乙女ゲームの世界へ転生!ヒロインの私は当然王子様に決めた!!で?その王子様は何処???

ラララキヲ

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13>>なんだかんだでヒロイン

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 テルジオの居る錬金術クラブに入った私は、その後の学園生活を錬金術の為に使った。

 ハマってしまえば錬金術は楽しくて。魔法を使えない私でも作れる事に感動した。

 乙女ゲームの世界でヒロインは錬金術をするテルジオの姿をただ横で見ているだけだった。
 今ならそんなヒロインに、なんで自分でもやらないのかって言っちゃうわ。
 錬金術は見るより断然自分で作る方が楽しい。

 私は早々に『乙女ゲームの恋愛要素』を忘れて楽しんだ。

 でも残念な事に“前世の知識”の半分以上はイメージを伝えただけでテルジオに却下されちゃった。
 鉄で動く物は魔法のあるこの世界では必要性が無いし、電気に関しては私の知識がなさ過ぎて説明の段階でチンプンカンプンになっちゃった……

 でも細々とした知識は有益に使えて。特にテルジオが食いついたのはなんと『魔法のホウキで空を飛ぶ』事だった。

 この世界にも飛行魔法はあるけれど、熟練の魔法使いにしか扱えないらしい。そんな世界で『媒体を介して体を浮かせる』発想が面白いと思われたみたい。

「でも、何故ホウキなんだい?
 棒にまたがったら股が痛いじゃないか??
 もっと乗る形に特化させるべきだよ」

 とテルジオに言われて私も困っちゃった。

 なんでホウキなんだろう???


 そんなやり取りの後、私とテルジオは二人で試行錯誤して、遂に『空飛ぶホウキ』ならぬ『空飛ぶ乗り物』を錬金する事に成功した!

 何故『乗り物』という呼び方になったかと言うと、魔力を通す媒体を色んな形に変更する事が可能だから。
 私は勿論【ホウキ型】──と言っても椅子付き──だけど、テルジオは【スケートボードみたいな板型】──意外と体幹がしっかりしてて驚いた──だし、錬金術クラブの先生は【安全ベルト付き椅子型】と、個人の乗りやすい形になったから、総じて【乗り物】と呼ぶ事になったの。

 自由に空を飛べる道具が完成した事によって周りは大騒ぎになった。

 世界の歴史を一新させる程の物を作った私とテルジオは国から称賛され、なんとテルジオは男爵位を貰う事になった。
 テルジオは自分だけの功績では無いと言っていたけれど、私は“案”を出しただけで『空飛ぶ乗り物』を錬金したのはテルジオの知識と技術の賜物だったから、私は笑って彼の背中を押した。

「子爵家の次男が遠慮してどうするのよ! 貴族として国仕えの錬金術士になれるんだからもっと喜ばなきゃ!」

 そう言った私の手をテルジオが握った。

「ん?」

 首を傾げて顔を見る私に、今はもう隠すのを止めてしっかり素顔が見える様に髪型を変え眼鏡を変えたイケメンテルジオが真剣な目を向けてくる。
 どうしたの?

「……なら、僕の隣で男爵夫人になってくれるかい?
 リア……いや、リザリア・ロアン。

 僕と……結婚して下さい」

 手を握ったまま片膝を地面に突き、私を見上げてそう口にしたテルジオ。

「え……?」

 私は何を言われたのか一瞬分からなかった。



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