176 / 512
本編
朝ごはんと報告会
しおりを挟む
意見交換会は、ファヴール教皇にお出まし願ったのもあって、不穏な事もなく、活発に意見交換しつつも、順調に終わったと言える。
それだけ貴族達も真剣にこれからのことを話したし、ラジオ番組とテレビ番組、教科書作りに申し込みもぼちぼちあった。申し込みの期間中話し合って、また参加が増えるだろう。
次ぐ日の朝、王様一家と竜樹とで、朝食報告会を開こうと集まって。モグモグと食パンにベーコン目玉焼きにパクつく。
「昨日の意見交換会は、テレビ電話で参加した方は、少し取り上げられにくくなってしまいましたね。あと、お子さん達に、もっと意見を言って欲しかったかな。」
竜樹が、ナイフで切った目玉焼きを、つるんとパンに乗せて。
「まぁ、仕方がない所もあろう。テレビ電話で参加した者達も、食い入るように画面を見つめていたな。発言も少しは出来たし、まあ、使いながら、やり方も改良していこう。子供達は、意見を言うまでいかなくても、大人と同じ待遇で、後々に良い芽が出ようよ。しかし、次々と新しい情報の発表で、愉快なほどだった。先に聞いてはいても、実物を見て、皆の反応を見ると、会議に慣れた私でも、ふわっとするな。」
王様が、むふふ、とくぐもった笑いを。
「あれから、まだ非公式にだが、優秀な平民達を、まずは試しに貴族の学園に特待生として1クラス分くらい受け入れを、という声が出ていてな。それに合わせて、平民達向けの高等学校を作ろうとも。どちらも採用される案だろうな。」
あーんと大きな口を開けて、目玉焼きの半分を口に入れた。
「それから、聾唖学校を作っても良いのじゃないかとーーーー。」
「一度表に出したし、予想外の人数の多さに、隠していられないと思ったのだろうな。竜樹殿が教えてくれた、魔道具の事も後押ししたろうし。」
「やはり、自分達に直接関係がある、となると、動きが素早いですわね。なかなか議決しない、いつもの会議はなんなの、と思います。でも私たち王族にも、近い血の問題は関係しますから、ね。他人事みたいに言っていられませんね。」
王妃様が、ミックスジュースをコクンと飲んで。
「がくえん、ぼくもかようの?」
ニリヤが、たまごの黄身を、てかっと頬にくっつけて。竜樹はそれをナプキンで拭いてやった。
「ニリヤはもう少し大きくなったら、だ。」
「まずはオランネージュからよね。16歳になったら、よ。」
「まだ猶予があるね。それまでに、お勉強しておかないとなぁ。」
オランネージュが、もぐもぐごっくんした後、後6年~と指を折る。
「ネクターもサンセール先生に、段々と学園に行く準備の勉強を習うのですよ。真面目に勉強しているから、心配はしてないけれど、何か困った事や足りないものがあったら、いつでも言ってね?」
王妃様が気遣うと、ネクターも食パンにマーマレードを塗りながら。
「はい、マルグリット様!」
良いお返事をした。
「それにしても、平民と貴族とが、こんなふうに混ざり合う事になったのは、想定外であったな。リュビなら何と言うか聞いてみたかった•••いや、失言である。すまない。」
ニリヤの母、亡くなったリュビ妃の事を思い出して、王様はふと、顔を俯ける。
「良いじゃないですか。かの方の事を思い出せるのは、関わりのある家族ならではですよ。きっと、やったね!って言うんじゃないかな。王子達のお友達も、リュビ様と同じような立ち位置の方も、増えるかもだし。」
竜樹のニッコリした笑顔に。
そうかな。ーーーそうだな。
王様は、しんみりと、だが微笑みを浮かべて頷いた。
「それに、これでニリヤの事を、下に見る風潮が、大分減るんじゃないかな、って俺は期待してますね。でも番組は、続けるけども。」
「ばんぐみ、いっしょね!ししょう!」
一緒な。くりくり、と頭を撫でてやると、ニリヤは張り切って、黄身のかかったパンに、モグッとかぶりついた。
「今日は、この後、視力の弱いルフレ公爵家長男プレイヤード君と、同じくアシュランス公爵家ピティエ様が遊びに来ます。王子達、仲良くするんだぞー。」
「「「はい!」」」
「アミューズ、みたく、いっしょあそぶ。」
「私たち、おめめが見えにくい人たちと一緒の時、どうするか勉強したもんね!」
「任せて!」
ふふふ!と王様も王妃様も、ニコッとする。
「頼もしいな、3人とも。」
「頼りにしてるわ!」
それだけ貴族達も真剣にこれからのことを話したし、ラジオ番組とテレビ番組、教科書作りに申し込みもぼちぼちあった。申し込みの期間中話し合って、また参加が増えるだろう。
