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本編
陽炎の月12日 竜樹4
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「ごちそうさまでしたー!」
「「「ごちそさまでした!!」」」
ランチミーティングは盛り上がって、食べながら話す子供達は、いつもよりゆっくり目に食べ終わった。竜樹は途中から、スムーズに話が進むよう、ちょいちょい、とアシストするくらい。子供達の自由に任せた。
今日は、自己紹介を途中までと、教会毎のリーダー決めまでで、よしとする、となった。
片付けもそれぞれ。器を洗ったりするのを、教会によっては当番を決めて、子供達で回していたり。全員自分のをやる所もある。時間はかかるが、躾なのだろう。小ちゃい子も、布巾で皿を拭いて、手伝いしたり。
「俺たちも、当番する?決めちゃう?」
「せいかつのこと、できると、トクなんだよね、竜樹とーさ。」
他の地区の子も、自然に話に混ざる。
「うん、そうだよ。段々に、皆に教えてあげるね。こないだから、寮では、時々自分の服の洗濯もしてるんだよね~。」
うん!と良いお返事。
「どうしてトクなの~?」
「人に任せる事ができるのも重要だけど、生活の事ができると、気持ちよく健康に、自分のご機嫌とって暮らせるからねぇ。大きくなって、結婚したりして、家族ができても役立つしね。」
ヘェ~。
王都から一番遠い、アンクル地方のモニターに、歩きはじめてまだ、よちよちな、ぽっこりお腹の赤ちゃんが、大アップで映る。興味を持って、モニターについている自動で話をしたい人にフォーカスするカメラに、近づいてきたのだ。
面倒をみる大人の、お手伝いらしき女性が、微笑んで膝をつき、様子を見守っている。
竜樹をじっと見て。指をちゅ、ちゅ、と吸っている。ふす、と鼻息。
「こんにちは~ラマン。ご飯たくさん貰えたかい?ごきげんかな?」
お名前呼ばれて、は~い、ができるのだ。小さなおててが、ぱ、と開いた。
「そうなの、ごきげんなの。良いねぇ、良かったねぇ。」
竜樹の、ゆっくりした喋りに、うふ、と笑って。
おててが、こっちにおいで、おいで、した。
ふふふ、とお手伝いの女性が、笑って竜樹に説明する。
「ラマンは、普段、面倒見の良い助祭様が主に相手をしているものだから、ギフトの御方様くらいの年齢の男性が、好きらしいんですよ。」
背景で、確かに竜樹くらいの年齢の、下がり眉で痩せ気味な助祭が、他の子の背中に手をやりながらも、ふは、とこちらに笑ってみせた。
「そうなんですかぁ。好きなの、ラマン。嬉しいなぁ。竜樹父さんも、大好きだよー。」
こっちにおいで、か。
画面に映ってたら、飛び越えて会いに来れると思うよね。
しきりに、おいでおいでをする、ラマン。
「竜樹父さんも、ラマンや、皆に会いたいよ~。画面から、皆の所に行き来できると良いんだけ、ど、ねぇ~。んん?」
あう~、と画面を舐めんばかりに近づき、女性に、はいはい、と宥められて抱っこされて連れていかれるラマンに苦笑しつつ、竜樹は、はたと。
「てんい•••。」
(転移魔法って概念は、チリ魔法院長に、教えるべき?)
可能かどうかも分からないが、しかしチリに頼めば、可能になりそうな気がしないでもない。かつ、運用には、注意が沢山必要だろう。
国々の、戦いの力に利用されないように。軍隊をまるっと転移で送られでもしたら。暗殺者が、スパイが、送られたら。
ぶるる、とする竜樹である。
それに、飛びトカゲ便で、国の血脈とも言える運送が、やっと国という体内に、栄養を届けながら末端の地方まで巡りはじめたのに。その道が閉ざされ、飛びトカゲ便が廃れ、転移で飛ばされた途中の都市や村が衰え、限られた点だけ潤うのは、よくない。
しかし、転移が出来れば、この16と1、そして寮の子供達と、心配な時すぐに会えて、話ができ、面倒も見られる。報告も毎日貰える。
「ぬぬぬぬぬ。」
ぶるるるる。
ん?
