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本編
オーブとお話
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「じゃあみんな、オーブとお話してみような。」
「「「はーい!」」」
オーブの小屋の前で、子供達と王子達、アルディ王子とエフォールも集まって、足がちょっと曲がって繋がっているオーブに、スマホをかざす。
翻訳アプリをポチッと開いて。
「オーブ、俺のお話、分かりますか?」
オーブは、ん?と首を捻って。
ココ!ココココ?
画面に、文字が、パラパラと現れる。
オーブ
『分かるよ!いつも、みんなのことばも、分かってるよ?』
竜樹が読み上げる。
おお~!
皆して、スマホとオーブを見比べる。
「俺たち、今初めて、オーブの言葉、スマホで翻訳して分かったんだ。少しお話しても良いかい?」
オーブ
『いいよ!そうだ、たまご、あっためたやつが、大きくなったら、たまご産むから、こんどは食べてね!』
「おお~。オーブは、たまご、食べてほしいなって、産んだの?」
オーブ
『そうだよ!皆が、可愛がってくれたから、力を込めた、たまごをプレゼントしたの!』
コココッコ!とドヤ顔である。
ロシェが、ふにゅ~と口を曲げて、オーブに。
「たまご、せっかく産んだのに、食べちゃったら、かわいそうじゃない?」
オーブ
『うんうん。ロシェは、そう言ってくれるとおもった!』
「でしょ?たまご、育てるのでも、いい?」
オーブ
『うーん。いっぱい食べてほしくて産んだから、たぶん、めんどり、いっぱい増えちゃうよ?どうしたらいいかなぁ?』
オーブ、見切り発車で産んだんかい。
竜樹が、神様の言葉を伝える。
「神様は、普通の雄鶏と結婚したら、ちょうど良くなるって言ってたよ。売っても、食べても良いって。オーブは、めんどり達が、売られたり、食べられたりしても、いいのかな?」
オーブ
『そうなんだ!良かった!うんいいよ!食べて食べて~!このめんどり達は、わたしの力のカケラなの。わたしの子供って訳じゃないんだよ。でも、生き物は、命あるものを食べて大きくなるでしょ?おんどりと結婚しためんどりが産むたまごも、肉も、そこにわたしの力が流れて、ちょっとみんなの手助けできるとおもうの。』
複雑そうな顔をしたロシェは、やっぱりまだ思いきれず。
「でも、かわいがって育てたから、食べるのなんだか、むずかしいよ。」
オーブ
『うんうん。ロシェ、ありがとうねえ。じゃあ、そうだんね。ロシェ、ぜんぶは、育てられない。でも、ぜんぶ、食べちゃわなくてもいい。だって、食べきっちゃったら、命の繋ぎが終わっちゃうもんね。わたしのたまご達が、広がったら、うれしいな。これでどう?』
「う~ん•••。どういうこと?」
ロシェは首を傾げて。
オーブ
『めんどりと、おんどりと、一つのツガイを、主な7都市の近くの森に、放してほしいの。そこの鳥と混ざって、ふえるから、たぶん狩人が、狩るとおもう。美味しい鳥になるよ!森の動物達も、食べるかも?フンは、森のいい栄養になるしね!そして、ぜんぶは狩らないでくれたら、私の力の鳥が、森に生きるよ!そのためのめんどりを、ロシェ、みんな、育ててくれない?』
「森に生きるの?」
ふこ、とロシェは鼻息。
「たまごは、どうする?」
ジェムは、心配気にオーブに聞く。
オーブ
『森に放すめんどりと別に、鳥を育ててたまごをとる仕事の人に、めんどりを売ってくれたら、いいなあ。たまご、いっぱい産むよ。たまごを産まなくなったら、お肉にしても良いけど、たぶん、森に放した鳥を狩った方が美味しいと思う。でも、そこそこ食べられると思うから、命をムダにしないで、食べてほしい。畑にもフンを使ってね。』
ロシェは、むぐ、と口を結んで。
「やっぱり、食べるんだね。たまご。」
オーブは、ロシェに、トットッと近づく。そのふさふさの羽で、しゃがんで下ろしたロシェの手に、すりすりとやって。ロシェは、オーブの羽を、ふかふか、と撫でる。
オーブ
『ロシェ。ロシェは、時々、お腹痛くなるでしょ。そういうの、少なくなるよ。たまごを食べて、私の力を、どうかもらって。みんなにも、食べてもらいたいの。』
「うん•••。」
ロシェは、項垂れてオーブを抱っこする。
竜樹はロシェの背中を撫でる。
「ロシェ。今すぐじゃなくていいから。そうだろ?オーブ。ロシェや皆が、めんどりを育てて、森に放して、それからでも。』
オーブ
『あと、たまごを取る人に、めんどりを売ってからでもね。いつでもいいよ。ロシェ、一番かわいそうなのは、せっかくのたまごや鳥を、食べずに捨てちゃうことなんだ。土に帰ると思うけど、せっかくなら、食べてね。それと、今まで通り、私と仲良くしてね。」
「うん。うん。勇気が出たら、食べる。まっててね。」
ギュッとオーブを抱きしめて、羽に顔を埋めて、ロシェは一応、納得した。
それから、子供達は、オーブが温めて孵しためんどりを育てた。1度目のめんどりと、買ってきたおんどりをつがわせて、そこで産まれたひよこは、2か月かかって育ち、おんどりとめんどりになった。
竜樹達、大人は、「神様のめんどりが産んだ、たまごをたくさん産むめんどり」を、ちゃんと健康に育てて、たまごを取ってくれ、適正価格で売ってくれる人を募集した。いい業者を選び、「かみたまご」と命名したブランドたまごは、安くて美味しく提供できる。
オーブのたまご以外、次代のたまごは、おんどりとつがわないと、ひよこにならなかったので、べらぼうに増えるのは何とかなった。
「かみたまご」のめんどりは、一つの業者だけに専売させず、主要7都市の近郊養鶏場に下ろした。
小さくても、良心的な所には下ろすようにしたので、皆「かみたまご」のめんどりを欲しがり、その為に、養鶏の業種そのものが、ずいぶんいい方向に発達した。
かみたまごが流通し始めて、森に放すつがいも準備できた。狩人達に半年はめんどりとおんどりを狩らないよう、前もって通達を出した。そうすれば、きっと実入りになるから、とギフトの御方様が言うなら、試してみる価値はある。それに狩人達は、仕事柄、狩り尽くさない事を承知している。
今日は、森に放すつがいとの、お別れの日。
「げんきで、ふえるんだぞ!おまえたち!」
「「「はーい!」」」
オーブの小屋の前で、子供達と王子達、アルディ王子とエフォールも集まって、足がちょっと曲がって繋がっているオーブに、スマホをかざす。
翻訳アプリをポチッと開いて。
「オーブ、俺のお話、分かりますか?」
オーブは、ん?と首を捻って。
ココ!ココココ?
画面に、文字が、パラパラと現れる。
オーブ
『分かるよ!いつも、みんなのことばも、分かってるよ?』
竜樹が読み上げる。
おお~!
皆して、スマホとオーブを見比べる。
「俺たち、今初めて、オーブの言葉、スマホで翻訳して分かったんだ。少しお話しても良いかい?」
オーブ
『いいよ!そうだ、たまご、あっためたやつが、大きくなったら、たまご産むから、こんどは食べてね!』
「おお~。オーブは、たまご、食べてほしいなって、産んだの?」
オーブ
『そうだよ!皆が、可愛がってくれたから、力を込めた、たまごをプレゼントしたの!』
コココッコ!とドヤ顔である。
ロシェが、ふにゅ~と口を曲げて、オーブに。
「たまご、せっかく産んだのに、食べちゃったら、かわいそうじゃない?」
オーブ
『うんうん。ロシェは、そう言ってくれるとおもった!』
「でしょ?たまご、育てるのでも、いい?」
オーブ
『うーん。いっぱい食べてほしくて産んだから、たぶん、めんどり、いっぱい増えちゃうよ?どうしたらいいかなぁ?』
オーブ、見切り発車で産んだんかい。
竜樹が、神様の言葉を伝える。
「神様は、普通の雄鶏と結婚したら、ちょうど良くなるって言ってたよ。売っても、食べても良いって。オーブは、めんどり達が、売られたり、食べられたりしても、いいのかな?」
オーブ
『そうなんだ!良かった!うんいいよ!食べて食べて~!このめんどり達は、わたしの力のカケラなの。わたしの子供って訳じゃないんだよ。でも、生き物は、命あるものを食べて大きくなるでしょ?おんどりと結婚しためんどりが産むたまごも、肉も、そこにわたしの力が流れて、ちょっとみんなの手助けできるとおもうの。』
