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本編
15日 おおらかなエルフ達
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「ふわわぁぁぁ~!これは何の罰ゲームですかぁぁ~!」
竜樹は、目を両手で隠して、真っ赤になって俯いた。
ここはプール。今は、湯浴み場。
エルフ達の呪いを解き、そしてロテュス王子の「エルフ達をお風呂にいれてやって」との願いを叶える為に。
竜樹と3王子達、そしてお助け侍女侍従ズが、男湯、女湯、子供と赤ちゃん湯と分かれて、スタンバイしていたのだが。
3王子も、きゃっと目を覆っているが、ちょっと、いや大分くたびれたエルフ達は、それを見て、ニコニコするばかり。
「何故に、混浴?文化の違いかな?だったら、仕方ないけど、エルフ達、恥ずかしくはないの?」
「?恥ずかしい?ああ、そういえば、人って生まれた時から、男女で分かれてるんでしたよね。」
一人のお母さんエルフが、手を繋いでエルフ幼児を連れて、竜樹の疑問に、お返事してくれた。
まずは子供と赤ちゃん湯で、小ちゃい子順に呪いを解いて、と竜樹は思っていたのだけれど。当然子供と赤ちゃん達だけでお風呂に入れる訳もなく、家族単位で、保護者の大人エルフも男女共にやってきたのだ。
エルフ達は皆、すっぽんぽん、全裸で、どーんと何も隠す事もなく。
おおらか。
「エルフは、ちがうの?」
ネクターが不思議に聞く。
「ええ。思春期が来るまで、男でも女でもないのよ。どっちになるかは、その時期に、なりたい方になるのね。森にお風呂はないから、水浴びしたり浄化したりするんだけど、幼い頃から一緒だから、エルフ同士では、裸とか、あまり気にしないのよね。ウンウン、人は気にするんだったわ。それか、いやらしい目で見てくるか。」
そうだったー、気にするんだったね!
竜樹様は、いやらしい目じゃないから、大丈夫だね!
なんて、男女共に和やかに。
ウン、こんな時に、いやらしい目では見ないけど、俺は人で男で大人だから、見てるこっちが恥ずかしいのです。
そして竜樹は納得がいった。ロテュス王子の股間、ツルッとしているのに、王子な訳が。
侍従ズに聞けば、男湯も女湯も、同じく混浴になってるらしい。
エルフ達は。
「あ、ギフトの竜樹様!テレビ見ました!助けてくれて、ありがとう、ありがとうございます!」
生まれたままの姿で寄ってきて、ギュッと手を握ってくれるのだ。
恥ずかしい?
どこに恥ずかしい所があると?
とでも言いたげなエルフ達に、むむ~、うん、ヨシ!江戸時代の湯屋だって、混浴だったのだ!と覚悟を決めて、竜樹は薄くしていた目を開く。
そんな様子を見ていたエルフ達は。
「ジュヴールの男達と、全然違うね!」
「ねー!ベタベタ触ったりも、してこないしね!」
ニコニコの、ニッコリなのだ。
ふう、と息を吐き、ショボショボ目を精一杯、キリッとする。
赤ちゃんのぴちぴちつるん肌に、汚く描かれた悍ましい呪いを、さて、解くぞ!とまず、お母さんエルフが抱いている、一人の赤ちゃんに寄って行った。
「あの、俺が触ると何故か、呪いが解けるらしいんだけど、赤ちゃんの呪いに、触っても良いですか?」
「!テレビ見ました!竜樹様、お願いします!」
期待に胸をーーーエルフの女性は、皆、おおよそ豊満ではなくて、スレンダーで神聖な感じがする身体なのが、いやらしさを減じて助かりーーー踊らせて、お母さんエルフは、赤ちゃんを抱き直して、竜樹に呪いを見やすくした。
小さな胸に、可哀想に、痛々しい茨と目の紋様である。サイズは、赤ちゃんの手のひらくらい。赤ちゃんは、ご機嫌悪そうに、何となくグズグズしている。
「良い子だねー、ちょっと触るねー。」
竜樹は真剣に、消えますようにー、落ちますようにー、と念じつつ、その呪いに触って、インクを掻き出すイメージで手を滑らせた。
ススス、ピッ!バチン!
