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本編
大人になるって怖いこと?
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エフォールは、自分の側にふわりと落ちたお花、フリルフリフリで可愛らしいピンクのカーネーションを、選んで拾った。
何となく、やさしい感じが、ここにいるラフィネをイメージさせる花だから。
神様が、竜樹に応えて降らした、祝福の花。
小ちゃい子組もニコニコ拾うし、ラフィネ母さんや、フードゥルの元王女エクレとシエルも、微笑んで拾うのを手伝う。
こんなに生き生きとした花を、すぐに押し花にしてしまうのは勿体無いようだけれど、捨ててしまうのはもっと勿体無いから、キレイね、と愛でながらも、集める。
ラフィネが、押し花するエフォールの割り当ての山に拾った花を足して、ニコリと笑んでみせたのを。
エフォールは、カーネーションを胸元に寄せつつ、じいっと見ていた。
そうして、躊躇いながらも、ラフィネの袖を、つん、つん、と引っ張る。
「••••••あの、あのね、ラフィネさん。」
ひそ、と小さな声で聞いたけど、小ちゃい子達も、プレイヤードもピティエも、うるさくはしていなかったから。うん?と皆、エフォールを見た。
竜樹も、お花を集めつつ、その輪に加わる。
「あの、あの。少し、聞いても良い?」
「ええ、何でしょう、良いですよ、エフォール様。」
エフォールの側に、クッションを置いて、スカートをふわりとさせてそっと座る。
「••••••私、いままで、花のお仕事がどんなのか、良く知らなかったの。ちょっと前に、し、知ったの。結婚すると、赤ちゃんをつくる時にする、ことを、男の人と女の人が、する。女の人がお金もらって、だよね?」
もじもじ、とカーネーションをいじり、聞くエフォールに、ラフィネは、優しく微笑みを崩さず。
「ええ、そうね。」
小ちゃい子達が、くり!と、どんぐりまなこをして、集中して聞いている。
ピティエは、ポポッと頬を赤らめ、プレイヤードは、?と首を傾げる。
竜樹は、静かな微笑をもって、見守って。
「あの、あの、ラフィネさんは、サンのお父さん、竜樹お父さんの前の旦那様が、いたわけでしょ。大好きで、結婚したんだよね?」
「ええ。そうよ。」
「花のお仕事、い、いやじゃ、なかったの?」
エフォールが、ラフィネを貶すつもりじゃない事を、皆わかっている。
でも、どうして聞くのか分からずに。
ラフィネが、うーん、と考えて、指を頬に沿わせて思い出し。眉を顰めて。
「とっても、とっても、とっても、嫌だったわ!大好きな人以外に触られるのなんて、そりゃあ、嫌よ!」
それを聞いて、エフォールは、ふー、と息を吐いて、安心した顔をした。そしてその後、ムニ、とお口を尖らせた。
ラフィネは、ギュッと掴まれた袖をそのままに、もう片方の手を、とん、とん、とエフォールの手に乗せて、たたく。
「エフォール様は、私が花のお仕事をしたの、結婚してた夫、サンのお父さんは騙されて殺されて、無理やり連れていかれて、使ってもいない借金を被せられて、サンとも引き離されて、って知っているかしら?」
「う、うん。ジェム達と聞いたよ。あの、あの、私、私を産んだお母様が、コリエさんが、花をしてるって、借金あるって、だから。」
聞いてみたくなったの。
「今も、嫌な思いをしているのかな、って、思ってーーー。」
そうかそうか、と皆、納得。
「エフォールさまのかーさも、花やってるの?」
サンが聞くので。
「う、うん。花やってるんだって。お手紙書いて、送ったんだけど、ジャンドルお父様が、もしかしたら、コリエさんは、お返事書くと、私や、私を育ててくれたパンセのお父様お母様に悪いからって、遠慮かもよ、って。お父様お母様は、仲良くしたいね、自由にコリエさんにもジャンドルお父様にも会ってね、って言ってくれてるし、私も会いたいな、って思ってるんだけど。」
でも、だから、花について、良く知りたかった。
ショボ、とするエフォールなのである。
ラフィネは、エフォールの手をとん、とん、しつつ。
「エフォール様は、花をバカにしたり、しないのね?」
「うん、しない。だって、男の人が、悪いじゃない!お、お金で、き、気持ちよくなれるからって!」
サン達小ちゃい子組も、そーだ、そーだ!多分そーだ!と盛り上がる。プレイヤードとピティエは、ふむふむ、と先入観なしに話を聞いている。
