181 / 565
本編
朝ごはんと報告会
しおりを挟む
意見交換会は、ファヴール教皇にお出まし願ったのもあって、不穏な事もなく、活発に意見交換しつつも、順調に終わったと言える。
それだけ貴族達も真剣にこれからのことを話したし、ラジオ番組とテレビ番組、教科書作りに申し込みもぼちぼちあった。申し込みの期間中話し合って、また参加が増えるだろう。
次ぐ日の朝、王様一家と竜樹とで、朝食報告会を開こうと集まって。モグモグと食パンにベーコン目玉焼きにパクつく。
「昨日の意見交換会は、テレビ電話で参加した方は、少し取り上げられにくくなってしまいましたね。あと、お子さん達に、もっと意見を言って欲しかったかな。」
竜樹が、ナイフで切った目玉焼きを、つるんとパンに乗せて。
「まぁ、仕方がない所もあろう。テレビ電話で参加した者達も、食い入るように画面を見つめていたな。発言も少しは出来たし、まあ、使いながら、やり方も改良していこう。子供達は、意見を言うまでいかなくても、大人と同じ待遇で、後々に良い芽が出ようよ。しかし、次々と新しい情報の発表で、愉快なほどだった。先に聞いてはいても、実物を見て、皆の反応を見ると、会議に慣れた私でも、ふわっとするな。」
王様が、むふふ、とくぐもった笑いを。
「あれから、まだ非公式にだが、優秀な平民達を、まずは試しに貴族の学園に特待生として1クラス分くらい受け入れを、という声が出ていてな。それに合わせて、平民達向けの高等学校を作ろうとも。どちらも採用される案だろうな。」
あーんと大きな口を開けて、目玉焼きの半分を口に入れた。
「それから、聾唖学校を作っても良いのじゃないかとーーーー。」
「一度表に出したし、予想外の人数の多さに、隠していられないと思ったのだろうな。竜樹殿が教えてくれた、魔道具の事も後押ししたろうし。」
「やはり、自分達に直接関係がある、となると、動きが素早いですわね。なかなか議決しない、いつもの会議はなんなの、と思います。でも私たち王族にも、近い血の問題は関係しますから、ね。他人事みたいに言っていられませんね。」
王妃様が、ミックスジュースをコクンと飲んで。
「がくえん、ぼくもかようの?」
ニリヤが、たまごの黄身を、てかっと頬にくっつけて。竜樹はそれをナプキンで拭いてやった。
「ニリヤはもう少し大きくなったら、だ。」
「まずはオランネージュからよね。16歳になったら、よ。」
「まだ猶予があるね。それまでに、お勉強しておかないとなぁ。」
オランネージュが、もぐもぐごっくんした後、後6年~と指を折る。
「ネクターもサンセール先生に、段々と学園に行く準備の勉強を習うのですよ。真面目に勉強しているから、心配はしてないけれど、何か困った事や足りないものがあったら、いつでも言ってね?」
王妃様が気遣うと、ネクターも食パンにマーマレードを塗りながら。
「はい、マルグリット様!」
良いお返事をした。
「それにしても、平民と貴族とが、こんなふうに混ざり合う事になったのは、想定外であったな。リュビなら何と言うか聞いてみたかった•••いや、失言である。すまない。」
ニリヤの母、亡くなったリュビ妃の事を思い出して、王様はふと、顔を俯ける。
「良いじゃないですか。かの方の事を思い出せるのは、関わりのある家族ならではですよ。きっと、やったね!って言うんじゃないかな。王子達のお友達も、リュビ様と同じような立ち位置の方も、増えるかもだし。」
竜樹のニッコリした笑顔に。
そうかな。ーーーそうだな。
王様は、しんみりと、だが微笑みを浮かべて頷いた。
「それに、これでニリヤの事を、下に見る風潮が、大分減るんじゃないかな、って俺は期待してますね。でも番組は、続けるけども。」
「ばんぐみ、いっしょね!ししょう!」
一緒な。くりくり、と頭を撫でてやると、ニリヤは張り切って、黄身のかかったパンに、モグッとかぶりついた。
「今日は、この後、視力の弱いルフレ公爵家長男プレイヤード君と、同じくアシュランス公爵家ピティエ様が遊びに来ます。王子達、仲良くするんだぞー。」
「「「はい!」」」
「アミューズ、みたく、いっしょあそぶ。」
「私たち、おめめが見えにくい人たちと一緒の時、どうするか勉強したもんね!」
「任せて!」
ふふふ!と王様も王妃様も、ニコッとする。
「頼もしいな、3人とも。」
「頼りにしてるわ!」
それだけ貴族達も真剣にこれからのことを話したし、ラジオ番組とテレビ番組、教科書作りに申し込みもぼちぼちあった。申し込みの期間中話し合って、また参加が増えるだろう。
次ぐ日の朝、王様一家と竜樹とで、朝食報告会を開こうと集まって。モグモグと食パンにベーコン目玉焼きにパクつく。
「昨日の意見交換会は、テレビ電話で参加した方は、少し取り上げられにくくなってしまいましたね。あと、お子さん達に、もっと意見を言って欲しかったかな。」
竜樹が、ナイフで切った目玉焼きを、つるんとパンに乗せて。
「まぁ、仕方がない所もあろう。テレビ電話で参加した者達も、食い入るように画面を見つめていたな。発言も少しは出来たし、まあ、使いながら、やり方も改良していこう。子供達は、意見を言うまでいかなくても、大人と同じ待遇で、後々に良い芽が出ようよ。しかし、次々と新しい情報の発表で、愉快なほどだった。先に聞いてはいても、実物を見て、皆の反応を見ると、会議に慣れた私でも、ふわっとするな。」
王様が、むふふ、とくぐもった笑いを。
「あれから、まだ非公式にだが、優秀な平民達を、まずは試しに貴族の学園に特待生として1クラス分くらい受け入れを、という声が出ていてな。それに合わせて、平民達向けの高等学校を作ろうとも。どちらも採用される案だろうな。」
あーんと大きな口を開けて、目玉焼きの半分を口に入れた。
「それから、聾唖学校を作っても良いのじゃないかとーーーー。」
「一度表に出したし、予想外の人数の多さに、隠していられないと思ったのだろうな。竜樹殿が教えてくれた、魔道具の事も後押ししたろうし。」
「やはり、自分達に直接関係がある、となると、動きが素早いですわね。なかなか議決しない、いつもの会議はなんなの、と思います。でも私たち王族にも、近い血の問題は関係しますから、ね。他人事みたいに言っていられませんね。」
王妃様が、ミックスジュースをコクンと飲んで。
「がくえん、ぼくもかようの?」
ニリヤが、たまごの黄身を、てかっと頬にくっつけて。竜樹はそれをナプキンで拭いてやった。
「ニリヤはもう少し大きくなったら、だ。」
「まずはオランネージュからよね。16歳になったら、よ。」
「まだ猶予があるね。それまでに、お勉強しておかないとなぁ。」
オランネージュが、もぐもぐごっくんした後、後6年~と指を折る。
「ネクターもサンセール先生に、段々と学園に行く準備の勉強を習うのですよ。真面目に勉強しているから、心配はしてないけれど、何か困った事や足りないものがあったら、いつでも言ってね?」
王妃様が気遣うと、ネクターも食パンにマーマレードを塗りながら。
「はい、マルグリット様!」
良いお返事をした。
「それにしても、平民と貴族とが、こんなふうに混ざり合う事になったのは、想定外であったな。リュビなら何と言うか聞いてみたかった•••いや、失言である。すまない。」
ニリヤの母、亡くなったリュビ妃の事を思い出して、王様はふと、顔を俯ける。
「良いじゃないですか。かの方の事を思い出せるのは、関わりのある家族ならではですよ。きっと、やったね!って言うんじゃないかな。王子達のお友達も、リュビ様と同じような立ち位置の方も、増えるかもだし。」
竜樹のニッコリした笑顔に。
そうかな。ーーーそうだな。
王様は、しんみりと、だが微笑みを浮かべて頷いた。
「それに、これでニリヤの事を、下に見る風潮が、大分減るんじゃないかな、って俺は期待してますね。でも番組は、続けるけども。」
「ばんぐみ、いっしょね!ししょう!」
一緒な。くりくり、と頭を撫でてやると、ニリヤは張り切って、黄身のかかったパンに、モグッとかぶりついた。
「今日は、この後、視力の弱いルフレ公爵家長男プレイヤード君と、同じくアシュランス公爵家ピティエ様が遊びに来ます。王子達、仲良くするんだぞー。」
「「「はい!」」」
「アミューズ、みたく、いっしょあそぶ。」
「私たち、おめめが見えにくい人たちと一緒の時、どうするか勉強したもんね!」
「任せて!」
ふふふ!と王様も王妃様も、ニコッとする。
「頼もしいな、3人とも。」
「頼りにしてるわ!」
34
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる