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本編
棘が抜けて
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「コライユ、嵐桃シェイク、並んで買っておいで。飲んでもいいよ。従者のデリシュとカルムと一緒に並んでな。デリシュ、カルム、お前達も好きなシェイクを選んでお飲み。私には嵐梨のヨーグルトを、ルタルデには嵐プラムのミルクを買って来ておくれ。」
「「はい、旦那様。」」
「!はい!お父様!!」
コライユちゃんは、涙をぐしっと拭いて、竜樹の首っ玉から顔を離すと、ニコッとして。旦那様がいらっしゃれば大丈夫、とニコニコと見守る従者の、青年デリシュと、見習い従者カルムと共に、タタタと列に並びに行った。
この間も、新たにお客様が増えて、列は20人程になっている。話し合う時間は、充分取れそうである。
「そんなもの、私飲まないわよ!またあなたは、コライユを甘やかして!」
ルタルデ夫人が、吐き出すように、夫のジェネラルに言う。
「良いのかい?そんな事を言って。ネクター殿下が、こちらお側で、嵐桃のシェイクをお飲みになっているのに?それを君は貶めて、侮辱すると?」
ネクターは、ぱち、と目を瞬いて、ズズ、とシェイクを啜ったが、ニヤッとルタルデ夫人に笑って見せた。
「そ、それは•••。」
口ごもるルタルデ夫人に、並んでいたお客様が、クスクスッと笑う。庶民だって貴族だって、皆が喜んで飲んでいるシェイクを貶して、上から目線でズケズケ言う、ルタルデ夫人の言葉には嫌気が差していたのだ。
そして、自分が買う番になると、ネクターに目礼をしていったりする。ネクターはその都度ニッコリ、手を振り振り、とする。わあっ、手を振って下さった!可愛い!などと、人気のネクターである。
「君、貴族的に、身分が上の方は好きで挨拶に寄っていくけど、何だかイマイチ好感持たれないのは、そういうとこだぞ。」
ジェネラルが追って言うと、ルタルデ夫人は、くくく、く、と唇を震わせた。
「それに君、プラム好きだったろう。つべこべ言わずに、文句を言うなら飲んでから言いなさい。ちゃんと飲まずに文句だけ言うのは、それは言いがかり、っていうんだ。」
とくとくと、諭す。うんうん。ジェネラルは、常識人のようである。
「私は文句なんて•••!ただ、落ちた桃なんて、コライユに食べさせられないと•••!」
「何故だい?私達の領地の果樹だって、ギフトの御方様の嵐桃対応には、助かっているのに?率先して飲んで下さるネクター殿下が、正直有難いくらいなのに、自分達はそんなもの、飲めないと?浄化もしてるし、安全だよ。」
言い負かされて、ぐぐっと拳を握るルタルデ夫人は、ギリギリした歯の隙間から漏れ出すように呟いた。
「いつも、いつもそう。あなたは正しくて、私がいつも悪者よ。コライユだって私を馬鹿にして、言うことを聞かないし、家の者だって、最終的には旦那様のご意向ですからって、私の意見を聞いてもくれない•••!私だって、私だって、スュクレ伯爵家の為にと思って、頑張ってるのに•••!」
うっ、うっ、ううううううぅ~!
ぼろぼろぼろ。ルタルデ夫人の、綺麗にお化粧した顔に、大粒の涙が溢れる。ふーっ、とため息をついて、ルタルデ夫人の肩を抱いてハンカチを出して拭いてやるジェネラルに、ルタルデ夫人はハンカチをむしり取り、肩を振り解いて、自分でハンカチをクシャクシャにしながら拭いて、顔を伏せた。
あーあ。多分、夫婦で方向性が違いすぎるんだよね。
竜樹は愚痴の一つも聞いてみようと思った。このままじゃ、コライユちゃんが板挟みで、かわいそうだからだ。
「うん。ルタルデ夫人、自分の子供に安全な食べ物を、と思うのは、母親として当然の事ですよね。そもそも、一定の割合で、忌避感を持つ方もいるだろうな、と思ってはいるんですよ。だから、美味しい安全なシェイクではあるけど、飲むか飲まないかは、好きずきでいいんですよ。」
全ての方に、好きになってもらおう、とは、言えませんしね。
竜樹が言うと、ジェネラルが、へにょりと眉を下げて、情けない顔をした。
「そ、そうよ!私は、コライユの為を思って、言ってるのよ!」
「うんうん。ちょっと、皆の前で言ってしまったのが、良くなかっただけで、思うのは自由ですよ。だって、ほら、ルタルデ夫人は分かってるでしょう?上から教えてやるぞ、っていう視点で、モノを言われるのって、何かムカつく、って。自分が下に見られている気がする、って。」
「そうなのよ!私が、何も考えてないみたいじゃない!大体、いつもジェネラル、あなたは仕事仕事って出掛けてばっかりで、私がいつも家の中を綺麗に美しく保とうと頑張ってるのに、見てもくれない!貴族のご婦人方とのお付き合いだって、私、頑張ってるわよ!皆、いつも素敵な流行の装いで、お茶会の支度だって超一流で、それに気づかずに舐められたら、スュクレ伯爵家が馬鹿にされるのよ!こちらだって超一流の準備をして、いつも矜持を保ってなければ!」
それなのに、お茶会、またかい?何てさもうんざりしたように言ったりする!
