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本編
16日 王宮でのお支度
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時間は少し遡って。
エルフのリュミエール王が、寮の竜樹達と話し終え。すやすやと気持ちよく、今後のエルフ達の未来に安堵して、眠りについていた頃。
おぼんの終わり、魂たちが、冥界に帰る夕方がやってくる。
「スフェールおばあさまぁ。きょう、みんな、せんおうりきゅうに、かえっちゃうの?またあそびに、きてくれる?」
ニリヤ王子が、スフェール王太后様のドレスのスカートを握って、ふりふり、とおねだりをしている。
「遊びにきてぇ!」
「もっと、お話、したいです!」
ネクターとオランネージュも、とっついてスカートフリフリ。
オール先王、スフェール王太后、そしてオール先王の側妃達、リベリュール妃、ダフネ妃も、ニコニコとそれを見て。
「また遊びに来るわよ~!先王離宮は、すぐ近くなんですもの。一角馬車で半刻くらいよ。ニリヤも、ネクターも、オランネージュも、たまには離宮まで遊びに来てちょうだい。ギフトの竜樹様と、いらっしゃいな。」
「はーい!」
「遊びに、行きます!」
「楽しみです!」
「また、とらんぷや、ゲーム、しましょうね!」
「負けないわ!」
「今度こそ!」
むむむん? と、口角を上げて顔を見合わせる妃達に、オール先王は、アッハッハ、と大きく笑って。
「私は今度は観客になるよ!女性の熱い戦いに、邪魔はしないね。」
と、戦略的撤退を宣言した。
「冗談はさておき。エルフ達の事もあるし、私達でもお手伝いできそうな、今必死で戦っている息子達では、溢れ落ちそうな事を、少し、考えてみたいわね。」
「良いわね!くれぐれも、邪魔にならない程度にね!」
「離宮で安穏としているより、何かできたら、良いわよね。」
ボランティアの事を知って、高貴なお祖母様達も、にぎっと拳を握ったものである。何かしたい。
オール先王は、自分が動くと大きな事になってしまうので、妃達の話を聞き、調整する、慰安係をするつもりである。
魂達は、キラキラと光り。
お祖母様達、オール先王、3王子の周りにくるくると踊る。
「きょうで、おぼん、おわり。たましい、かえっちゃうねぇ。」
差し出すニリヤの手に、魂の光が寄って、ふわふわと浮いている。
3王子と先王、そして妃の3お祖母様が、賑やかに儀式の支度をしている間、ハルサ王も支度をしながら、タカラから今日あった事の報告を、急遽受けていた。もう支度の終わったマルグリット妃は、側でお茶を嗜んで、一緒に報告を聞いている。
「竜樹殿が、エルフ程に長生きをねぇ。我が国としては、とても嬉しい事だ。子孫の代まで、見ていただけるのだものな。エルフ達とも、今後協力していく事ができそうだ。希望を運ぶ鳥には、皆が期待をして、自然と集まってくるものだね。荷物が重くなりすぎないよう、タカラ、良く良く竜樹殿の身の回りを見て、お助けしてやっておくれ。必要な事があれば、我々も動く。いつでも報告してな。」
「はい、陛下。重々承ります。」
「あなた、エルフのリュミエール王様達は、王宮にお招きしなくて、よろしかったんですの?体育館より、ずっと細かなお世話ができますわよ。」
マルグリット妃は、少し眉を寄せて。
「ああ。勿論、お迎えはするのだが、こちらの、エルフの王族を王宮にお迎えしなければ、との体裁よりも、今どうしたいかを大事にして差し上げたい。エルフは森で、王族とも近しく暮らしているというから、ヴェルテュー妃からも、まずは体育館のエルフ達と、一緒に居させてくれ、と頼まれている。」
私もリュミエール王に会うが、マルグリット、そのうち、ヴェルテュー妃と、ざっくばらんにお話をしてみてくれないか。
ええ、ええ。是非に。
呼び立てる事なく、こちらから、体育館に行かせていただきますわ!
