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14>>ランドルの終わり・2 (ざまぁ)
しおりを挟むアシュフォードはとある場所に来ていた。
「おお、殿下! お待ちしておりましたぞ!」
小太りの所長がにこやかにアシュフォードを出迎え、それにアシュフォードも微笑み返した。
ここは国一番のポーション製作所。
主に新しい回復ポーションを開発する施設であった。既に世界中に流通するポーションは殆ど完成形と言っても良いほどではあったが、まだまだ改良の余地ありと開発者たちは日々頑張っているところだった。
「差し入れを持ってきたんだ。皆で食べてくれ」
アシュフォードの後ろからメイドたちが数名、物を運んでついて来ていた。それを見た所長は目を輝かせて両手を合わせて高速で擦り合わせた。
「おぉお! ありがとうございます! みな喜びますよ!!」
そんな話をしながらアシュフォードはポーション製作所の奥へと入って行った。
◇
製作所の奥は小さな個室で区切られていた。その全ての部屋が廊下から見えるようになっていて、いくつかの部屋の窓にはカーテンが掛かっていた。
途中、杖を突きながら歩く片足のない男と社員と思われる男とアシュフォードたちはすれ違った。頭を下げてアシュフォードたちが過ぎ去るのを待っているその人たちに片手を上げて挨拶をした所長が、
「無償で最上級ポーションを使ってもらえるここにはあぁいう人が自ら進んで来てくれるのですが、少しでも苦痛などが長引くと途端に苦情が出るので苦慮しておりますよ」
と苦笑いを零した。
広い製作所の置くまで行くと今度は地下に繋がる階段が現れた。「御足労お掛けします」と頭を下げて所長はアシュフォードを連れて階段を降りて行く。
「流石に所員の全てに見せて良いものでもありませんのでねぇ……」
独り言のように語った所長に同意するようにアシュフォードは「あぁ」と短く返した。
階段を降りると直ぐに扉があり、その扉を開くと事務スペースになっていて数名の所員が机仕事をしていた。
更にその奥。
ポーション製作所の最奥となる場所の扉が遂に開かれた。
「ひ、……っぐぎゃあ!! あぁっ!!」
診察台の上に全身をベルトで固定されたランドルが悲鳴を上げていた。
ランドルは上半身裸で台の上に寝かされており、その腹には皮が捲られたような傷ができていた。
痛みからか全身を動かしてランドルは暴れているが固定されているベルトは固く、抵抗は抵抗の意味を成してはいなかった。
そんなランドルを数名の所員が観察している。
「う~ん。何が足りないんだ?」
「フィルザをもっと足すべきだと言っただろう」
「だがフィルザはエントと相性が悪いぞ」
「その為のリーメリアンだろ?」
「だがリーメリアンは骨に影響がでるぞ」
「分量次第だろ」
ランドルが悲鳴を上げているその周りで、所員たちはあれやこれやと平然と話を続ける。
「今だー!」
話し合っていた所員たちの隙をついて一人の男がランドルの傷口に液体をパシャリと掛けた。
「ぃぎゃああああああ!!!!」
その瞬間ランドルが喉が張り裂けんばかりに叫んだ。見開かれた両目からは大量の涙が溢れる。
「あっ!? こらお前なぁ!」
「俺の新作ポーション! どうよ!!」
ドヤ顔で液体を掛けた男が指差した先ではランドルの傷口が直ぐ様修復されて塞がっていた。
だが痛みにランドルは気絶した。
「治りゃあいいってもんじゃないっていつも言ってんだろうが!!」
一人の所員が液体を掛けた男を叱る。液体を掛けた男は不満げに頬を膨らませて「早く治った方がいいだろ~」と言った。
「“瞬間に治りますが激痛で気絶します”、なんて回復ポーション、誰が買うんだよ」
呆れて溜め息を吐きながらランドルの頭側に居た所員がポケットから小さな瓶を取り出すと、ランドルの鼻先にそれを近付けた。
「……っ、は!?」
瓶の匂いを嗅いだらしいランドルが直ぐに目を覚まし周りを見渡す。
そして部屋の入口に立っているアシュフォードに気付くと目を見開き、体が固定されているのも忘れたかのようにアシュフォードの側に行こうと暴れ出した。
「っ殿下!? 殿下!! アシュフォード殿下っ!! 助けて下さい!! お願いですから助けて下さいっ!!!」
自分に向かって台に固定された腕で必死に手を伸ばすランドルに、アシュフォードはゆっくりと近付く。
ランドルの動きでやっとこの部屋に王太子殿下が来ていたことに気付いた所員たちが慌てて姿勢を正してアシュフォードに頭を下げた。
「気にしないで続けてくれ」
そんなアシュフォードの言葉に短く返事を返した所員たちは、先程までの無駄口な口を閉じて黙々と自分たちの作業に戻った。
「殿下……っ!」
近付いてきたアシュフォードにランドルは必死の形相を向ける。涙や鼻水が顔から出ていたがランドルにはそれをどうにかする術はなかった。
「久しいな。ランドル」
アシュフォードの声は冷たく、ランドルを見下ろす目には少しの同情もなかった。
しかしそれに気付いたとしても、ランドルにはもうアシュフォードに縋るしかなかった。
「お助け下さいっ、お助け下さいっ!! 他の罰でしたいくらでも受けます!! ですから、これだけは、これだけはお止め下さい!!!」
大粒の涙を流してランドルは訴える。
しかしアシュフォードの表情は変わることはなかった。
「“楽な罰で一生償う”?
