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15>>ヒロインと何か既視感のある人
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男爵となったテルジオと結婚して男爵夫人となった私はある日、
二人で工房に使っている部屋の一つに前世の記憶の中でしか見た事の無い筈の形を見つけて驚いた。
「………ねぇ、これって……?」
私が指差す先を見たテルジオが「あぁ」と答える。
「上級冒険者に今日納品する“空飛ぶ乗り物”だよ。
彼がどうしてもこの形が良いって何枚も紙に描いて見せるから困ったよ。でもそのお陰で彼のイメージ通りの形に出来たと思う。
変わってるよね、この形。
ここが持つところで、ここが座席で、この前の部分が光って前を照らしてね、この下の部分、彼は“たいや”って言ってたけど、なんだろうね? まぁ飾りだよ」
そう説明された『空飛ぶ乗り物』は、
完全に【バイク】の形をしていた。
「おぉお!!
これが俺の頼んだヤツだな!!」
「きゃっ!?!」
突然背後から響いた声に驚いた。
ズカズカと工房内に入ってきた薄汚れた男はどこからどう見ても冒険者だ。
多分洗えば綺麗なんだろう金髪に無精髭。ムッキムキの体に、剥き出しの腕には無数の傷跡が見える。若干の異臭がするけど本人はきっと気付いてすらいないわね……
ボリボリと掻いた髪から粉が落ちたけどホコリだと思いたい。
うわ、何、この人?!
そう思った私にテルジオが答えをくれた。
「ピグスゼグドさん、もう取りに来てくれたんですか?」
「おうよ! いてもたっても居られなくてな!!
これが俺の愛車か!!
最高だぜ!! 思ってた以上だ!!
俺、こういうバイクに乗りたかったんだよ~!!」
突然始まった予想外の会話に私は真っ白になった。
『愛車』『バイク』それに………
テルジオは何と呼んだ???
そんな、まさか…………
頭が真っ白になった私に、目の前の汚いマッチョな冒険者が私を振り返って笑った。
「奥さんもありがとな!!
俺はこれに乗って世界を駆けるぜ!!」
ニカッ☆
と笑ったその顔に、在りし日の最推しの面影を見た気がして……私はただただ曖昧な笑みで返事をした……
優しく美しく線が細いけど均等の取れた肉体で、その声はどんな女性の耳でも天国へと導くほどに格好良く、彼が微笑めば同性すら腰砕けにさせると言わしめた超絶美形の最推しは
異世界で筋骨隆々の大きくて小汚くて臭いけど最強の冒険者になっていた…………
私はそっとそんな現実は無かった事にして、最愛の旦那様に寄り添った……
[完]
男爵となったテルジオと結婚して男爵夫人となった私はある日、
二人で工房に使っている部屋の一つに前世の記憶の中でしか見た事の無い筈の形を見つけて驚いた。
「………ねぇ、これって……?」
私が指差す先を見たテルジオが「あぁ」と答える。
「上級冒険者に今日納品する“空飛ぶ乗り物”だよ。
彼がどうしてもこの形が良いって何枚も紙に描いて見せるから困ったよ。でもそのお陰で彼のイメージ通りの形に出来たと思う。
変わってるよね、この形。
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完全に【バイク】の形をしていた。
「おぉお!!
これが俺の頼んだヤツだな!!」
「きゃっ!?!」
突然背後から響いた声に驚いた。
ズカズカと工房内に入ってきた薄汚れた男はどこからどう見ても冒険者だ。
多分洗えば綺麗なんだろう金髪に無精髭。ムッキムキの体に、剥き出しの腕には無数の傷跡が見える。若干の異臭がするけど本人はきっと気付いてすらいないわね……
ボリボリと掻いた髪から粉が落ちたけどホコリだと思いたい。
うわ、何、この人?!
そう思った私にテルジオが答えをくれた。
「ピグスゼグドさん、もう取りに来てくれたんですか?」
「おうよ! いてもたっても居られなくてな!!
これが俺の愛車か!!
最高だぜ!! 思ってた以上だ!!
俺、こういうバイクに乗りたかったんだよ~!!」
突然始まった予想外の会話に私は真っ白になった。
『愛車』『バイク』それに………
テルジオは何と呼んだ???
そんな、まさか…………
頭が真っ白になった私に、目の前の汚いマッチョな冒険者が私を振り返って笑った。
「奥さんもありがとな!!
俺はこれに乗って世界を駆けるぜ!!」
ニカッ☆
と笑ったその顔に、在りし日の最推しの面影を見た気がして……私はただただ曖昧な笑みで返事をした……
優しく美しく線が細いけど均等の取れた肉体で、その声はどんな女性の耳でも天国へと導くほどに格好良く、彼が微笑めば同性すら腰砕けにさせると言わしめた超絶美形の最推しは
異世界で筋骨隆々の大きくて小汚くて臭いけど最強の冒険者になっていた…………
私はそっとそんな現実は無かった事にして、最愛の旦那様に寄り添った……
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ありがとうございます
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感想ありがとうございます^^
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