諏訪見町のわんこたち、時々ねこ

竹 美津

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わんこやにゃんこ達のお話:本編

回るリンカ

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リンカ回るよ回るよリンカ。
たぶん、あったかかったからだと思うんだよね。リンカの母さんが、コインランドリーの丸の中、リンカと兄弟を入れたのは。
冬だったしねえ。

母さん犬はなんか、家の人と喧嘩してたって。家出のふらふら、店番のおじさんが呼んで、お茶くれたってさ。そのうち母さん、どうしても外に出たくなった。お乳もくれてたし、お腹すいたんだな。
で、兄弟達は、全部で5本の尻尾だもの。抱いて歩くだけだってあわあわだ。母さん考えて、一番安全と思うとこへ隠した。あははは。回るリンカ。ぐるぐる。

リンカはほら、ねじねじの髪。モップみたくに見えるのね。
汚くないよ。焦茶だけど、元々だって。
ぐわんと何でか回りだし、兄弟ごろごろひゃんひゃんと。なんなんなんだ!?•••と、思ってすぐに止まったよ。
お客さんがいたんだな。

リンカはぐるぐるしてました。丸の扉から、ぼとっと落ちて、ぐるぐるのまま歩いたよ。だって、足が揺れるんだもの。
そのままふらふらしていたら、丁度良い椅子があってさ。ぽてんと座ったら、びゅんびゅん走る。ぱーっ、ぱーっ、てクラクション、トラックの荷台、足乗せるとこだったのさ。

リンカは戻ってきたんだよ。匂いがするもの、生まれた町の。まわるまわるのリンカは荷届け屋。預かって、ご飯もらってそこにいく。まわるまわって戻ってきたの、もう3回前の春かな。

母さんは、リンカを抱いて黙っていたよ。ほっぺ舐め舐め、やっぱ随分、待ってたんだな。胸の中、おっきな石があるよな顔で。

それでもリンカ、まわるまわるは止まらない訳。だってそうでしょ。終わりだよって分かんなかった。荷物あるもの。
リンカの荷物は内緒ないしょのわんわん秘密便。だからさ。何回春が来たっていいから、絶対届けないといけないね。

でもしばらくは、近場でくるくるしようかな。母さんの石が無くなったら、また、おっきくくるり、風追うよ。
秋の匂いがする頃なんなら、母さん石は溶けてるかなあ?

リンカはいつかをのんびり待つし。
いつかはきっと、また巡るってもんだよねえ。

くるりくるりと、回っていれば。
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