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本編
16日 朝ごはんに呵々大笑
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「あっはっはっは!!!良いぞ良いぞ竜樹殿!クレル・ディアローグ神様に、調停をお願いするとはな!神の御前に、いかにジュヴール国王が言葉を飾ろうとしても、偽りは申せないだろうよ!まあ、私たちも、これを機に何か得をしたい、という気持ちがあれば、バレバレになるだろうがな~。」
にはは。
爽やかな朝である!
昨夜の内に、プール銭湯ではカメラを遠慮して回さなかったミランが、タカラとふんふん勢いある鼻息を吐きつつ。
「神様とお話した落とし所を、早速ハルサ王様に報告しておかねばなりません!」
と握り拳で意気込み、タカラが報告に走った。
竜樹はニリヤやオランネージュ、ネクター、そしてロテュス王子も、寝かさなければならなかったので、後ほど王様にお会いするよ、として。寮で皆と寝たのだが。
今朝、早速、寮にハルサ王様とマルグリット王妃がやって来て、一緒の朝食。満面の笑みである。
「各国にもこれから、落とし所を話しておく。ムフ。エルフのリュミエール王や、ヴェル妃様の子、エクラ君を含む91人のエルフ達の奪還にも、神鳥オーブ殿が助太刀して下さるのだね?」
「はい。オーブの事ですから、頼りになると思いますよ。」
目玉焼きトースト、ハムとチーズとほうれん草乗せ、を頬張る大人達に、3王子とジェム達は、いつも通り安心してキャワ!と朝ごはんを頂いている。
ロテュス王子は、大人達が話をしている内容に、目を見張り、お口、トーストから、目玉焼きがボタリと皿に落ちた。
ロテュス王子がスヤスヤと眠っている間に、大人達がそんな話をしているだなんて。
ロテュス王子は、共感覚の親株の魔法を持つだけあって、人といる時に頼られる位置になる事が多いのだが。物の分かった大人が集結して面倒をみてくれ、こんがらがった糸を皆して解いてくれるのが、こんなに安心する事だとは、初めて知った。
ふす、ふすと、鼻息が漏れてしまう。
ジェムが、ロテュス王子の背中をトントンして。
「本物の大人は、引っ張って人を落としたりしないで、引っ張り上げてくれるんだぜ。そうすると、世界がひろくみえるんだ。俺もこないだ、初めて知ったけど。」
ウン、と頷き、皿の目玉焼きをフォークで再びトーストに乗せ、呆然とモグモグあむあむするロテュス王子である。
ふう、と肩の荷物が降りて。
「エクラも、連れて来てくれるんだ。」
「エクラって誰?」
「私の弟だ。」
そうなの、それは、よかったね!
サンもニコニコ、りょうときょうかいのみんなは、サンのきょうだいなんだよ!とほうれん草をパクついた。
「きょうだい、うれしいねぇ。」
ニリヤがカップのミルクをゴクンと飲んで、髭を作りつつ。3王子が笑う。
「ウン。本当に、本当に、5246人、全員、1人も欠けずに、諦めなくて済むかも。」
感動している所の横では、チリ魔法院長と、エルフの魔法使いファマローが、髪をボサボサにしたまま、ムシャムシャトーストを食べている。謎のやり切った感、満載である。そして子供達も、密かに、ムフ、ニコ!まだ内緒、なのである。
「それにしても、ボランティアの案や、体育館でのエルフ達の受け入れの、様々な対応策、注意点を、竜樹殿が教えてくれて大変助かりました。竜樹殿の元のお国で起きた、悲しい災害などには心痛むが、その時の、痛みと共に得た知恵を、惜しげもなく教えて下さる事が、どれだけ私たちの力になる事か!」
「いえいえ、役立ったなら、良かったですよ。体育館、作っておいてよかったですね!」
全く、全く!
