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本編
情報のシャワー
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転移魔法陣部屋から、交流室に戻った竜樹は、子供達に改めて挨拶した。
「皆と会うのは初めましてだねぇ。竜樹父さんだよ。これからは、直接会いに行けるねぇ。よろしくね!」
「あーい!」
タイミング良く、竜樹に抱っこされてるラマンがお返事して、皆照れ臭く、にへへ、と笑った。
「とーさ。」
「竜樹とーさん。」
「何だい、ポッシュ。シュミネ。」
竜樹が名前を間違えずに呼んだので、ニリヤくらいの身長の6歳、頬ぷっくりな男の子、コルヌ地方のポッシュは竜樹のマントの裾を握って笑ったし。オランネージュほどの身長、9歳のツインテールの女の子、ヴィオロ地方のシュミネは照れて、竜樹の片足に抱きついて顔を隠した。
「おれはー?名前わかる?」
「分かるよ~オルグ。プリエ地方の教会にいるんだよね。」
俺は私は!?と団子になって、1人1人名前を呼んでギュッとしていく。3分の1くらい名乗りが進んだ頃、ミランがカメラを置き、パンパン!と手を叩いて。
「さぁさぁ、皆さん、皆の竜樹お父さんはねぇ、お仕事してきて、お昼を食べてないんですよ~。お客様のロテュス殿下もなの。ご飯してから、ギュッしようねぇ。」
ウンウン、とタカラが笑顔でワゴンを押しつつ、微笑んだ。遅い昼食の用意をしてきてくれたのだ。
「「「は~い!」」」
子供達は、それぞれ手を挙げて、またまた良いお返事である。
子供達がわんさかいる交流室に、高さがあるテーブルを出すと危ないかな。という事で、床にクッションを置き、低いテーブルを幾つか出して、今日のお昼ご飯、天丼とお豆のサラダ、味噌汁付きが配膳される。
子供達は、アンケートを考え中のジェム達の周りで相談か、ご飯をいざ食べようという竜樹お父さんの周りにいるか、後は各教会から面倒見にやってきた大人達と遊ぶか、に分かれた。
また、こちらにはやってきていない子供達も、テレビ電話の画面の向こうから、こっちを見たり、自由に遊んだり。
ロテュス王子は、見たこともない食べ物に、目を丸くしている。
「てんどん、おいしいよねぇ。」
「私、天丼のエビ好き!」
「かぼちゃが、美味しいよ~。」
天丼を食べた事のある3王子は、一緒にクッションに座って、自分のおすすめなどを語っている。
タカラとミランも、失礼して、と配膳が終わった所で、端っこの方へ座った。護衛のマルサも、他の護衛達と交代で食べるべく。美味しい予感に、お箸を握って、ムフ、と笑って。
「いただきま~す!」
「今日の糧に感謝を!」
ナムナム。
ハグハグと竜樹が食べ始めれば、ロテュス王子も見真似で、フォークを使って、まずはグルリとお花のように穴が空いている野菜?を突っついてみた。
「それはねぇ、モグモグ。レンコン。泥の中の、根っこを食べるんだよ~。」
「泥の中の、根っこ?」
甘辛くかかったタレの所を、恐る恐る、カシリと齧ってみる。
歯応え、シャリっとほくほく、淡い滋味ある味。衣にかかったタレが合う。
パクリ、と今度は大きく口を開けて食べてみる。下のご飯も一緒に。
「モグモグ、ごくん。 こ、これ、美味しいね。」
「ウン、てんどん、おいしいの!ぼく、エビとナスすき!」
にへへ、とニリヤ王子が笑う。
いつも食べてる物を、初めての人に美味しがってもらえるって、何か嬉しいのだ。
「明日から、ハグハグ、どうするんだ?」
ハグリ、と一口で、大きなエビの真ん中まで口にして、護衛の王弟、マルサが竜樹に聞いた。