「そうねえ。結婚して、してなくても、好きな人と、普通に仲良くする方が、良いわよね。」
真っ直ぐ育っているエフォールに、子供達に、ゆっくりと大人のキレイばかりではない世界を。知らないでいる事はできないから、慎重に聞かせる。
「嫌だけど仕方なく花をしている人は、もちろん沢山いるわ。お金のために、納得ずくでそうするしかない。または、無理やりに。でも、天職のように、花が合ってる人もいて、小さい頃から花街で、疑問をもたずに働いてる人もいる。自分で選んで花をやってる人も。そこにいなければならないなら、一番を目指す!そして良い旦那様を見つける!っていう、野心のある花も。」
だからね。
「エフォール様が多分思っているように、全員が全員、可哀想な感じで働いている、とも限らないのよ。人って、どこにいても、そこに慣れるし、人それぞれに違うから。」
エフォールも、目をくりくり!と見張って、ラフィネの話を聞いている。
「そして、花っていう職業がなくなると、我慢できずに理性のコントロールができなくなる男性も、もしかしたらいるのかもね。大人になると、赤ちゃんを作るよ、っていう身体の自然な欲求のために、気持ちが一緒じゃなくても、興奮したりするの。人によって、その具合は、様々よ。その欲が、とても強い人も、いるわ。どうしようもなく、振り回されるほど。理性で、抑えられないほど。男の人も、中には女の人も。」
「そ、リオンお母様も、そ、そんな事、言ってた。も、もし、そうなるんだったら、私、大人になるの、怖いーーー。」
ぎゅむ、と目を瞑り力込めて掴まれる袖に、ラフィネは、何て純なのだろう、と微笑ましく思った。
この時間を、そんな事もあったね、と、確かな成長の後に懐かしく、振り返る事ができるようにしていかなくては。だからこそ、母性の神、メール神様が私を、花で暗い面を見た私を、竜樹様と子供達の元に、やって下さったのだ。
使命感を、ラフィネはみなぎらせる。
こわいー!とつられた子供達が、ラフィネに寄ってきて、縋り付く。
「大丈夫、大丈夫よ。その欲求は、本当に、人によるの。とても強い人もいれば、全く弱い人もいる。それぞれ、大人になっていく内に、そういう時、どうすればいいか、大人の先輩の男の人が教えてくれるわ。そして、その教えを参考にして、自分なりにコントロールしていけば良いのよ。困った時、教えてくれる、ちゃんとした大人の男の人がいるといいわ。」
ラフィネが、竜樹をチラリと見る。
うんうん。お任せ下さい。
竜樹はニパッと笑う。そして胸を、ポンと叩く。
「うん。そんな時は、この竜樹お父さんに聞いてください。」
エフォールは、俺の他に、お父様でも、お兄さんでも、良いよね。色々な人と知り合って、信頼できる人に、聞いてみてもいいかも?
子供達の真剣な目が、竜樹に注がれる。
「考えてみて。男の人だって、昔昔から今まで、そして沢山の大人の人が、普通にそこらへんで働いて、笑って、喋って、暮らしているでしょ。性欲に振り回されて、荒れて辛いばかりでは、ないよね?皆が皆、その事ばっかりになってたら、こんな風に皆が、生活できなくない?」
ふむ?そうかも?と子供達も、一つ頷く。
「女の人がキラキラして見えて、何だか身体が興奮して、盛り上がっちゃった時にどうするかは、昔から大人の男達の間で、どうにかする方法があります。」
おお~!
子供達が竜樹に寄ってくる。
「だから、安心して。うん、これ、女性の身体のしくみと一緒に、男性の身体の仕組みも、テレビでやった方が良いな。」
保健体育、必要だよね。
ピティエが顔を両手で覆って、ぽぽぽと恥ずかしがっていた。
お年頃の男子だものね。
ミランや、護衛してるマルサは、ニハー、と良い笑顔である。
「そんなに赤裸々にして良いものです?」
と、やっぱりお年頃のタカラは、ちょっとポッとなりつつ問う。
「逆に、言いにくい聞きにくいからって、変な知識を与えられるより、こういう大事な事を、大事だよ、って。そして柔らかくも硬くも、保健体育的にも情緒的にも、両方で伝えるのは、テレビの役割の一つじゃないかな?女の人の身体についても、繊細なんだって、女の人には妊娠や病気のリスクがある、って、ちゃんと知識を持てば、無駄に傷つけ合わずに済むでしょ。」
更年期の番組とともに、シリーズでやっていって良いかもだね。
と竜樹はウンウン頷いて。
そして、ジッと子供達を、ショボショボした目で見た。
「大人の俺たちが、ついてるから。だから。ーーー大人になるのを、怖がらなくても、良いんだよ。」
ウン!
と子供達は納得して、ホッとした。
エフォールも、ホッとして、ニコリと口角を上げた。
ラフィネも、竜樹に、頼りになるなぁと安らいだ気持ち。エフォールに、優しい眼差しで。
「エフォール様。コリエお姉さんは、私が、サンと一緒にいられない、花だったから迷惑かける、って遠慮した時に、背中を押してくれたの。息子に会えないコリエお姉さんから見て、せっかく子供達といられるのにって。私が竜樹様のお誘いを受けるべきだ、って。だから。」
コリエお姉さんが遠慮するなら、今度は私が、可愛い息子と会える機会を遠ざけるなんて!と背中を押してあげる。
それを聞いて。
エフォールは、パッと花咲く、明るい笑顔になった。
それから、エフォールと子供達は、花について、あからさま過ぎず、分からない事を色々と、ラフィネに話してもらって、それぞれに少し、納得した。
「私、コリエさんの借金返すの、手伝いたいの!編み物の本売るの、どうかな!竜樹様が貸してくれた、初めての人用の本みたいに、絵だけだと、難しい時があるの。番組で動画みせたりして、じっくり見れる本もあるよ、ってしたら、どうかな?」
おずおずと言うエフォールに、竜樹は、「おお、趣味と実益の番組だね!良いかもね!」と笑う。
「あら、それでしたら、エルフさん達に、編み物で癒しとお仕事を、っていうボランティアのお手伝いも、やれたりしないかしら?ちょっと、エルフさん達が、傷ついていて男の人大丈夫かな、っていう不安は、あるのだけど。」
ラフィネの案に。
「!エルフさん達が、良ければ、いいかも!班わけするのも、良いよね!ジャンドルお父様、ぬいぐるみ作家なの!そういうのも、良いかも!?」
エフォールは、満々の笑顔である。
笑いながら竜樹達大人組は、保健体育、これは教会や神殿にも根回しが必要ですよ、とミランの意見にふむふむしたりしつつ、番組の構想を練った。
何となく、やさしい感じが、ここにいるラフィネをイメージさせる花だから。
神様が、竜樹に応えて降らした、祝福の花。
小ちゃい子組もニコニコ拾うし、ラフィネ母さんや、フードゥルの元王女エクレとシエルも、微笑んで拾うのを手伝う。
こんなに生き生きとした花を、すぐに押し花にしてしまうのは勿体無いようだけれど、捨ててしまうのはもっと勿体無いから、キレイね、と愛でながらも、集める。
ラフィネが、押し花するエフォールの割り当ての山に拾った花を足して、ニコリと笑んでみせたのを。
エフォールは、カーネーションを胸元に寄せつつ、じいっと見ていた。
そうして、躊躇いながらも、ラフィネの袖を、つん、つん、と引っ張る。
「••••••あの、あのね、ラフィネさん。」
ひそ、と小さな声で聞いたけど、小ちゃい子達も、プレイヤードもピティエも、うるさくはしていなかったから。うん?と皆、エフォールを見た。
竜樹も、お花を集めつつ、その輪に加わる。
「あの、あの。少し、聞いても良い?」
「ええ、何でしょう、良いですよ、エフォール様。」
エフォールの側に、クッションを置いて、スカートをふわりとさせてそっと座る。
「••••••私、いままで、花のお仕事がどんなのか、良く知らなかったの。ちょっと前に、し、知ったの。結婚すると、赤ちゃんをつくる時にする、ことを、男の人と女の人が、する。女の人がお金もらって、だよね?」
もじもじ、とカーネーションをいじり、聞くエフォールに、ラフィネは、優しく微笑みを崩さず。
「ええ、そうね。」
小ちゃい子達が、くり!と、どんぐりまなこをして、集中して聞いている。
ピティエは、ポポッと頬を赤らめ、プレイヤードは、?と首を傾げる。
竜樹は、静かな微笑をもって、見守って。
「あの、あの、ラフィネさんは、サンのお父さん、竜樹お父さんの前の旦那様が、いたわけでしょ。大好きで、結婚したんだよね?」
「ええ。そうよ。」
「花のお仕事、い、いやじゃ、なかったの?」
エフォールが、ラフィネを貶すつもりじゃない事を、皆わかっている。
でも、どうして聞くのか分からずに。
ラフィネが、うーん、と考えて、指を頬に沿わせて思い出し。眉を顰めて。
「とっても、とっても、とっても、嫌だったわ!大好きな人以外に触られるのなんて、そりゃあ、嫌よ!」
それを聞いて、エフォールは、ふー、と息を吐いて、安心した顔をした。そしてその後、ムニ、とお口を尖らせた。