スマホを見ると、神々の庭。
ルート
『竜樹。私は運送、道の神、ルート。
今、竜樹が考えている事は、その危惧は、正しい問題、課題よな。
しかし、重々注意して運用すれば、血脈たる道も、地方も、益々栄えよう。
扱いは慎重に、慎重に。
そして他の国とも連携をとって、どこかの国に、言い訳しながら自由にさせて、壊死や戦いを起こさせぬようにな。そうなっては、せっかくの道が、壊れてしまう。コントロールが必要だ。』
竜樹
「はい、ルート神様。初めまして、畠中竜樹です。慎重に、大胆に、ですね!」
ルート
『うむ、うむ。もし、制限する方法に困ったら、転移には漏れなく、神への宣誓、誓いが必要だとすればいい。悪に利用せぬ、人を他国を傷つけぬ、と。』
竜樹
「そんな風にさせてもらっても、宜しいのですか?ルート神様、大変じゃないですか?」
ルート
『ふふふ。違反している者、悪意ある者、悪意はなくても悪に利用されている者だけ通さない、など、軽くできる事よ。我は運送、道の神。血脈の中の、異物を除く事など容易である。任せなさい。』
竜樹
「ありがとうございます!では、転移という概念を、まずはこっそり極秘で、チリ魔法院長にだけ伝えてみますね。注意点も話しつつ。」
ルート
『うむ。よろしい。竜樹は今日は、神の相手も2度目、私もこっそり参った!すまぬな。ランセに怒られないうちに、ではまたな!』
竜樹
「いえいえ、ご配慮ありがとうございます!では、今後とも、よろしくお願いします!」
ルート
『(^_-)-☆』
ランセ
『(*´-`)』
おおお、神様、顔文字使ったよ!
「片付け終わりましたか~。」
「「「は~い!!」」」
「じゃあ、ここからは竜樹父さんにお話を戻させてね。おぼんの準備をしよう。まずは、祭壇になる机を出して、布をかけてね。邪魔じゃない所にね。」
大人達も、この辺がいいかな、なんて言いつつ、どこの教会でも夕方から迎え火、魂迎えの儀式の準備があるから、何となく忙しげだ。
子供達が机に布をかけ、自分達の大事な、夢に出てきてくれた親やご先祖との写真を飾り、御神酒とお供物を捧げて。
夕方から迎え火に使う、魔道具ランプを祭壇の前に準備。
ここらで、小っちゃい子達が、ふわぁあ、と欠伸をし出したから、お昼寝、するかぁ~、とテレビ電話を一旦切る事にした。
「また夕飯の時に会いましょう。皆、またね~!」
「またね~竜樹父さん!」
「「また~!!」」
「「とーちゃ~!」」
「「「ごちそさまでした!!」」」
ランチミーティングは盛り上がって、食べながら話す子供達は、いつもよりゆっくり目に食べ終わった。竜樹は途中から、スムーズに話が進むよう、ちょいちょい、とアシストするくらい。子供達の自由に任せた。
今日は、自己紹介を途中までと、教会毎のリーダー決めまでで、よしとする、となった。
片付けもそれぞれ。器を洗ったりするのを、教会によっては当番を決めて、子供達で回していたり。全員自分のをやる所もある。時間はかかるが、躾なのだろう。小ちゃい子も、布巾で皿を拭いて、手伝いしたり。
「俺たちも、当番する?決めちゃう?」
「せいかつのこと、できると、トクなんだよね、竜樹とーさ。」
他の地区の子も、自然に話に混ざる。
「うん、そうだよ。段々に、皆に教えてあげるね。こないだから、寮では、時々自分の服の洗濯もしてるんだよね~。」
うん!と良いお返事。
「どうしてトクなの~?」
「人に任せる事ができるのも重要だけど、生活の事ができると、気持ちよく健康に、自分のご機嫌とって暮らせるからねぇ。大きくなって、結婚したりして、家族ができても役立つしね。」
ヘェ~。
王都から一番遠い、アンクル地方のモニターに、歩きはじめてまだ、よちよちな、ぽっこりお腹の赤ちゃんが、大アップで映る。興味を持って、モニターについている自動で話をしたい人にフォーカスするカメラに、近づいてきたのだ。
面倒をみる大人の、お手伝いらしき女性が、微笑んで膝をつき、様子を見守っている。
竜樹をじっと見て。指をちゅ、ちゅ、と吸っている。ふす、と鼻息。
「こんにちは~ラマン。ご飯たくさん貰えたかい?ごきげんかな?」
お名前呼ばれて、は~い、ができるのだ。小さなおててが、ぱ、と開いた。
「そうなの、ごきげんなの。良いねぇ、良かったねぇ。」
竜樹の、ゆっくりした喋りに、うふ、と笑って。
おててが、こっちにおいで、おいで、した。
ふふふ、とお手伝いの女性が、笑って竜樹に説明する。
「ラマンは、普段、面倒見の良い助祭様が主に相手をしているものだから、ギフトの御方様くらいの年齢の男性が、好きらしいんですよ。」
背景で、確かに竜樹くらいの年齢の、下がり眉で痩せ気味な助祭が、他の子の背中に手をやりながらも、ふは、とこちらに笑ってみせた。
「そうなんですかぁ。好きなの、ラマン。嬉しいなぁ。竜樹父さんも、大好きだよー。」
こっちにおいで、か。
画面に映ってたら、飛び越えて会いに来れると思うよね。
しきりに、おいでおいでをする、ラマン。
「竜樹父さんも、ラマンや、皆に会いたいよ~。画面から、皆の所に行き来できると良いんだけ、ど、ねぇ~。んん?」
あう~、と画面を舐めんばかりに近づき、女性に、はいはい、と宥められて抱っこされて連れていかれるラマンに苦笑しつつ、竜樹は、はたと。
「てんい•••。」
(転移魔法って概念は、チリ魔法院長に、教えるべき?)