残念ながら貴方にはそれは許されてはいない。
“理不尽な苦痛に14年間耐える”ことが、貴方に与えられた罰だ」
「無理です……っ!!
これはただの拷問だっ!! これを14年間もなんっ、ぃぎゃっ!? あぁああっ!!!」
話している途中でも容赦なく刃物で体を切られてランドルの口から悲鳴が上がる。先ほどと同じ様に切った皮膚をゆっくりと剥がして『皮膚が剥がれた傷口』をランドルは作られた。
そこにまたポーションが掛けられる。
「ぐあぁあああっ!?!!」
ランドルから上がった悲鳴に所員たちは眉間にシワを寄せた。
「う~ん……」
「染みる? ねぇ、染みた??」
一人はランドルの肩を叩きながら感想を聞く。
「おい、全然治ってないぞ」
「そもそも失敗作じゃないか」
「おっかしいな~???」
「殿下の目の前で失敗する奴があるか」
「んじゃ、次これな」
パシャリ、と次のポーションがランドルの傷口に掛けられ、またランドルが呻くように奥歯を噛み締めて痛みに悶える表情をした。
「“皮が剥がれた傷”でも染みずに痛くないポーションの製作には、とても難航しておりましてなぁ」
説明するように後ろから掛けられた所長の言葉にアシュフォードは頷いて、ランドルと話を続けた。
「子供を虐待していたお前が、人々の役に立てるのだ。そして14年経てば、ちゃんと罪を償ったとして釈放される」
「その時はちゃんと五体満足の状態に戻しますので」
アシュフォードの言葉に添えるように所長がランドルに伝えた。
「っ?!? そ、……っ、いぎぃっ!!」
ランドルが言葉を発しようとすると、またそのタイミングでランドルの体に新たな傷が作られた。今度は針が体内まで押し込まれる。
「僕のポーションはどうかな?」
「異物排出効果?」
「そう………………、うん。失敗」
「あーあ、傷だけ治っちゃって」
アシュフォードと所長たちに構わず、ランドルの周りの所員たちは仕事を続ける。無自覚を装ってはいるが完全にランドルへの嫌がらせである。
所員たちは『ランドルの存在』には感謝していたが『ランドル本人』は嫌いだった。『子供を虐待していた』、理由はそれだけで十分だった。
アシュフォードはランドルを冷たい目で見下ろす。
「お前は自分がしたことを考え続けろ」
「だからっ!!
それは妻がしたことだっ!!」
もうアシュフォードに丁寧語を使う余裕もなく必死にランドルは訴えるが、その言葉には一度だって誰かが耳を傾けてくれたことはなかった。
「本当に……“父親”の自覚がないんだな……」
アシュフォードは呆れきって溜め息を吐く。
「そんなお前の所為で、息子の未来も絶たれるというのに……」
その言葉にランドルは今までとは違った意味で目を見開く。自分のことばかりでそこまで気が回らなかったのだ。息子のオルドランはまだ幼いから許されると、侯爵家の嫡男だから保護されると、勝手に考えていたのだ。
今まで頭の隅へと追いやられていた最愛の息子の姿を思い出して、ランドルは湧き上がる焦りに痛みとは違う汗を全身から噴き出させた。
「息子にっ?! 私の息子に何をした?!? あの子はまだ幼いんだぞ!! っ?! まさかあの子もここにいるのか?!? オルドラン!! オルドランっ!!!!!」
「あぁ! こら! 暴れんなよ!」
「鎮静剤、鎮静剤」
「今の内だー!!」
「おい! ドサクサに紛れて自作のポーション掛けんな!!」
暴れるランドルにどこまでも冷静な所員たち。
アシュフォードはそれらを気にしては居なかったが、アシュフォードが連れてきていた執事や護衛たちは内心この空間にドン引きしていた。
息子の名前を呼び、息子の心配だけをするランドルにアシュフォードは呆れ返る。
「お前の子供は後3人いるんだがな……
息子へ向ける気持ちの一部でも三女に向けていれば……」
そう語りかけたアシュフォードの言葉は、騒ぐランドルの耳には聞こえていなかった。
「おかしいっ?! こんなことはおかしいだろう?! 妻が勝手に三女を虐げたのに! 何故私がこんな目に遭わされる?! 私は知らなかったんだ!! 知らなかったことが罪なのか?! 知らなかっただけでここまでのことをされなければいけないのか?!
知らなかっただけで!!!!
あぁ!! オルドランっ! 我が息子よ!!! 息子に何かあれば私はお前たちを許さないっ!!!
アシュフォードっ!!!