「私ばっかり、役立ってないみたいに、認めてももらえないのに、1人で頑張って、馬鹿みたい!」
うわぁああん!
号泣である。
「うっ、うっ、そ、それにこの間、あなた、は、花街のキャバレーに行ったわ!」
キッとハンカチ噛み締めて、ジェネラルを睨む。
「な、何で知ってるんだ!そ、それは、仕事仲間に誘われて!付き合いだよ!私にだって付き合いはあるよ!」
しどもどしてる所が、男の弱さと言えましょう。
うむ。それが原因か。ギフトへの風当たりの強さは。
これはダンナも悪いわよ、とお客様達もひそり。
「あなたばっかり楽しそうで、私は家で顧みられなくて、ずるい!ずるいわ!」
うっ、うっ、うっ!
まいったな、なんて、ジェネラルは言っている。う~ん。
「ルタルデ夫人。お茶会は、大事な社交ですよね。貴族のご婦人方は、あまり気軽に外に出かけられたり出来ないのでしょう?その中で、社会と触れ合うのは、女性グループのやり方で、その中だけで見ている事になりますね。多分、それだと、ちょっと視点が狭いし、旦那さんのジェネラル様とは、見ている所が違うんです。それ自体は悪い事じゃないけど、旦那さんと話が噛み合わないし、ルタルデ夫人は、満足してらっしゃらないでしょう?」
ひっく。すん。鼻を赤くさせて、目を伏せるルタルデ夫人に、視点の違いか、と呟く夫のジェネラル。
「そうよ。私達、貴族の女性は、お茶会か、観劇か、そんな事でもなければ出かけられないわ。ドレスを作る時も、買い物も、家にデザイナーや商人を呼ぶのだし。ーーーそうね、外に出掛けて、色々見聞きできる方とは、ちょっと違うわ。それでも。」
私だって。
「私だって、最近、ギフトの方の案で、世の中が変わって来ている事くらい、分かるわよ。貴族派の夫人達が、自分達の派閥を守ろうと、必死で声をかけているけど、皆、苦笑いして遠巻きにしていく。私の父と母も貴族派だから、私に、歌声喫茶などに行くなら、縁を切る、それより世継ぎを早く産めと言ってきたわ。貴族派の家の娘と結婚させるんだと。私だって、楽しくしたかったわよ。でも、でも。」
モミモミ。ハンカチは湿っているし揉みクチャだ。
ジェネラルは、トントンとルタルデ夫人の背中を叩く。
「私の子を、幾ら義父とはいえ、自由にはさせないよ。それに。」
そっと抱き寄せて。
「君、コライユの時、とても難産だったろう。私としては、身体に無理をして男の子を望むより、コライユに婿をとって継いでもらう形でもいいと思う。まぁ、だから私の視点で、領地の事や民の事を、コライユに話してしまったんだが。」
君を悪者にするつもりはなかったよ、すまないね。
そういうことを、何故、夫婦で、話し合わないのか!
竜樹と全お客様が、そう叫んだ!(心の中で。)
案の定ルタルデ夫人は怒った。
「そ、そんなの、そんなの、はじめて知ったわよ!私だって、知ってたら、父や母に、あんなに子供をせっつかれて、辛い思いを、う、う、う。」
「ごめんよ、ルタルデ。私の言葉が足りなかったね。」
ショボり。夫婦共にしょんぼりである。
あー。
「王様も言ってました。•••王といえど、家庭を築くとなれば、情けない一人の男であるな。と。リュビ妃様関連の事で、日々家族が顔を合わせて元気を確かめる必要を感じたと。これからは、家族で晩餐する回数を増やそう、お茶の回数も、と。」
話し合いが、足りなかったのではないですか?
「•••うん。あの忙しい王様だって、そうおっしゃるなら、私ごときが時間を作れないはずはあるまい。ルタルデ、これからは、私ともう少し話をしてくれないか?」
ひく、ひく、涙を拭い、化粧のすっかりとれた、何だかあどけない顔で。
「い、良いわよ。話をするわ。」
竜樹は、差し出口と思いながらも、突っ込んでしまう。
「どうか、正論で殴りあわないでね。その方法でやっていける人は、パワーやエネルギーがある人で、喋るのが上手い人だから。両方がそうで楽しいならいいけど、片方だけだと、ただの一方的な殴りになっちゃう。」
共感、寄り添い、大事。
「そうよ。」「そうなのよ。」「聞いて欲しいだけなのに!余計な事いうのよ!」
うんうん、とお客様達。
そう、そうなんだよ。
「ルタルデ夫人、旦那様のジェネラル様や、コライユちゃんは、あなたの敵じゃないんですよ。」
「ーーーー敵?」
「誰だって、自分の思う通りにやってみたくない?それは、ルタルデ夫人もそうだと思うけど、コライユちゃんも、そうだよね?こうじゃなきゃいけない!って、ギュッと不毛に、締め付け合ってない?」
「それはーーー。」
むぐ、と黙り込む。
「俺ね、自信がないんだね、て言われた事があって。」
自信がない事自体は悪くはないと思う。だって、自信がないから、頑張って努力する、とかもあるもんね。
でも、それによって、優位に立ちたい人に、マウント取られやすくなったり、そのせいで傷ついたりしちゃうと、何を言われても周りが皆、自分を下に見てるみたいに思っちゃわない?
「例えば、ジェネラル様やコライユちゃんに、馬鹿にされてるみたいな気持ち?」
うん、うん。
「してた。してるわ。」
ぐすん。鼻を啜って。
「だから、ルタルデ夫人は、自分を武装する為に、庶民を過度に下に見たのじゃない?だって、時代が変わってきてるの、本当は知っていたのだものね。」
誰かを下にして、自分を上にあげる。
マウントされて、誰かにマウントする。それを永遠に続けるのって。
「ね?何か、つまんなくない?」
「わたしだってそんなことしたくない!!!」
聞きたくない!と、耳を抑える。小さな小さな、子供になってしまったように。
ジェネラルが、妻の丸めた背中を撫でて、そんなに辛い思いをしてたのか、と言ったら、耳を塞いだ手のひらは、ゆるゆると緩んだ。
「本当に自信があれば、マウントする必要ないですよ。自信がある人って、自慢らしい自慢しないし、その必要もないし。事実がそこに、あるわけだから。そういう人、いませんでしたか?お茶会でも。何を言われても、落ち着いていて、自分のスタイルがある人。」
はっ、と思いついたように、目を見開く。
そうそう、そうだよ。
俺だって偉い事が言えたもんじゃないが。自分なりで、いいんだよ。
竜樹は、自信がないって言われたその時、家事をもっと頑張る事にした。家では、母が良く褒めてくれて、段々出来ることも増えて、料理やお菓子作りなんて、作れば美味しいものが食べられるし、自分が楽しくなっていった。そのうち、褒められなくても、自分主導で家事できるように。工夫したりしてね。
そして落ち込んだらケーキを焼く。
「私、私は、自信ないのかしら。」
ショボショボと、勢いの無くなったルタルデ夫人は、指をにじにじと、弄りながら。
どうかな。
「だけど、お茶会、本当は楽しくないのじゃない?かな?」
むむ、と口を結んで。
「ーーーーーだって、参加しないと、話に乗り遅れて。」
「そうですよね。情報収集の手段だものね。それに、女の人は、生き生きとおしゃべりするのが、楽しみって人は多いですよ。何か、お茶会で、楽しみだな、ってことはありますか?」
うーん、と考えて。
「な、ない。ないわ。お話を、親しくする方も、いないのよ。皆、どなたにも、侮られたらと思って、緊張して。」
「楽しくない事をずっと我慢してやってたら、イライラもしますよね。」
「するわ。するわよ。」
えーと。
「負けて勝て、という言葉が、俺のいた世界には、ありまして。わー、すごーい、そうなんですねー、へー。で、何とかなりますよ。あとは笑顔。全部、律儀に聞かなくても、いいんですよ。」
んんん?という顔を、皆がした。ルタルデ夫人も、ジェネラルも、ネクターも。何となく、うんうんと、お客様の一部が頷いているが。
「そんなので、本当にやっていけるのかしら?」
「う~ん、分からないけど。」
「わ、分からないのですか?」
ジェネラルが、ガクッとなった。うん、俺、女性じゃないし、神様じゃないから、わからない。
「でも、緊張したままイライラ話をするより、良いんじゃない?そのうち、話が面白い人と面白くない人とか、分かったら、面白い人と仲良くなってみてもいいし。ある程度、割り切っても。それで、ジェネラル様と話し合えたら、今うちの領地で、これ推してるよ~、とか、アピールできたりするかも。」
「そういえば、流行りの最先端じゃなくても、いつも品良く、自分の領地のものを、身につけていた方がいたわ。」
ルタルデ夫人が思い起こす。
ね?人それぞれなんだよ。
あとは、人生を楽しむといいんだよ!
