278 / 510
本編
15日 おおらかなエルフ達
しおりを挟む
「ふわわぁぁぁ~!これは何の罰ゲームですかぁぁ~!」
竜樹は、目を両手で隠して、真っ赤になって俯いた。
ここはプール。今は、湯浴み場。
エルフ達の呪いを解き、そしてロテュス王子の「エルフ達をお風呂にいれてやって」との願いを叶える為に。
竜樹と3王子達、そしてお助け侍女侍従ズが、男湯、女湯、子供と赤ちゃん湯と分かれて、スタンバイしていたのだが。
3王子も、きゃっと目を覆っているが、ちょっと、いや大分くたびれたエルフ達は、それを見て、ニコニコするばかり。
「何故に、混浴?文化の違いかな?だったら、仕方ないけど、エルフ達、恥ずかしくはないの?」
「?恥ずかしい?ああ、そういえば、人って生まれた時から、男女で分かれてるんでしたよね。」
一人のお母さんエルフが、手を繋いでエルフ幼児を連れて、竜樹の疑問に、お返事してくれた。
まずは子供と赤ちゃん湯で、小ちゃい子順に呪いを解いて、と竜樹は思っていたのだけれど。当然子供と赤ちゃん達だけでお風呂に入れる訳もなく、家族単位で、保護者の大人エルフも男女共にやってきたのだ。
エルフ達は皆、すっぽんぽん、全裸で、どーんと何も隠す事もなく。
おおらか。
「エルフは、ちがうの?」
ネクターが不思議に聞く。
「ええ。思春期が来るまで、男でも女でもないのよ。どっちになるかは、その時期に、なりたい方になるのね。森にお風呂はないから、水浴びしたり浄化したりするんだけど、幼い頃から一緒だから、エルフ同士では、裸とか、あまり気にしないのよね。ウンウン、人は気にするんだったわ。それか、いやらしい目で見てくるか。」
そうだったー、気にするんだったね!
竜樹様は、いやらしい目じゃないから、大丈夫だね!
なんて、男女共に和やかに。
ウン、こんな時に、いやらしい目では見ないけど、俺は人で男で大人だから、見てるこっちが恥ずかしいのです。
そして竜樹は納得がいった。ロテュス王子の股間、ツルッとしているのに、王子な訳が。
侍従ズに聞けば、男湯も女湯も、同じく混浴になってるらしい。
エルフ達は。
「あ、ギフトの竜樹様!テレビ見ました!助けてくれて、ありがとう、ありがとうございます!」
生まれたままの姿で寄ってきて、ギュッと手を握ってくれるのだ。
恥ずかしい?
どこに恥ずかしい所があると?
とでも言いたげなエルフ達に、むむ~、うん、ヨシ!江戸時代の湯屋だって、混浴だったのだ!と覚悟を決めて、竜樹は薄くしていた目を開く。
そんな様子を見ていたエルフ達は。
「ジュヴールの男達と、全然違うね!」
「ねー!ベタベタ触ったりも、してこないしね!」
ニコニコの、ニッコリなのだ。
ふう、と息を吐き、ショボショボ目を精一杯、キリッとする。
赤ちゃんのぴちぴちつるん肌に、汚く描かれた悍ましい呪いを、さて、解くぞ!とまず、お母さんエルフが抱いている、一人の赤ちゃんに寄って行った。
「あの、俺が触ると何故か、呪いが解けるらしいんだけど、赤ちゃんの呪いに、触っても良いですか?」
「!テレビ見ました!竜樹様、お願いします!」
期待に胸をーーーエルフの女性は、皆、おおよそ豊満ではなくて、スレンダーで神聖な感じがする身体なのが、いやらしさを減じて助かりーーー踊らせて、お母さんエルフは、赤ちゃんを抱き直して、竜樹に呪いを見やすくした。
小さな胸に、可哀想に、痛々しい茨と目の紋様である。サイズは、赤ちゃんの手のひらくらい。赤ちゃんは、ご機嫌悪そうに、何となくグズグズしている。
「良い子だねー、ちょっと触るねー。」
竜樹は真剣に、消えますようにー、落ちますようにー、と念じつつ、その呪いに触って、インクを掻き出すイメージで手を滑らせた。
ススス、ピッ!バチン!
何か接続が切れたような音に、赤ちゃんが、ブルッとする。
パチ、パチ、と瞬き。
ニコ。キャハ!
