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本編
買うのかーさに
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王妃様と王太后様が、色々なタイプのミュール、サンダルを試す。
つま先が尖って、踵に解放感ありながらもドレッシーな雰囲気のもの。
甲にギャザーが寄ってリボンがちょい、とついているもの。
四角いバックルがポイントについているもの。
つま先は見えたり見えなかったり。
甲を細い皮で3本、繊細に纏めているものに。
甲の布が太く、底が厚いもの。
履いては歩き、歩いては履き。
「おくつ、かわいいねぇ。」
ニリヤがヒールのあるミュールを、カポ、と履いて、小さい足が大きな靴をプラプラ、カランコンカランコ、歩く。
これこれ。職人さんが精魂込めて作ったお靴だよ、と、竜樹が、め!する。抱き上げてニリヤのビーサンに着地。
ごめんなさい、と高級靴店店主と職人に、皆謝って笑って。
子供は試し履きとか飽きちゃうよねえ、いつも良い子のニリヤでさえそうなのだから、他の皆もそうだろう。
と思うが、割合と皆、熱心に見ているのだ。
「•••たつきとーさ、おかあさんに買う?」
サンが一言。すると皆で。
「買おうよ!」
「かわいい、やつ!」
「おとこの、かいしょう!」
おおう。水着の時と同じ流れ。
「王族の方達が、買ってから、平民用のが出たらね!」
ニコリ!と竜樹は笑っておいた。ラフィネさん的にも、それが安心だろう。
「私はいいわよ、無理のお願いダメよ。」とラフィネは言うが、子供達は。
「無理じゃないの。」
「かわいいの、にあう。」
「ラフィネかーさ、かわいくするの!」
と言い募る。
私達も買って貰えないのに!と元王女シエルが独り言を言ったが、「シエル姉ちゃんは、ファッションショーで履けるじゃん。」と相手にされなかった。
クス、と王妃様と王太后様は、密かに笑い合い。試し履きに意識を戻す。
「このミュールも素敵。素晴らしいわ!」
「ヒールがない底の厚いものも、爽やかな感じね!」
王妃様と王太后様は、足のサイズが似ているとの事で、お互いにとっかえひっかえ。なるべくテイストが似かよらないデザインを、3つずつほど選び、こちらはちゃんと合ったサイズに調整して新たに作るとのこと。
ヒールがあると、合わない靴はとても疲れるから、そしてましてや王族からのご依頼だから、それはそうなる。
王族女子の吟味が終わり、王族男子にも、執務室やちょっと足を休めつつ歩く時向けのサンダルを、高級靴店店主が出してきた。
メンズサイズのサンダルは、皮で細かい細工のあるものや。
シンプルで、2本の帯で甲を覆った、歩きやすそうなものなど。
やはり女性用よりガッチリしている。
こちらも気に入ったものを、2足指定して、サイズ合わせ、製作待ちとなった。
「店主さん、職人さん、レベルの高いお仕事、ありがとうございます。急ぎの仕事の対応、助かります。特別賞与、ボーナスを出しますから、受け取っていってください。試作品のお代にも、なると良いんだけど。庶民向けの靴商店長と職人の皆さんにも、ありますからね。頑張っていただいて。」
「「「有り難く、頂戴致します。」」」
本当は、アイデア料を払いたいくらいだけれど!
と店主も職人も、靴商店長も思ったけれど、ニコニコと竜樹が、職人の頑張りを労ってくれるから、そして本当に頑張って作ったから、貰わなければ無粋になる、と笑顔で受け取った。
かくなる上は、販売で返すしか。売れば竜樹にお金が入るのだ。
ちなみに、スマホの資料を参考にはしたが、そっくり同じ意匠をもつものはなかった。職人魂である。いいねは1000ほど消費された。これから広まっていくから、それを鑑みた、いいねの値だろう。
靴の試し履きが終わると、王族達は帰っていったので、貴族組と子供達も、ホッとしてゆるんだ。王子達は通常営業。
おやつにしよ、とくつろぎ、蜜柑入り牛乳かんを、分けっこして食べた。
ビーサンは王宮の庭で大活躍。頼んで作ってもらった縁台に皆で腰掛け、足をぷらぷら。
お風呂後、夕涼みしながら、庭で魔法の手持ち花火やったりした。
この花火も、お試しにやってみてね、の品である。火薬を教えるのが嫌で、魔法に頼った。一回での使い捨てではなく、魔石のかけらが消費され尽くすまで使える。
スイカも食べたら、タネをぺっと庭に出す。
そのタネが数日後、ヒョロリと芽を出すのも、あるあるだ。
スイカが芽を出した日。
ピティエは、兄ジェネルーと体育館に来ている。
モデルとして選ばれた者達が、歩き方を学ぶ為、ここに集まっているのだ。
大丈夫かなぁ、はぁ。
頼り甲斐ある子供達、プレイヤード、アミューズ、エフォールのいない、ピティエの挑戦。
どんな事になっちゃうんだろ、と怖い7割、ちょっとだけ期待。
竜樹が、見本の動画を見せてくれるがてら、来てくれるというから、またまた少しホッとする。
白杖をコツンと当てて探りつつ、兄ジェネルーにも頼りつつ、入り口の浄化魔法陣に立った。