「せっかく可愛い子供がいて、可愛い時期なのに、夫もプラム好きとか好物分かってくれてるし、話もしてくれるし。楽しめばいいんですよ。色々と。もったいないですよ、イライラ怒ってばかりいたら。」
何なら執事喫茶、行ってみたら?推しがいると、楽しいよ?
竜樹の言葉に、ジェネラルが、ちょいムッとした。
「何よ、私が執事喫茶に行ったら、あなた面白くないの?」
「う、うう。面白くない。」
ぷい、と顔を背ける夫ジェネラル。何だよなあ。仲良いじゃん。
コライユちゃんは、竜樹と話をした時、ちゃんとお話しもできていたし、良い子に育ってると思う。それは、コライユちゃんが良い子な個性もあるけど、躾けてるルタルデ夫人とジェネラル様が良かったんだ。
「お父様、お母様!あらしもものシェイク、かったわ!」
トコトコ、と笑顔のコライユちゃんが戻ってきた。デコボコ従者のデリシュ、カルムも、ジェネラルの分、嵐梨ヨーグルトと、ルタルデ夫人の嵐プラムミルクを買って、ご主人様、奥様、どうぞ、と差し出した。自分達のものも、好きなのを選んでいる。
「わ、私ーーー。」
ルタルデ夫人は、受け取りはしたが、何だか恐れている。
「お父様と、お母様と、いっしょね!コライユ、あらしももがのみたかったの。でも、なしとプラムも、あじ、おしえてね!お父様、お母様!」
ジェネラルに寄りかかって、抱っこされて、ジュ、とシェイクを飲んだコライユちゃんは、つめたい!おいしい!うふふ!と顔をクシャとさせて笑った。
「ルタルデ夫人。」
黙って話を聞いていたネクターは、飲み終わったシェイクのコップを両手で抱えたまま。シェイクを飲むのを躊躇しているルタルデ夫人に話しかけた。
はっ、とネクターを見た夫人は。
「あの、あの、ネクター殿下、失礼をしてしまって。」
もじもじと恥ずかしそう。
落ち着いて改めて考えると、恥ずかしかったのだろう。棘が抜けて、素直な夫人は、可愛らしい感じだ。
「私をたすけて下さいませんか?スュクレ伯爵家ルタルデ夫人。あなたが、あらしプラムのシェイクを飲んでくれたら、きっと、ほかの女性のきぞくも、安心して飲んでくれるとおもいます。母上にのんでいただくわけにいかない、私を、どうかたすけて。」
上目遣いで、あざといおねだり顔のネクターに、ルタルデ夫人は。うるっ、として。
陥落、した。
「私、私でよろしければ、お力に。」
おず、おず。
ストローに口を付けて。
ズズッと飲んだ。
「お母様、おいしい?」
「ええ•••これ、とても。とても美味しいわ!」
口に手を当てて、びっくり。
「ふふふ。そうだね、ルタルデ。私の嵐梨ヨーグルトも、さっぱりしていて美味しいよ。」
わいわい。きゃあ、と、仲良しな家族。
何となく話の行末が気になって、去り難く、その辺でたむろしてシェイクを飲んでいたお客様も、ホッとしてニコニコ。オマケのグラン公爵家のしがない三男、ボンも、ジュルル、とシェイクを啜りながら、ニンニンと笑った。
「良かった。」
ネクターが、少し寂しそうに、でも微笑む。
竜樹はその小さな肩を撫でて、背中を抱く。
「母上も、もっと早く、気づいてたら、変われたかな。」
「•••そうかもなぁ。」
撫で、撫で。
「•••俺は、ネクターの、そういう人の事を考えたり、喜べる所、好きだな。」
「えっ?」
ネクターは、目を見開いて、竜樹を見上げた。
「良い子良い子。」
「•••ふふ。へへ。」
てへっ、と照れ照れする。良い子のネクターにはきっと、良い事あるよ。
「そして、この騒動の間も、ずっと黙って働いてるサンも、とっても良い子だと思わない?」
「思う!!」
サン!と呼べば、「なぁに~?」と寄ってくる。
ネクターが、サンに、良い子良い子する。
「がんばってくれて、ありがとうねぇ。」
「へへ。サン、ネクターさま、すき!」
分かってるじゃないか、サン。
「サン、ネクターさまみたいな、おにいちゃんになりたいの!」
「お兄ちゃんに、なりたいの?」
「ウン!」
うんうん、うん?
サンのお母さん、ラフィネさん、これから子供産むかなぁ?いや、ツバメとかいるし、これからも親のいない子供、増えるかもしれないし、とかいう事かな。
ニヤニヤするのは何故だ、ネクター。
「「はい、旦那様。」」
「!はい!お父様!!」
コライユちゃんは、涙をぐしっと拭いて、竜樹の首っ玉から顔を離すと、ニコッとして。旦那様がいらっしゃれば大丈夫、とニコニコと見守る従者の、青年デリシュと、見習い従者カルムと共に、タタタと列に並びに行った。
この間も、新たにお客様が増えて、列は20人程になっている。話し合う時間は、充分取れそうである。
「そんなもの、私飲まないわよ!またあなたは、コライユを甘やかして!」
ルタルデ夫人が、吐き出すように、夫のジェネラルに言う。
「良いのかい?そんな事を言って。ネクター殿下が、こちらお側で、嵐桃のシェイクをお飲みになっているのに?それを君は貶めて、侮辱すると?」
ネクターは、ぱち、と目を瞬いて、ズズ、とシェイクを啜ったが、ニヤッとルタルデ夫人に笑って見せた。
「そ、それは•••。」
口ごもるルタルデ夫人に、並んでいたお客様が、クスクスッと笑う。庶民だって貴族だって、皆が喜んで飲んでいるシェイクを貶して、上から目線でズケズケ言う、ルタルデ夫人の言葉には嫌気が差していたのだ。
そして、自分が買う番になると、ネクターに目礼をしていったりする。ネクターはその都度ニッコリ、手を振り振り、とする。わあっ、手を振って下さった!可愛い!などと、人気のネクターである。
「君、貴族的に、身分が上の方は好きで挨拶に寄っていくけど、何だかイマイチ好感持たれないのは、そういうとこだぞ。」
ジェネラルが追って言うと、ルタルデ夫人は、くくく、く、と唇を震わせた。
「それに君、プラム好きだったろう。つべこべ言わずに、文句を言うなら飲んでから言いなさい。ちゃんと飲まずに文句だけ言うのは、それは言いがかり、っていうんだ。」
とくとくと、諭す。うんうん。ジェネラルは、常識人のようである。
「私は文句なんて•••!ただ、落ちた桃なんて、コライユに食べさせられないと•••!」
「何故だい?私達の領地の果樹だって、ギフトの御方様の嵐桃対応には、助かっているのに?率先して飲んで下さるネクター殿下が、正直有難いくらいなのに、自分達はそんなもの、飲めないと?浄化もしてるし、安全だよ。」
言い負かされて、ぐぐっと拳を握るルタルデ夫人は、ギリギリした歯の隙間から漏れ出すように呟いた。
「いつも、いつもそう。あなたは正しくて、私がいつも悪者よ。コライユだって私を馬鹿にして、言うことを聞かないし、家の者だって、最終的には旦那様のご意向ですからって、私の意見を聞いてもくれない•••!私だって、私だって、スュクレ伯爵家の為にと思って、頑張ってるのに•••!」
うっ、うっ、ううううううぅ~!
ぼろぼろぼろ。ルタルデ夫人の、綺麗にお化粧した顔に、大粒の涙が溢れる。ふーっ、とため息をついて、ルタルデ夫人の肩を抱いてハンカチを出して拭いてやるジェネラルに、ルタルデ夫人はハンカチをむしり取り、肩を振り解いて、自分でハンカチをクシャクシャにしながら拭いて、顔を伏せた。
あーあ。多分、夫婦で方向性が違いすぎるんだよね。
竜樹は愚痴の一つも聞いてみようと思った。このままじゃ、コライユちゃんが板挟みで、かわいそうだからだ。
「うん。ルタルデ夫人、自分の子供に安全な食べ物を、と思うのは、母親として当然の事ですよね。そもそも、一定の割合で、忌避感を持つ方もいるだろうな、と思ってはいるんですよ。だから、美味しい安全なシェイクではあるけど、飲むか飲まないかは、好きずきでいいんですよ。」
全ての方に、好きになってもらおう、とは、言えませんしね。
竜樹が言うと、ジェネラルが、へにょりと眉を下げて、情けない顔をした。
「そ、そうよ!私は、コライユの為を思って、言ってるのよ!」
「うんうん。ちょっと、皆の前で言ってしまったのが、良くなかっただけで、思うのは自由ですよ。だって、ほら、ルタルデ夫人は分かってるでしょう?上から教えてやるぞ、っていう視点で、モノを言われるのって、何かムカつく、って。自分が下に見られている気がする、って。」
「そうなのよ!私が、何も考えてないみたいじゃない!大体、いつもジェネラル、あなたは仕事仕事って出掛けてばっかりで、私がいつも家の中を綺麗に美しく保とうと頑張ってるのに、見てもくれない!貴族のご婦人方とのお付き合いだって、私、頑張ってるわよ!皆、いつも素敵な流行の装いで、お茶会の支度だって超一流で、それに気づかずに舐められたら、スュクレ伯爵家が馬鹿にされるのよ!こちらだって超一流の準備をして、いつも矜持を保ってなければ!」
それなのに、お茶会、またかい?何てさもうんざりしたように言ったりする!