ラフィネは、ギュッと掴まれた袖をそのままに、もう片方の手を、とん、とん、とエフォールの手に乗せて、たたく。
「エフォール様は、私が花のお仕事をしたの、結婚してた夫、サンのお父さんは騙されて殺されて、無理やり連れていかれて、使ってもいない借金を被せられて、サンとも引き離されて、って知っているかしら?」
「う、うん。ジェム達と聞いたよ。あの、あの、私、私を産んだお母様が、コリエさんが、花をしてるって、借金あるって、だから。」
聞いてみたくなったの。
「今も、嫌な思いをしているのかな、って、思ってーーー。」
そうかそうか、と皆、納得。
「エフォールさまのかーさも、花やってるの?」
サンが聞くので。
「う、うん。花やってるんだって。お手紙書いて、送ったんだけど、ジャンドルお父様が、もしかしたら、コリエさんは、お返事書くと、私や、私を育ててくれたパンセのお父様お母様に悪いからって、遠慮かもよ、って。お父様お母様は、仲良くしたいね、自由にコリエさんにもジャンドルお父様にも会ってね、って言ってくれてるし、私も会いたいな、って思ってるんだけど。」
でも、だから、花について、良く知りたかった。
ショボ、とするエフォールなのである。
ラフィネは、エフォールの手をとん、とん、しつつ。
「エフォール様は、花をバカにしたり、しないのね?」
「うん、しない。だって、男の人が、悪いじゃない!お、お金で、き、気持ちよくなれるからって!」
サン達小ちゃい子組も、そーだ、そーだ!多分そーだ!と盛り上がる。プレイヤードとピティエは、ふむふむ、と先入観なしに話を聞いている。
「そうねえ。結婚して、してなくても、好きな人と、普通に仲良くする方が、良いわよね。」
真っ直ぐ育っているエフォールに、子供達に、ゆっくりと大人のキレイばかりではない世界を。知らないでいる事はできないから、慎重に聞かせる。
「嫌だけど仕方なく花をしている人は、もちろん沢山いるわ。お金のために、納得ずくでそうするしかない。または、無理やりに。でも、天職のように、花が合ってる人もいて、小さい頃から花街で、疑問をもたずに働いてる人もいる。自分で選んで花をやってる人も。そこにいなければならないなら、一番を目指す!そして良い旦那様を見つける!っていう、野心のある花も。」
だからね。
「エフォール様が多分思っているように、全員が全員、可哀想な感じで働いている、とも限らないのよ。人って、どこにいても、そこに慣れるし、人それぞれに違うから。」
エフォールも、目をくりくり!と見張って、ラフィネの話を聞いている。
「そして、花っていう職業がなくなると、我慢できずに理性のコントロールができなくなる男性も、もしかしたらいるのかもね。大人になると、赤ちゃんを作るよ、っていう身体の自然な欲求のために、気持ちが一緒じゃなくても、興奮したりするの。人によって、その具合は、様々よ。その欲が、とても強い人も、いるわ。どうしようもなく、振り回されるほど。理性で、抑えられないほど。男の人も、中には女の人も。」
「そ、リオンお母様も、そ、そんな事、言ってた。も、もし、そうなるんだったら、私、大人になるの、怖いーーー。」
ぎゅむ、と目を瞑り力込めて掴まれる袖に、ラフィネは、何て純なのだろう、と微笑ましく思った。
この時間を、そんな事もあったね、と、確かな成長の後に懐かしく、振り返る事ができるようにしていかなくては。だからこそ、母性の神、メール神様が私を、花で暗い面を見た私を、竜樹様と子供達の元に、やって下さったのだ。
使命感を、ラフィネはみなぎらせる。
こわいー!とつられた子供達が、ラフィネに寄ってきて、縋り付く。
「大丈夫、大丈夫よ。その欲求は、本当に、人によるの。とても強い人もいれば、全く弱い人もいる。それぞれ、大人になっていく内に、そういう時、どうすればいいか、大人の先輩の男の人が教えてくれるわ。そして、その教えを参考にして、自分なりにコントロールしていけば良いのよ。困った時、教えてくれる、ちゃんとした大人の男の人がいるといいわ。」
ラフィネが、竜樹をチラリと見る。
うんうん。お任せ下さい。
竜樹はニパッと笑う。そして胸を、ポンと叩く。
「うん。そんな時は、この竜樹お父さんに聞いてください。」
エフォールは、俺の他に、お父様でも、お兄さんでも、良いよね。色々な人と知り合って、信頼できる人に、聞いてみてもいいかも?