私はお前を許さんぞぉおおおお!!!」
力み過ぎて血管が切れたのか、血涙を流しながらランドルはアシュフォードを睨み呪詛の言葉を吐いた。
そんなランドルにゴミを見るような目を向けてアシュフォードはランドルと目を合わす。
そして冷たい声で語り掛ける。
「……絶望しろ。
絶望という言葉も、それに繋がる感情すら知らずに育った娘の代わりに。
お前がどれだけ目を逸らそうと、お前にはその責任がある。
……14年後には、それが理解できていればいいがな……」
そう言うとアシュフォードはランドルに背を向けて歩き出した。
その背にランドルが雄叫びを上げる。
もうランドルには声を上げることしかできないからだ。
そんなランドルに周りに居る所員の一人が声を掛ける。
「はいはいウルサイよ。被験者と言う名の実験台くん。ポーションの実験以外の言葉は喋んなくていいからね~」
そう言ってランドルの首の血管に太針の注射器を刺した。
「いぎっっ!?!」
短い悲鳴を上げるランドルに別の所員が邪魔臭そうな目をしながらも優しく声を掛ける。
「僕らは君と違って“人の情”があるから、『知らなかった』で無かったことにはしないから安心してくれ」
「ちゃんと傷は癒してやるからな」
「痛いところは言ってくだちゃいね~」
「お前、入れた針出してやれよ」
「ひとまず麻痺薬」
「来月からは最上級ポーションの実験で肉体細切れにするけど、ちゃんとくっつくから安心してくれよ☆」
「あ~、『知らなかった』で何でも許されるのなら俺達ももっと色んなことができるのにな~~~」
「な~」
自分の上で繰り広げられる会話にランドルは、鎮静剤による効果も借りて冷静になってくる頭で理解する。
『知らなかった』で無かったことにはしない者たちの、『責任の取れる範囲でなら何でもする狂気』を。
目を見開いて驚愕の表情をするランドルに容赦なくナイフが振り下ろされる。
悲鳴を上げたランドルの口に強制的に流し込まれたポーションは、ランドルの気管にも流れ込んでランドルから一瞬呼吸も奪うが直ぐに傷口は塞がった。
痛みと苦しみが同時に襲ってくる。
治す為に繰り返される。
これが後14年も繰り返される。
そのことに改めて気付いたランドルには最早オルドランのことを考えている余裕などなかった。
「あ、あぁあ……あ、……あぁ…………」
鎮静剤により叫ぶ気力さえ抑えられてしまったランドルの口からはただ無意味な音が漏れる。
「あれ? 鎮静剤打ち過ぎた?」
「反応が無いのは困るのだがな」
「今じゃない」
「仕方ない。今の内に針を」
「あ、殿下。お疲れ様でした」
「「「「お疲れ様でした!」」」」
取ってつけたように部屋から出るアシュフォードに頭を下げた所員たちにアシュフォードは少しだけ笑った。
ランドルが自分の罪に気付ければいいが、……きっとそれまでには……
「壊れた人格を治すポーションはまだ作れませんからな~。
それも研究の一つですよ」
アシュフォードの気持ちを読んだかのように所長がそう言った。ホホホ、と笑う所長にアシュフォードは「そうか」と短く返した。
ランドルへの罰はエーが虐げられていた同じ年月をこのポーション製作所で新作ポーションを作る為の役に立つことだ。死ぬことはなく、ちゃんと食事や風呂にも入れる。ポーションの効果の感想を聞く為に言葉を封じられることもない。
だが……、体を切り刻まれる激痛と四肢を無理やり外されてまた着けられたりすることを繰り返されて、人の精神はどこまで耐えられるのだろうか?
既に全員が気付いている。
ランドルの精神が早い段階で崩壊するだろうことを。
だが、幼子の……それも実の子の精神を壊して育てたランドルに同情する者など、ここには存在しなかった。
「アシュフォード様。
新しい聖女様のお加減は如何でしょうか?」
所長が聞いた。
アシュフォードは少しだけ目を伏せて答えた。
「……14年は長いな」
その言葉だけで所長には十分だった。
「…………心を癒やすポーションは、何故どこにもないのでしょうなぁ……」
それは全ての人が思う疑問だった……
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※この話自体が『強火ざまぁ』の “為に” 書いた話なので、
「罪に罰が釣り合わない」みたいな話は‼️お門違い‼️です。
□□■〔 注意 〕
※この話は作者(ラララキヲ)がノリと趣味と妄想で書いた物です。
なので『アナタ(読者)の"好み"や"好き嫌い"や"妄想"や"考察"』等には『一切配慮しておりません』事をご理解下さい。
※少しでも不快に感じた時は『ブラウザバック』して下さい。 アナタ向きの作品ではなかったのでしょう。
※感想欄で「こんなの酷いですー」的な事を言ってくる方へ。 作者は『分かっていて』書いてます。『お門違い』だとお気づき頂けると助かります。この作品は『ざまぁを楽しむ』お話として書かれています。
☆ブクマにしおりにエール、ありがとうございました!!
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