「私ばっかり、役立ってないみたいに、認めてももらえないのに、1人で頑張って、馬鹿みたい!」
うわぁああん!
号泣である。
「うっ、うっ、そ、それにこの間、あなた、は、花街のキャバレーに行ったわ!」
キッとハンカチ噛み締めて、ジェネラルを睨む。
「な、何で知ってるんだ!そ、それは、仕事仲間に誘われて!付き合いだよ!私にだって付き合いはあるよ!」
しどもどしてる所が、男の弱さと言えましょう。
うむ。それが原因か。ギフトへの風当たりの強さは。
これはダンナも悪いわよ、とお客様達もひそり。
「あなたばっかり楽しそうで、私は家で顧みられなくて、ずるい!ずるいわ!」
うっ、うっ、うっ!
まいったな、なんて、ジェネラルは言っている。う~ん。
「ルタルデ夫人。お茶会は、大事な社交ですよね。貴族のご婦人方は、あまり気軽に外に出かけられたり出来ないのでしょう?その中で、社会と触れ合うのは、女性グループのやり方で、その中だけで見ている事になりますね。多分、それだと、ちょっと視点が狭いし、旦那さんのジェネラル様とは、見ている所が違うんです。それ自体は悪い事じゃないけど、旦那さんと話が噛み合わないし、ルタルデ夫人は、満足してらっしゃらないでしょう?」
ひっく。すん。鼻を赤くさせて、目を伏せるルタルデ夫人に、視点の違いか、と呟く夫のジェネラル。
「そうよ。私達、貴族の女性は、お茶会か、観劇か、そんな事でもなければ出かけられないわ。ドレスを作る時も、買い物も、家にデザイナーや商人を呼ぶのだし。ーーーそうね、外に出掛けて、色々見聞きできる方とは、ちょっと違うわ。それでも。」
私だって。
「私だって、最近、ギフトの方の案で、世の中が変わって来ている事くらい、分かるわよ。貴族派の夫人達が、自分達の派閥を守ろうと、必死で声をかけているけど、皆、苦笑いして遠巻きにしていく。私の父と母も貴族派だから、私に、歌声喫茶などに行くなら、縁を切る、それより世継ぎを早く産めと言ってきたわ。貴族派の家の娘と結婚させるんだと。私だって、楽しくしたかったわよ。でも、でも。」
モミモミ。ハンカチは湿っているし揉みクチャだ。
ジェネラルは、トントンとルタルデ夫人の背中を叩く。
「私の子を、幾ら義父とはいえ、自由にはさせないよ。それに。」
そっと抱き寄せて。
「君、コライユの時、とても難産だったろう。私としては、身体に無理をして男の子を望むより、コライユに婿をとって継いでもらう形でもいいと思う。まぁ、だから私の視点で、領地の事や民の事を、コライユに話してしまったんだが。」
君を悪者にするつもりはなかったよ、すまないね。
そういうことを、何故、夫婦で、話し合わないのか!
竜樹と全お客様が、そう叫んだ!(心の中で。)
案の定ルタルデ夫人は怒った。
「そ、そんなの、そんなの、はじめて知ったわよ!私だって、知ってたら、父や母に、あんなに子供をせっつかれて、辛い思いを、う、う、う。」
「ごめんよ、ルタルデ。私の言葉が足りなかったね。」
ショボり。夫婦共にしょんぼりである。
あー。
「王様も言ってました。•••王といえど、家庭を築くとなれば、情けない一人の男であるな。と。リュビ妃様関連の事で、日々家族が顔を合わせて元気を確かめる必要を感じたと。これからは、家族で晩餐する回数を増やそう、お茶の回数も、と。」
話し合いが、足りなかったのではないですか?