何か接続が切れたような音に、赤ちゃんが、ブルッとする。
パチ、パチ、と瞬き。
ニコ。キャハ!
ご機嫌に笑った。
それを見ていた3王子も、ニカ!と笑う。
お母さんエルフは、ふわ!と嬉しい顔をして、赤ちゃんの胸の所を摩る。お湯を手で汲んで、ぴちゃぴちゃと洗う。ニコニコ、うふふ!とするお母さん。
「お母さんも、呪いがあるね。でも、まずは子供からやらせてもらって良いですか?大人の人は、子供達が終わってからね。1日では終わらないだろうけど、ちゃんと毎日、俺も来るから、小さい子、具合悪くて辛い人から、順番譲り合って、お願いします。」
お母さんお父さんエルフ達が、ニッコリぶんぶん、頷く。
赤ちゃん、子供達の呪いを解いていると、竜樹の手からは、ぴしゃん、と呪いのインクが滴る。
何となく汚いので、元プールの浴槽にインクが入らないよう、誰かが踏んだりもしないように、床に置いた洗面器で受ける。
「オランネージュ、ネクター、ニリヤ。そのインクに触っちゃダメだぞ。」
「ウン。」「分かった!」「はーい!」
キリッとした顔の王子達である。そうして、子供エルフ達の背中を、泡泡洗ってあげたり、お湯をかけてあげたり、と頑張ってお助けしている。
そして、流石、高貴な方のお支度を手伝う侍女侍従ズ。
エルフの全裸に、性別問わずポッと赤らむ事もなく、平静である。洗う為のタオルを配り、洗面器を配り、洗い方を教えて、八面六臂の大活躍。
エルフ達は、ゆっくりお湯に浸かり、は~っ、と、心地よいため息である。
「パシフィストとか、他の国に、お助け願ったって聞いて、大丈夫かなって思ったけど。」
「お腹もいっぱいだし。」
「お風呂、気持ち良いし。」
「皆、優しいし。」
「なんか、眠くなってきちゃった。」
「ぅあぶ~!」
うっとり。
さっぱり。
着替えは、急遽、古着を扱う店から在庫を引っ張ってきて、新品ではないけれど、綺麗に洗濯をされた服を、よりどり。
湯に浸かって、喉が渇いた所に、果実水もある。
ほこほこになったエルフ達は、送迎の一角馬馬車にゆるりと乗り込み、体育館に帰る。
体育館では、まだテレビがニュースをやっている。
「ここでお知らせです。パシフィストの国民で、エルフ達を、お助けしたいな!と思われるボランティアの方。直接体育館に来ないで、まずは大画面広場の、ボランティア受付にお越し下さい。今日の受付は締め切りましたが、明日は朝7時から、受付しています。ボランティアにはお金が出ませんし、食事も出ません。なので、半日だけ、など、お助けの仕方は、受付してから、お助けする方、そして受けるエルフ達双方に、無理ないように、割り振りする事になります。」
男性アナウンサーが言い。
「料理の手伝いでは、野菜の皮剥きなど、些細な事が、大人数の分ということで、積み重なると大変なのですよね。」
女性アナウンサーが、頷きつつ、返す。
「そうですよね。そういう、ちょっとした事をお助けしてくれる人を、募っています。また、エルフ達も、身体や心が回復してくれば、自分達でやりたいな、という事も、増えてくると思います。お互い、無理なく、やっていきましょう。」
ニッコリ、と2人のアナウンサーは笑顔。
「また、お金の寄付、だけではなくて、例えば食材、着るもの、他、色々なものをあげたいな、と思う方。皆バラバラに体育館にやってきて、だと、物が余ったり、その手続きに現場が忙しくなったり、と混乱を招きます。」
「こちらも、大画面広場の、エルフ救助の寄付係までお越し下さい。お金の寄付は銅貨1枚から。物資の寄付は、ご相談に乗る形になります。例えば、古着なら、1枚から。サイズが合わなくなって、でも物は悪くない、なんていう服があったら、気軽に持ってきてください。お洗濯は、してきて下さいね。エルフの子供達に、もう子供が読まなくなった絵本を、なんていうのも、良いですね。地方でも、同じく大画面のある広場に受付ができます。そういった物資を、整理する係、などにも、ボランティアが必要ですね。」
「食材は、時止めの倉庫に入れたりできます。まずはご相談下さい。」
「物流が混乱して、物はあるのに届かない、なんて事になったら、せっかく助けたいと思っているのに、残念な結果になりますね?」
「ええ、ですから、慌てず、騒がず、皆さん普段の自分の生活も、充分大事にしながら。ほんの少し、可能な範囲で、長く救助をしていきましょう。勿論、国庫から、お金を払って物資を買ったり、人を雇ったりもします。他国からの救助もあります。色々な方法があると、良いですよね。」
「「皆さん、よろしくお願い致します。」」
テレビを見ながら、エルフ達は思う。
この人達、本気で助けようとしてくれてるんだな、って。
底辺の生活で、蔑まれていた心が、身体が、ほんわりする。
「さて、今夜のニュースは、ここまで。明日また、この時間にお会いしましょう。今夜はこの後も、特別な番組があります。チャンネルは、そのまま。」
ニュースが終わると、ポツン、と一人の女性が、本を持ち椅子に座っている、暗い映像が映る。
「皆さん、今晩は。今夜は私、マルク・パージュが、皆さんのおやすみまでのひと時を、ご一緒できれば、と思います。幼い頃、眠る時、お父さんやお母さんに、お話をせがんだり、しませんでしたか?大人だって、疲れている時には、静かな声で、お話を聞きながら、安心して眠りにつきたい。そんなふうに思う事はありませんか?」
「勿論、子供達も、聞いて下さいね。そして、眠くなったら、そっと目を閉じて、夢の世界へ。それでは、今夜の本。小さな王子様が、自分の星を出て、色々な星を巡り、そして愛に気づくお話です。ーーー。」
パージュさんの、低く、まあるい声が、ゆっくり静かに、体育館を満たす。
急いで集められた少ない布団を分け合って、体育館の灯りが間引きされ、うっすらと暗くなる。
マルサが手配した、警備の者達が、疲れ果てたエルフを、寝ずの番で守っている。
パージュさんが、今日はここまで、お休みなさい、良い夢を。と言った時、体育館で起きているエルフは、1人もいなかった。
竜樹は、目を両手で隠して、真っ赤になって俯いた。
ここはプール。今は、湯浴み場。
エルフ達の呪いを解き、そしてロテュス王子の「エルフ達をお風呂にいれてやって」との願いを叶える為に。
竜樹と3王子達、そしてお助け侍女侍従ズが、男湯、女湯、子供と赤ちゃん湯と分かれて、スタンバイしていたのだが。
3王子も、きゃっと目を覆っているが、ちょっと、いや大分くたびれたエルフ達は、それを見て、ニコニコするばかり。
「何故に、混浴?文化の違いかな?だったら、仕方ないけど、エルフ達、恥ずかしくはないの?」
「?恥ずかしい?ああ、そういえば、人って生まれた時から、男女で分かれてるんでしたよね。」
一人のお母さんエルフが、手を繋いでエルフ幼児を連れて、竜樹の疑問に、お返事してくれた。
まずは子供と赤ちゃん湯で、小ちゃい子順に呪いを解いて、と竜樹は思っていたのだけれど。当然子供と赤ちゃん達だけでお風呂に入れる訳もなく、家族単位で、保護者の大人エルフも男女共にやってきたのだ。
エルフ達は皆、すっぽんぽん、全裸で、どーんと何も隠す事もなく。
おおらか。
「エルフは、ちがうの?」
ネクターが不思議に聞く。
「ええ。思春期が来るまで、男でも女でもないのよ。どっちになるかは、その時期に、なりたい方になるのね。森にお風呂はないから、水浴びしたり浄化したりするんだけど、幼い頃から一緒だから、エルフ同士では、裸とか、あまり気にしないのよね。ウンウン、人は気にするんだったわ。それか、いやらしい目で見てくるか。」
そうだったー、気にするんだったね!
竜樹様は、いやらしい目じゃないから、大丈夫だね!
