302 / 581
本編
転移のお約束
しおりを挟む
「とーさ!」
「竜樹とーさん!」
ニヒ、と照れ笑いする、地方の教会孤児院の子達。男の子も女の子も。実際に会うのは初めましてで、ソワソワ竜樹を見て、近寄りたいような、恥ずかしいような。
竜樹は笑って、赤ちゃんのラマンがキャハ!と足に抱きついてきて。
ジェムが大きな紙から目線を上げて。
「竜樹とーさん、紙もらったー!お酒のあんけーと、皆で作ってた!」
「おー、良いよ良いよ、紙使いな。それで、皆、転移で?寮にきたのかい?」
「うん!」
「チリおじちゃんと、エルフのお兄ちゃんがー。」
「ちゅくってくえた!」
「てんい、した!」
へー!なんて3王子も頷き、どうやって、転移するの?と質問。
こっちこっち!
あのねあのね!
子供達が3王子と竜樹とにとっついて、空いていた一部屋に案内する。ロテュス王子も、子供達の波に引っ張られ、その空き部屋へ。
寮の個室として作られていたが、ベッドやサイドテーブルが取っ払われ、窓にカーテンが揺れるだけの殺風景な部屋の床には、転移の魔法陣。
丸い陣の1箇所に、ラマンの背丈位の切り替えスイッチが設置されていて、カチカチガコンと動かせば、魔法陣の中の、行き先を示す部分が変わるようになっている。
「この一つの魔法陣で、皆の所に飛んだり、ここに転移できたりするのかな?」
「そうだよ!」
「あのね!誰かが使ってるときは、光ったまま、待つの!」
「ぶちゅからないのー。」
「悪い人は、神様が知ってるから、ろうやに勝手に転移するんだってー。」
「それか、動かないかだって。」
うむうむ。セキュリティは、何となく作ってあるようだ。
「おかえりなさい、竜樹様。」
ラフィネお母さんが、竜樹に教えたくてたまらない子供達を見て、くすくすしながら。寮で見守る大人達の代表として、まずは竜樹に話しかけた。
「ただいま、ラフィネさん。帰ってきたら転移魔法陣が出来てる、なんて思ってもみなかったよ!」
「チリ魔法院長と、エルフのファマローさんが、試しは必要、って歌いながら言って、あっという間に作ってしまったんですよ。それで、私たち見守る側の大人達は、子供達が自由に行き来を始めて、面食らっちゃって。」
ああ~。
一つの孤児院で、大人達が、自分の所の子供達の様子を日誌に認めているのだが。どこかに自由に行かれちゃうと、何かあった時に見守りができないし、どうしたものか、と。
「皆で悩んだりしたんです。そうしたら、日誌は共通の魔道具に、図書館の検索しすてむ?みたいにして、書き込みもそれぞれの場所から共通でできるように作って下さって。それから子供達は、転移の時に、お約束を作った方がいいかな?って、今お話ししてました。」
例えば、必ず誰か大人に、どこの教会へ転移するか言ってから行く、とか。
ご飯は基本、自分の所属する教会で食べる、だとか。ご飯の用意の都合があるから、簡単にあっちこっちで食べる、って急にはできないのだ。
「お約束、守るー。」
「あーい!」
子供達は良い子にお返事だ。
「竜樹とーさん!」
ニヒ、と照れ笑いする、地方の教会孤児院の子達。男の子も女の子も。実際に会うのは初めましてで、ソワソワ竜樹を見て、近寄りたいような、恥ずかしいような。
竜樹は笑って、赤ちゃんのラマンがキャハ!と足に抱きついてきて。
ジェムが大きな紙から目線を上げて。
「竜樹とーさん、紙もらったー!お酒のあんけーと、皆で作ってた!」
「おー、良いよ良いよ、紙使いな。それで、皆、転移で?寮にきたのかい?」
「うん!」
「チリおじちゃんと、エルフのお兄ちゃんがー。」
「ちゅくってくえた!」
「てんい、した!」
へー!なんて3王子も頷き、どうやって、転移するの?と質問。
こっちこっち!
あのねあのね!
子供達が3王子と竜樹とにとっついて、空いていた一部屋に案内する。ロテュス王子も、子供達の波に引っ張られ、その空き部屋へ。
寮の個室として作られていたが、ベッドやサイドテーブルが取っ払われ、窓にカーテンが揺れるだけの殺風景な部屋の床には、転移の魔法陣。
丸い陣の1箇所に、ラマンの背丈位の切り替えスイッチが設置されていて、カチカチガコンと動かせば、魔法陣の中の、行き先を示す部分が変わるようになっている。
「この一つの魔法陣で、皆の所に飛んだり、ここに転移できたりするのかな?」
「そうだよ!」
「あのね!誰かが使ってるときは、光ったまま、待つの!」
「ぶちゅからないのー。」
「悪い人は、神様が知ってるから、ろうやに勝手に転移するんだってー。」
「それか、動かないかだって。」
うむうむ。セキュリティは、何となく作ってあるようだ。
「おかえりなさい、竜樹様。」
ラフィネお母さんが、竜樹に教えたくてたまらない子供達を見て、くすくすしながら。寮で見守る大人達の代表として、まずは竜樹に話しかけた。
「ただいま、ラフィネさん。帰ってきたら転移魔法陣が出来てる、なんて思ってもみなかったよ!」
「チリ魔法院長と、エルフのファマローさんが、試しは必要、って歌いながら言って、あっという間に作ってしまったんですよ。それで、私たち見守る側の大人達は、子供達が自由に行き来を始めて、面食らっちゃって。」
ああ~。
一つの孤児院で、大人達が、自分の所の子供達の様子を日誌に認めているのだが。どこかに自由に行かれちゃうと、何かあった時に見守りができないし、どうしたものか、と。
「皆で悩んだりしたんです。そうしたら、日誌は共通の魔道具に、図書館の検索しすてむ?みたいにして、書き込みもそれぞれの場所から共通でできるように作って下さって。それから子供達は、転移の時に、お約束を作った方がいいかな?って、今お話ししてました。」
例えば、必ず誰か大人に、どこの教会へ転移するか言ってから行く、とか。
ご飯は基本、自分の所属する教会で食べる、だとか。ご飯の用意の都合があるから、簡単にあっちこっちで食べる、って急にはできないのだ。
「お約束、守るー。」
「あーい!」
子供達は良い子にお返事だ。
34
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる