王子様を放送します

竹 美津

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本編

桃のシェイクやさん

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お昼ご飯に、チャーハンと、サヤエンドウのサラダ、でっかいシュウマイ1人2こ、ワカメスープを食べた。

料理長にレシピを提供すると、あっという間に会得するので、口福が訪れる王宮なのである。
シュウマイ、竜樹はカラシを付けて酢醤油で、子供達は酢醤油だけで、はふはふっ と口にジューシー。アルディ王子も、臭み取りの生姜のすりおろしが入っているからか、パクパク食べた。エフォールも、珍しそうに、目を瞬きながらチャーハンをはぐはぐしている。チャーハンからのシュウマイからのワカメスープ、時々サヤエンドウ。止まらないループである。

「美味しかった~!」
「「「ごちそうさまでした!」」」

ポンポン。
お腹を叩いて満腹。食器をそれぞれ片付け、手分けしてテーブルを拭いて、食休みしてから、小さい子達は交流室に布団を敷いて、少し横になって昼寝。
早く桃の試作をしたい所だが、子供時間は、融通効かないのだ。

その間に、桃を凍らせよう。

「はいはいお、お呼びで?」
「チリさん、しー、だよ。ちっちゃい子がお昼寝中で。よく来てくれたね。桃を凍らせてほしくて。」
「桃を?」
「凍らせた桃をミルクと混ぜて、ミキサーにかけて、あ、チリさんだったらヨーグルトも混ぜると、爽やかなシェイクになるかも。美味しいよ。」
「美味しそうです!シェイクとは、初めてですね。」

「俺も桃の試作に参加するよ。」
ゼゼル料理長が、ひょこっと寮に現れた。
「料理長。お昼美味しかったですよ~特にシュウマイ。」
「おお、そうか!手間はかかるが、米に合う肉料理って事で、もらったレシピの中から作ってみたんだ。なかなか評判良いんで、時々作るぞ。」

「やった!」
お昼寝はしない、大きい子供達が、大きな音を出さないようにして、ぴょん!ぴょん!と飛んだ。シュウマイ人気である。

「桃、つくる?つくる?」
「私達、手伝うよ!」
囁きながら。

「桃、凍らせるのか?切ってから?」
「ミキサーにかけやすい大きさに切りましょう。おっきい子達は、刃物を使う練習しよう。桃を1人1個剥こう。じゃあ、オランネージュからね。」
「うん。」

起きている人数、そして年齢なら、寮の厨房に順繰りに入れるかな、と、ゾロゾロ厨房に向かう。
まずは、桃を洗う。細かい毛をキュキュと水の中で擦って落とす。自分で剥く桃は、自分で洗おう。
ナイフの持ち方を教えて。
凹んでるスジに沿って、ぐるりと一周種に届くまで刃を入れて、クリンと実を半分ずつに持ってひねる。

「あ!種、半分とれた!」
「ナイフの、手元の角っこのところで、残った種グリグリーって取ってね。」
「うん、こ、こんな感じ?」
いい感じいい感じ。
皮もゆっくり剥いて、傷んだ所は取って、お茶碗に入れたのを、チリが凍らせる。
1人ずつ剥いて、凍らせて、とやっている内に、ゼゼル料理長が、シェイクの器の準備や、ヨーグルト、蜂蜜、ミルクを準備した。
ちょうど3時か、というところで、小さい子達を起こして、やっとシェイクを作れるぞ。
「ほら、起きないと、おやつ終わっちゃうぞ~。」
「お、おきう。」
「ももの、たべる~。」
はいはい、とムニムニしているのを促して。一緒に寝ていた、エフォール作のぬいぐるみを、棚の所に座らせて並べ、片付けて。スッキリするように顔を濡れタオルで拭いてやる。

「ミキサーのボタン押したい人!」
「「「はーい!はーい!」」」

順番ねー、と並んでもらって、1人分ずつ作る。

ポチッとな。
ガガガ ガ ガガ!

この世界でもストローはあるが、使い捨てではなく、ガラスの洗って使う色とりどりなものだ。
木のコップに、とろ~り注いで、ストローをさす。

「出来た順に飲んでいいよー。」

寮では、小さい子順が決まりである。

「!お、おいし!」
「おいしね!サンと、たつきとうさんで、かってきたももなんだよ!」
サンが得意げに言うので、
「アハハ。サンがぶつかったから買ってこれたんだ。サンのおかげだな!」
と竜樹もサンを撫でた。

「サン、やったね!もも、おいし!」
ニリヤはニコニコッと、サンの肩をポンポンした。

ネクターも、じゅるる、とストロー咥えて吸って、まむまむ、コクンと味わっている。目が、キランとして。

「美味しい•••。私、桃の味、好きみたい。」
「そうかそうか。良かった。」

ふっ、と不安そうな顔をして。

「好きなものが、似てるからって、性格も似たりする?」
としょぼくれた。

「似ないよ。ネクターはネクター。桃を好きな人はいっぱいいるよ。大丈夫、大丈夫。」
「大丈夫?」
「むしろいっぱい食べて、農家さんに貢献したら、とっても素敵な事じゃないかな?」
テレビの昼の放送を、ネクターも観た。困ってる人を助けるのは、国民を助けるのは、きっと、あの人に似ていない。

「じゃ、じゃあ、これ、フリーマーケットで売ってもいい?」
「おお、いいよ!ネクターはシェイク屋さんをやるんだね。なかなかいいんじゃない?王子様が売るとなったら、話題になるし、貴族の人も飲んでくれるかも?」
「サンも、おてつだい、する~!」

「サンも手伝ってくれるの?」
「ウン。ネクターさま、てつだう。ももの、しぇいくやさん!」
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