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コザックの第二の人生・中②
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夕飯を終えてコザックが自分に用意された客室でゆっくりとしていた時、不意に扉がノックされた。
出ると扉の前に笑顔のハンセルが立っていた。
「コザック様、宜しければ1杯お付き合い願いませんかな?
アイザック様をお誘いしたのですが、今は良いと言われまして、コザック様なら喜んで付き合って下さると聞きましてな!」
「…………えぇ、では1杯だけ……」
コザックは仕方なくハンセルに付いて談話室へと向かった。
アイザックがハンセルに『コザックなら喜んで付き合う』と言ったのならコザックはハンセルに付き合うしかない。父は何を考えているんだとコザックはハンセルにバレないように溜め息を零した。
談話室の一人掛けのソファにハンセルが、その横の3人掛けのソファにコザックはハンセルに近い場所に腰掛けた。
ローテーブルに酒と酒のつまみが載った皿が用意されるとハンセルはメイドたちを下がらせた。その方が寛げるからとハンセルは言ったが、コザックには聞かれたくない話でもするのかと思えた。
ハンセルは場を作るかの様に他愛のない世間話をしながら酒を飲んでいく。コザックはゆっくり口を濡らす程度に酒を飲みながらハンセルに付き合った。ハンセルは一人で瓶を開けても気にせず次の瓶を開けて、最終的には自慢話となる話を一人で続けた。
「それにしても不運でしたなぁ」
さも自然な話の様にハンセルが言う。
「不運?」
グラスに口を付けながらコザックは聞き返した。
「聞いておりますよ。
突然の御病気の所為で子種が無くなり、その所為で次期当主の座を下ろされたとか。これを不運と言わずに何を不運と言うのですか」
「……あぁ……そうだな……」
そんな話になっていたな、とコザックは思った。
事実を全て世間に話す必要は無い。だからコザックが愛人を囲い、その罰で薬を飲まされた事は一部の者しか知らない話だった。
その所為か、『ナシュド家の長男夫婦は白い結婚だった』『長男は不能らしい』という噂がいつの間にか『長男が病気で子が儲けられぬ体になったので白い結婚となった』という話が世間では噂される様になった。ナシュド家としては悪いイメージではないのでこれを態々否定して聞こえが悪い事実を広める必要もないと、訂正せずに放置している。その話をハンセルはしているのだ。
この話題を出される事は別に珍しい事ではなく、コザックはそれを言われる事にもう慣れてしまっていた。不能だと馬鹿にされて怒ればさらに馬鹿にされ笑われる。こういう話は聞き流すに限るとコザックは経験から理解していた。
「……良ければ治療をお手伝いしましょうか?」
ニヤニヤとした顔で、小声で秘密の会話をするかの様にハンセルが言った言葉に、コザックは一瞬間抜けな顔になってしまった。
「え……?」
「知っていますよ。ナシュド家の方々はどうにもお堅い方々が多い様で……
男の部分を治すにはやはり『女』を用意しないといけませんよ。
コザック様は元の奥様しか知らないのでしょう? ……あぁ、奥様の“女の部分”をお知りにないかもしれないのでしたな。これは失礼。
いや、なら尚更、“女”を知ればコザック様の“男”の部分も目覚めるかもしれませんぞ」
ニヤニヤと訳知り顔で話すハンセルはとても醜かった。
ハンセルはコザックが愛人を囲っていた事を知らないのでそんな発言になるのだろう。
コザックは眉間にシワを寄せながら、何と返答しようかと悩んだ。
しかしハンセルはコザックの返事など気にしていないかの様に楽しそうに話し続ける。
「自慢ではないのですが……私には愛人が数名おりましてなぁ。いやはやこれがまた全員よりすぐりの美女たちで、本当に自慢なのですよ!
最近4人目を仕込み中でして、良ければその者を一番にコザック様にお楽しみ頂いても宜しいですぞ!」
ムフーッと、鼻の穴を膨らませて自慢するハンセルの、その言葉にコザックはやっと言葉が出た。
「仕込み中……ですか……?」
コザックから出た言葉が否定を含む言葉ではなかった事に気を良くしたハンセルが喜色満面で更に喋り出す。
「えぇ! えぇそうですよ! 美しい女を今従順な女に躾けている最中でしてな! いやぁ、娘たちは見目は美しいのですが、何せ元が平民! とても野生的でして! 養ってやり美味い飯と美しいドレスや宝石をやると言っても我が侭ばかり言うので最初は男の言う事を聞く様に躾をせねばならぬのですよ!