「そうだなぁ。エルフ達の様子を見ながら、テレビとラジオ、教科書の作成に関わる採用試験の、応募された作品を観る番組やらなきゃねえ。」
「そうですね、モグモグ、そろそろ締切ですよね、応募の。」
ミランがピーマンを上品に、お箸にご飯と乗せて食べつつ。
「ウン、テレビは、他の国に作ってもらうチャンネルの事もあるからね。ジュヴールにも放送したいじゃない?」
「ジュヴールにも?」
そう。
エビ天を目の前に箸で摘んで。
「今のジュヴールの国民の普通が、他の国では普通じゃないんだよ、って。こんな風に暮らしているよ、良い所も悪い所も、情報のシャワーで、色んな恋愛があるよ、とか。ジュヴールの皆が憧れて、真似したくなるようなお話しや。エルフに酷い事をしちゃうのは、想像力が足りないからだとも思うから、心を、多方面から考えられるように、鍛えたいじゃない?」
「情報で洗脳、って事か?」
マルサの身も蓋もない問いかけに。ううん、と竜樹は唸る。
「洗脳、って言っちゃうとアレだからなぁ。洗脳、って言えば、今が洗脳されてる状態って事だよね。見るも見ないも、自由なんだけど、他のやり方を学んでほしいじゃん?ゆくゆくは、ジュヴールにも、素敵な番組を作ってもらえるような。」
そうして、それが、自分達にばっかり都合が良いような、偏ったものじゃないと良いなぁ、って。
「難しいな。自分達に都合が良いような、って、パシフィストでもやっちゃいそうだろ。」
「うん。そうなんだよね。だから、他の国々にもチャンネル持ってもらって、あれーチャンネルによって、言ってる事が違うな?って、皆に考えて欲しいな。」
エルフ達も、1チャンネル持ってみたらどう?
竜樹がロテュス王子に、ショボショボした目を悪戯っぽく光らせて。
「番組作り。楽しいと思うよぉ。」
「ばんぐみ!つくろ!エルフも!」
「良いね良いね!どんなの作る?」
「お風呂が大好きだから、気持ちいいお風呂のある宿情報とか!」
きゃーい!と3王子も盛り上がって、ロテュス王子は、目をパチ、パチ、した。
「皆と会うのは初めましてだねぇ。竜樹父さんだよ。これからは、直接会いに行けるねぇ。よろしくね!」
「あーい!」
タイミング良く、竜樹に抱っこされてるラマンがお返事して、皆照れ臭く、にへへ、と笑った。
「とーさ。」
「竜樹とーさん。」
「何だい、ポッシュ。シュミネ。」
竜樹が名前を間違えずに呼んだので、ニリヤくらいの身長の6歳、頬ぷっくりな男の子、コルヌ地方のポッシュは竜樹のマントの裾を握って笑ったし。オランネージュほどの身長、9歳のツインテールの女の子、ヴィオロ地方のシュミネは照れて、竜樹の片足に抱きついて顔を隠した。
「おれはー?名前わかる?」
「分かるよ~オルグ。プリエ地方の教会にいるんだよね。」
俺は私は!?と団子になって、1人1人名前を呼んでギュッとしていく。3分の1くらい名乗りが進んだ頃、ミランがカメラを置き、パンパン!と手を叩いて。
「さぁさぁ、皆さん、皆の竜樹お父さんはねぇ、お仕事してきて、お昼を食べてないんですよ~。お客様のロテュス殿下もなの。ご飯してから、ギュッしようねぇ。」
ウンウン、とタカラが笑顔でワゴンを押しつつ、微笑んだ。遅い昼食の用意をしてきてくれたのだ。
「「「は~い!」」」
子供達は、それぞれ手を挙げて、またまた良いお返事である。
子供達がわんさかいる交流室に、高さがあるテーブルを出すと危ないかな。という事で、床にクッションを置き、低いテーブルを幾つか出して、今日のお昼ご飯、天丼とお豆のサラダ、味噌汁付きが配膳される。
子供達は、アンケートを考え中のジェム達の周りで相談か、ご飯をいざ食べようという竜樹お父さんの周りにいるか、後は各教会から面倒見にやってきた大人達と遊ぶか、に分かれた。
また、こちらにはやってきていない子供達も、テレビ電話の画面の向こうから、こっちを見たり、自由に遊んだり。
ロテュス王子は、見たこともない食べ物に、目を丸くしている。
「てんどん、おいしいよねぇ。」
「私、天丼のエビ好き!」
「かぼちゃが、美味しいよ~。」
天丼を食べた事のある3王子は、一緒にクッションに座って、自分のおすすめなどを語っている。
タカラとミランも、失礼して、と配膳が終わった所で、端っこの方へ座った。護衛のマルサも、他の護衛達と交代で食べるべく。美味しい予感に、お箸を握って、ムフ、と笑って。
「いただきま~す!」
「今日の糧に感謝を!」
ナムナム。
ハグハグと竜樹が食べ始めれば、ロテュス王子も見真似で、フォークを使って、まずはグルリとお花のように穴が空いている野菜?を突っついてみた。
「それはねぇ、モグモグ。レンコン。泥の中の、根っこを食べるんだよ~。」
「泥の中の、根っこ?」
甘辛くかかったタレの所を、恐る恐る、カシリと齧ってみる。
歯応え、シャリっとほくほく、淡い滋味ある味。衣にかかったタレが合う。
パクリ、と今度は大きく口を開けて食べてみる。下のご飯も一緒に。
「モグモグ、ごくん。 こ、これ、美味しいね。」
「ウン、てんどん、おいしいの!ぼく、エビとナスすき!」
にへへ、とニリヤ王子が笑う。
いつも食べてる物を、初めての人に美味しがってもらえるって、何か嬉しいのだ。
「明日から、ハグハグ、どうするんだ?」
ハグリ、と一口で、大きなエビの真ん中まで口にして、護衛の王弟、マルサが竜樹に聞いた。
「そうだなぁ。エルフ達の様子を見ながら、テレビとラジオ、教科書の作成に関わる採用試験の、応募された作品を観る番組やらなきゃねえ。」
「そうですね、モグモグ、そろそろ締切ですよね、応募の。」
ミランがピーマンを上品に、お箸にご飯と乗せて食べつつ。
「ウン、テレビは、他の国に作ってもらうチャンネルの事もあるからね。ジュヴールにも放送したいじゃない?」
「ジュヴールにも?」
そう。
エビ天を目の前に箸で摘んで。
「今のジュヴールの国民の普通が、他の国では普通じゃないんだよ、って。こんな風に暮らしているよ、良い所も悪い所も、情報のシャワーで、色んな恋愛があるよ、とか。ジュヴールの皆が憧れて、真似したくなるようなお話しや。エルフに酷い事をしちゃうのは、想像力が足りないからだとも思うから、心を、多方面から考えられるように、鍛えたいじゃない?」
「情報で洗脳、って事か?」
マルサの身も蓋もない問いかけに。ううん、と竜樹は唸る。
「洗脳、って言っちゃうとアレだからなぁ。洗脳、って言えば、今が洗脳されてる状態って事だよね。見るも見ないも、自由なんだけど、他のやり方を学んでほしいじゃん?ゆくゆくは、ジュヴールにも、素敵な番組を作ってもらえるような。」
そうして、それが、自分達にばっかり都合が良いような、偏ったものじゃないと良いなぁ、って。
「難しいな。自分達に都合が良いような、って、パシフィストでもやっちゃいそうだろ。」
「うん。そうなんだよね。だから、他の国々にもチャンネル持ってもらって、あれーチャンネルによって、言ってる事が違うな?って、皆に考えて欲しいな。」
エルフ達も、1チャンネル持ってみたらどう?
竜樹がロテュス王子に、ショボショボした目を悪戯っぽく光らせて。
「番組作り。楽しいと思うよぉ。」
「ばんぐみ!つくろ!エルフも!」
「良いね良いね!どんなの作る?」
「お風呂が大好きだから、気持ちいいお風呂のある宿情報とか!」
きゃーい!と3王子も盛り上がって、ロテュス王子は、目をパチ、パチ、した。
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