4 / 17
4>> ルイーゼは作る
しおりを挟む婚約を解消されたルイーゼには時間ができた。
もう将来王妃となる為に必要な知識を詰め込む為に王城に行く必要はない。
侯爵家を継ぐことになるが今の当主が直ぐにルイーゼに家督を譲るとは思えないので今から慌てて当主としての勉強をする必要もない。ルイーゼはそこそこ優秀なので。
暇になったルイーゼは小説の中の物語を楽しむかのように、熱に浮かされた時に見た『夢』を思い出しては楽しんでいた。何故かその夢が『前世の記憶』だとルイーゼには分かっていた。きっと夢の中の女性が『自分』だからだろう。
前世に生きていた時はなんて自分の人生はつまらないんだろうかと思っていたのに、生まれ変わった視点から見てみると前世の自分はとても面白く映った。
そしてある記憶を思い出してルイーゼは動き出した。
最初は父への我が儘だった。
自分専用のキッチンが欲しい。時間ができたのでお菓子を作りたい。
そんなルイーゼの願いを父アントンは可哀想なものを見るような目で見返して、好きにしろと言った。
カミラが嫁に出ればこのロッチ侯爵家を継ぐのはルイーゼしか居ない。親族に任せる選択肢もあるが、『自分の血を継いだ子供』が侯爵家を継ぐ事は現当主としては当然の望みだった。『我が子』が次期侯爵家当主であり次期王妃となるのだ。こんなに自慢になることはないだろう。だから現当主であるアントンは、ルイーゼを愛してはいなくても、ルイーゼを手元に置いておく価値があるのだ。
突然平民のような事をしたいと言い出した娘に嫌悪感は感じたが、その程度のことを許すだけでルイーゼの気が済むなら邸にキッチンを増設することなど侯爵家としては安いものだった。
自分用のキッチンを手に入れたルイーゼは、直ぐに材料を取り寄せた。殆どの物は侯爵家に出入りしている商人に頼めば手に入るが、一番欲しい物は外国にしかなかった。
ルイーゼは商人の伝手を色々頼って目当てのものを手に入れる事ができた。
それは前世の物で言えばピーナッツの味に近い、外国にしかないナッツだった。
それをルイーゼが食べたのは王城だった。
ジャスティン王子とのお茶会の席で出された珍しいお菓子の味が気に入って、ルイーゼはその時支給してくれたメイドにこれはどんな物かと聞いていたのだ。
前世を思い出した今では懐かしいその味を凄く求めてしまう気持ちがあった。
ピーナッツのような味のその異国のナッツは『ココムナッツ』という名前だった。
ルイーゼは乾燥ココムナッツにココムナッツパウダーにココムナッツバターなど、手に入るだけ手に入れてお菓子作りを始めた。
ルイーゼは前世の記憶からいくつかのお菓子の作り方を知っていた。
主に焼菓子で、いつかは生クリームたっぷりのケーキを作りたいなんて夢を抱いてルイーゼはお菓子作りに没頭した。
できたものは侍女やメイドと一緒に食べた。
その内他の使用人たちも興味を持ち出したので欲しがる人に上げていった。だけど毎日お菓子を作っていたら食べる量より作る量の方が増えてきた。
どうしようかと悩んだルイーゼにメイドが
「教会や孤児院に配るのはどうですか?」
と聞いてきた。
ルイーゼはそれはとても良い案だと嬉しそうに笑って受け入れた。
147
□□■〔 注意 〕
※この話は作者(ラララキヲ)がノリと趣味と妄想で書いた物です。
なので『アナタ(読者)の"好み"や"好き嫌い"や"妄想"や"考察"』等には『一切配慮しておりません』事をご理解下さい。
※少しでも不快に感じた時は『ブラウザバック』して下さい。アナタ向けの作品ではなかったのでしょう。
■えげつないざまぁを求める人が居たので私的なやつを書いてみました。興味のある方はどうぞ😁↓
◇〔R18〕【聖女にはなれません。何故なら既に心が壊れているからです。【強火ざまぁ】】
☆ブクマにしおりにエール、ありがとうございます!
お気に入りに追加
1,742
あなたにおすすめの小説

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作

義妹が勝手に嫉妬し勝手に自滅していくのですが、私は悪くありませんよね?
クレハ
恋愛
公爵家の令嬢ティアの父親が、この度平民の女性と再婚することになった。女性には連れ子であるティアと同じ年の娘がいた。同じ年の娘でありながら、育った環境は正反対の二人。あまりにも違う環境に、新しくできた義妹はティアに嫉妬し色々とやらかしていく。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。

赤の他人から婚約破棄を迫られた話~恥ずかしがり屋の王子殿下は、溺愛していることを隠しておきたい~
キョウキョウ
恋愛
ある日突然、無関係な人から婚約を破棄しろと迫られた。
私は、冷静に対処しながら彼が助けに来てくれるのを待った。

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる