乙女ゲームの世界へ転生!ヒロインの私は当然王子様に決めた!!で?その王子様は何処???

ラララキヲ

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12>>目標を見つけたヒロイン

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 恋愛を、『男性の方から来る』のに任せる事にした私はそれ以外で何をしようかと考えて、“前世の知識”を使う事にした。

 と言っても『知識チート』とかは無い。
 というか私きっと何の力も無い(悲)
 乙女ゲームのヒロインがそうだったから。

 【平凡な女の子がその人柄で恋を成就する】のが売りのゲームだったから、ヒロインだったとしても何の能力も無い。というか、むしろ『ヒロインだからこそ何の力も無い』と言った方が早いのか……

 そんな『ド凡人』の私が気付いた知識の使い方は……

 そう。
 他人の力に頼る事!

 この世界には魔法もあれば錬金術もある。
 攻略対象者の一人に錬金術士を目指す同学年の生徒が居た。
 私はその彼を思い出したの。

 錬金術士を目指す少年、テルジオ・スロッグ子爵令息。
 深い青色の髪と澄み切った清水の様な水色の瞳。だけどその瞳の色を知っている人は数少ない。
 何故なら彼は前髪を鼻先まで伸ばして更にレンズが光を反射する黒縁眼鏡をしているから。
 暗い暗い根暗で口下手オタク。でも実は隠れイケメン……彼はそんなキャラ設定だった。


 美形なのに自信がないとか何様???不細工に生まれた奴の事バカにしてるの????(純粋なひがみ)


 と、いうのが前世の私の印象の所為で、全然範疇はんちゅうに無かった。
 まぁ彼は、気弱なのにその見た目の所為でまだ男女の区別も無い幼少期にメイドに襲われそうになった事がトラウマになって顔を隠してるんだけどね。そんな過去が分かっても前世の私には彼は推しメンの中には入らなかった。

 それにどうせ今の彼にも婚約者が居るんだろうから尚更恋愛対象に見れない。
 でも彼の錬金技術は本物。
 ゲームでの彼エンドでは、『世界的な錬金術士となった彼の心の支えとなるヒロイン』で締めくくられる。
 そんな彼の錬金術に頼れば私の“前世の知識”が活かせると思うのよ。


たのもーーー!!」

「っわっ?! な、何?!?!」


 彼が常に居座っている錬金術クラブの扉を開いた私は突然の訪問者に慌てふためく彼を見つけて詰め寄った。

「こんにちは! 私はロアン男爵家の娘、リザリア!
 錬金術で作りたい物がいっぱいあるんだけど錬金術の事はちっとも知らないの!
 錬金術クラブに入ったら教えてもらえる? それか作ってもらえる?? 私、イメージだけはたくさんあるの!!」

「っへ? あ、ぇえっ?っ?!?」

 ゲームの知識からテルジオが押しに弱いって事を知っていた私は先制攻撃で彼の懐に入り込み、彼が冷静になる前に、彼が興味を引きそうな『錬金術の案(前世の知識)』を出して彼が私を追い払えない様にしたわ。

 錬金術クラブに入ってしまえば後はもう、
 前世の知識をこの世界に具現化すべく、錬金するだけよ!!!



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