王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
上 下
80 / 518
本編

新聞、初売り

しおりを挟む

新聞のパイロット版が刷れた。
王様や貴族達、街歩きしている人に配り、こんなものだよ~と周知をした。文字が読める街の人の感想は、ゴシップ芸能文化欄が面白い、で、政治経済についても、突っ込んだ詳しい内容が、読み応えある、と好評だった。
そして、今日。
新聞の、発売日。

『麦の月、今日20日から、新聞という様々な情報を載せた印刷物が、新しく発行されます。まずは王都の2か所での発売となり、今日は初の販売ということで、式典が行われるようです。今まさに準備中の販売所に、ニュース隊が取材に行っています。スーリールさん?』
『はーいニュース隊のスーリールです!売り子となる、ギフトの御方様預かりの子供達が、このような制服で!販売します!』
ジェム達が、まずは式典に出る為に、頬を真っ赤に、そして緊張しながら、全員揃って並んでいる。ネクタイもきりりと、帽子も勢揃い。まだ販売員のできない小さい子も、ネクタイと、帽子だけはもらって、一緒に並んだ。

『朝、そのまま食べられる甘いあんぱんや、ハムやチーズ、たまごを挟んだお惣菜パンと、ミルクも売っています。新聞は1部銅貨3枚、パンは銅貨2枚から5枚、ミルクは持ち歩きできる蓋付きの木のコップで、銅貨3枚で買うことができます。コップは再利用でき、持ち込めばミルクは銅貨1枚です。』

カメラがパンして、小さな販売所の前にある、ベンチを映す。
『ここで、ぐーっとミルクを飲んだり、あんぱんをささっと食べたりできます。では、食べてみます!新聞とあんぱんとミルク、ください!』
『はい、銅貨8枚になります!』
ジェムとロシェが、販売所に入って応対する。
代金を手のひらに貰って。
新聞は、タブロイド版なので、日本の新聞の半分サイズだ。カウンター内に、立てられてディスプレイされている。それをジェムがスッと取って、差し出し、ミルクをコップに、ポットからトポポと注ぐ。ロシェが紙で包んであるあんぱんを、ケースから出し、スーリールに渡した。

スーリールは、ベンチに座ってあんぱんを一口食べ、ミルクを水筒からグッと飲み、『うーん、甘いお豆にミルクが美味しい!』と言い、バサっと新聞を見て、『な、なんと!今日初売りトップの記事は、獣人の国、ワイルドウルフと友好条約を結んだ件です!昨日からこの国、パシフィストへ、調印の為に王様、ブレイブ王と王子様、アルディ殿下がいらしています。記事には、お二人の写真、撮影した画像も掲載されています。詳しくは、新聞をご覧ください!』
『そしてこれから、新聞初売りの式典で、ワイルドウルフの王様と王子様も、こちらにいらっしゃいます!』

またまたカメラが、ベンチから横に振れる。

『私達も、式典で新聞をお渡しします!』
オランネージュ、ネクター、ニリヤが。
猫耳帽子に、ちょこんとした、ふさふさのお尻尾までズボンにつけ、ネクタイ締めて。3人がキラキラと興奮した目で、並んでいる。

『王子様方、かわいいお耳に尻尾ですね!』
『はい!ワイルドウルフのお国に友好と敬意を払って、私達はこの格好で新聞をお渡しします!』
『喜んでいただけると、いいな!と思います!』
『おともだちに、なりたいです!』
ニコニコ。

竜樹は、朝のテレビに生中継、をすぐ側から見ていて、うんうん、としていた。
オランネージュ、すごいよ。猫耳帽子と、尻尾までつけたのは、可愛いからやりたかっただけだよね?
それを国の友好関係に楽しんで使うところ、将来の王様として、侮れない。

『皆さん、新聞、買いに来て下さい!』
『初売りは、2ヶ所店売り500部ずつ印刷してあります!』
『これから、ていきこうどく、のひとのおうちにとどけるのも、はじめるよ。』
『詳しくは、販売所にチラシが置いてあります!』

『『『よろしくおねがいしま~す』』』

『現場からは以上です!』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...