可能かどうかも分からないが、しかしチリに頼めば、可能になりそうな気がしないでもない。かつ、運用には、注意が沢山必要だろう。
国々の、戦いの力に利用されないように。軍隊をまるっと転移で送られでもしたら。暗殺者が、スパイが、送られたら。
ぶるる、とする竜樹である。
それに、飛びトカゲ便で、国の血脈とも言える運送が、やっと国という体内に、栄養を届けながら末端の地方まで巡りはじめたのに。その道が閉ざされ、飛びトカゲ便が廃れ、転移で飛ばされた途中の都市や村が衰え、限られた点だけ潤うのは、よくない。
しかし、転移が出来れば、この16と1、そして寮の子供達と、心配な時すぐに会えて、話ができ、面倒も見られる。報告も毎日貰える。
「ぬぬぬぬぬ。」
ぶるるるる。
ん?
スマホを見ると、神々の庭。
ルート
『竜樹。私は運送、道の神、ルート。
今、竜樹が考えている事は、その危惧は、正しい問題、課題よな。
しかし、重々注意して運用すれば、血脈たる道も、地方も、益々栄えよう。
扱いは慎重に、慎重に。
そして他の国とも連携をとって、どこかの国に、言い訳しながら自由にさせて、壊死や戦いを起こさせぬようにな。そうなっては、せっかくの道が、壊れてしまう。コントロールが必要だ。』
竜樹
「はい、ルート神様。初めまして、畠中竜樹です。慎重に、大胆に、ですね!」
ルート
『うむ、うむ。もし、制限する方法に困ったら、転移には漏れなく、神への宣誓、誓いが必要だとすればいい。悪に利用せぬ、人を他国を傷つけぬ、と。』
竜樹
「そんな風にさせてもらっても、宜しいのですか?ルート神様、大変じゃないですか?」
ルート
『ふふふ。違反している者、悪意ある者、悪意はなくても悪に利用されている者だけ通さない、など、軽くできる事よ。我は運送、道の神。血脈の中の、異物を除く事など容易である。任せなさい。』
竜樹
「ありがとうございます!では、転移という概念を、まずはこっそり極秘で、チリ魔法院長にだけ伝えてみますね。注意点も話しつつ。」
ルート
『うむ。よろしい。竜樹は今日は、神の相手も2度目、私もこっそり参った!すまぬな。ランセに怒られないうちに、ではまたな!』
竜樹
「いえいえ、ご配慮ありがとうございます!では、今後とも、よろしくお願いします!」
ルート
『(^_-)-☆』
ランセ
『(*´-`)』
おおお、神様、顔文字使ったよ!
「片付け終わりましたか~。」
「「「は~い!!」」」
「じゃあ、ここからは竜樹父さんにお話を戻させてね。おぼんの準備をしよう。まずは、祭壇になる机を出して、布をかけてね。邪魔じゃない所にね。」
大人達も、この辺がいいかな、なんて言いつつ、どこの教会でも夕方から迎え火、魂迎えの儀式の準備があるから、何となく忙しげだ。
子供達が机に布をかけ、自分達の大事な、夢に出てきてくれた親やご先祖との写真を飾り、御神酒とお供物を捧げて。
夕方から迎え火に使う、魔道具ランプを祭壇の前に準備。
ここらで、小っちゃい子達が、ふわぁあ、と欠伸をし出したから、お昼寝、するかぁ~、とテレビ電話を一旦切る事にした。
「また夕飯の時に会いましょう。皆、またね~!」
「またね~竜樹父さん!」
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