複雑そうな顔をしたロシェは、やっぱりまだ思いきれず。
「でも、かわいがって育てたから、食べるのなんだか、むずかしいよ。」
オーブ
『うんうん。ロシェ、ありがとうねえ。じゃあ、そうだんね。ロシェ、ぜんぶは、育てられない。でも、ぜんぶ、食べちゃわなくてもいい。だって、食べきっちゃったら、命の繋ぎが終わっちゃうもんね。わたしのたまご達が、広がったら、うれしいな。これでどう?』
「う~ん•••。どういうこと?」
ロシェは首を傾げて。
オーブ
『めんどりと、おんどりと、一つのツガイを、主な7都市の近くの森に、放してほしいの。そこの鳥と混ざって、ふえるから、たぶん狩人が、狩るとおもう。美味しい鳥になるよ!森の動物達も、食べるかも?フンは、森のいい栄養になるしね!そして、ぜんぶは狩らないでくれたら、私の力の鳥が、森に生きるよ!そのためのめんどりを、ロシェ、みんな、育ててくれない?』
「森に生きるの?」
ふこ、とロシェは鼻息。
「たまごは、どうする?」
ジェムは、心配気にオーブに聞く。
オーブ
『森に放すめんどりと別に、鳥を育ててたまごをとる仕事の人に、めんどりを売ってくれたら、いいなあ。たまご、いっぱい産むよ。たまごを産まなくなったら、お肉にしても良いけど、たぶん、森に放した鳥を狩った方が美味しいと思う。でも、そこそこ食べられると思うから、命をムダにしないで、食べてほしい。畑にもフンを使ってね。』
ロシェは、むぐ、と口を結んで。
「やっぱり、食べるんだね。たまご。」
オーブは、ロシェに、トットッと近づく。そのふさふさの羽で、しゃがんで下ろしたロシェの手に、すりすりとやって。ロシェは、オーブの羽を、ふかふか、と撫でる。
オーブ
『ロシェ。ロシェは、時々、お腹痛くなるでしょ。そういうの、少なくなるよ。たまごを食べて、私の力を、どうかもらって。みんなにも、食べてもらいたいの。』
「うん•••。」
ロシェは、項垂れてオーブを抱っこする。
竜樹はロシェの背中を撫でる。
「ロシェ。今すぐじゃなくていいから。そうだろ?オーブ。ロシェや皆が、めんどりを育てて、森に放して、それからでも。』
オーブ
『あと、たまごを取る人に、めんどりを売ってからでもね。いつでもいいよ。ロシェ、一番かわいそうなのは、せっかくのたまごや鳥を、食べずに捨てちゃうことなんだ。土に帰ると思うけど、せっかくなら、食べてね。それと、今まで通り、私と仲良くしてね。」
「うん。うん。勇気が出たら、食べる。まっててね。」
ギュッとオーブを抱きしめて、羽に顔を埋めて、ロシェは一応、納得した。
それから、子供達は、オーブが温めて孵しためんどりを育てた。1度目のめんどりと、買ってきたおんどりをつがわせて、そこで産まれたひよこは、2か月かかって育ち、おんどりとめんどりになった。
竜樹達、大人は、「神様のめんどりが産んだ、たまごをたくさん産むめんどり」を、ちゃんと健康に育てて、たまごを取ってくれ、適正価格で売ってくれる人を募集した。いい業者を選び、「かみたまご」と命名したブランドたまごは、安くて美味しく提供できる。
オーブのたまご以外、次代のたまごは、おんどりとつがわないと、ひよこにならなかったので、べらぼうに増えるのは何とかなった。
「かみたまご」のめんどりは、一つの業者だけに専売させず、主要7都市の近郊養鶏場に下ろした。
小さくても、良心的な所には下ろすようにしたので、皆「かみたまご」のめんどりを欲しがり、その為に、養鶏の業種そのものが、ずいぶんいい方向に発達した。
かみたまごが流通し始めて、森に放すつがいも準備できた。狩人達に半年はめんどりとおんどりを狩らないよう、前もって通達を出した。そうすれば、きっと実入りになるから、とギフトの御方様が言うなら、試してみる価値はある。それに狩人達は、仕事柄、狩り尽くさない事を承知している。
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