王子様を放送します

竹 美津

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本編

エフォールのお店

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結局、水着は、プロの店主、デザイナーのフィルさんに見てもらって、ラフィネの身体に幾つか当てたりした所、色は落ち着いた紺で地味だが、小さな花柄で可愛く、スカートのついているものになった。上着は半袖でベージュ、ショートパンツは同じ柄でスカートギリギリに。平民仕様で、ラフィネの淡いベージュの髪に、濃い落ち着いた色がよく似合った。

「落ち着いていて、でも可愛い、良いのが選べました!竜樹様、ありがとうございます。」
「いえいえ、良かったです。」

「かわいいの、かえたね。」
「ぷーる、たのしみ!」
2人は繋いだ手をふんふんと揺らして、ご機嫌に。
「そうだな、セリュー、ロン。さて、水着が買えたら、後は一般のブースを見回りながら、エフォール君の所に行ったり、子供新聞の販売見たりだなあ。みんな、見たいものがあったら言ってねー。」
「「「はーい!」」」


チラリ。
エフォールに見つからないように、チラリ、チラリ。遠くから、そーっと覗いて。ラフィネとちょっとだけ色味の違う、白金混じりのベージュ髪が、ヒョコヒョコ上下している。
「何をやってるんですか、コリエさん。」
花街のお姉さん、コリエである。今日は、パンセ伯爵家に貰われた、実の子のエフォールのお店を見にきたのだ。
「花街の時間帯から言って、午前中に来られると思っていましたよ。」
竜樹が、隠れて遠くから見守るコリエを見咎めて声をかけると、ドキドキした様子で、コリエは応える。
「竜樹様、今日は花のお仕事は休みました!エフォール、大きくなりました。元気そう、それに、お店、楽しそう•••。」

エフォールは、身なりの良い、パッと華やかな女性と隣り合って、お店番をしていた。品物は、編んだぬいぐるみも6体くらい残っていたし、繊細な編みの、お花が立体的なアクセサリー、ブローチやチョーカー、イヤリングなども、売れた空白を残しながらも並んでいる。
「話しかけに行かないんですか?」
竜樹が聞くと、
「私は名乗りをあげていないし、エフォールの隣にいらっしゃるのは、きっとパンセ伯爵家の夫人だわ。私がのこのこと、顔を出せる方じゃない。」
だから、遠くから見守るだけで良いの。

コリエは、本当に嬉しそうな顔をして、エフォールに優しい眼差しを注いだ。

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