これがまた大変なのですが、従順に仕上がって着飾られた女たちを見た時は、努力が報われたと感動してしまいますよ!」
胸を張って自慢話をするハンセルのその『自慢話』の内容にコザックは言いようも無い気持ち悪さと腹の中が煮え立つ様な怒りを感じた。
コザックも愛人が居た。愛人を囲っていたのはハンセルと同じだった。
だが、コザックは愛人にするしかなかったリルナを愛していた。独りよがりの愛ではあったが、コザックが“一人の女性だけを愛していた”のは紛れもない事実だった。
だからコザックにはハンセルの発言を理解する事は出来なかった。したくもなかった。コザックにとって愛人とは『本当に愛している人』なのであって『無理矢理躾ける』相手ではない。コザックとしてはリルナに将来の為の勉強を頑張って貰っていたのであって、あれは決して躾などではなかった……
コザックは湧き上がるハンセルへの嫌悪感をどうにか腹の底に抑え込んで平然とした顔をして見せていた。
「……美しい平民の女性とどこで知り合えるのか知りたいものだな……」
どうにも犯罪の香りしかしないハンセルの言葉にコザックはさも興味があるかの様な視線を投げながら質問する。
それにハンセルは嬉しそうにニンマリと笑って酒を煽りながら饒舌に話してくれた。
「ここだけの話ですよ? コザック様だからこそお話しするのですよ?
美しい女は居るだけで人目を引きますから使いの者を平民街の飲み屋などに行かせれば情報などすぐに手に入りますよ。男は皆、美しい女を目に入れていたいですからなぁ!
そしてどこに居るか分かればササッと、ふふっ、これはまぁコザック様にはまだ早いですかな、ふふっ。連れ込んでしまえば後はこちらの自由ですよ♪
コザック様も気になる平民女が居れば私めにお知らせ下さい! すぐにご用意しますよ? 躾はご自分でされた方が楽しめますが……ふふっ、私めに任せて頂ければしっかり躾けさせて頂きますので♡」
「……………面白い話を聞かせて頂けて、今夜は最高の気分ですよ、バイド伯爵。
是非、前向きに検討させて頂きます…………」
「是非是非!! 美しい女が側に居ればコザック様のご病気もきっと回復されますよ! 女の肌に触れているだけでも癒やされますからな!!
いやはや、やはり! コザック様なら話が分かって頂けると思って居たのですよ! どうにもこの国は頭の堅い男が多くていけません。美しい女も金のある男に飼われる方が良い人生を歩めるというのに、そこを理解出来る者が少なくて嘆かわしいですよ。
コザック様が見染めれば、それだけ救われる美女が増えると言うもの!! いや~! 未来は明るくなりそうですなぁ!!」
ハッハッハ!! と笑うハンセルにコザックは完全なる貴族の笑みで笑い返す。腹の中は煮えくり返っていたが、それをハンセルに悟られる様なへまを今のコザックがする事はなかった。
その後、コザックとアイザックは更に3日ほどバイド伯爵邸に滞在し、帰路に就いた。
その道中、コザックはハンセルから聞かされた話を怒りで震える手を抑えながらも全部アイザックに話して聞かせた。
『美しい平民女性を攫っている』
その事が何よりもコザックの怒りを買った事にハンセルが気づく事はない。
リルナを……、もう探す気はないし過去の事だと理解しているが、それでもコザックの中ではリルナが唯一の『愛した女』である事には変わりはなかった。家族の元に帰った彼女はきっと平民として暮らしているだろう。コザックの目を奪った女性だ。若い女性という年齢ではなくなっていてもその見た目が簡単に変わるとは思えない。もし……もし万が一リルナに魔の手が伸びる事があったら…………そう思うとコザックは怒りで暴れてしまいそうだった。
怒りを抑えながらも口早に話すコザックの話をアイザックは静かに聞いていた。
「……女性を囲っているのは分かっていたが、まさかそこまで卑劣な手を使っていたとはな……
とことん腐っていたと言う訳か……」
父の怒りを含んだ声に、コザックは少しだけ怒りを鎮めた……
その後の動きは早かった。
衛兵に、ナシュド侯爵家の騎士隊も動いてバイド伯爵は捕まった。
そしてバイド伯爵とその手下と共に、伯爵と手を組んでいた孤児院の院長も捕まった。
バイド伯爵が愛人の世話をさせる為に雇った使用人の口封じに子供を人質にして、その子供たちが囚われていたのが孤児院だったからだ。院長はそれをいい事に子供に手を出していた。
バイド伯爵の愛人や孤児院の子供たちは助け出されるとすぐに親元に帰り、その足で教会へ駆け込んだ。
【純粋純潔を尊ぶ両性神・ゲレ=イズ】に祈る為だ。最悪な記憶が消える事はないが、ゲレ=イズ神の神力で穢れを流し癒される。そして……
バイド伯爵と孤児院の院長は捕まった牢屋の中で絶叫して悶え苦しんだ。泡を吹いて涙を流しても気を失う事はない。激痛と共に股間からギリギリビチビチと肉が引き千切れる音がして耳からも脳を刺激する。
3日3晩苦しんだバイド伯爵と院長の股間からは綺麗に男性器が無くなり、変わりに新しい穴が増えていた。奥には何も無い、男性を喜ばせる為だけにある様な穴の存在に、これから男しか居ない強制労働場に収監される事が決まっている2人には、素晴らしい贈り物だと、皆が嘲笑った。
元伯爵となったハンセルと元院長は別々の強制労働場に収監されたが、本人が隠したくてもしっかり周りに「穴」の事を告知されて、労働場に居る男たちに神から与えられた「穴」を有意義に使って貰えた。「穴」は使う男たちには快楽を与えるが穴の持ち主であるハンセルや元院長には不快感と苦痛しか与えない。快楽など、ハンセルや元院長はこの先二度と味わう事はないのだ。
ハンセルも元院長も見た目は可愛くも美しくもないおじさんと呼ばれる男性だったので、そんな男性でも男性から愛される事を証明したとして、2人の名前は世界中に知られる事となった。
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夕飯を終えてコザックが自分に用意された客室でゆっくりとしていた時、不意に扉がノックされた。
出ると扉の前に笑顔のハンセルが立っていた。
「コザック様、宜しければ1杯お付き合い願いませんかな?
アイザック様をお誘いしたのですが、今は良いと言われまして、コザック様なら喜んで付き合って下さると聞きましてな!」
「…………えぇ、では1杯だけ……」
コザックは仕方なくハンセルに付いて談話室へと向かった。
アイザックがハンセルに『コザックなら喜んで付き合う』と言ったのならコザックはハンセルに付き合うしかない。父は何を考えているんだとコザックはハンセルにバレないように溜め息を零した。
談話室の一人掛けのソファにハンセルが、その横の3人掛けのソファにコザックはハンセルに近い場所に腰掛けた。
ローテーブルに酒と酒のつまみが載った皿が用意されるとハンセルはメイドたちを下がらせた。その方が寛げるからとハンセルは言ったが、コザックには聞かれたくない話でもするのかと思えた。
ハンセルは場を作るかの様に他愛のない世間話をしながら酒を飲んでいく。コザックはゆっくり口を濡らす程度に酒を飲みながらハンセルに付き合った。ハンセルは一人で瓶を開けても気にせず次の瓶を開けて、最終的には自慢話となる話を一人で続けた。
「それにしても不運でしたなぁ」
さも自然な話の様にハンセルが言う。
「不運?」
グラスに口を付けながらコザックは聞き返した。
「聞いておりますよ。
突然の御病気の所為で子種が無くなり、その所為で次期当主の座を下ろされたとか。これを不運と言わずに何を不運と言うのですか」
「……あぁ……そうだな……」
そんな話になっていたな、とコザックは思った。
事実を全て世間に話す必要は無い。だからコザックが愛人を囲い、その罰で薬を飲まされた事は一部の者しか知らない話だった。
その所為か、『ナシュド家の長男夫婦は白い結婚だった』『長男は不能らしい』という噂がいつの間にか『長男が病気で子が儲けられぬ体になったので白い結婚となった』という話が世間では噂される様になった。ナシュド家としては悪いイメージではないのでこれを態々否定して聞こえが悪い事実を広める必要もないと、訂正せずに放置している。その話をハンセルはしているのだ。
この話題を出される事は別に珍しい事ではなく、コザックはそれを言われる事にもう慣れてしまっていた。不能だと馬鹿にされて怒ればさらに馬鹿にされ笑われる。こういう話は聞き流すに限るとコザックは経験から理解していた。
「……良ければ治療をお手伝いしましょうか?」
ニヤニヤとした顔で、小声で秘密の会話をするかの様にハンセルが言った言葉に、コザックは一瞬間抜けな顔になってしまった。
「え……?」
「知っていますよ。ナシュド家の方々はどうにもお堅い方々が多い様で……
男の部分を治すにはやはり『女』を用意しないといけませんよ。
コザック様は元の奥様しか知らないのでしょう? ……あぁ、奥様の“女の部分”をお知りにないかもしれないのでしたな。これは失礼。
いや、なら尚更、“女”を知ればコザック様の“男”の部分も目覚めるかもしれませんぞ」
ニヤニヤと訳知り顔で話すハンセルはとても醜かった。
ハンセルはコザックが愛人を囲っていた事を知らないのでそんな発言になるのだろう。
コザックは眉間にシワを寄せながら、何と返答しようかと悩んだ。
しかしハンセルはコザックの返事など気にしていないかの様に楽しそうに話し続ける。
「自慢ではないのですが……私には愛人が数名おりましてなぁ。いやはやこれがまた全員よりすぐりの美女たちで、本当に自慢なのですよ!
最近4人目を仕込み中でして、良ければその者を一番にコザック様にお楽しみ頂いても宜しいですぞ!」
ムフーッと、鼻の穴を膨らませて自慢するハンセルの、その言葉にコザックはやっと言葉が出た。
「仕込み中……ですか……?」
コザックから出た言葉が否定を含む言葉ではなかった事に気を良くしたハンセルが喜色満面で更に喋り出す。
「えぇ! えぇそうですよ! 美しい女を今従順な女に躾けている最中でしてな! いやぁ、娘たちは見目は美しいのですが、何せ元が平民! とても野生的でして! 養ってやり美味い飯と美しいドレスや宝石をやると言っても我が侭ばかり言うので最初は男の言う事を聞く様に躾をせねばならぬのですよ!
これがまた大変なのですが、従順に仕上がって着飾られた女たちを見た時は、努力が報われたと感動してしまいますよ!」
胸を張って自慢話をするハンセルのその『自慢話』の内容にコザックは言いようも無い気持ち悪さと腹の中が煮え立つ様な怒りを感じた。
コザックも愛人が居た。愛人を囲っていたのはハンセルと同じだった。
だが、コザックは愛人にするしかなかったリルナを愛していた。独りよがりの愛ではあったが、コザックが“一人の女性だけを愛していた”のは紛れもない事実だった。
だからコザックにはハンセルの発言を理解する事は出来なかった。したくもなかった。コザックにとって愛人とは『本当に愛している人』なのであって『無理矢理躾ける』相手ではない。コザックとしてはリルナに将来の為の勉強を頑張って貰っていたのであって、あれは決して躾などではなかった……
コザックは湧き上がるハンセルへの嫌悪感をどうにか腹の底に抑え込んで平然とした顔をして見せていた。
「……美しい平民の女性とどこで知り合えるのか知りたいものだな……」
どうにも犯罪の香りしかしないハンセルの言葉にコザックはさも興味があるかの様な視線を投げながら質問する。
それにハンセルは嬉しそうにニンマリと笑って酒を煽りながら饒舌に話してくれた。
「ここだけの話ですよ? コザック様だからこそお話しするのですよ?
美しい女は居るだけで人目を引きますから使いの者を平民街の飲み屋などに行かせれば情報などすぐに手に入りますよ。男は皆、美しい女を目に入れていたいですからなぁ!
そしてどこに居るか分かればササッと、ふふっ、これはまぁコザック様にはまだ早いですかな、ふふっ。連れ込んでしまえば後はこちらの自由ですよ♪
コザック様も気になる平民女が居れば私めにお知らせ下さい! すぐにご用意しますよ? 躾はご自分でされた方が楽しめますが……ふふっ、私めに任せて頂ければしっかり躾けさせて頂きますので♡」
「……………面白い話を聞かせて頂けて、今夜は最高の気分ですよ、バイド伯爵。
是非、前向きに検討させて頂きます…………」
「是非是非!! 美しい女が側に居ればコザック様のご病気もきっと回復されますよ! 女の肌に触れているだけでも癒やされますからな!!
いやはや、やはり! コザック様なら話が分かって頂けると思って居たのですよ! どうにもこの国は頭の堅い男が多くていけません。美しい女も金のある男に飼われる方が良い人生を歩めるというのに、そこを理解出来る者が少なくて嘆かわしいですよ。
コザック様が見染めれば、それだけ救われる美女が増えると言うもの!! いや~! 未来は明るくなりそうですなぁ!!」
ハッハッハ!! と笑うハンセルにコザックは完全なる貴族の笑みで笑い返す。腹の中は煮えくり返っていたが、それをハンセルに悟られる様なへまを今のコザックがする事はなかった。
その後、コザックとアイザックは更に3日ほどバイド伯爵邸に滞在し、帰路に就いた。
その道中、コザックはハンセルから聞かされた話を怒りで震える手を抑えながらも全部アイザックに話して聞かせた。
『美しい平民女性を攫っている』
その事が何よりもコザックの怒りを買った事にハンセルが気づく事はない。
リルナを……、もう探す気はないし過去の事だと理解しているが、それでもコザックの中ではリルナが唯一の『愛した女』である事には変わりはなかった。家族の元に帰った彼女はきっと平民として暮らしているだろう。コザックの目を奪った女性だ。若い女性という年齢ではなくなっていてもその見た目が簡単に変わるとは思えない。もし……もし万が一リルナに魔の手が伸びる事があったら…………そう思うとコザックは怒りで暴れてしまいそうだった。
怒りを抑えながらも口早に話すコザックの話をアイザックは静かに聞いていた。
「……女性を囲っているのは分かっていたが、まさかそこまで卑劣な手を使っていたとはな……
とことん腐っていたと言う訳か……」
父の怒りを含んだ声に、コザックは少しだけ怒りを鎮めた……
その後の動きは早かった。
衛兵に、ナシュド侯爵家の騎士隊も動いてバイド伯爵は捕まった。
そしてバイド伯爵とその手下と共に、伯爵と手を組んでいた孤児院の院長も捕まった。
バイド伯爵が愛人の世話をさせる為に雇った使用人の口封じに子供を人質にして、その子供たちが囚われていたのが孤児院だったからだ。院長はそれをいい事に子供に手を出していた。
バイド伯爵の愛人や孤児院の子供たちは助け出されるとすぐに親元に帰り、その足で教会へ駆け込んだ。
【純粋純潔を尊ぶ両性神・ゲレ=イズ】に祈る為だ。最悪な記憶が消える事はないが、ゲレ=イズ神の神力で穢れを流し癒される。そして……
バイド伯爵と孤児院の院長は捕まった牢屋の中で絶叫して悶え苦しんだ。泡を吹いて涙を流しても気を失う事はない。激痛と共に股間からギリギリビチビチと肉が引き千切れる音がして耳からも脳を刺激する。
3日3晩苦しんだバイド伯爵と院長の股間からは綺麗に男性器が無くなり、変わりに新しい穴が増えていた。奥には何も無い、男性を喜ばせる為だけにある様な穴の存在に、これから男しか居ない強制労働場に収監される事が決まっている2人には、素晴らしい贈り物だと、皆が嘲笑った。
元伯爵となったハンセルと元院長は別々の強制労働場に収監されたが、本人が隠したくてもしっかり周りに「穴」の事を告知されて、労働場に居る男たちに神から与えられた「穴」を有意義に使って貰えた。「穴」は使う男たちには快楽を与えるが穴の持ち主であるハンセルや元院長には不快感と苦痛しか与えない。快楽など、ハンセルや元院長はこの先二度と味わう事はないのだ。
ハンセルも元院長も見た目は可愛くも美しくもないおじさんと呼ばれる男性だったので、そんな男性でも男性から愛される事を証明したとして、2人の名前は世界中に知られる事となった。
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