「•••うん。あの忙しい王様だって、そうおっしゃるなら、私ごときが時間を作れないはずはあるまい。ルタルデ、これからは、私ともう少し話をしてくれないか?」
ひく、ひく、涙を拭い、化粧のすっかりとれた、何だかあどけない顔で。
「い、良いわよ。話をするわ。」
竜樹は、差し出口と思いながらも、突っ込んでしまう。
「どうか、正論で殴りあわないでね。その方法でやっていける人は、パワーやエネルギーがある人で、喋るのが上手い人だから。両方がそうで楽しいならいいけど、片方だけだと、ただの一方的な殴りになっちゃう。」
共感、寄り添い、大事。
「そうよ。」「そうなのよ。」「聞いて欲しいだけなのに!余計な事いうのよ!」
うんうん、とお客様達。
そう、そうなんだよ。
「ルタルデ夫人、旦那様のジェネラル様や、コライユちゃんは、あなたの敵じゃないんですよ。」
「ーーーー敵?」
「誰だって、自分の思う通りにやってみたくない?それは、ルタルデ夫人もそうだと思うけど、コライユちゃんも、そうだよね?こうじゃなきゃいけない!って、ギュッと不毛に、締め付け合ってない?」
「それはーーー。」
むぐ、と黙り込む。
「俺ね、自信がないんだね、て言われた事があって。」
自信がない事自体は悪くはないと思う。だって、自信がないから、頑張って努力する、とかもあるもんね。
でも、それによって、優位に立ちたい人に、マウント取られやすくなったり、そのせいで傷ついたりしちゃうと、何を言われても周りが皆、自分を下に見てるみたいに思っちゃわない?
「例えば、ジェネラル様やコライユちゃんに、馬鹿にされてるみたいな気持ち?」
うん、うん。
「してた。してるわ。」
ぐすん。鼻を啜って。
「だから、ルタルデ夫人は、自分を武装する為に、庶民を過度に下に見たのじゃない?だって、時代が変わってきてるの、本当は知っていたのだものね。」
誰かを下にして、自分を上にあげる。
マウントされて、誰かにマウントする。それを永遠に続けるのって。
「ね?何か、つまんなくない?」
「わたしだってそんなことしたくない!!!」
聞きたくない!と、耳を抑える。小さな小さな、子供になってしまったように。
ジェネラルが、妻の丸めた背中を撫でて、そんなに辛い思いをしてたのか、と言ったら、耳を塞いだ手のひらは、ゆるゆると緩んだ。
「本当に自信があれば、マウントする必要ないですよ。自信がある人って、自慢らしい自慢しないし、その必要もないし。事実がそこに、あるわけだから。そういう人、いませんでしたか?お茶会でも。何を言われても、落ち着いていて、自分のスタイルがある人。」
はっ、と思いついたように、目を見開く。
そうそう、そうだよ。
俺だって偉い事が言えたもんじゃないが。自分なりで、いいんだよ。
竜樹は、自信がないって言われたその時、家事をもっと頑張る事にした。家では、母が良く褒めてくれて、段々出来ることも増えて、料理やお菓子作りなんて、作れば美味しいものが食べられるし、自分が楽しくなっていった。そのうち、褒められなくても、自分主導で家事できるように。工夫したりしてね。
そして落ち込んだらケーキを焼く。
「私、私は、自信ないのかしら。」
ショボショボと、勢いの無くなったルタルデ夫人は、指をにじにじと、弄りながら。
どうかな。
「だけど、お茶会、本当は楽しくないのじゃない?かな?」
むむ、と口を結んで。
「ーーーーーだって、参加しないと、話に乗り遅れて。」
「そうですよね。情報収集の手段だものね。それに、女の人は、生き生きとおしゃべりするのが、楽しみって人は多いですよ。何か、お茶会で、楽しみだな、ってことはありますか?」
うーん、と考えて。
「な、ない。ないわ。お話を、親しくする方も、いないのよ。皆、どなたにも、侮られたらと思って、緊張して。」
「楽しくない事をずっと我慢してやってたら、イライラもしますよね。」
「するわ。するわよ。」
えーと。
「負けて勝て、という言葉が、俺のいた世界には、ありまして。わー、すごーい、そうなんですねー、へー。で、何とかなりますよ。あとは笑顔。全部、律儀に聞かなくても、いいんですよ。」
んんん?という顔を、皆がした。ルタルデ夫人も、ジェネラルも、ネクターも。何となく、うんうんと、お客様の一部が頷いているが。
「そんなので、本当にやっていけるのかしら?」
「う~ん、分からないけど。」
「わ、分からないのですか?」
ジェネラルが、ガクッとなった。うん、俺、女性じゃないし、神様じゃないから、わからない。
「でも、緊張したままイライラ話をするより、良いんじゃない?そのうち、話が面白い人と面白くない人とか、分かったら、面白い人と仲良くなってみてもいいし。ある程度、割り切っても。それで、ジェネラル様と話し合えたら、今うちの領地で、これ推してるよ~、とか、アピールできたりするかも。」
「そういえば、流行りの最先端じゃなくても、いつも品良く、自分の領地のものを、身につけていた方がいたわ。」
ルタルデ夫人が思い起こす。
ね?人それぞれなんだよ。
あとは、人生を楽しむといいんだよ!