なんて、男女共に和やかに。
ウン、こんな時に、いやらしい目では見ないけど、俺は人で男で大人だから、見てるこっちが恥ずかしいのです。
そして竜樹は納得がいった。ロテュス王子の股間、ツルッとしているのに、王子な訳が。
侍従ズに聞けば、男湯も女湯も、同じく混浴になってるらしい。
エルフ達は。
「あ、ギフトの竜樹様!テレビ見ました!助けてくれて、ありがとう、ありがとうございます!」
生まれたままの姿で寄ってきて、ギュッと手を握ってくれるのだ。
恥ずかしい?
どこに恥ずかしい所があると?
とでも言いたげなエルフ達に、むむ~、うん、ヨシ!江戸時代の湯屋だって、混浴だったのだ!と覚悟を決めて、竜樹は薄くしていた目を開く。
そんな様子を見ていたエルフ達は。
「ジュヴールの男達と、全然違うね!」
「ねー!ベタベタ触ったりも、してこないしね!」
ニコニコの、ニッコリなのだ。
ふう、と息を吐き、ショボショボ目を精一杯、キリッとする。
赤ちゃんのぴちぴちつるん肌に、汚く描かれた悍ましい呪いを、さて、解くぞ!とまず、お母さんエルフが抱いている、一人の赤ちゃんに寄って行った。
「あの、俺が触ると何故か、呪いが解けるらしいんだけど、赤ちゃんの呪いに、触っても良いですか?」
「!テレビ見ました!竜樹様、お願いします!」
期待に胸をーーーエルフの女性は、皆、おおよそ豊満ではなくて、スレンダーで神聖な感じがする身体なのが、いやらしさを減じて助かりーーー踊らせて、お母さんエルフは、赤ちゃんを抱き直して、竜樹に呪いを見やすくした。
小さな胸に、可哀想に、痛々しい茨と目の紋様である。サイズは、赤ちゃんの手のひらくらい。赤ちゃんは、ご機嫌悪そうに、何となくグズグズしている。
「良い子だねー、ちょっと触るねー。」
竜樹は真剣に、消えますようにー、落ちますようにー、と念じつつ、その呪いに触って、インクを掻き出すイメージで手を滑らせた。
ススス、ピッ!バチン!
何か接続が切れたような音に、赤ちゃんが、ブルッとする。
パチ、パチ、と瞬き。
ニコ。キャハ!
ご機嫌に笑った。
それを見ていた3王子も、ニカ!と笑う。
お母さんエルフは、ふわ!と嬉しい顔をして、赤ちゃんの胸の所を摩る。お湯を手で汲んで、ぴちゃぴちゃと洗う。ニコニコ、うふふ!とするお母さん。
「お母さんも、呪いがあるね。でも、まずは子供からやらせてもらって良いですか?大人の人は、子供達が終わってからね。1日では終わらないだろうけど、ちゃんと毎日、俺も来るから、小さい子、具合悪くて辛い人から、順番譲り合って、お願いします。」
お母さんお父さんエルフ達が、ニッコリぶんぶん、頷く。
赤ちゃん、子供達の呪いを解いていると、竜樹の手からは、ぴしゃん、と呪いのインクが滴る。
何となく汚いので、元プールの浴槽にインクが入らないよう、誰かが踏んだりもしないように、床に置いた洗面器で受ける。
「オランネージュ、ネクター、ニリヤ。そのインクに触っちゃダメだぞ。」
「ウン。」「分かった!」「はーい!」
キリッとした顔の王子達である。そうして、子供エルフ達の背中を、泡泡洗ってあげたり、お湯をかけてあげたり、と頑張ってお助けしている。
そして、流石、高貴な方のお支度を手伝う侍女侍従ズ。
エルフの全裸に、性別問わずポッと赤らむ事もなく、平静である。洗う為のタオルを配り、洗面器を配り、洗い方を教えて、八面六臂の大活躍。
エルフ達は、ゆっくりお湯に浸かり、は~っ、と、心地よいため息である。
「パシフィストとか、他の国に、お助け願ったって聞いて、大丈夫かなって思ったけど。」
「お腹もいっぱいだし。」
「お風呂、気持ち良いし。」
「皆、優しいし。」
「なんか、眠くなってきちゃった。」
「ぅあぶ~!」
うっとり。
さっぱり。
着替えは、急遽、古着を扱う店から在庫を引っ張ってきて、新品ではないけれど、綺麗に洗濯をされた服を、よりどり。
湯に浸かって、喉が渇いた所に、果実水もある。
ほこほこになったエルフ達は、送迎の一角馬馬車にゆるりと乗り込み、体育館に帰る。
