王子様を放送します

竹 美津

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本編

結婚プランナー

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「まぁもう少し穏やかな感じを付け足すとすれば。まぁまぁ、お二人は運命の恋人達な訳だよね。それを噂として流すとか。世間に受け入れられていれば、その方がお父さんお母さんは、受け入れやすいのでしょう。貴族の娘さん達も、物語みたいに憧れてくれると思わない?あとはー、俺が結婚式に出席して、あー、俺の世界風の結婚式をやってモニターになってもらって、王妃様にも見て頂いたり、いっそ一昔前の芸能人みたいに結婚式をテレビで放送したりだとかぁ~。貴族らしいお父さんお母さんなら、王妃様のネームバリューには、頷きそうじゃない?」
むむ!?むむむ!?一気に情報量の多い竜樹である。
「2人の運命の馴れ初めを、本人出演再現ドラマで流したりだとか!」
なぁーんてね!

と竜樹は笑ったのだが、ババッ!と皆が鋭い視線になってきた。デバガメエルフ達も、ふわぁぁ!?と何だかキラキラである。(まだ見てた。)

「竜樹様。」
リオン夫人がいい笑顔である。
「竜樹様の世界の結婚式って、どんな風ですの?」
うん、うん!と皆、前のめりである。

「えーと。俺も最近は結婚式に招ばれてないから一昔前の知識なんだよな、ちょっと待って検索してみるね•••。」
ふん、ふん、とスマホを見る竜樹に、皆目が釘付けである。
ニリヤが、テレビで放映、と聞いて、コロコロしてたのを竜樹の元にやってきた。無言で竜樹の胡座の中に、ちょこんと座る。テレビの事なら、ニリヤは一緒するのである。

「えーと、こちらでも式っていうからには、人を招んでやるんだよね。神様の前で誓ったりするのが一般的なイメージかな。神父様にこう言われるんだ。
新郎ジャンドル、あなたはコリエを妻とし、健やかなる時も 病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、妻を愛し、敬い、慰め、助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?
誓います!って、お互いに宣言する。

それで、結婚指輪を交換する。

フゥゥゥ!
うん、エルフ達。盛り上がっているね。
コリエとジャンドルは、ポポッと頬を赤くしている。

「素敵ね!!結婚指輪って?」
「結婚式でお互い交換し合う指輪だよ。左手の薬指に、はめ合うんだ。命に一番近い指って言われてる。でも多分、邪魔にならずに、つけ続けられて、見栄えも良い、って理由もありそうだな、って俺なんかは思うよ。結婚指輪はずっと着けてるから、凝っていながらもシンプルなものが多いよ。独身かどうかの目印にもなる。お互いを常に感じていられる契約の印、ってやつかなぁ。まあ、仕事柄できない人は、その時だけ外したりネックレスにつけたりもするね。後、ご飯作る時とか。」
竜樹は、ご飯作りの時には指輪を外して欲しい派である。

「それでそれで?」

「ステンドグラスのある教会だったり、緑の素敵なお庭だったりで厳かに誓った後は、披露宴かな。それも、ホテルだったり、借り切った洒落たレストランだったり、素敵なお庭でガーデンパーティだったり、色々2人がゲスト達と、美味しい料理を食べながら、お祝いとお披露目をするんだよね。」

「こちらでは、庶民はお酒とか食べ物とか、その場で開けられるものを、お土産として持ち寄ったりするんですけれど、そういうのはないんですか?」
ラフィネが、自身の経験を思い出しつつ突っ込む。
あ、それ良い感じだね、と頷きつつ。
「俺のいた国では、ご祝儀って言って、お祝いのお金を持っていくものだったんだよね。結婚する2人は、準備のお金が助かるって事もあるし、持ってきてもらったご祝儀分、或いはそれ以上に、美味しい楽しい思いをしてもらおうと、色々考えて、2人で作るんだ、式をね。やっぱり大変だから、結婚式は結婚のための試金石、なんて言われたりもしてたよ。今は結婚プランナーの人も良く助けてくれるから、昔よりは思った式を実現出来やすいかなぁ。」

うん、うん!それでそれで?

「ウェディングケーキ、って大きなケーキがあって2人でナイフを入れたり。親戚の結婚式では、2人が作って、皆で食べたりもしたね。昔はハリボテのケーキが多かったけど、ちゃんと美味しいケーキも増えてるかも。昔ほど、儀式とショー的意味合いが強かったけど、今はゲストや家族の皆が、心地よい時間を過ごせる、って風に変わってきてるんだって。良い傾向だと思う。喜んでもらって、嬉しく主役の2人も祝われて、だね。参加した人がお祝いのスピーチしたり、歌を歌ったり。」
「それはこちらでも、やりますね!」
ラフィネがニコニコするが、リオン夫人は。
「良いわぁ。貴族の結婚式では、パーティになっちゃうのよ。立食で、結婚した2人は挨拶回りで大変。お祝いというより、新しい籍に入った事の、顔見せね。誓いもなくて、結婚証明書にサインし合うだけだしねぇ。」
つくづく、温かくて素敵ねぇ!庶民や竜樹様の所の結婚式って!ため息のリオン夫人である。よっぽど自身の時に、大変だったのであろう。
初めて聞く話に、エフォールもニリヤも、子供達皆、目をくりくりして聞いている。

「後は、やっぱりドレスかなぁ。女性は、俺の世界では、ドレスを着る事なんてほとんどないから、やっぱり楽しみなようで、仕立てる人もいるけど、借りる人も沢山いて、試しに着ては写真撮って、なんてそれがもう楽しいらしいですね!ウェディングドレスって白なんだけど、色のドレスもお色直しで着たりしてさ。花嫁さんが輝く、人生で輝かしい瞬間の一つだよねぇ。」
「ドレスは私たちも着ますわぁ!むしろそれ位しか、自分達で主張できる所がなくて、お料理やパーティ自体は家の事になりますから義母達も仕切りますし、ドレスが力の入れどころでしたわねぇ。うちの娘も結婚予定なのですけど、少しでも竜樹様の式みたいに、させてあげたいわ。」
リオン夫人、よっぽど自分の結婚式に、思い通りにならないもどかしさがあったようである。
「私の時は、ちょっと良い服に、花束って感じだったなぁ。」
ラフィネは簡素だがお祝いに皆でご馳走を、といった式だったよう。
花束もね!ブーケトスとか。素敵な写真撮影とか。
なんて、るふるふと華やいだ話をしていると。

「いっそコリエさんが一例となって、体験した事を踏まえて、結婚プランナーやったりしてね。」
ポロリと竜樹がこぼした。

むむむ???
「結婚プランナーって、もしや。」
「うん。結婚式の、あらゆる事に相談に乗ってくれて、予算をみつつ思い通りの結婚式を実現する計画を、一緒に考えて、手配してくれる人ですね。」

それ、いいじゃん!!

ババッ!と皆がコリエを見る。
ドギマギしていたコリエだが、ちょっと考えて。むふ、と。

「良いですね。結婚式の、あり方を変える、結婚プランナー。皆が手作りの、温かい、理想の結婚式を。それが出来たら、本当に素敵!!」

私、結婚できるなんて思っていなかったから。とジャンドルを見つめ。
ジャンドルはコリエを熱く見つめて。

うん、周りの皆は、口を挟まない。馬に蹴られて何とやらである。
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