王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
上 下
118 / 510
本編

嵐桃会議2

しおりを挟む

嵐桃会議は、みんなにテレビで聞いてみようと決まった後。

どこの領地に、何の果樹が、いつとれごろであるか。
嵐での被害報告を待ちながら、今の段階でできる、ある程度の支援方法をあらかじめ当てはめておいて、受け入れ準備する事になった。
何しろ連絡を取るのに時間がかかる。報告せよとの通知を出しつつ、勿論、領主からの問い合わせと地元の要望との兼ね合わせで、できる製品は変わってくる。いわゆる叩き台だ。

また、せっかくの企画だから、嵐の置き土産として、物産館を開く事にして、そこでは常時、季節毎の地方の物産を置く事になった。アンテナショップである。

まだ、1領地で1つの物産館を開くほどには商品のバリエーションがないとの事なので、東西南北4地方に分かれて、それぞれ特色のある館を、となった。
その館の建設費は、基本のガワ分は国庫から出る。中身のオプションは、それぞれ工夫してもらう。みんな張り切って売り込みして欲しい旨、これから会議で話し合っていきたい、そしてやっぱり連絡に時間がかかるの、面倒よね、となり。

「今回はすぐには間に合わないけれど、電話、量産すべきでしょう。」
竜樹は、電話機能に加えて、web会議みたいにできたらいいんじゃないか、と、仕様をチリに説明する。

「な、なるほど!画面が、幾つもの窓になって、話をみんなで共有できるようにする、のですね!?それなら、地方にいながら、会議ができますね!」
「実際に会ったり、現物を見たりする事の良さもあるから、なんでもそれにしちゃうと、また困るけどね。」
「チリ魔法院長、地方それぞれの領主に行き渡るほどの、てれび電話、どれくらいで作れるか?」
「う~ん、16地方にあれば、主要領主に配れますかね。その下の者達は、近隣領主の館に集まってもらうとして。ひ、1つ月下さい!その間に、魔法院で総力を挙げて作ります!」
「出来た電話機から配っていって、連絡取りつつ商品の調整していこう。」

緊急連絡も、これでとれるね、となって会議はひとまず終わった。
「皆、よろしく頼むぞ。」
ハルサ王が言って。何だか微笑んで王子達を見やるマルグリット王妃と、席を立つ。
竜樹も王子達に目をやり、笑ってしまった。

「ニリヤ、今日も良く動いたからねぇ。」

スヤ、スヤ。
机の上に腕を囲うようにして、腕を枕にほっぺを押し付け、お口がとんがってムニムニとしている。
会議しながら、おやすみなさいのニリヤだった。
何だかんだと大人達は話が弾んだので、もう夜も更けて。ネクターも目を擦り、オランネージュも眠たそうだ。

「お疲れ様だね。ニリヤは俺が運ぼうね。」
マルグリット王妃が、くすくす笑いながら、王子達の席まで歩いてくると、ニリヤの頭をなでなでした。ハルサ王も、やわこいほっぺをつんつんしている。
「よろしくお願い致しますわ。今日は、寮じゃなくて、ニリヤのお部屋でおやすみかしら?」
「そうですね、会議室から近いですし。よっこら、どっこいしょ。」
抱き上げて、竜樹の肩にニリヤの小さな頭を乗っけるようにすれば、すふー、と息を深く吸って、抱きついてきた。
「おやすみ、私の子どもたち。」
「みんな、おやすみなさいね。また今度、私とも寝てちょうだい。」
「はい!お休みなさい、父上、マルグリット様。」
「おやすみなさい、父上、母上。」
「ムニャ•••。」


ニリヤの部屋へ戻ると、侍女さんとツバメがいて、ツバメは一生懸命に哺乳瓶のお乳をちゅむちゅむしていた。

「シャンテさん。ツバメの面倒、ありがとうね。夜はみるから、寝ておいてね。明日は午前中、神殿に一度出掛けるから、その間はまた頼むね。」
「はい、竜樹様。また明日よろしくお願いします。」

授乳が終わって、トイレ行って歯磨きして、浄化も魔石でみんなにして、ぱったりと眠った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で双子の勇者の保護者になりました

ななくさ ゆう
ファンタジー
【ちびっ子育成冒険ファンタジー! 未来の勇者兄妹はとってもかわいい!】 就活生の朱鳥翔斗(ショート)は、幼子をかばってトラックにひかれ半死半生の状態になる。 ショートが蘇生する条件は、異世界で未来の勇者を育てあげること。 異世界に転移し、奴隷商人から未来の勇者兄妹を助け出すショート。 だが、未来の勇者アレルとフロルはまだ5歳の幼児だった!! とってもかわいい双子のちびっ子兄妹を育成しながら、異世界で冒険者として活動を始めるショート。 はたして、彼は無事双子を勇者に育て上げることができるのか!? ちびっ子育成冒険ファンタジー小説開幕!!  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 1話2000~3000文字前後になるように意識して執筆しています(例外あり)  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ カクヨムとノベリズムにも投稿しています

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...