ご機嫌に笑った。
それを見ていた3王子も、ニカ!と笑う。
お母さんエルフは、ふわ!と嬉しい顔をして、赤ちゃんの胸の所を摩る。お湯を手で汲んで、ぴちゃぴちゃと洗う。ニコニコ、うふふ!とするお母さん。
「お母さんも、呪いがあるね。でも、まずは子供からやらせてもらって良いですか?大人の人は、子供達が終わってからね。1日では終わらないだろうけど、ちゃんと毎日、俺も来るから、小さい子、具合悪くて辛い人から、順番譲り合って、お願いします。」
お母さんお父さんエルフ達が、ニッコリぶんぶん、頷く。
赤ちゃん、子供達の呪いを解いていると、竜樹の手からは、ぴしゃん、と呪いのインクが滴る。
何となく汚いので、元プールの浴槽にインクが入らないよう、誰かが踏んだりもしないように、床に置いた洗面器で受ける。
「オランネージュ、ネクター、ニリヤ。そのインクに触っちゃダメだぞ。」
「ウン。」「分かった!」「はーい!」
キリッとした顔の王子達である。そうして、子供エルフ達の背中を、泡泡洗ってあげたり、お湯をかけてあげたり、と頑張ってお助けしている。
そして、流石、高貴な方のお支度を手伝う侍女侍従ズ。
エルフの全裸に、性別問わずポッと赤らむ事もなく、平静である。洗う為のタオルを配り、洗面器を配り、洗い方を教えて、八面六臂の大活躍。
エルフ達は、ゆっくりお湯に浸かり、は~っ、と、心地よいため息である。
「パシフィストとか、他の国に、お助け願ったって聞いて、大丈夫かなって思ったけど。」
「お腹もいっぱいだし。」
「お風呂、気持ち良いし。」
「皆、優しいし。」
「なんか、眠くなってきちゃった。」
「ぅあぶ~!」
うっとり。
さっぱり。
着替えは、急遽、古着を扱う店から在庫を引っ張ってきて、新品ではないけれど、綺麗に洗濯をされた服を、よりどり。
湯に浸かって、喉が渇いた所に、果実水もある。
ほこほこになったエルフ達は、送迎の一角馬馬車にゆるりと乗り込み、体育館に帰る。
体育館では、まだテレビがニュースをやっている。
「ここでお知らせです。パシフィストの国民で、エルフ達を、お助けしたいな!と思われるボランティアの方。直接体育館に来ないで、まずは大画面広場の、ボランティア受付にお越し下さい。今日の受付は締め切りましたが、明日は朝7時から、受付しています。ボランティアにはお金が出ませんし、食事も出ません。なので、半日だけ、など、お助けの仕方は、受付してから、お助けする方、そして受けるエルフ達双方に、無理ないように、割り振りする事になります。」
男性アナウンサーが言い。
「料理の手伝いでは、野菜の皮剥きなど、些細な事が、大人数の分ということで、積み重なると大変なのですよね。」
女性アナウンサーが、頷きつつ、返す。
「そうですよね。そういう、ちょっとした事をお助けしてくれる人を、募っています。また、エルフ達も、身体や心が回復してくれば、自分達でやりたいな、という事も、増えてくると思います。お互い、無理なく、やっていきましょう。」
ニッコリ、と2人のアナウンサーは笑顔。
「また、お金の寄付、だけではなくて、例えば食材、着るもの、他、色々なものをあげたいな、と思う方。皆バラバラに体育館にやってきて、だと、物が余ったり、その手続きに現場が忙しくなったり、と混乱を招きます。」
「こちらも、大画面広場の、エルフ救助の寄付係までお越し下さい。お金の寄付は銅貨1枚から。物資の寄付は、ご相談に乗る形になります。例えば、古着なら、1枚から。サイズが合わなくなって、でも物は悪くない、なんていう服があったら、気軽に持ってきてください。お洗濯は、してきて下さいね。エルフの子供達に、もう子供が読まなくなった絵本を、なんていうのも、良いですね。地方でも、同じく大画面のある広場に受付ができます。そういった物資を、整理する係、などにも、ボランティアが必要ですね。」
「食材は、時止めの倉庫に入れたりできます。まずはご相談下さい。」
「物流が混乱して、物はあるのに届かない、なんて事になったら、せっかく助けたいと思っているのに、残念な結果になりますね?」