キラリ!と光り。
眼裏に、あの神々しい、何らかの畑。
それを目標にして、頑張らなければ。
不安も浄化で、無くなればいいのにね。
つま先が尖って、踵に解放感ありながらもドレッシーな雰囲気のもの。
甲にギャザーが寄ってリボンがちょい、とついているもの。
四角いバックルがポイントについているもの。
つま先は見えたり見えなかったり。
甲を細い皮で3本、繊細に纏めているものに。
甲の布が太く、底が厚いもの。
履いては歩き、歩いては履き。
「おくつ、かわいいねぇ。」
ニリヤがヒールのあるミュールを、カポ、と履いて、小さい足が大きな靴をプラプラ、カランコンカランコ、歩く。
これこれ。職人さんが精魂込めて作ったお靴だよ、と、竜樹が、め!する。抱き上げてニリヤのビーサンに着地。
ごめんなさい、と高級靴店店主と職人に、皆謝って笑って。
子供は試し履きとか飽きちゃうよねえ、いつも良い子のニリヤでさえそうなのだから、他の皆もそうだろう。
と思うが、割合と皆、熱心に見ているのだ。
「•••たつきとーさ、おかあさんに買う?」
サンが一言。すると皆で。
「買おうよ!」
「かわいい、やつ!」
「おとこの、かいしょう!」
おおう。水着の時と同じ流れ。
「王族の方達が、買ってから、平民用のが出たらね!」
ニコリ!と竜樹は笑っておいた。ラフィネさん的にも、それが安心だろう。
「私はいいわよ、無理のお願いダメよ。」とラフィネは言うが、子供達は。
「無理じゃないの。」
「かわいいの、にあう。」
「ラフィネかーさ、かわいくするの!」
と言い募る。
私達も買って貰えないのに!と元王女シエルが独り言を言ったが、「シエル姉ちゃんは、ファッションショーで履けるじゃん。」と相手にされなかった。
クス、と王妃様と王太后様は、密かに笑い合い。試し履きに意識を戻す。
「このミュールも素敵。素晴らしいわ!」
「ヒールがない底の厚いものも、爽やかな感じね!」
王妃様と王太后様は、足のサイズが似ているとの事で、お互いにとっかえひっかえ。なるべくテイストが似かよらないデザインを、3つずつほど選び、こちらはちゃんと合ったサイズに調整して新たに作るとのこと。
ヒールがあると、合わない靴はとても疲れるから、そしてましてや王族からのご依頼だから、それはそうなる。
王族女子の吟味が終わり、王族男子にも、執務室やちょっと足を休めつつ歩く時向けのサンダルを、高級靴店店主が出してきた。
メンズサイズのサンダルは、皮で細かい細工のあるものや。
シンプルで、2本の帯で甲を覆った、歩きやすそうなものなど。
やはり女性用よりガッチリしている。
こちらも気に入ったものを、2足指定して、サイズ合わせ、製作待ちとなった。
「店主さん、職人さん、レベルの高いお仕事、ありがとうございます。急ぎの仕事の対応、助かります。特別賞与、ボーナスを出しますから、受け取っていってください。試作品のお代にも、なると良いんだけど。庶民向けの靴商店長と職人の皆さんにも、ありますからね。頑張っていただいて。」
「「「有り難く、頂戴致します。」」」
本当は、アイデア料を払いたいくらいだけれど!
と店主も職人も、靴商店長も思ったけれど、ニコニコと竜樹が、職人の頑張りを労ってくれるから、そして本当に頑張って作ったから、貰わなければ無粋になる、と笑顔で受け取った。
かくなる上は、販売で返すしか。売れば竜樹にお金が入るのだ。
ちなみに、スマホの資料を参考にはしたが、そっくり同じ意匠をもつものはなかった。職人魂である。いいねは1000ほど消費された。これから広まっていくから、それを鑑みた、いいねの値だろう。
靴の試し履きが終わると、王族達は帰っていったので、貴族組と子供達も、ホッとしてゆるんだ。王子達は通常営業。
おやつにしよ、とくつろぎ、蜜柑入り牛乳かんを、分けっこして食べた。
ビーサンは王宮の庭で大活躍。頼んで作ってもらった縁台に皆で腰掛け、足をぷらぷら。
お風呂後、夕涼みしながら、庭で魔法の手持ち花火やったりした。
この花火も、お試しにやってみてね、の品である。火薬を教えるのが嫌で、魔法に頼った。一回での使い捨てではなく、魔石のかけらが消費され尽くすまで使える。
スイカも食べたら、タネをぺっと庭に出す。
そのタネが数日後、ヒョロリと芽を出すのも、あるあるだ。
スイカが芽を出した日。
ピティエは、兄ジェネルーと体育館に来ている。
モデルとして選ばれた者達が、歩き方を学ぶ為、ここに集まっているのだ。
大丈夫かなぁ、はぁ。
頼り甲斐ある子供達、プレイヤード、アミューズ、エフォールのいない、ピティエの挑戦。
どんな事になっちゃうんだろ、と怖い7割、ちょっとだけ期待。
竜樹が、見本の動画を見せてくれるがてら、来てくれるというから、またまた少しホッとする。
白杖をコツンと当てて探りつつ、兄ジェネルーにも頼りつつ、入り口の浄化魔法陣に立った。
キラリ!と光り。
眼裏に、あの神々しい、何らかの畑。
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