MAXコーヒーから始まる糖度MAXなこじらせ魔法使い達

琉水 魅希

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第1章 MAXコーヒーが繋いだ奇跡

第21話 ここは天○家ですか?水を被ると?

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 俺と友紀さんは正面に妹の霙さんをテーブルを挟んで向かい合っていた。

 俺の隣に友紀さん、そして何故か幼女…霙さんの娘の氷雨ちゃんが俺の腿の上に座ってる。ちょっと股間にお尻当たってますけど…

 氷雨ちゃんの頭で霙さんの顔口元が見え辛くなっているので表情が読み切れない。

 顔を洗った俺と友紀さんは事情を説明するという名の取り調べを受けるというわけだ。

 「説明してもらおうか、乱○君。」

 ちょ、あなた天道早○ですか。ここは天○家でしたっけ。

 「何故同じ部屋で寝ていたかに至る経緯を、お姉ちゃん、わかりやすく説明して。」

 俺にではなくまずは身内から聞こうというのか。まぁその方がいいかも。

 この妹さん、怒ってるというより興味深々といった感じに見える。その証拠に鼻がさっきからぴくぴく大きくなったりしてる。
 友紀さんは覚悟を決めて話始め…
 
 「かくかくしかじか。」
 なかった、省略したっ 

 「それで通じるのは昭和の漫画だけだよ。お姉ちゃん。」
 妹さんには冗談は通じなかった。

 観念したのか友紀さんは順を追って説明を始めた。

 昨日の西4階での撮影の事、帰りに電車が止まっていた時の事、実は2ヶ月前に会っていた事、車で送ってもらったこと、鷲宮神社の参拝にいった事。

 家まで荷物を持ってくれて、お礼にコーヒー出して、そのあと…

 「ごにょごにょごにょ…」

 恥ずかしいのか友紀さんは誤魔化した。

 「そこが大事なんじゃない。」

 やっぱそうですよねー


 「そこは後で…ね。」

 チラリと俺の方を一瞬向いて

 「どうせ実家でも説明させるんでしょ。」

 「まあね。ところで越谷さん、貴方は姉の事どう思ってるんですか?」

 あ、なんか飛び火した。

 「素敵な人だと思いますよ。あとところどころ可愛いとこあるなぁって。」

 ん?俺は一体何を…

 どう思ってるかと聞かれたから、こう思ってるという答えを言ったはずだけど。

 友紀さんちょっと赤いですよ。

 「ごちそうさまでした。」

 霙さんもなんか一人で納得してそうだし。

 「そっか、お姉ちゃんの闇の氷砕いたのかぁ」

 と、小さな声だったため聞き取れなかった。

 「これからも姉の事よろしくお願いします。」

 そう言われたので。

 「あ、はい。こちらこそ?」

 どういう意味かわからなかったけどついそう答えていた。

 「さて、お姉ちゃん。準備して、行くよ。あ、越谷さんも来ます?」

 え、家族水入らずの一家団欒なんじゃ?
 というか着替えたい。

 「あ、いや。色々唐突だったんで着替えてないし、片付けないといけないし遠慮しときます。それに正月なんだし一家水入らずなんですよね。」

 「いずれ貴方もそこに入る事になるでしょうに。」
 というのは小さくて聞こえなかった。

 というか何故か友紀さんが腕の裾を握ってるのですが…

 「いつ…なら来てくれますか?」

 あれ?ご家族に紹介されちゃうの?

 「三が日過ぎてからですかね。」

 俺も何真面目に答えてるの?

 「というか友人程度がお邪魔してもよろしいので?」

 何となく行かないという選択肢がないような気がする。
 行ってどう紹介されてどういう扱いされるのかわからないけど。

 「おねーちゃん、既成事実だよっ」
 小声で聞こえなかった。

 「おにーちゃんウチくるの?」
 俺の腿に乗ってる氷雨ちゃんが顔を上げて笑顔で言ってきた。

 「こんどね。今日はおにーちゃんは家の片付けしないといけないから。」

 「今度っていつー?」

 子供はレスポンス早いな。

 「友紀おねーちゃんと相談してからかな。」

 「わかったー。」
 やるな、氷雨ちゃん。もう行くしかないじゃないか。

 さっきから友紀さん固まってるではないか。
 

 「じゃぁそういうことで俺はおいとましますね。」

 「あ、これ、連絡先です。」
 手書きで電話番号とアドレスが書かれていた別の名刺を差し出してきたので受け取った。
 


☆☆☆

 「ふぃぃぃぃ。我が家に帰ってきたぞー」

 長い大晦日だった、そして濃すぎる大晦日だった。
 色々あり過ぎて頭の整理が追いつかない。

 とりあえず風呂入って着替えよう、片付けるのはそれからだ。

 と、その前にきちんと家に着いた事は連絡しておこう。

 しばし考えて無難なメールを送信した。
 変に着飾っても仕方ないしね。

 返信を待たずに着替えを用意して風呂へ向かった。(流石にシャワーだけにするけど)

 「そういや妹さん、結城霙さんったっけ。旦那さんマスオさん状態みたいだけど…」

 深くは考えなかった、「結城」という苗字について。

 それが後に壮大な再会と驚愕が待っているとも知らずに。


☆☆☆

 「で、おねーちゃんは越谷さんの事どう思ってるの?」
 尋問が始まっていた。

 「どうって?」

 「はっきり聞こうか?少なくとも友達以上には想ってるよね。いくら子供の頃に会った事があって、趣味が同じでとかあったとしても、あんなに受け入れられるなんて考えられないし。」
 それに事ある毎に赤くなったり裾掴んだり…

 「そう…なのかな。安心はする…とは思うけど。」

 「ま、焦らなくても良いけど、もし友達以上の感覚に自覚するようなら、過去の事伝えるか墓までもってくか、どこかのタイミングで出てくると思う。その時後悔する選択肢は選ばないようにしないとね。」 

 「うん、そうだよね。それでも受け入れて貰えると良いな。」

 霙は思った、これガチなやつだと。ただ本人が自覚してないだけで。
 たった数十分一緒にいただけで気付くのだ。周りにはもろわかりだろう。
 多分両親に話をしたら同じ考えに行きつくだろう。

 「両親には話す?異性の友達が出来た事。」

 少し考えて…

 「話したい。何かあった時相談に乗って欲しいし。」

 実際、あの事がなくても学生時代、20代前半でも色恋沙汰はなかった。
 妹の方があれよという間に彼氏作って結婚して娘が出来て…
 

 「いつまでも待たせるのも悪いし実家に行こ。」
 もやもやを抱えたままアパートから隣の実家に向かった。


☆☆☆

 実家に帰ると、どう切り出そうかと考えていると。

 「友紀おねーちゃんにおにーちゃんが出来たんだよー」

 という爆弾が投下されていた。

 氷雨を旦那に別の部屋に連れて行ってもらい友紀と霙できちんと説明した。

 ただし何故か霙が説明し、友紀が補足するという感じで。

 「へぇ、友紀に異性の友達ねぇ。前世で恋人か夫婦だったのかしら。」
 母が面白い事を言う。

 「まぁそういう突拍子もない事でもない限り信じられないよね、でも私も少し話したけど不誠実な感じはしなかったよ。」
 事ある毎に赤くなったり裾掴んで上目使いでみたりと付け加えて。

 「あらまぁ、お赤飯必要かしら?って流石にそれは早そうかな。友紀の雪を溶かしてくれた人なら今度ウチに呼びなさいな。」
 金子家では真人を呼ぶ計画が着々と進んでます、外堀埋められてます。
 まだお互いに好きとかの感情に気付いてないのに。
 若干友紀の方が気付き始めているけれど。

 「友達だとしても、友紀が認めた相手に会ってみたいと思うのは親なら当然でしょ。」
 
 「お父さんは何もないの?」
 霙が父に話題を振った。動かないからマネキンかと思ったとは言わない。

 「…いきなりこの人と結婚しますと連れてくるよりは、人となりを見れるし良いんじゃないか?」
 父も大概だった。とりあえず反対票はなしと。

 「お父さんもお母さんも、真人さんはまだそういう関係じゃ…」

 にやにやとする母と妹。

 「まだ…ね。」
 にやにやが止まらない。

 「酒飲めるなら男同士語ってみたいものだがな。」

 「あ、真人さんはお酒飲めないそうですよ。」

 「そ、そうか。まぁ霙の旦那の時にやってるから良いか。」
 どこの馬の骨ともわからんやつに~という王道を霙の旦那でやったのだ。
 その後男同士、酒で語らい仲良くなって結婚後もマスオさん状態で同居している。

 こうして越谷真人、近々金子家に呼ぶ計画は進められていった。
 普通の家庭では異性の友達が出来た程度でここまで盛り上がらない。
 過去の事件があるからこそ、周りも慎重なのだ。
 それが起因するだけではないが、友紀自身奥手なのだ。
 積極的であれば学生時代にしても20代前半の時にしても男の影くらいあっても良いのだ。
 
 身内贔屓もあるが、見た目は良いほうだと思う。
 胸は残念だが…小さい方が好きな人もいるので、そこは別に気にすべきではないはず。

 父は悩んでいた。
 「結婚式の費用どうしよう。」

 いや、気が早いですよお父さん。
 それに普通そういうお金は当人同士で出すでしょ。
 少し他よりお金があるものだから、感性が違うのかもしれない。
 実際霙の時には半分くらいを出している。

 「最近趣味にお金使いすぎてるからなぁ」
 金子家には家長のみしか開けられない秘密の部屋がある。
 妻や娘ですら開ける事を許されない部屋が。

 その部屋の扉を開け父は一人ごちた。
 「……美少女フィギュア買いすぎたなぁ。」

 そこには部屋いっぱいの美少女フィギュアが綺麗に収納されていた。
 レアモノや限定数個のようなものまで。お金あるとお金に物を言わせて揃えられるからね。
 おい、父お前も大概だな。とこの部屋を見る機会があれば言われるはず。
 父の威厳はものの数行でなくなった。

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