今日も、体育館で、何か出来る事はないか、ふらついてみよう。竜樹と3王子のスケジュールは決まり。
「今日がおぼんの最終日だとは、全くよく出来ているものよ。エルフ達とも、おぼんの魂送りができれば喜ばしいが、まだ身体も心も、疲れているだろうから、テレビで見てくれたらな。」
「ええ、ええ、そうですね!あー、おぼんの最終日かぁ。魂達、満足してくれたかなぁ?」
祭壇辺りでピカピカしている魂の光は、最初来たばかりの時より、落ち着いているようにも見える。
「今はバラン兄上が駆けずり回っているよ。囚われているエルフ達の事もあるから、用意していた、賑やかなぼんおどり、という雰囲気でもなかろう?でも、魂は送りたいから、音楽に絡めて、相応しい雰囲気のものを、急遽準備すると言っていた。」
「音楽に関しては、バラン王兄様に任せておけば、大丈夫ですよね。信頼し合うって、良いですね。」
「ムフフフ。私は、良き兄弟を持ったよ。」
ニヤリ、と警備しながらこちらの話を聞いているマルサ王弟も、ハルサ王様と目線を合わせて笑うのであった。
竜樹もニコニコである。
ジェム達を、新聞売りのいつもの仕事に送り出し、寮を出て体育館へ。
竜樹や護衛のマルサ、カメラマンのミランに、竜樹付きのタカラ、3王子。そこに加わったのは、ロテュス王子に、チリ魔法院長とエルフの魔法使いファマローである。
「て、転移魔法陣の打ち合わせ、です!」
「寮で練習がむぐぐぐ。いえ、はい、打ち合わせ、なのです!」
体育館にいるエルフの中にも、転移魔法陣の設置や、ジュヴールに囚われた仲間のエルフ奪還に役立つ、魔法を使える者達がいるだろう、と目論む2人である。
コケケコケケ!
オーブも、庭で待っていて、バタタタ!
ロテュス王子の頭の上に乗った。
「きょうは、ぼくにじゃないの、オーブ。」
ニリヤが、はてな?と神鳥オーブに聞く。
ココケコケッケコ!
『奪還!するからね!ニリヤ王子も応援してね!』
「ウン!応援、する~!」
ぴょん!と飛んで。
体育館にたどり着いた面々を待っていたのは。
そこかしこでおしゃべり、そう、思ったより興奮して話し合いをする、エルフの魔法使い達だった。
にはは。
爽やかな朝である!
昨夜の内に、プール銭湯ではカメラを遠慮して回さなかったミランが、タカラとふんふん勢いある鼻息を吐きつつ。
「神様とお話した落とし所を、早速ハルサ王様に報告しておかねばなりません!」
と握り拳で意気込み、タカラが報告に走った。
竜樹はニリヤやオランネージュ、ネクター、そしてロテュス王子も、寝かさなければならなかったので、後ほど王様にお会いするよ、として。寮で皆と寝たのだが。
今朝、早速、寮にハルサ王様とマルグリット王妃がやって来て、一緒の朝食。満面の笑みである。
「各国にもこれから、落とし所を話しておく。ムフ。エルフのリュミエール王や、ヴェル妃様の子、エクラ君を含む91人のエルフ達の奪還にも、神鳥オーブ殿が助太刀して下さるのだね?」
「はい。オーブの事ですから、頼りになると思いますよ。」
目玉焼きトースト、ハムとチーズとほうれん草乗せ、を頬張る大人達に、3王子とジェム達は、いつも通り安心してキャワ!と朝ごはんを頂いている。
ロテュス王子は、大人達が話をしている内容に、目を見張り、お口、トーストから、目玉焼きがボタリと皿に落ちた。
ロテュス王子がスヤスヤと眠っている間に、大人達がそんな話をしているだなんて。
ロテュス王子は、共感覚の親株の魔法を持つだけあって、人といる時に頼られる位置になる事が多いのだが。物の分かった大人が集結して面倒をみてくれ、こんがらがった糸を皆して解いてくれるのが、こんなに安心する事だとは、初めて知った。
ふす、ふすと、鼻息が漏れてしまう。
ジェムが、ロテュス王子の背中をトントンして。
「本物の大人は、引っ張って人を落としたりしないで、引っ張り上げてくれるんだぜ。そうすると、世界がひろくみえるんだ。俺もこないだ、初めて知ったけど。」
ウン、と頷き、皿の目玉焼きをフォークで再びトーストに乗せ、呆然とモグモグあむあむするロテュス王子である。
ふう、と肩の荷物が降りて。
「エクラも、連れて来てくれるんだ。」
「エクラって誰?」
「私の弟だ。」
そうなの、それは、よかったね!