子供達の真剣な目が、竜樹に注がれる。
「考えてみて。男の人だって、昔昔から今まで、そして沢山の大人の人が、普通にそこらへんで働いて、笑って、喋って、暮らしているでしょ。性欲に振り回されて、荒れて辛いばかりでは、ないよね?皆が皆、その事ばっかりになってたら、こんな風に皆が、生活できなくない?」
ふむ?そうかも?と子供達も、一つ頷く。
「女の人がキラキラして見えて、何だか身体が興奮して、盛り上がっちゃった時にどうするかは、昔から大人の男達の間で、どうにかする方法があります。」
おお~!
子供達が竜樹に寄ってくる。
「だから、安心して。うん、これ、女性の身体のしくみと一緒に、男性の身体の仕組みも、テレビでやった方が良いな。」
保健体育、必要だよね。
ピティエが顔を両手で覆って、ぽぽぽと恥ずかしがっていた。
お年頃の男子だものね。
ミランや、護衛してるマルサは、ニハー、と良い笑顔である。
「そんなに赤裸々にして良いものです?」
と、やっぱりお年頃のタカラは、ちょっとポッとなりつつ問う。
「逆に、言いにくい聞きにくいからって、変な知識を与えられるより、こういう大事な事を、大事だよ、って。そして柔らかくも硬くも、保健体育的にも情緒的にも、両方で伝えるのは、テレビの役割の一つじゃないかな?女の人の身体についても、繊細なんだって、女の人には妊娠や病気のリスクがある、って、ちゃんと知識を持てば、無駄に傷つけ合わずに済むでしょ。」
更年期の番組とともに、シリーズでやっていって良いかもだね。
と竜樹はウンウン頷いて。
そして、ジッと子供達を、ショボショボした目で見た。
「大人の俺たちが、ついてるから。だから。ーーー大人になるのを、怖がらなくても、良いんだよ。」
ウン!
と子供達は納得して、ホッとした。
エフォールも、ホッとして、ニコリと口角を上げた。
ラフィネも、竜樹に、頼りになるなぁと安らいだ気持ち。エフォールに、優しい眼差しで。
「エフォール様。コリエお姉さんは、私が、サンと一緒にいられない、花だったから迷惑かける、って遠慮した時に、背中を押してくれたの。息子に会えないコリエお姉さんから見て、せっかく子供達といられるのにって。私が竜樹様のお誘いを受けるべきだ、って。だから。」
コリエお姉さんが遠慮するなら、今度は私が、可愛い息子と会える機会を遠ざけるなんて!と背中を押してあげる。
それを聞いて。
エフォールは、パッと花咲く、明るい笑顔になった。
それから、エフォールと子供達は、花について、あからさま過ぎず、分からない事を色々と、ラフィネに話してもらって、それぞれに少し、納得した。
「私、コリエさんの借金返すの、手伝いたいの!編み物の本売るの、どうかな!竜樹様が貸してくれた、初めての人用の本みたいに、絵だけだと、難しい時があるの。番組で動画みせたりして、じっくり見れる本もあるよ、ってしたら、どうかな?」
おずおずと言うエフォールに、竜樹は、「おお、趣味と実益の番組だね!良いかもね!」と笑う。
「あら、それでしたら、エルフさん達に、編み物で癒しとお仕事を、っていうボランティアのお手伝いも、やれたりしないかしら?ちょっと、エルフさん達が、傷ついていて男の人大丈夫かな、っていう不安は、あるのだけど。」
ラフィネの案に。
「!エルフさん達が、良ければ、いいかも!班わけするのも、良いよね!ジャンドルお父様、ぬいぐるみ作家なの!そういうのも、良いかも!?」
エフォールは、満々の笑顔である。
笑いながら竜樹達大人組は、保健体育、これは教会や神殿にも根回しが必要ですよ、とミランの意見にふむふむしたりしつつ、番組の構想を練った。
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