王子様を放送します

竹 美津

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本編

竜樹だけみえる

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せっかくお話内で25日、更新日と一緒の会議開催でしたので、開始時刻の2時に更新できたらと思いましたが、間に合う予定もなく。
本日短いですが、どうぞよろしくです*\(^o^)/*
そしてはっちゃけ竜樹ですみません。
ちゃんとまともな話になる予定ですので、どうかひとつ。

ーーーーー⭐︎


「ミニュイ様がみえました。」

侍従さんのその言葉の一拍後に、スラリと細身の黒髪黒服赤目の護衛君、護られてふわっとした黒い、シルエットの分からないゆったりとしたシャツに上着を着た。

「•••!!!」

柔和でいながら、威厳のある。
ピシリと背筋の伸びた。白髪にラベンダー。

クレプスキュール組合長!?

「竜樹、どうしたんだ?」
ひゅ、と息を呑んだ竜樹に、マルサが気付いて声を掛ける。

「あ、あの!?失礼ながらすみません、認識阻害は!?」

「!?」

タハ、と口を開けた竜樹に、裏社会のボス、ミニュイことキュール組合長は焦った様子を見せないが。内心物凄くびっくりして。
シャトゥの認識阻害が効かない!?今まで一度だってそんな事はなかったのに!?
す、と流し目、後ろに控える護衛のシャトゥを見る。シャトゥは大きな赤目を更に見開いて、目を瞬き、眉を寄せて、認識阻害を更に阻害する魔法など感知していない、と、ミニュイにふるふる、冷や汗、頭を振る。

「竜樹、もしかしてミニュイの顔が見えているのか!?」
「•••と、言う事はマルサは見えていないんだね。ああ、あー。ランセ神に誓います!ミニュイさんと護衛さんの顔の事、知った何もかもを、誰にも言いません!すみません、確かめさせて下さい。認識阻害はかけてらっしゃる?」

護衛のシャトゥが、竜樹の神の誓いに、ふ、と息を吐き、こくり、頷いて。
「勿論かけている。最大の魔力をもって。何があってもこちらが解除するまで誰にも、髪、顔、声も、性別、身体付き、服装さえも曖昧に、そこに居る事だけしか分からなくなるはず。何らかの魔法措置で解除されたとでも?そちらの誓約違反では?」
むむ、と怒りを堪えた顔をするシャトゥに、竜樹はアセアセで。

「いえいえいえ!そんな事しても、こちらに何の利もありませんよ!わざわざ招んだのに!大体神様に俺、罰をくらっちゃうでしょう!今の所、違反した罰、何もないでしょ?俺以外に、ミニュイさん達がはっきり見えてる人いる?!」

そこに揃った参加者全員が、ふるふる、と各々首を振り、見えない、何も、ぼんやりとしていて、男か女さえも、と口々に。次に侍従さん達、テレビクルーにニュース隊を次々見ても、ふるるるる、と顔を振る。

ええ~っ!?
そんな。そしてクレプスキュール組合長。が、ミニュイさん。俺、知っちゃって良かったのかな!?
どうしたら、と一瞬考えて、ミニュイの顔を目を、じ、と助けての顔で思わず見てしまった竜樹である。

「••••••••••••。」

「••••••、••••••。」

黙って、間。
顔を見合わせる2人。

ぷ。 クスッ。

ミニュイは、何となく面白くなってきた。
こりゃあ普通の会議とはいかないぞ!まあ最初からお堅い会議ではなさそうだったけど!
いわば身バレの窮地だが、こんな時に面白くなってくるのは、ミニュイの悪役としての、悪い癖である。神にも再び誓ってくれたし、さて。ギフトの御方様にだけ、どうやら認識阻害が効いていないよう。彼にだけ身元がバレている、しかし相手はそれを誰にも言えない、というのは、これはこれで、こちらに得で、何となく約束違反のようでもあり、罪悪感を与えられているかな?

ぶるるらる。

こんな時に、竜樹のマントのポケットが震える。
「ちょっと失礼、スマホが。」


ランセ
『面白そうな会議、神々も注目中!
竜樹が困ってそうだから、一言お知らせだよ。』

『神器を普段から持ち歩いて、我々神と交信している関係上、竜樹の身には神の場が発生している。
認識阻害なんかの惑わす魔法は、場に弾かれて効かないよ。なかなか強力な認識阻害だから、見えているのは、この世界で竜樹だけだね。』

『竜樹がうっかりと、万が一にも口外しないよう、こちらでミニュイについては自然と鍵、口が閉じるようにしておこう。』

『安心して、裏も表もなく話し合いだね。』

クレル・ディアローグ
『諍いと対話の匂いがする!私の領分だな!竜樹、よくと見ている、任せたぞ。』

神々の庭が竜樹を助けてくれた。
そそそ、とミニュイの側に近づいて、こちらをご覧下さい、と見せる。指でスクロール、と教えつつ、読んで貰えば、ほーぅ、うくく、と珍しがり楽しく読み終え、うむ、と頷いてくれた。シャトゥも腰を曲げて覗き込んで、なるほど、と納得。
ニヤリ、知ったね?と目配せするのに、たらり、と竜樹も苦笑い。

別モニターで放送しても認識が阻害されるか試して、無事ミニュイとシャトゥの正体は隠された。
始まる前から一悶着あったが、これで会議が始められる。仕切り直して。

竜樹が、ふーっ、と息を吐いて。
す、と手を挙げる。

パッ とテレビ画面に会議の様子が映って。

「それでは、やっとになりますが、これから。成人向けのえっちな写真などの本と、同じく映像の、商品を裏と表で一体となって売るぞ!会議を始めます!」

どーん!

はあ!?

内容について話を聞いていなかった参加者達は、目を剥いて口が塞がらなかった。
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