体育館では、まだテレビがニュースをやっている。
「ここでお知らせです。パシフィストの国民で、エルフ達を、お助けしたいな!と思われるボランティアの方。直接体育館に来ないで、まずは大画面広場の、ボランティア受付にお越し下さい。今日の受付は締め切りましたが、明日は朝7時から、受付しています。ボランティアにはお金が出ませんし、食事も出ません。なので、半日だけ、など、お助けの仕方は、受付してから、お助けする方、そして受けるエルフ達双方に、無理ないように、割り振りする事になります。」
男性アナウンサーが言い。
「料理の手伝いでは、野菜の皮剥きなど、些細な事が、大人数の分ということで、積み重なると大変なのですよね。」
女性アナウンサーが、頷きつつ、返す。
「そうですよね。そういう、ちょっとした事をお助けしてくれる人を、募っています。また、エルフ達も、身体や心が回復してくれば、自分達でやりたいな、という事も、増えてくると思います。お互い、無理なく、やっていきましょう。」
ニッコリ、と2人のアナウンサーは笑顔。
「また、お金の寄付、だけではなくて、例えば食材、着るもの、他、色々なものをあげたいな、と思う方。皆バラバラに体育館にやってきて、だと、物が余ったり、その手続きに現場が忙しくなったり、と混乱を招きます。」
「こちらも、大画面広場の、エルフ救助の寄付係までお越し下さい。お金の寄付は銅貨1枚から。物資の寄付は、ご相談に乗る形になります。例えば、古着なら、1枚から。サイズが合わなくなって、でも物は悪くない、なんていう服があったら、気軽に持ってきてください。お洗濯は、してきて下さいね。エルフの子供達に、もう子供が読まなくなった絵本を、なんていうのも、良いですね。地方でも、同じく大画面のある広場に受付ができます。そういった物資を、整理する係、などにも、ボランティアが必要ですね。」
「食材は、時止めの倉庫に入れたりできます。まずはご相談下さい。」
「物流が混乱して、物はあるのに届かない、なんて事になったら、せっかく助けたいと思っているのに、残念な結果になりますね?」
「ええ、ですから、慌てず、騒がず、皆さん普段の自分の生活も、充分大事にしながら。ほんの少し、可能な範囲で、長く救助をしていきましょう。勿論、国庫から、お金を払って物資を買ったり、人を雇ったりもします。他国からの救助もあります。色々な方法があると、良いですよね。」
「「皆さん、よろしくお願い致します。」」
テレビを見ながら、エルフ達は思う。
この人達、本気で助けようとしてくれてるんだな、って。
底辺の生活で、蔑まれていた心が、身体が、ほんわりする。
「さて、今夜のニュースは、ここまで。明日また、この時間にお会いしましょう。今夜はこの後も、特別な番組があります。チャンネルは、そのまま。」
ニュースが終わると、ポツン、と一人の女性が、本を持ち椅子に座っている、暗い映像が映る。
「皆さん、今晩は。今夜は私、マルク・パージュが、皆さんのおやすみまでのひと時を、ご一緒できれば、と思います。幼い頃、眠る時、お父さんやお母さんに、お話をせがんだり、しませんでしたか?大人だって、疲れている時には、静かな声で、お話を聞きながら、安心して眠りにつきたい。そんなふうに思う事はありませんか?」
「勿論、子供達も、聞いて下さいね。そして、眠くなったら、そっと目を閉じて、夢の世界へ。それでは、今夜の本。小さな王子様が、自分の星を出て、色々な星を巡り、そして愛に気づくお話です。ーーー。」
パージュさんの、低く、まあるい声が、ゆっくり静かに、体育館を満たす。
急いで集められた少ない布団を分け合って、体育館の灯りが間引きされ、うっすらと暗くなる。
マルサが手配した、警備の者達が、疲れ果てたエルフを、寝ずの番で守っている。
パージュさんが、今日はここまで、お休みなさい、良い夢を。と言った時、体育館で起きているエルフは、1人もいなかった。
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