マルグリット妃は、瞳を強く、キランと輝かせて、意気込んだ。
ハルサ王とマルグリット妃の周りを、キラキラと魂が廻る。挨拶しているかのようなそれに、ハルサ王もマルグリット妃も、ふふ、と笑みを浮かべて。
「また来ておくれよ、リュビ?アンジュ?それにご先祖様よ。」
「来年のおぼんも、いらしてね!楽しみですわ。」
魂達も、その言葉に応えるかのように、チカチカ瞬くのだった。
エルフのリュミエール王が、寮の竜樹達と話し終え。すやすやと気持ちよく、今後のエルフ達の未来に安堵して、眠りについていた頃。
おぼんの終わり、魂たちが、冥界に帰る夕方がやってくる。
「スフェールおばあさまぁ。きょう、みんな、せんおうりきゅうに、かえっちゃうの?またあそびに、きてくれる?」
ニリヤ王子が、スフェール王太后様のドレスのスカートを握って、ふりふり、とおねだりをしている。
「遊びにきてぇ!」
「もっと、お話、したいです!」
ネクターとオランネージュも、とっついてスカートフリフリ。
オール先王、スフェール王太后、そしてオール先王の側妃達、リベリュール妃、ダフネ妃も、ニコニコとそれを見て。
「また遊びに来るわよ~!先王離宮は、すぐ近くなんですもの。一角馬車で半刻くらいよ。ニリヤも、ネクターも、オランネージュも、たまには離宮まで遊びに来てちょうだい。ギフトの竜樹様と、いらっしゃいな。」
「はーい!」
「遊びに、行きます!」
「楽しみです!」
「また、とらんぷや、ゲーム、しましょうね!」
「負けないわ!」
「今度こそ!」
むむむん? と、口角を上げて顔を見合わせる妃達に、オール先王は、アッハッハ、と大きく笑って。
「私は今度は観客になるよ!女性の熱い戦いに、邪魔はしないね。」
と、戦略的撤退を宣言した。
「冗談はさておき。エルフ達の事もあるし、私達でもお手伝いできそうな、今必死で戦っている息子達では、溢れ落ちそうな事を、少し、考えてみたいわね。」
「良いわね!くれぐれも、邪魔にならない程度にね!」
「離宮で安穏としているより、何かできたら、良いわよね。」
ボランティアの事を知って、高貴なお祖母様達も、にぎっと拳を握ったものである。何かしたい。
オール先王は、自分が動くと大きな事になってしまうので、妃達の話を聞き、調整する、慰安係をするつもりである。
魂達は、キラキラと光り。
お祖母様達、オール先王、3王子の周りにくるくると踊る。
「きょうで、おぼん、おわり。たましい、かえっちゃうねぇ。」
差し出すニリヤの手に、魂の光が寄って、ふわふわと浮いている。
3王子と先王、そして妃の3お祖母様が、賑やかに儀式の支度をしている間、ハルサ王も支度をしながら、タカラから今日あった事の報告を、急遽受けていた。もう支度の終わったマルグリット妃は、側でお茶を嗜んで、一緒に報告を聞いている。
「竜樹殿が、エルフ程に長生きをねぇ。我が国としては、とても嬉しい事だ。子孫の代まで、見ていただけるのだものな。エルフ達とも、今後協力していく事ができそうだ。希望を運ぶ鳥には、皆が期待をして、自然と集まってくるものだね。荷物が重くなりすぎないよう、タカラ、良く良く竜樹殿の身の回りを見て、お助けしてやっておくれ。必要な事があれば、我々も動く。いつでも報告してな。」
「はい、陛下。重々承ります。」
「あなた、エルフのリュミエール王様達は、王宮にお招きしなくて、よろしかったんですの?体育館より、ずっと細かなお世話ができますわよ。」
マルグリット妃は、少し眉を寄せて。
「ああ。勿論、お迎えはするのだが、こちらの、エルフの王族を王宮にお迎えしなければ、との体裁よりも、今どうしたいかを大事にして差し上げたい。エルフは森で、王族とも近しく暮らしているというから、ヴェルテュー妃からも、まずは体育館のエルフ達と、一緒に居させてくれ、と頼まれている。」
私もリュミエール王に会うが、マルグリット、そのうち、ヴェルテュー妃と、ざっくばらんにお話をしてみてくれないか。
ええ、ええ。是非に。
呼び立てる事なく、こちらから、体育館に行かせていただきますわ!
マルグリット妃は、瞳を強く、キランと輝かせて、意気込んだ。
ハルサ王とマルグリット妃の周りを、キラキラと魂が廻る。挨拶しているかのようなそれに、ハルサ王もマルグリット妃も、ふふ、と笑みを浮かべて。
「また来ておくれよ、リュビ?アンジュ?それにご先祖様よ。」
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魂達も、その言葉に応えるかのように、チカチカ瞬くのだった。
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