110 / 579
本編
5000いいね×2
しおりを挟むぱっ ひらりひら。
白い花、真ん中が十字に赤い小さな一輪、竜樹の横をひらひらと。
「かみさまの、おはなだ!」
ニリヤが、キャッと喜んでお花を拾う。オランネージュとネクター、ジェム達が、うわぁと囲んで、マジマジと見る。竜樹の顔を、見上げて、神様、何だって?と聞くが、アルディ王子や、エフォール、は、はてな?な顔をしている。
「5000いいね、追加されました。」
神々の庭に、メッセージが届いている。
メディコー
『私は 医療の神 メディコー。
カラダすきゃなー 素晴らしい。
ぜんそくの 治療も 良くぞ
気付いてくれた。
5000いいね 送っておいた。
ところで。』
竜樹
『ありがとうございます!
はい。ところで?』
メディコー
『造血の魔法は
どうなっとるのかね。
それから 身体のなかにできる
悪いできものの 治療は?
私は お前たち 人を
病に 伏せる 者たちを
それを 救おうとする
治療師の者たちを
いじらしく かわいく 思っている。
怪我や 病気で 血が足りぬ者に
早く 朗報を 知らせてやりたい。
できもので 虚しく 命を
散らす者に 救いを。』
竜樹
『今、お試し治療で、
治療師さん達が、頑張っています。
時間がかかって、すみません。
情報は、渡してあるので、
順番に、やっていくと思います。
造血は、血が増え過ぎても、
身体に良くないので、慎重に
しています。
カラダすきゃなーができたから、
悪いできものには、対処ができるかと
思います。』
メディコー
『造血の魔法 一気には
かけられぬな。
血の分の栄養も とりながら
やらねばならぬ。
血の 増え過ぎは
心配せずともよい。
指の怪我の治癒で かけ過ぎて
余分な指ができたりせぬように
血も 増え過ぎは しない。
気にせず やってみなさい。』
竜樹
『貴重な情報、
ありがとうございます!
さっそく、治療師さん達に
伝えます!』
ランセ
『やあ 情報の神 ランセだよ。
新聞も 楽しく読んでるよ。
郵便とも あいまって
テレビも 新聞も ますます
広がりそうだね!
電話も 広がるといいかも?
まぁ 色々 やってみてごらん。
いつも 見守っているよ。
私からも 5000いいね
送っておこう。
新聞 面白いからね。』
竜樹
『ありがとうございます!
いつも、助かってます。』
ランセ
『良かった 良かった。
では またね。』
「5000いいね、追加されました。」
「かみさま、なにゆってた?」
「うん?見てみる?こんなお話したよー。」
子供達に、スマホの画面を見せると、読める子と、まだ読めない子とで、反応が違った。竜樹が、指で画面を追いながら読んでみせると、アルディに付いていた治療師ルルーが、一際大きな声で、ふわぁあああ!と叫んで、みんながビクッとした。
「神様が•••教えてくださった!!」
「こちらからは、あまり何でもは聞けないけど、ありがたい事だよね!」
竜樹が、うんうんと頷くと、ルルーは、手を胸の前で組んで、膝をついて祈りを捧げた。
「ありがたい、ありがたい事です!これで、血が足りない事にも、対処できます!竜樹様の世界のように、輸血はできなくとも、この世界のやり方で!」
うんうん、と竜樹は再び、頷く。
「なんで、かみさまに、なんでもきけないの?」
ニリヤが不思議そうに聞いてきた。
「•••そうだな。神様と話できるんだったら、色々教えてもらったら、すごくトクするんじゃねぇの?」
ジェムが、驚きのドングリ目で、フンス!と鼻息吐きながら言う。
「何でも結果を聞いちゃったら、みんな、生きていくのが、つまんないだろ。どうしようかなー、どうしたらいいかなー、って、自分でも考えて、人にも聞いて、何とか見つけてやっていくのが、自分でやったって気がするじゃない?神様は答えを言う係じゃないし。多分、教えられるならとっくに教えてるし。」
「•••私、何で病気や下半身麻痺なったんだろ、って神様に思った事あるけど。」
エフォールが、ポツリ、と言って、アルディ王子が、その側で、ハッとして、うん、とエフォールの顔を見詰める。
「神様も、思い通りには、ならないのかもなんだね。だって、かわいく思ってるって、言ったもの。私たちのこと。」
「うん、うん、そうだよね。それで、喜んでたね!カラダすきゃなーとか、ぜんそくとかの、治療のこと。」
ぶんぶん!とアルディ王子の尻尾が揺れる。
「やっぱり、ちょっとは、何で私、病気や麻痺なんだろって気持ちもあるけど、でも、神様は、見ていてくれてるんだね。自分たちで、がんばるところを。」
「うん、うん、見守ってる、って言ってた!」
「この世界の神様は、人と近いから、時にはちょっとだけ、こんなふうにヒントくれたりもしてね。」
ふふふ、と竜樹が笑う。
ほぇー、とジェムは、まだ何だか分かりかねる顔をしていたが。
「神様が、全部ジェムの書く新聞の記事決めて教えてくれたら、ちょっと待ってよ!って思わない?自分で調べたくない?」と竜樹が言えば、
「ええええ!それは、ーーーそうかも。」と、やっと何か了解した。
ミランは、微笑みながらカメラで撮っていた。
神にあまり何でもは聞かない、と、わきまえている竜樹だからこそ、神があちらから言葉を掛けて下さるのだろう、とミランは思っている。
神の言葉を私したら、どんなに恐ろしい事があるだろう。この世の全ての病や怪我を、神が無くしてくれたとしたら、一体人はどうなるだろう。良いようでいて、恐ろしいような。
人が弱い所を無くした時、弱さを大事にする柔らかい心を無くしてしまわないか。何をしても失われはしないと、思い上がりはしないだろうか。
そんな風にも、ミランは思うのだ。
エフォールやアルディ王子を、何とか治って欲しいと思う心と、神に想いをはせるその事とは、二つ矛盾しているようで結び付き合って、ミランの中でぐるぐるとしている。
カメラで撮る、そうしていく事で、ぐるぐるはどうなっていくのか。
ミランはそれを、見たい、やっていきたいと、子供達の未来を優しく思うと共に、願っている。
46
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。

家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる