム毎に、この最新型の電話を渡します。何か困った事や、相談したい事があったら、ルムトンと、ステューと、竜樹様に、電話してきて良いんだからね。何でも応えちゃう。」
「うむ。君たちはぁ!新人隊員であるからしてぇ!慣れない任務でも、このステュー達が付いているから、安心するように!」
「「「は~い!!!」」」
良いお返事。
子供達もノリに慣れてきたようだ。
エルフのロテュス王子が、竜樹様にお電話!と、頬に手を当てて、ポッポしている。
「時間が決まってます!はい、次はこの、懐中時計みてね。カッコいいでしょ、これ検証隊の紋章が、蓋に刻まれてるんだぜ!」
ほわァ、かっこいい!パカリ、蓋を開けたりしながら、皆で懐中時計をまじまじと見る。これもチーム毎に配られる。
「時計の見方分かる?この、短い針が、3の所、ここね、ここ。長い針が、12の所、真上だね。こうなったら、震えてチリリリン!って音がします。そうしたら、お仕事は途中でも、終わりにして、ここに帰ってきてね。途中で時間を確かめながら、あ!もうこんな時間だから、これやっとかなきゃ!とか、そんな風に使って下さい。」
「なんと!この、カッコいい番組紋章入り懐中時計のプレゼント、2名様に!あげちゃう!太っ腹でしょ!番組の最後、視聴者の皆さんに、詳しく応募方法をお知らせするからね!最後まで、検証隊を見守って下さい!」
「見守り、よろしくお願いしま~す!」
「時計や、携帯電話の使い方が分からなくなったら、撮影隊の大人の人に聞いて良いからね。」
チャリ、とお金の入った布袋も、チームのリーダーの首に掛けていく。
「それは、軍資金だよ!モルトゥさんが屋台で、栗を買って情報を得る~、みたいな時に使って下さい。限りがあるから、工夫して使ってね。」
危ないから、懐に仕舞って、仕舞っちゃって。
ではモルトゥさん、子供達に説明を。
う、うん!と咳払いして、モルトゥは再び、子供達に目を配り、重々しく口を開く。
「では、情報屋をやってもらう。頭を使って工夫する事。待つ、とか、聞く、とか、歩き回る、とか。身体も、充分に使う。何でもやってみな。」
「「「は~い!!」」」
うん、と一つ頷くモルトゥ。だが、人差し指立てて。
「注意事項が1つ。悪い情報の取り扱いには、気をつけること。例えば、あいつはこの間、盗みを働いた酷い奴だ、なんて情報が得られたとする。それを、周りに何でもかんでも喋っちゃったら、きっと、その酷い奴は、怨むだろ?仕事が貰えなくなるかもしれないし、女の人に振られちゃうかもしれない。そして、それが、もし本当じゃなかったら?凄く怨むだろ?悪い事をしちゃうしな。」
「うらむー。」
「ひどいー!」
「ほんとじゃ、ない情報もあるの?」
心配そうな顔をする、子供達である。
「あるさ。噂話なんかだと、皆、嘘ついてるかしらないけど、思い込みで話したりする。だから、確認って大事なんだぜ。商店街にも、お買い得を自分の目で確かめて、それから原稿出しただろ?悪い情報の取り扱いは、注意する事。」
「「「は~い!!!」」」
そして、と見回して。
「新しい情報を取ってくる、って案外難しいから、今回は、お前達が元々知ってる、持ってる情報を使っても、良い事とする。何にせよ、知ってる事は、何でも売り物になるのが情報屋だからな。」
「それって、どういうこと?」
ニリヤが、はてな?の顔をしている。
「例えば、そこの貴族のお嬢さん、マテリアお嬢様か、家でさっきの、伯爵家の結婚の話を知ってたとする。両親が話してたりして、聞く事もありそうだろ?そうしたら、まあ、情報が確かか確認する必要はあるけど、俺がやったみたいに、商人や新聞社に売っても良い、ってこと。人が違えば情報も違う。お前らならではの情報が、あるんじゃないのかな、って俺は思うぜ。」
うん、それは、言っちゃいけない事を、子供達が言ったりしそうだけど。それもまた、騒動含めて、番組になるかもしれない。まあ、あまりにもな事は、ピー音かカットで。
とりあえず、結婚するソワニエ伯爵家とエーグル侯爵家には、後でお花でも。お祝いの言葉と、番組になるフォローとを送っておこう。
ギフトの人の、拙い力をもって、何とか丸くやったりましょう、と竜樹はフムフム頷いて見せた。
子供達は、わ!ひそそ、と何か知ってる?なんて話し合っている。
「それでは~、検証、はじめ!!」
ピー♪
ルムトンが笛を鳴らして。子供達はチーム毎にまとまって、まずはこれからどうするか、話し合いである。
撮影隊も、そしてお母さん達も、自分のチームに付いて、お話を拾ってカメラに収めていく。
『チーム王子』
「どうする?」
オランネージュが、見回して。
「まずは、情報、手に入れないとだよね。」
ファング王太子も、何故かひそひそとして、お耳を立てて相談顔。
「ひろばで、ききこむ。」
ニリヤが、うししし、と楽しそう。
「まずは、やってみないと分かんないよね。」
ネクターも、真面目な顔して。
「自分が持ってる情報って、何かある?」
アルディ王子が、はた、と片耳倒して、首傾げ。
「それについては、もし聞き込みが上手くいかなかったら、私に考えがあるんだ。まずは聞き込みやってみて、それから考えようか。」
ムフ。心なしか黒い笑顔である。
オランネージュには、何か腹づもりがあるらしい?
『チームジェム』
「どうすっか。とりあえず、広場歩いて情報探してみっか。」
ジェムがぽりぽり、頭掻きつつ。
「だねだね。前にいつもやってたみたく、歩きながら仕事のタネ探そう。」
ロシェも、同意。
「それで、上手くいく?」
ジェム達のように慣れていない、ネフレは心配そう。
「まあ任しとけって。周りに気を配りながら歩くんだぜ。それで、困ってたり、キョロキョロしてる奴がいたら、話しかけるんだ。じゃ、行こうぜ!」
「「「おー!!」」」
チームジェムは、真っ先に動き出すようだ。
『チーム女子』
「どうしようかしら?」
元王女、シエルが眉寄せて困る。
「お買い物の情報、楽しかったわね。」
リーヴちゃんが、うふふ、と笑った。
クーランも。
「ねー!楽しかったわね!市場放送事務局の放送は、原稿出しちゃったけど、放送してるその時だけしか聞けないから、聞き逃したら情報もらえなくない?」
あ!とマテリアが気付き顔で。
「お買い得情報、私、モルトゥさんが言ったんじゃないので、気づいたのあるの。お父様が、領地の経営やなんかで、物のねだんには、うるさいのよ。良く話してくれるの。ミルクとか、チーズが、いつもお高い品のものが、随分安かったわよ。何故かしら?」
「古くなってるのかしらね?」
元王女、エクレも考えを言う。最近、古くなった物は安くなるのを、知ったのである。リーヴちゃんとの買い物の成果である。
「商店街で、どこか場所があったら、メモしたお買い得情報を、紙に書いておいて、いつでも見られるようにするのも、良いかも!」
リーヴちゃん、それは、チラシの発想だね。どうやって集金するのかが、問題だけど•••。
「行ってみましょ!商店街でやってみましょう!」
ぱん!とマテリア、手を叩いて期待に燃えた顔。
「そうしましょう、そうしましょ!」
タタ!と小気味良く、チーム女子も始動である。
『チーム貴族と荒野へ向かう者達』
「どうしようねえ。私達は、あんまり、移動は得意じゃないから、まずはベンチで、座ってみる?」
モルトゥさんみたいに、聞いてみよっか?
ピティエが、ふーむ、と相談する。
「そうだねそうだね!私達、耳は良いもの。どんなお話が聞けるかなぁ!」
うっふっふ、とプレイヤードも楽しそう。
「私、編み物持ってきたんだ。最近、寮に新しい子、入ったでしょ。作ってあげようと思って。ベンチで編み物してたら、自然じゃない?聞いてる、って思わないで、話してくれそうじゃない?」
エフォールも、少し悪い顔で笑ってます。
「あ、じゃあ、俺は歌って人を集めてみるね。来た人に、何か面白い話な~い?って聞いてみる!」
アミューズは得意な歌を生かすよう。
「じゃあ、皆で、少しずつ離れて、座って歌って情報集めてみよう!」
「「「おー!!」」」
仲良し4人組は、とんとんとやる事が決まったようだ。
『チームエルフ』
「ロテュスお兄様は、お話聞くのが上手だから、何か思いつかない?」
はなからロテュス王子に振る、生意気勝ち気なウィエ王女である。
「まずは人の多い所に行った方が、良くない?」
カリス王子が言うに。
「カリス兄様には聞いてないわよ!」
「酷いよウィエ。私だって、意見言いたいよ。」
「なによなによー!!」
じゃれ合いは可愛いが、それを制した真面目っこエクラ王子が。
「移動するのは良いかもしれないね。だって、他のチームとかぶってる。同じ情報集めても、仕方ないわけだから。」
「うん、エクラの言う通り。そして、それって、テレビの絵面的にも良いかんじ。ちょっと歩いて、人の多い所を探してみようか。」
テレビ的を気にしてくれるロテュス王子、ありがたくもほんわかと、あまりきっちりやり方を決めない、自由なスタイル。
やっぱり大らか、チームエルフの兄弟妹達、なのだった。
ーーーーー
話の区切り上、少し短めで。
ポチ、とハートなど、押して下さり、ありがとうございます!
昨日の更新へのハートと応援に、ムフ、と嬉しさ倍増の私でした。良かったら今後とも、お気に召したら、よろしくでございます。押してもらえるような、楽しいお話が書けたらな、ってがんばりますね。
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