「ええ、ですから、慌てず、騒がず、皆さん普段の自分の生活も、充分大事にしながら。ほんの少し、可能な範囲で、長く救助をしていきましょう。勿論、国庫から、お金を払って物資を買ったり、人を雇ったりもします。他国からの救助もあります。色々な方法があると、良いですよね。」
「「皆さん、よろしくお願い致します。」」
テレビを見ながら、エルフ達は思う。
この人達、本気で助けようとしてくれてるんだな、って。
底辺の生活で、蔑まれていた心が、身体が、ほんわりする。
「さて、今夜のニュースは、ここまで。明日また、この時間にお会いしましょう。今夜はこの後も、特別な番組があります。チャンネルは、そのまま。」
ニュースが終わると、ポツン、と一人の女性が、本を持ち椅子に座っている、暗い映像が映る。
「皆さん、今晩は。今夜は私、マルク・パージュが、皆さんのおやすみまでのひと時を、ご一緒できれば、と思います。幼い頃、眠る時、お父さんやお母さんに、お話をせがんだり、しませんでしたか?大人だって、疲れている時には、静かな声で、お話を聞きながら、安心して眠りにつきたい。そんなふうに思う事はありませんか?」
「勿論、子供達も、聞いて下さいね。そして、眠くなったら、そっと目を閉じて、夢の世界へ。それでは、今夜の本。小さな王子様が、自分の星を出て、色々な星を巡り、そして愛に気づくお話です。ーーー。」
パージュさんの、低く、まあるい声が、ゆっくり静かに、体育館を満たす。
急いで集められた少ない布団を分け合って、体育館の灯りが間引きされ、うっすらと暗くなる。
マルサが手配した、警備の者達が、疲れ果てたエルフを、寝ずの番で守っている。
パージュさんが、今日はここまで、お休みなさい、良い夢を。と言った時、体育館で起きているエルフは、1人もいなかった。
竜樹は、目を両手で隠して、真っ赤になって俯いた。
ここはプール。今は、湯浴み場。
エルフ達の呪いを解き、そしてロテュス王子の「エルフ達をお風呂にいれてやって」との願いを叶える為に。
竜樹と3王子達、そしてお助け侍女侍従ズが、男湯、女湯、子供と赤ちゃん湯と分かれて、スタンバイしていたのだが。
3王子も、きゃっと目を覆っているが、ちょっと、いや大分くたびれたエルフ達は、それを見て、ニコニコするばかり。
「何故に、混浴?文化の違いかな?だったら、仕方ないけど、エルフ達、恥ずかしくはないの?」
「?恥ずかしい?ああ、そういえば、人って生まれた時から、男女で分かれてるんでしたよね。」
一人のお母さんエルフが、手を繋いでエルフ幼児を連れて、竜樹の疑問に、お返事してくれた。
まずは子供と赤ちゃん湯で、小ちゃい子順に呪いを解いて、と竜樹は思っていたのだけれど。当然子供と赤ちゃん達だけでお風呂に入れる訳もなく、家族単位で、保護者の大人エルフも男女共にやってきたのだ。
エルフ達は皆、すっぽんぽん、全裸で、どーんと何も隠す事もなく。
おおらか。
「エルフは、ちがうの?」
ネクターが不思議に聞く。
「ええ。思春期が来るまで、男でも女でもないのよ。どっちになるかは、その時期に、なりたい方になるのね。森にお風呂はないから、水浴びしたり浄化したりするんだけど、幼い頃から一緒だから、エルフ同士では、裸とか、あまり気にしないのよね。ウンウン、人は気にするんだったわ。それか、いやらしい目で見てくるか。」
そうだったー、気にするんだったね!
竜樹様は、いやらしい目じゃないから、大丈夫だね!
なんて、男女共に和やかに。
ウン、こんな時に、いやらしい目では見ないけど、俺は人で男で大人だから、見てるこっちが恥ずかしいのです。
そして竜樹は納得がいった。ロテュス王子の股間、ツルッとしているのに、王子な訳が。
侍従ズに聞けば、男湯も女湯も、同じく混浴になってるらしい。
エルフ達は。
「あ、ギフトの竜樹様!テレビ見ました!助けてくれて、ありがとう、ありがとうございます!」
生まれたままの姿で寄ってきて、ギュッと手を握ってくれるのだ。
恥ずかしい?
どこに恥ずかしい所があると?
とでも言いたげなエルフ達に、むむ~、うん、ヨシ!江戸時代の湯屋だって、混浴だったのだ!と覚悟を決めて、竜樹は薄くしていた目を開く。
そんな様子を見ていたエルフ達は。
「ジュヴールの男達と、全然違うね!」
「ねー!ベタベタ触ったりも、してこないしね!」
ニコニコの、ニッコリなのだ。
ふう、と息を吐き、ショボショボ目を精一杯、キリッとする。
赤ちゃんのぴちぴちつるん肌に、汚く描かれた悍ましい呪いを、さて、解くぞ!とまず、お母さんエルフが抱いている、一人の赤ちゃんに寄って行った。
「あの、俺が触ると何故か、呪いが解けるらしいんだけど、赤ちゃんの呪いに、触っても良いですか?」
「!テレビ見ました!竜樹様、お願いします!」
期待に胸をーーーエルフの女性は、皆、おおよそ豊満ではなくて、スレンダーで神聖な感じがする身体なのが、いやらしさを減じて助かりーーー踊らせて、お母さんエルフは、赤ちゃんを抱き直して、竜樹に呪いを見やすくした。
小さな胸に、可哀想に、痛々しい茨と目の紋様である。サイズは、赤ちゃんの手のひらくらい。赤ちゃんは、ご機嫌悪そうに、何となくグズグズしている。
「良い子だねー、ちょっと触るねー。」
竜樹は真剣に、消えますようにー、落ちますようにー、と念じつつ、その呪いに触って、インクを掻き出すイメージで手を滑らせた。
ススス、ピッ!バチン!
何か接続が切れたような音に、赤ちゃんが、ブルッとする。
パチ、パチ、と瞬き。
ニコ。キャハ!
ご機嫌に笑った。
それを見ていた3王子も、ニカ!と笑う。
お母さんエルフは、ふわ!と嬉しい顔をして、赤ちゃんの胸の所を摩る。お湯を手で汲んで、ぴちゃぴちゃと洗う。ニコニコ、うふふ!とするお母さん。
「お母さんも、呪いがあるね。でも、まずは子供からやらせてもらって良いですか?大人の人は、子供達が終わってからね。1日では終わらないだろうけど、ちゃんと毎日、俺も来るから、小さい子、具合悪くて辛い人から、順番譲り合って、お願いします。」
お母さんお父さんエルフ達が、ニッコリぶんぶん、頷く。
赤ちゃん、子供達の呪いを解いていると、竜樹の手からは、ぴしゃん、と呪いのインクが滴る。
何となく汚いので、元プールの浴槽にインクが入らないよう、誰かが踏んだりもしないように、床に置いた洗面器で受ける。
「オランネージュ、ネクター、ニリヤ。そのインクに触っちゃダメだぞ。」
「ウン。」「分かった!」「はーい!」
キリッとした顔の王子達である。そうして、子供エルフ達の背中を、泡泡洗ってあげたり、お湯をかけてあげたり、と頑張ってお助けしている。
そして、流石、高貴な方のお支度を手伝う侍女侍従ズ。
エルフの全裸に、性別問わずポッと赤らむ事もなく、平静である。洗う為のタオルを配り、洗面器を配り、洗い方を教えて、八面六臂の大活躍。
エルフ達は、ゆっくりお湯に浸かり、は~っ、と、心地よいため息である。
「パシフィストとか、他の国に、お助け願ったって聞いて、大丈夫かなって思ったけど。」
「お腹もいっぱいだし。」
「お風呂、気持ち良いし。」
「皆、優しいし。」
「なんか、眠くなってきちゃった。」
「ぅあぶ~!」
うっとり。
さっぱり。
着替えは、急遽、古着を扱う店から在庫を引っ張ってきて、新品ではないけれど、綺麗に洗濯をされた服を、よりどり。
湯に浸かって、喉が渇いた所に、果実水もある。
ほこほこになったエルフ達は、送迎の一角馬馬車にゆるりと乗り込み、体育館に帰る。
体育館では、まだテレビがニュースをやっている。
「ここでお知らせです。パシフィストの国民で、エルフ達を、お助けしたいな!と思われるボランティアの方。直接体育館に来ないで、まずは大画面広場の、ボランティア受付にお越し下さい。今日の受付は締め切りましたが、明日は朝7時から、受付しています。ボランティアにはお金が出ませんし、食事も出ません。なので、半日だけ、など、お助けの仕方は、受付してから、お助けする方、そして受けるエルフ達双方に、無理ないように、割り振りする事になります。」
男性アナウンサーが言い。
「料理の手伝いでは、野菜の皮剥きなど、些細な事が、大人数の分ということで、積み重なると大変なのですよね。」
女性アナウンサーが、頷きつつ、返す。
「そうですよね。そういう、ちょっとした事をお助けしてくれる人を、募っています。また、エルフ達も、身体や心が回復してくれば、自分達でやりたいな、という事も、増えてくると思います。お互い、無理なく、やっていきましょう。」