「せっかく可愛い子供がいて、可愛い時期なのに、夫もプラム好きとか好物分かってくれてるし、話もしてくれるし。楽しめばいいんですよ。色々と。もったいないですよ、イライラ怒ってばかりいたら。」
何なら執事喫茶、行ってみたら?推しがいると、楽しいよ?
竜樹の言葉に、ジェネラルが、ちょいムッとした。
「何よ、私が執事喫茶に行ったら、あなた面白くないの?」
「う、うう。面白くない。」
ぷい、と顔を背ける夫ジェネラル。何だよなあ。仲良いじゃん。
コライユちゃんは、竜樹と話をした時、ちゃんとお話しもできていたし、良い子に育ってると思う。それは、コライユちゃんが良い子な個性もあるけど、躾けてるルタルデ夫人とジェネラル様が良かったんだ。
「お父様、お母様!あらしもものシェイク、かったわ!」
トコトコ、と笑顔のコライユちゃんが戻ってきた。デコボコ従者のデリシュ、カルムも、ジェネラルの分、嵐梨ヨーグルトと、ルタルデ夫人の嵐プラムミルクを買って、ご主人様、奥様、どうぞ、と差し出した。自分達のものも、好きなのを選んでいる。
「わ、私ーーー。」
ルタルデ夫人は、受け取りはしたが、何だか恐れている。
「お父様と、お母様と、いっしょね!コライユ、あらしももがのみたかったの。でも、なしとプラムも、あじ、おしえてね!お父様、お母様!」
ジェネラルに寄りかかって、抱っこされて、ジュ、とシェイクを飲んだコライユちゃんは、つめたい!おいしい!うふふ!と顔をクシャとさせて笑った。
「ルタルデ夫人。」
黙って話を聞いていたネクターは、飲み終わったシェイクのコップを両手で抱えたまま。シェイクを飲むのを躊躇しているルタルデ夫人に話しかけた。
はっ、とネクターを見た夫人は。
「あの、あの、ネクター殿下、失礼をしてしまって。」
もじもじと恥ずかしそう。
落ち着いて改めて考えると、恥ずかしかったのだろう。棘が抜けて、素直な夫人は、可愛らしい感じだ。
「私をたすけて下さいませんか?スュクレ伯爵家ルタルデ夫人。あなたが、あらしプラムのシェイクを飲んでくれたら、きっと、ほかの女性のきぞくも、安心して飲んでくれるとおもいます。母上にのんでいただくわけにいかない、私を、どうかたすけて。」
上目遣いで、あざといおねだり顔のネクターに、ルタルデ夫人は。うるっ、として。
陥落、した。
「私、私でよろしければ、お力に。」
おず、おず。
ストローに口を付けて。
ズズッと飲んだ。
「お母様、おいしい?」
「ええ•••これ、とても。とても美味しいわ!」
口に手を当てて、びっくり。
「ふふふ。そうだね、ルタルデ。私の嵐梨ヨーグルトも、さっぱりしていて美味しいよ。」
わいわい。きゃあ、と、仲良しな家族。
何となく話の行末が気になって、去り難く、その辺でたむろしてシェイクを飲んでいたお客様も、ホッとしてニコニコ。オマケのグラン公爵家のしがない三男、ボンも、ジュルル、とシェイクを啜りながら、ニンニンと笑った。
「良かった。」
ネクターが、少し寂しそうに、でも微笑む。
竜樹はその小さな肩を撫でて、背中を抱く。
「母上も、もっと早く、気づいてたら、変われたかな。」
「•••そうかもなぁ。」
撫で、撫で。
「•••俺は、ネクターの、そういう人の事を考えたり、喜べる所、好きだな。」
「えっ?」
ネクターは、目を見開いて、竜樹を見上げた。
「良い子良い子。」
「•••ふふ。へへ。」
てへっ、と照れ照れする。良い子のネクターにはきっと、良い事あるよ。
「そして、この騒動の間も、ずっと黙って働いてるサンも、とっても良い子だと思わない?」
「思う!!」
サン!と呼べば、「なぁに~?」と寄ってくる。
ネクターが、サンに、良い子良い子する。
「がんばってくれて、ありがとうねぇ。」
「へへ。サン、ネクターさま、すき!」
分かってるじゃないか、サン。
「サン、ネクターさまみたいな、おにいちゃんになりたいの!」
「お兄ちゃんに、なりたいの?」
「ウン!」
うんうん、うん?
サンのお母さん、ラフィネさん、これから子供産むかなぁ?いや、ツバメとかいるし、これからも親のいない子供、増えるかもしれないし、とかいう事かな。
ニヤニヤするのは何故だ、ネクター。
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