289 / 585
本編
16日 映しちゃおう
しおりを挟む
「竜樹様、チリ魔法院長!朝から何をやっているんですか。•••すごくステキな映像では、あったけど。」
へへー、と。ボランティアのリーダー、バーニー君にひれ伏す、竜樹とチリである。動画が終わった所で、バーニー君の方から寄ってきてくれたのだ。
「ボランティアに来ました!」
「奪還の手伝いと、転移の魔法陣についてエルフ達と相談しに来ました!」
はいっ!と手を挙げて良い子に応える2人である。
ロテュス王子は、バーニー君について、竜樹様にこんなに強く出られるこの人は、一体誰?と、ハテナになっている。3王子とスーリール達は、キャッキャクスクス笑いだ。
「それで何で、あの映像を見る事になったんだか、全く分かりませんが、まあ、置いといて。お2人は、まだ囚われているエルフの奪還作戦について、エルフ達も交えて、お話し合いしたら良いんじゃないですかね。時間が経てば経つほど、こっちも準備できるけど、向こうにも迎え撃つ準備の時間を与えてしまうでしょ。」
ムムン、とバーニー君は腕組みをして、フーム、と鼻息。
座って落ち着いて話しましょう、と体育館の床に落ち着く。近くにいたエルフの皆も、それを取り囲み、話をじっと聞いている。
「それなんだけど、今もエルフ達は、呪いで半分監視されてる状態じゃない?話し合った事、見られてる訳だよね。」
「呪いでどこまで監視できるのか分かりませんが、そうですね。」
う~ん。
「そしてこちらは、向こうの状況が、分からない、と。」
「ええ。不利な戦いですね。」
む~ん。
「だとしたら、こちらから行って、テレビで、全てを、盟約に係る国もジュヴール国内にも、さっきのスクリーンみたいなのをたくさん出して明らかにして、放送したら、良いんじゃないですか?堂々と行って、映して、それでこちらに危害を加えれるようであれば、あちらの正当性はボロボロでしょ。」
ちんまりと大柄な身体を縮こませ三角座りをして、スーリールが発言した。
んん?と皆の視線が集中する。
「呪いも、エルフ達への酷い扱いも、皆、秘密にされてたのでしょ?全部、みーんな、カメラで映して表に出しちゃえばいいと思います!」
竜樹が眉を顰める。心配、でも?んん?と考えて。
「そうだね、スーリール。」
「勿論、私たちが同行してリポートを届けます!ね、プリュネル!クーリール!」
カメラマンのプリュネルも、アシスタントディレクターのクーリールも、コクリ、コクリと頷く。
「危険だよ!最悪捕まって、エルフ達みたいに呪われちゃう、囚われちゃうかもなんだよ!」
心配気に、オランネージュが叫ぶ。ネクターもニリヤも、そしてエルフ達も。グッと息を飲む。
スーリールは、ニッコリ笑った。
「映像は、情報は、私たちの武器です!そして守りでもあります!必ず戻って来れるよう、カメラから離れません!行ってこい!って言って下さい!私達ニュース隊は、プロです!プロの報道隊です!どこにでも行って、ニュースを届けます!」
胸を張るスーリール達。
オランネージュは、仕事に責任と誇りをもった、輝くその表情に、口をむにゅむにゅとして、閉じた。
父上は、こんな気持ちになりながら、危ない所へ、親しんだ者を出したりしなきゃいけない事も、あるのかな。
竜樹が、オランネージュの背中を、撫で撫でする。
「そして、今、私が発言した案に覗き見して対処するなら、囚われたエルフ達を、酷い状況に置いたままじゃ、外聞が悪いってやつになりますよね?急いで何とか取り繕おうとするかしら?それ、私たちが行くまでに間に合いますかね?」
ニコニコニッコリ。
「ウン。そして、決めた事が見られて分かっちゃうなら、細かく決めなけりゃ良いよね。臨機応変ってやつね。向こうも、来る時間とか曖昧で、お互いに擦り合わせて、とかしなかったもんね。こっちも曖昧で良いよね。そして言いたい放題あれこれ言っておくのも良いかもね。」
竜樹は、ニヘヘと笑う。
ロテュス王子が、そっと囁くように口を開く。
「囚われたエルフ達のいるところは、分かります。神鳥オーブ様が泥団子で神力を通してくれてから、私の共感覚で詳しく分かるようになったんです。1人1人、転移で迎えに行けると思う。」
お父様のいる所も、弟のエクラのいる所も、分かります。
ウン、ウン。
「じゃあ、まずエルフの王様が囚われてる所をドーンと画面に出しつつ助けて、神の目とカメラを囚われたエルフのいる所やジュヴールの王様のいる所に仕掛けて、バーンとジュヴール国内のエルフ達をザックリ助けたら、神様招んで、公開お話し合いしましょうかね。」
「それって作戦なの?」
ネクターが言えば。
コココ、コケコ!
『オーブがついてる!呪いが何だ!戒めなど、効くものか!罠など何ほどのものよ!カカカ!神の鳥の力、なめんなよ!』
「オーブ、頼んだよ!そして、俺も行きます。」
え、と皆が竜樹を見て、お口をあぐ、と開けた。
「俺が行かなきゃ、スマホで神々の庭に合図できないでしょ。それに、俺を取り込もうとしたりすれば、誓約が働くよね?」
何だかジュヴールの、あの元宰相さんも、竜樹を狙っていたらしいし。
タカラが、王様に報告を。
とアタフタし始めたので、他国からの留学生ボランティアにテレビ電話を借りて打ち合わせした。
その間、呪われて覗き見されているエルフ達は、ある事ない事、噂話をわざとして、監視者を混乱させる事にした。
へへー、と。ボランティアのリーダー、バーニー君にひれ伏す、竜樹とチリである。動画が終わった所で、バーニー君の方から寄ってきてくれたのだ。
「ボランティアに来ました!」
「奪還の手伝いと、転移の魔法陣についてエルフ達と相談しに来ました!」
はいっ!と手を挙げて良い子に応える2人である。
ロテュス王子は、バーニー君について、竜樹様にこんなに強く出られるこの人は、一体誰?と、ハテナになっている。3王子とスーリール達は、キャッキャクスクス笑いだ。
「それで何で、あの映像を見る事になったんだか、全く分かりませんが、まあ、置いといて。お2人は、まだ囚われているエルフの奪還作戦について、エルフ達も交えて、お話し合いしたら良いんじゃないですかね。時間が経てば経つほど、こっちも準備できるけど、向こうにも迎え撃つ準備の時間を与えてしまうでしょ。」
ムムン、とバーニー君は腕組みをして、フーム、と鼻息。
座って落ち着いて話しましょう、と体育館の床に落ち着く。近くにいたエルフの皆も、それを取り囲み、話をじっと聞いている。
「それなんだけど、今もエルフ達は、呪いで半分監視されてる状態じゃない?話し合った事、見られてる訳だよね。」
「呪いでどこまで監視できるのか分かりませんが、そうですね。」
う~ん。
「そしてこちらは、向こうの状況が、分からない、と。」
「ええ。不利な戦いですね。」
む~ん。
「だとしたら、こちらから行って、テレビで、全てを、盟約に係る国もジュヴール国内にも、さっきのスクリーンみたいなのをたくさん出して明らかにして、放送したら、良いんじゃないですか?堂々と行って、映して、それでこちらに危害を加えれるようであれば、あちらの正当性はボロボロでしょ。」
ちんまりと大柄な身体を縮こませ三角座りをして、スーリールが発言した。
んん?と皆の視線が集中する。
「呪いも、エルフ達への酷い扱いも、皆、秘密にされてたのでしょ?全部、みーんな、カメラで映して表に出しちゃえばいいと思います!」
竜樹が眉を顰める。心配、でも?んん?と考えて。
「そうだね、スーリール。」
「勿論、私たちが同行してリポートを届けます!ね、プリュネル!クーリール!」
カメラマンのプリュネルも、アシスタントディレクターのクーリールも、コクリ、コクリと頷く。
「危険だよ!最悪捕まって、エルフ達みたいに呪われちゃう、囚われちゃうかもなんだよ!」
心配気に、オランネージュが叫ぶ。ネクターもニリヤも、そしてエルフ達も。グッと息を飲む。
スーリールは、ニッコリ笑った。
「映像は、情報は、私たちの武器です!そして守りでもあります!必ず戻って来れるよう、カメラから離れません!行ってこい!って言って下さい!私達ニュース隊は、プロです!プロの報道隊です!どこにでも行って、ニュースを届けます!」
胸を張るスーリール達。
オランネージュは、仕事に責任と誇りをもった、輝くその表情に、口をむにゅむにゅとして、閉じた。
父上は、こんな気持ちになりながら、危ない所へ、親しんだ者を出したりしなきゃいけない事も、あるのかな。
竜樹が、オランネージュの背中を、撫で撫でする。
「そして、今、私が発言した案に覗き見して対処するなら、囚われたエルフ達を、酷い状況に置いたままじゃ、外聞が悪いってやつになりますよね?急いで何とか取り繕おうとするかしら?それ、私たちが行くまでに間に合いますかね?」
ニコニコニッコリ。
「ウン。そして、決めた事が見られて分かっちゃうなら、細かく決めなけりゃ良いよね。臨機応変ってやつね。向こうも、来る時間とか曖昧で、お互いに擦り合わせて、とかしなかったもんね。こっちも曖昧で良いよね。そして言いたい放題あれこれ言っておくのも良いかもね。」
竜樹は、ニヘヘと笑う。
ロテュス王子が、そっと囁くように口を開く。
「囚われたエルフ達のいるところは、分かります。神鳥オーブ様が泥団子で神力を通してくれてから、私の共感覚で詳しく分かるようになったんです。1人1人、転移で迎えに行けると思う。」
お父様のいる所も、弟のエクラのいる所も、分かります。
ウン、ウン。
「じゃあ、まずエルフの王様が囚われてる所をドーンと画面に出しつつ助けて、神の目とカメラを囚われたエルフのいる所やジュヴールの王様のいる所に仕掛けて、バーンとジュヴール国内のエルフ達をザックリ助けたら、神様招んで、公開お話し合いしましょうかね。」
「それって作戦なの?」
ネクターが言えば。
コココ、コケコ!
『オーブがついてる!呪いが何だ!戒めなど、効くものか!罠など何ほどのものよ!カカカ!神の鳥の力、なめんなよ!』
「オーブ、頼んだよ!そして、俺も行きます。」
え、と皆が竜樹を見て、お口をあぐ、と開けた。
「俺が行かなきゃ、スマホで神々の庭に合図できないでしょ。それに、俺を取り込もうとしたりすれば、誓約が働くよね?」
何だかジュヴールの、あの元宰相さんも、竜樹を狙っていたらしいし。
タカラが、王様に報告を。
とアタフタし始めたので、他国からの留学生ボランティアにテレビ電話を借りて打ち合わせした。
その間、呪われて覗き見されているエルフ達は、ある事ない事、噂話をわざとして、監視者を混乱させる事にした。
35
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜
楠ノ木雫
ファンタジー
孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。
言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。
こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?
リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる