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アリーチェは瞳を潤ませながら訴える。
「それなら辻褄が合うのですっ!
わたくしが物心付いた頃からお母様に嫌われていた理由がっ!!
お母様が誰かに無理矢理犯されて! 堕ろすことも、誰かに話すこともできずに産むしかなく! 愛してもいない自分を汚した男の血を引く子供が産まれてきたことへのお母様の気持ちっ!!
殺してしまいたいくらいに憎い赤子は、侯爵家の長女として産まれてしまいっ、手に掛けることもできなくなった!!
そして次に産まれた『お父様の血を引く娘』! それがどれだけ可愛い事かっ!
子供が居ないわたくしでも想像が付きますわっ……!
本当ならお母様はわたくしの顔など見たくもなかったでしょう……っ、でもわたくしが長女として生まれてしまった以上、どうする事もできなかった……
お母様は憎い憎いわたくしをどうやってこの侯爵家の跡取りから引き摺り下ろすかを考えたでしょうね……だって侯爵家の血を引いていないのですもの……
汚れたこの紛い物の血をどうやってこの侯爵家から排除するか、随分悩まれたでしょうね……そしてお母様は考えつかれたのです。
わたくしからルナリアへ跡継ぎを変える方法を……」
「まさかそれが……」
「えぇ、婚約者の変更です。
おかしいと思っていたのです。
何故お母様はわたくしとグリド様との時間にルナリアを必ず同席させたがるのか」
「か、必ず、だと?」
アリーチェの言葉にロッチェンは更に驚いた。しかしそんなロッチェンの反応の方にアリーチェは驚く。
「あら? お父様は知らなかったのですか?
ルナリアは最初からずっとわたくしとグリド様の間にいましたのよ?
それもお母様の指示で。
お母様に、貴女は姉なのだからと言われて……未だに何故姉だから自分の婚約者と妹が親しくなっていくのを見守らなければいけないのか分からないのですけれど……それが『婚約者を交換する為』だったのだと考えれば、納得できますわ」
「そ、そんな……最初から、だと、言うのか…………」
アリーチェの言葉にロッチェンはただただ驚き、そして青褪める。『何を馬鹿なことを言っているんだ』と思えないのだ。
アリーチェの話し方は嘘を言っている様には聞こえない上に、ロッチェン自身も自分の妻の長女への対応が次女に比べてキツいものがあるなとは思っていたからだ。
その理由をずっと『後継者だから』だと思っていたのはロッチェンも同じで、今その理由が無くなった状態で『別の理由』を提示されてしまえば、それを否定するほどの理由がロッチェンには思い浮かばなかった。
『サバサはお前を愛しているよ』と言えればいいのだが、ずっとこの母と娘を側で見てきたロッチェンには、そんな言葉は浮かばなかった。
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アリーチェは瞳を潤ませながら訴える。
「それなら辻褄が合うのですっ!
わたくしが物心付いた頃からお母様に嫌われていた理由がっ!!
お母様が誰かに無理矢理犯されて! 堕ろすことも、誰かに話すこともできずに産むしかなく! 愛してもいない自分を汚した男の血を引く子供が産まれてきたことへのお母様の気持ちっ!!
殺してしまいたいくらいに憎い赤子は、侯爵家の長女として産まれてしまいっ、手に掛けることもできなくなった!!
そして次に産まれた『お父様の血を引く娘』! それがどれだけ可愛い事かっ!
子供が居ないわたくしでも想像が付きますわっ……!
本当ならお母様はわたくしの顔など見たくもなかったでしょう……っ、でもわたくしが長女として生まれてしまった以上、どうする事もできなかった……
お母様は憎い憎いわたくしをどうやってこの侯爵家の跡取りから引き摺り下ろすかを考えたでしょうね……だって侯爵家の血を引いていないのですもの……
汚れたこの紛い物の血をどうやってこの侯爵家から排除するか、随分悩まれたでしょうね……そしてお母様は考えつかれたのです。
わたくしからルナリアへ跡継ぎを変える方法を……」
「まさかそれが……」
「えぇ、婚約者の変更です。
おかしいと思っていたのです。
何故お母様はわたくしとグリド様との時間にルナリアを必ず同席させたがるのか」
「か、必ず、だと?」
アリーチェの言葉にロッチェンは更に驚いた。しかしそんなロッチェンの反応の方にアリーチェは驚く。
「あら? お父様は知らなかったのですか?
ルナリアは最初からずっとわたくしとグリド様の間にいましたのよ?
それもお母様の指示で。
お母様に、貴女は姉なのだからと言われて……未だに何故姉だから自分の婚約者と妹が親しくなっていくのを見守らなければいけないのか分からないのですけれど……それが『婚約者を交換する為』だったのだと考えれば、納得できますわ」
「そ、そんな……最初から、だと、言うのか…………」
アリーチェの言葉にロッチェンはただただ驚き、そして青褪める。『何を馬鹿なことを言っているんだ』と思えないのだ。
アリーチェの話し方は嘘を言っている様には聞こえない上に、ロッチェン自身も自分の妻の長女への対応が次女に比べてキツいものがあるなとは思っていたからだ。
その理由をずっと『後継者だから』だと思っていたのはロッチェンも同じで、今その理由が無くなった状態で『別の理由』を提示されてしまえば、それを否定するほどの理由がロッチェンには思い浮かばなかった。
『サバサはお前を愛しているよ』と言えればいいのだが、ずっとこの母と娘を側で見てきたロッチェンには、そんな言葉は浮かばなかった。
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