次ぐ日の朝、王様一家と竜樹とで、朝食報告会を開こうと集まって。モグモグと食パンにベーコン目玉焼きにパクつく。
「昨日の意見交換会は、テレビ電話で参加した方は、少し取り上げられにくくなってしまいましたね。あと、お子さん達に、もっと意見を言って欲しかったかな。」
竜樹が、ナイフで切った目玉焼きを、つるんとパンに乗せて。
「まぁ、仕方がない所もあろう。テレビ電話で参加した者達も、食い入るように画面を見つめていたな。発言も少しは出来たし、まあ、使いながら、やり方も改良していこう。子供達は、意見を言うまでいかなくても、大人と同じ待遇で、後々に良い芽が出ようよ。しかし、次々と新しい情報の発表で、愉快なほどだった。先に聞いてはいても、実物を見て、皆の反応を見ると、会議に慣れた私でも、ふわっとするな。」
王様が、むふふ、とくぐもった笑いを。
「あれから、まだ非公式にだが、優秀な平民達を、まずは試しに貴族の学園に特待生として1クラス分くらい受け入れを、という声が出ていてな。それに合わせて、平民達向けの高等学校を作ろうとも。どちらも採用される案だろうな。」
あーんと大きな口を開けて、目玉焼きの半分を口に入れた。
「それから、聾唖学校を作っても良いのじゃないかとーーーー。」
「一度表に出したし、予想外の人数の多さに、隠していられないと思ったのだろうな。竜樹殿が教えてくれた、魔道具の事も後押ししたろうし。」
「やはり、自分達に直接関係がある、となると、動きが素早いですわね。なかなか議決しない、いつもの会議はなんなの、と思います。でも私たち王族にも、近い血の問題は関係しますから、ね。他人事みたいに言っていられませんね。」
王妃様が、ミックスジュースをコクンと飲んで。
「がくえん、ぼくもかようの?」
ニリヤが、たまごの黄身を、てかっと頬にくっつけて。竜樹はそれをナプキンで拭いてやった。
「ニリヤはもう少し大きくなったら、だ。」
「まずはオランネージュからよね。16歳になったら、よ。」
「まだ猶予があるね。それまでに、お勉強しておかないとなぁ。」
オランネージュが、もぐもぐごっくんした後、後6年~と指を折る。
「ネクターもサンセール先生に、段々と学園に行く準備の勉強を習うのですよ。真面目に勉強しているから、心配はしてないけれど、何か困った事や足りないものがあったら、いつでも言ってね?」
王妃様が気遣うと、ネクターも食パンにマーマレードを塗りながら。
「はい、マルグリット様!」
良いお返事をした。
「それにしても、平民と貴族とが、こんなふうに混ざり合う事になったのは、想定外であったな。リュビなら何と言うか聞いてみたかった•••いや、失言である。すまない。」
ニリヤの母、亡くなったリュビ妃の事を思い出して、王様はふと、顔を俯ける。
「良いじゃないですか。かの方の事を思い出せるのは、関わりのある家族ならではですよ。きっと、やったね!って言うんじゃないかな。王子達のお友達も、リュビ様と同じような立ち位置の方も、増えるかもだし。」
竜樹のニッコリした笑顔に。
そうかな。ーーーそうだな。
王様は、しんみりと、だが微笑みを浮かべて頷いた。
「それに、これでニリヤの事を、下に見る風潮が、大分減るんじゃないかな、って俺は期待してますね。でも番組は、続けるけども。」
「ばんぐみ、いっしょね!ししょう!」
一緒な。くりくり、と頭を撫でてやると、ニリヤは張り切って、黄身のかかったパンに、モグッとかぶりついた。
「今日は、この後、視力の弱いルフレ公爵家長男プレイヤード君と、同じくアシュランス公爵家ピティエ様が遊びに来ます。王子達、仲良くするんだぞー。」
「「「はい!」」」
「アミューズ、みたく、いっしょあそぶ。」
「私たち、おめめが見えにくい人たちと一緒の時、どうするか勉強したもんね!」
「任せて!」
ふふふ!と王様も王妃様も、ニコッとする。
「頼もしいな、3人とも。」
「頼りにしてるわ!」
33
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜
藤*鳳
ファンタジー
楽しく親子4人で生活していたある日、交通事故にあい命を落とした...はずなんだけど...??
神様の御好意により新たな世界で新たな人生を歩むことに!!!
冒険あり、魔法あり、魔物や獣人、エルフ、ドワーフなどの多種多様な人達がいる世界で親子4人とその親子を護り生活する世界最強のドラゴン達とのお話です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる