青い扉と銀の鈴 - 世間知らずのお嬢様と魔王討伐の生き残りと魔王の息子とが出逢った頃の物語

仁羽織

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セケンシラズとショタとオジサンとが会話して噛みあわないのは偶然?

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 不覚だとしか言いようがねえ。なんであんな話をした、同情でも買いたかったのか?ふざけんな、俺!ひかりも賢王も、追いつめたのは俺だって話だ!

 そもそも二人目が生まれたあたりから俺が馬鹿だった。家にもほとんど帰らねえで、ずっと仕事に出てばっかりで。ひかりから何度も連絡があっても電話にほとんど出なかった。いや、出たくなかったんだ俺は。家の子供のわけのわかんねえ甘ったれた話に貸す耳を持ってなかったんだ俺は。何が仕事だ。ほとんど家に持って帰ってもできるような事務仕事だったろが。そうだ、確かに事務仕事が増えてた。子供二人目が生まれたあたりから現場から外されて、書類書きばっかやらされてたろ。

 あんときに素直にありがとうって思えばよかったんだ。そしたら家にも帰れた。それでひかりの話も聞いたろう、嫌そうにかもしれないけど。賢王だって親父が家にいれば、ちっとは加減も覚えたはずだ。そうすりゃいじめだって、しないでくれたかもしれん。しないでいりゃ、その後にいじめられることもなかったろう。そうすりゃ死なんでもすんだだろうに…。

 全部、俺のせいだ。ひかりが掴夢を産んで逝っちまったのも、賢王が飛び降りたのも、全部全部全部全部。

 マルアハ様には、当分休むようにって言われた。壊れかけの心じゃ務めは果たせないってな。そんなの、どうだっていい。

 だから俺はここへ来たんだ。ずいぶん昔から残ってた、最高難度のミッション。魔王と思われる対象の討伐もしくは殲滅。俺なんかじゃたぶん太刀打ちなんてできっこないだろう。でもそれでいいんだ。俺はこの仕事で最後に討ち死にして、残った二人に保険金がガッポリ入ればいいのさ。そしたらひかりんちにも金が入る。そうすりゃ俺の子供達も、もう二度と俺みたいな仕事をしなくてもいいかもしれん。あの村を引っ越して、お義母さんが息子と二人で幸せに暮らしてくれりゃいい。それしかねえ。もうそれしか、思いつけることもねえ。
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