ニッコリ、と2人のアナウンサーは笑顔。
「また、お金の寄付、だけではなくて、例えば食材、着るもの、他、色々なものをあげたいな、と思う方。皆バラバラに体育館にやってきて、だと、物が余ったり、その手続きに現場が忙しくなったり、と混乱を招きます。」
「こちらも、大画面広場の、エルフ救助の寄付係までお越し下さい。お金の寄付は銅貨1枚から。物資の寄付は、ご相談に乗る形になります。例えば、古着なら、1枚から。サイズが合わなくなって、でも物は悪くない、なんていう服があったら、気軽に持ってきてください。お洗濯は、してきて下さいね。エルフの子供達に、もう子供が読まなくなった絵本を、なんていうのも、良いですね。地方でも、同じく大画面のある広場に受付ができます。そういった物資を、整理する係、などにも、ボランティアが必要ですね。」
「食材は、時止めの倉庫に入れたりできます。まずはご相談下さい。」
「物流が混乱して、物はあるのに届かない、なんて事になったら、せっかく助けたいと思っているのに、残念な結果になりますね?」
「ええ、ですから、慌てず、騒がず、皆さん普段の自分の生活も、充分大事にしながら。ほんの少し、可能な範囲で、長く救助をしていきましょう。勿論、国庫から、お金を払って物資を買ったり、人を雇ったりもします。他国からの救助もあります。色々な方法があると、良いですよね。」
「「皆さん、よろしくお願い致します。」」
テレビを見ながら、エルフ達は思う。
この人達、本気で助けようとしてくれてるんだな、って。
底辺の生活で、蔑まれていた心が、身体が、ほんわりする。
「さて、今夜のニュースは、ここまで。明日また、この時間にお会いしましょう。今夜はこの後も、特別な番組があります。チャンネルは、そのまま。」
ニュースが終わると、ポツン、と一人の女性が、本を持ち椅子に座っている、暗い映像が映る。
「皆さん、今晩は。今夜は私、マルク・パージュが、皆さんのおやすみまでのひと時を、ご一緒できれば、と思います。幼い頃、眠る時、お父さんやお母さんに、お話をせがんだり、しませんでしたか?大人だって、疲れている時には、静かな声で、お話を聞きながら、安心して眠りにつきたい。そんなふうに思う事はありませんか?」
「勿論、子供達も、聞いて下さいね。そして、眠くなったら、そっと目を閉じて、夢の世界へ。それでは、今夜の本。小さな王子様が、自分の星を出て、色々な星を巡り、そして愛に気づくお話です。ーーー。」
パージュさんの、低く、まあるい声が、ゆっくり静かに、体育館を満たす。
急いで集められた少ない布団を分け合って、体育館の灯りが間引きされ、うっすらと暗くなる。
マルサが手配した、警備の者達が、疲れ果てたエルフを、寝ずの番で守っている。
パージュさんが、今日はここまで、お休みなさい、良い夢を。と言った時、体育館で起きているエルフは、1人もいなかった。
34
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
異世界で双子の勇者の保護者になりました
ななくさ ゆう
ファンタジー
【ちびっ子育成冒険ファンタジー! 未来の勇者兄妹はとってもかわいい!】
就活生の朱鳥翔斗(ショート)は、幼子をかばってトラックにひかれ半死半生の状態になる。
ショートが蘇生する条件は、異世界で未来の勇者を育てあげること。
異世界に転移し、奴隷商人から未来の勇者兄妹を助け出すショート。
だが、未来の勇者アレルとフロルはまだ5歳の幼児だった!!
とってもかわいい双子のちびっ子兄妹を育成しながら、異世界で冒険者として活動を始めるショート。
はたして、彼は無事双子を勇者に育て上げることができるのか!?
ちびっ子育成冒険ファンタジー小説開幕!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1話2000~3000文字前後になるように意識して執筆しています(例外あり)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
カクヨムとノベリズムにも投稿しています
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~
明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる