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3>> 密告・2
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アリーチェはとんでもない問題発言をしているとは思えない程に冷静に話を続ける。
「ずっと不思議だったのです。
何故こんなにもわたくしは“お母様に嫌われている”のか……
いえ、嫌われているなんて言葉では緩すぎる、恨まれていると言っていいほどに憎まれているのか……ずっと不思議だったのです」
「憎んでいるなど……」
「お父様はお母様からのあの視線を受けた事がないから分からないのです。
わたくしは物心付いた頃にはもうお母様から睨まれておりました。優しい眼差しなど貰った事はありません……」
そう言って少しだけ下を向いたアリーチェが小さく鼻をすする。その事にロッチェンの心が少しだけ軋んだ。
「厳しくされるのは自分が跡継ぎだからだと信じていました。
ルナリアがいつまで経っても無邪気に笑って遊んでいて……あぁわたくしが同じ歳の頃にはもう勉強詰めだったのにルナリアは許されるのだなぁと思っていても、それはわたくしが跡継ぎだから仕方ないのであって、お母様がわたくしに厳しく当たるのも、わたくしが跡継ぎだからこその愛情なのだと思っていました。
だからどれだけ寂しくても耐えられたのです。
ですが今回、わたくしが跡継ぎから外されて、それをお母様が率先して行っているのを見て。
あぁ、全てが違ったんだな……って思ったんです……」
アリーチェの言葉にロッチェンは喉が渇くのを唾を飲み込んで潤し、先を促した。
「そ、それが何故、私の子ではないという結論になったんだ……?」
アリーチェは目を閉じて悲しそうに眉を寄せた。
「……お母様から厳しくされていたのも、冷たくされていたのも、時には叩かれたことも」
「何っ?!」
初めて聞いた事にロッチェンは驚愕した。
「それも全てわたくしが後継者だからこその愛情の裏返しだと思っていたのですがそうではなかったと分かったので、単純にわたくしは『お母様に嫌われていた』事になります。
物心付いた頃からですよ?
わたくしがわたくしとしての自我もまともに理解していない時期から、わたくしはお母様に憎むほどに嫌われていたのです。
一体どんな理由があるというのでしょう。
わたくしは考えました。
色々考えた結果。一番納得する結論が出たのです」
「そ、それは……?」
ゴクリ、とロッチェンの喉が鳴った。
アリーチェはそんな父と目を合わせてジッとその目を見て口を開いた。
「わたくしが、お父様の子ではなく、
お母様が誰かに犯されて授かった“罪の子”だということです」
「なあっ???!!!」
アリーチェの発言にロッチェンはもう顎が外れる思いだった。
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アリーチェはとんでもない問題発言をしているとは思えない程に冷静に話を続ける。
「ずっと不思議だったのです。
何故こんなにもわたくしは“お母様に嫌われている”のか……
いえ、嫌われているなんて言葉では緩すぎる、恨まれていると言っていいほどに憎まれているのか……ずっと不思議だったのです」
「憎んでいるなど……」
「お父様はお母様からのあの視線を受けた事がないから分からないのです。
わたくしは物心付いた頃にはもうお母様から睨まれておりました。優しい眼差しなど貰った事はありません……」
そう言って少しだけ下を向いたアリーチェが小さく鼻をすする。その事にロッチェンの心が少しだけ軋んだ。
「厳しくされるのは自分が跡継ぎだからだと信じていました。
ルナリアがいつまで経っても無邪気に笑って遊んでいて……あぁわたくしが同じ歳の頃にはもう勉強詰めだったのにルナリアは許されるのだなぁと思っていても、それはわたくしが跡継ぎだから仕方ないのであって、お母様がわたくしに厳しく当たるのも、わたくしが跡継ぎだからこその愛情なのだと思っていました。
だからどれだけ寂しくても耐えられたのです。
ですが今回、わたくしが跡継ぎから外されて、それをお母様が率先して行っているのを見て。
あぁ、全てが違ったんだな……って思ったんです……」
アリーチェの言葉にロッチェンは喉が渇くのを唾を飲み込んで潤し、先を促した。
「そ、それが何故、私の子ではないという結論になったんだ……?」
アリーチェは目を閉じて悲しそうに眉を寄せた。
「……お母様から厳しくされていたのも、冷たくされていたのも、時には叩かれたことも」
「何っ?!」
初めて聞いた事にロッチェンは驚愕した。
「それも全てわたくしが後継者だからこその愛情の裏返しだと思っていたのですがそうではなかったと分かったので、単純にわたくしは『お母様に嫌われていた』事になります。
物心付いた頃からですよ?
わたくしがわたくしとしての自我もまともに理解していない時期から、わたくしはお母様に憎むほどに嫌われていたのです。
一体どんな理由があるというのでしょう。
わたくしは考えました。
色々考えた結果。一番納得する結論が出たのです」
「そ、それは……?」
ゴクリ、とロッチェンの喉が鳴った。
アリーチェはそんな父と目を合わせてジッとその目を見て口を開いた。
「わたくしが、お父様の子ではなく、
お母様が誰かに犯されて授かった“罪の子”だということです」
「なあっ???!!!」
アリーチェの発言にロッチェンはもう顎が外れる思いだった。
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