サンもニコニコ、りょうときょうかいのみんなは、サンのきょうだいなんだよ!とほうれん草をパクついた。
「きょうだい、うれしいねぇ。」
ニリヤがカップのミルクをゴクンと飲んで、髭を作りつつ。3王子が笑う。
「ウン。本当に、本当に、5246人、全員、1人も欠けずに、諦めなくて済むかも。」
感動している所の横では、チリ魔法院長と、エルフの魔法使いファマローが、髪をボサボサにしたまま、ムシャムシャトーストを食べている。謎のやり切った感、満載である。そして子供達も、密かに、ムフ、ニコ!まだ内緒、なのである。
「それにしても、ボランティアの案や、体育館でのエルフ達の受け入れの、様々な対応策、注意点を、竜樹殿が教えてくれて大変助かりました。竜樹殿の元のお国で起きた、悲しい災害などには心痛むが、その時の、痛みと共に得た知恵を、惜しげもなく教えて下さる事が、どれだけ私たちの力になる事か!」
「いえいえ、役立ったなら、良かったですよ。体育館、作っておいてよかったですね!」
全く、全く!
今日も、体育館で、何か出来る事はないか、ふらついてみよう。竜樹と3王子のスケジュールは決まり。
「今日がおぼんの最終日だとは、全くよく出来ているものよ。エルフ達とも、おぼんの魂送りができれば喜ばしいが、まだ身体も心も、疲れているだろうから、テレビで見てくれたらな。」
「ええ、ええ、そうですね!あー、おぼんの最終日かぁ。魂達、満足してくれたかなぁ?」
祭壇辺りでピカピカしている魂の光は、最初来たばかりの時より、落ち着いているようにも見える。
「今はバラン兄上が駆けずり回っているよ。囚われているエルフ達の事もあるから、用意していた、賑やかなぼんおどり、という雰囲気でもなかろう?でも、魂は送りたいから、音楽に絡めて、相応しい雰囲気のものを、急遽準備すると言っていた。」
「音楽に関しては、バラン王兄様に任せておけば、大丈夫ですよね。信頼し合うって、良いですね。」
「ムフフフ。私は、良き兄弟を持ったよ。」
ニヤリ、と警備しながらこちらの話を聞いているマルサ王弟も、ハルサ王様と目線を合わせて笑うのであった。
竜樹もニコニコである。
ジェム達を、新聞売りのいつもの仕事に送り出し、寮を出て体育館へ。
竜樹や護衛のマルサ、カメラマンのミランに、竜樹付きのタカラ、3王子。そこに加わったのは、ロテュス王子に、チリ魔法院長とエルフの魔法使いファマローである。
「て、転移魔法陣の打ち合わせ、です!」
「寮で練習がむぐぐぐ。いえ、はい、打ち合わせ、なのです!」
体育館にいるエルフの中にも、転移魔法陣の設置や、ジュヴールに囚われた仲間のエルフ奪還に役立つ、魔法を使える者達がいるだろう、と目論む2人である。
コケケコケケ!
オーブも、庭で待っていて、バタタタ!
ロテュス王子の頭の上に乗った。
「きょうは、ぼくにじゃないの、オーブ。」
ニリヤが、はてな?と神鳥オーブに聞く。
ココケコケッケコ!
『奪還!するからね!ニリヤ王子も応援してね!』
「ウン!応援、する~!」
ぴょん!と飛んで。
体育館にたどり着いた面々を待っていたのは。
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