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14>> 応接室・1
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アリーチェにムルダ、そしてロッチェンにサバサにルナリアが応接室へと移動する。そしてメイドがソファに座ったそれぞれの前にお茶を出した後、数名の信頼する使用人だけを残して応接室の扉は閉められた。
全員が難しい顔をして口を閉ざす中、アリーチェが最初に口を開く。
それは先程まで向き合っていた母にではなく、後から来て今何が起こっているのか全く分かっていないルナリアに向けてだった。
「ルナリア、聞いて。
お母様とお父様は“馬鹿”で“知能の低い”貴女じゃ当主の仕事なんてできないから、わたくしに当主の仕事をさせようと言っているの」
開口一番にアリーチェが選んだ言葉にその場に居た全員がギョッとした。当然ルナリアは誰よりも反応した。
「馬鹿ですって?!」
座っていたソファから飛び上がらんばかりに驚いたルナリアはアリーチェを睨んだ。
「なっ?!」
サバサは言葉も出ない。
「そんな言い方はしてないだろう?!」
ロッチェンが慌てて否定するがアリーチェは冷めた目を返してきただけだった。そして、母や父には返事をせずにルナリアに向けてだけ話しかける。
「でもわたくしが当主の仕事をするなら、何もしない貴女は居る必要があると思う?」
小首を傾げてそんな事をルナリアに言うアリーチェにサバサが声を荒らげた。
「何を言っているの!?
ルナリアには跡継ぎを産んでもらう仕事がっ」
「あぁ、ルナリアでも“孕み腹”の役には立つわよね。
お母様は貴女が『子作りすることでしか役に立たない』って言ってるのよ」
サバサの言葉をアリーチェは言い換える。ルナリアに理解しやすいように。
「なっ?!」
その言葉にルナリアは絶句した。
「なんて事をっ!?」
サバサはあんまりな言い方に青褪める。
そんな二人を気にすることなくアリーチェはルナリアに語りかけた。
「でも貴女はそれでいいの?
両親から『子供を産むことにしか使えない娘』と思われているなんて」
憐れむように言われる言葉にルナリアは髪を掻きむしりたくなるほどの苛立ちを感じた。握った拳の中でぎりぎりと爪が皮膚に食い込むがそれすらも気にならないほどに腹が立った。
「ふざけないでよ!!
わたくしにはそれしかできないですって?!」
ルナリアは怒りのままに両親を怒鳴った。
「ちがっ!」
「そんな事言ってなっ」
サバサとロッチェンは慌てて否定するがルナリアの目は怒りに燃えている様だった。
そしてそんな3人を更に焚き付けるかの様にアリーチェは言葉を続ける。
嘘など一つも言っていない。全て事実だった。
ただ両親はこの言葉を表向きの言葉で彩って、さも正しいことを言っているように見せかけていただけで、アリーチェはそれを飾らない素の言葉にして口にしているだけだった。
アリーチェから『見た』両親の言葉を。
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アリーチェにムルダ、そしてロッチェンにサバサにルナリアが応接室へと移動する。そしてメイドがソファに座ったそれぞれの前にお茶を出した後、数名の信頼する使用人だけを残して応接室の扉は閉められた。
全員が難しい顔をして口を閉ざす中、アリーチェが最初に口を開く。
それは先程まで向き合っていた母にではなく、後から来て今何が起こっているのか全く分かっていないルナリアに向けてだった。
「ルナリア、聞いて。
お母様とお父様は“馬鹿”で“知能の低い”貴女じゃ当主の仕事なんてできないから、わたくしに当主の仕事をさせようと言っているの」
開口一番にアリーチェが選んだ言葉にその場に居た全員がギョッとした。当然ルナリアは誰よりも反応した。
「馬鹿ですって?!」
座っていたソファから飛び上がらんばかりに驚いたルナリアはアリーチェを睨んだ。
「なっ?!」
サバサは言葉も出ない。
「そんな言い方はしてないだろう?!」
ロッチェンが慌てて否定するがアリーチェは冷めた目を返してきただけだった。そして、母や父には返事をせずにルナリアに向けてだけ話しかける。
「でもわたくしが当主の仕事をするなら、何もしない貴女は居る必要があると思う?」
小首を傾げてそんな事をルナリアに言うアリーチェにサバサが声を荒らげた。
「何を言っているの!?
ルナリアには跡継ぎを産んでもらう仕事がっ」
「あぁ、ルナリアでも“孕み腹”の役には立つわよね。
お母様は貴女が『子作りすることでしか役に立たない』って言ってるのよ」
サバサの言葉をアリーチェは言い換える。ルナリアに理解しやすいように。
「なっ?!」
その言葉にルナリアは絶句した。
「なんて事をっ!?」
サバサはあんまりな言い方に青褪める。
そんな二人を気にすることなくアリーチェはルナリアに語りかけた。
「でも貴女はそれでいいの?
両親から『子供を産むことにしか使えない娘』と思われているなんて」
憐れむように言われる言葉にルナリアは髪を掻きむしりたくなるほどの苛立ちを感じた。握った拳の中でぎりぎりと爪が皮膚に食い込むがそれすらも気にならないほどに腹が立った。
「ふざけないでよ!!
わたくしにはそれしかできないですって?!」
ルナリアは怒りのままに両親を怒鳴った。
「ちがっ!」
「そんな事言ってなっ」
サバサとロッチェンは慌てて否定するがルナリアの目は怒りに燃えている様だった。
そしてそんな3人を更に焚き付けるかの様にアリーチェは言葉を続ける。
嘘など一つも言っていない。全て事実だった。
ただ両親はこの言葉を表向きの言葉で彩って、さも正しいことを言っているように見せかけていただけで、アリーチェはそれを飾らない素の言葉にして口にしているだけだった。
アリーチェから『見た』両親の言葉を。
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■感想やエールやブクマを頂き、本当にありがとうございました😄
■時々『感想とは判断出来ないもの(作品内容に触れていない)(個人の妄想)(他の人が見たら気分を害しそうな言葉使い)』があり、それは『却下』させてもらっております。こちらも反応にも困るのでスミマセン。
□□■〔 注意 〕
※この話は作者(ラララキヲ)がノリと趣味と妄想で書いた物です。
なので『アナタ(読者)の"好み"や"好き嫌い"や"妄想"や"考察"』等には『一切配慮しておりません』事をご理解下さい。
※少しでも不快に感じた時は『ブラウザバック』して下さい。アナタ向けの作品ではなかったのでしょう。
■えげつないざまぁを求める人が居たので私的なやつを書いてみました。興味のある方はどうぞ😁↓
◇〔R18〕【聖女にはなれません。何故なら既に心が壊れているからです。【強火ざまぁ】】
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