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本編
女のつごう
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教会の出店での買い物も無事済んで、本部ご飯もすすみ、皆で甘味に取り掛かっている時である。
ラフィネが、子供達の面倒を見ながら、自分でも杏餡のたい焼きをちぎって食べた。もぐもぐしつつ、お腹の所を隣にいたロシェにちぎって、食べる?なんてあげている。ロシェは、はにかみつつ、パクリとラフィネの指から、たい焼きのかけらを食べた。ふふ、とラフィネが笑う。
「杏餡、美味しいわね。甘酸っぱくて。」
「うん。」
「あんずあん、おいし?」
「私も食べたいなぁ!でもお腹いっぱいだから、オランネージュ兄様、半分こしない?」
「うん、いいよー!」
「ぼく、ぼくにもひとくち!」
子供達は、みんなのお母さんラフィネが、分け隔てなく、ちょこちょこ面倒を見て、自然と触れ合いをしてくるのが嬉しくて照れ臭くて、でもいらないとは言いたくなくて。
「竜樹様、ご飯が済んだら、どうされる予定ですか?」
ラフィネが笑顔で聞いてくるので、竜樹は思い出した。
子供達が、サッ、と竜樹の顔を見る。
うん、水着、水着だね、プレゼントね、分かっているよ。
「あ、あの、ラフィネさんにお誘いがしたくて。別に変な意味ではないんだけど。子供達と明後日プール開きに行くから、一緒に行ってほしくて。」
「はい。プール。」
「あの、女性が急にプールで水遊びって言っても、都合がすぐにはつかないよね?支度もあるし。だから、服を着て付いてきてもらって、子供達を見てくれるだけで、ありがたいなって思ってるんだけど!けど!」
そうなのだ。月の障りやら、脱毛や剃毛して準備やら、さあ行こう、すぐ行こう、ってわけにいかないのが女性なのだ。
(つごうってなに?)
(わかんない。水着なら、買えばいいじゃんね。)
(竜樹父さん、ちゃんとさそえー!)
(そういえば川遊びのとき、母ちゃん、かみそりで毛をそってたかも?)
(ええ!!どこのけ?あたまのけ?)
(頭の毛じゃないよー。足とか。)
(???あしにけ、はえる?)
(見ちゃいけないんだよ、おんなのしたくは。って言ってた、確か。)
ぐぐ、ぐ。
丸聞こえの子供達のナイショ話に。
ラフィネが口をぐむむ、ぐぬぐぬ、と閉じていたが、堪えきれずに、プハッと。
くく、くくくく。
「アハ、ふふふ!さ、先程の水着の、お、お店のテレビ、見てました。くく、くふっ!水着を、ぷ、プレゼント、してくださるの?」
ふふふ、と笑顔のラフィネに、竜樹は、はい•••と真っ赤になって俯いた。
みてたのね。
「う、うん。そうです!それで、プールで、一緒に子供達の面倒見てくれると嬉しいです。この後、デザイナーのフィルさんのお店に、水着を買いに行きませんか?」
「はい、喜んで。濡れてもいい服でご一緒しようかと思っていましたが、水着まで買っていただけるなんて、助かります。お金を使わせてしまって、すみません。」
「可愛いの、かうんだよ!」
「おとこのかいしょーだよ!」
難しい言葉を知っているわねえ、とラフィネに覗き込まれた子供達は、フンス!勉強してるから!と得意げな顔をした。
「その、都合も大丈夫ですよ。こういう話は、女の子の子供がいる所に行く時、私がお力になれるかしら?竜樹様は、妹さんの面倒をみていたそうだから、女性の都合もご存知なのね。」
「はい。ですが、こちらと元の世界の、女性の都合に関しての常識が違うかもしれないから、とても助かります!あー、知識としても知っておきたいから、あ、後で!失礼にならず、嫌じゃなければ!教えてくれると嬉しいです!」
「もちろんです。子供達の半分は女の子だから。全部をお父さんの竜樹様がやらなくてもいいけれど、知っていたら、私や面倒を見てくれている女性に、橋渡しできますものね。」
うん。これって真面目な話なのだ。既婚の子供がいる女性って、ほんと助かる。お母さんは、ラフィネさんじゃなきゃいけなかった。若い子じゃ、竜樹などおじさんとこんな話はできないだろう。
「つごうってなーに?」
直球の質問。ラフィネは、誤魔化さずに、子供達の分からないな、って表情に答えた。
「女性は、プールに入れない日があるのよ。いつか、赤ちゃんを産むための都合なのよ。」
ええっ!?
「ほんと!?ぼく、しらなかった!」
「女の子って、大変なんだね。」
「そうよ。そういう日は、お腹痛くなったりする事もあるの。人によって違うけどね。だから、男の子は、そういう時、女の子を大事に、そっとしといてあげたらいいわよ。からかったり、何で入れないの?とか聞いたりしちゃ、ダメなのよ。」
ラフィネが人差し指を立てて、言い聞かせる。うんうん。デリカシーを育てる、いい事です。
ラフィネが、子供達の面倒を見ながら、自分でも杏餡のたい焼きをちぎって食べた。もぐもぐしつつ、お腹の所を隣にいたロシェにちぎって、食べる?なんてあげている。ロシェは、はにかみつつ、パクリとラフィネの指から、たい焼きのかけらを食べた。ふふ、とラフィネが笑う。
「杏餡、美味しいわね。甘酸っぱくて。」
「うん。」
「あんずあん、おいし?」
「私も食べたいなぁ!でもお腹いっぱいだから、オランネージュ兄様、半分こしない?」
「うん、いいよー!」
「ぼく、ぼくにもひとくち!」
子供達は、みんなのお母さんラフィネが、分け隔てなく、ちょこちょこ面倒を見て、自然と触れ合いをしてくるのが嬉しくて照れ臭くて、でもいらないとは言いたくなくて。
「竜樹様、ご飯が済んだら、どうされる予定ですか?」
ラフィネが笑顔で聞いてくるので、竜樹は思い出した。
子供達が、サッ、と竜樹の顔を見る。
うん、水着、水着だね、プレゼントね、分かっているよ。
「あ、あの、ラフィネさんにお誘いがしたくて。別に変な意味ではないんだけど。子供達と明後日プール開きに行くから、一緒に行ってほしくて。」
「はい。プール。」
「あの、女性が急にプールで水遊びって言っても、都合がすぐにはつかないよね?支度もあるし。だから、服を着て付いてきてもらって、子供達を見てくれるだけで、ありがたいなって思ってるんだけど!けど!」
そうなのだ。月の障りやら、脱毛や剃毛して準備やら、さあ行こう、すぐ行こう、ってわけにいかないのが女性なのだ。
(つごうってなに?)
(わかんない。水着なら、買えばいいじゃんね。)
(竜樹父さん、ちゃんとさそえー!)
(そういえば川遊びのとき、母ちゃん、かみそりで毛をそってたかも?)
(ええ!!どこのけ?あたまのけ?)
(頭の毛じゃないよー。足とか。)
(???あしにけ、はえる?)
(見ちゃいけないんだよ、おんなのしたくは。って言ってた、確か。)
ぐぐ、ぐ。
丸聞こえの子供達のナイショ話に。
ラフィネが口をぐむむ、ぐぬぐぬ、と閉じていたが、堪えきれずに、プハッと。
くく、くくくく。
「アハ、ふふふ!さ、先程の水着の、お、お店のテレビ、見てました。くく、くふっ!水着を、ぷ、プレゼント、してくださるの?」
ふふふ、と笑顔のラフィネに、竜樹は、はい•••と真っ赤になって俯いた。
みてたのね。
「う、うん。そうです!それで、プールで、一緒に子供達の面倒見てくれると嬉しいです。この後、デザイナーのフィルさんのお店に、水着を買いに行きませんか?」
「はい、喜んで。濡れてもいい服でご一緒しようかと思っていましたが、水着まで買っていただけるなんて、助かります。お金を使わせてしまって、すみません。」
「可愛いの、かうんだよ!」
「おとこのかいしょーだよ!」
難しい言葉を知っているわねえ、とラフィネに覗き込まれた子供達は、フンス!勉強してるから!と得意げな顔をした。
「その、都合も大丈夫ですよ。こういう話は、女の子の子供がいる所に行く時、私がお力になれるかしら?竜樹様は、妹さんの面倒をみていたそうだから、女性の都合もご存知なのね。」
「はい。ですが、こちらと元の世界の、女性の都合に関しての常識が違うかもしれないから、とても助かります!あー、知識としても知っておきたいから、あ、後で!失礼にならず、嫌じゃなければ!教えてくれると嬉しいです!」
「もちろんです。子供達の半分は女の子だから。全部をお父さんの竜樹様がやらなくてもいいけれど、知っていたら、私や面倒を見てくれている女性に、橋渡しできますものね。」
うん。これって真面目な話なのだ。既婚の子供がいる女性って、ほんと助かる。お母さんは、ラフィネさんじゃなきゃいけなかった。若い子じゃ、竜樹などおじさんとこんな話はできないだろう。
「つごうってなーに?」
直球の質問。ラフィネは、誤魔化さずに、子供達の分からないな、って表情に答えた。
「女性は、プールに入れない日があるのよ。いつか、赤ちゃんを産むための都合なのよ。」
ええっ!?
「ほんと!?ぼく、しらなかった!」
「女の子って、大変なんだね。」
「そうよ。そういう日は、お腹痛くなったりする事もあるの。人によって違うけどね。だから、男の子は、そういう時、女の子を大事に、そっとしといてあげたらいいわよ。からかったり、何で入れないの?とか聞いたりしちゃ、ダメなのよ。」
ラフィネが人差し指を立てて、言い聞かせる。うんうん。デリカシーを育てる、いい事です。
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