上 下
11 / 11

──11──

しおりを挟む
-




 早々にヒロインが退場した乙女ゲームほど、つまらないものはない。

 起きるイベントも無く、平凡な学園生活を送り、予定通りの卒業式を済ませて、乙女ゲームは終了した。

 わたくしも悪役令嬢ではなくなり、来年にはジェイド様と婚姻を結び王太子妃として王族となる。

 ここで三流映画なら、わたくしの悪事がどこからかバレて、悪役令嬢は罪人として処刑されるかもしれないけれど、ロデウス侯爵家がそんなチンケなヘマをするはずが無い。隠し事がバレるのは無能の証拠。ロデウス侯爵家にそんな無能は存在しないの。

 だからわたくしは王妃となる。

 別になりたい訳じゃないけれど、なりたくない訳でもないから敷かれたレールに乗り続けるわ。
 ジェイドは最推しってほどではないけれど、前世から好きだった男だし?


 わたくしの前世は乙女ゲームよりバイオレンス映画やスプラッター映画が好きだっただけの面白味のない一般人だった。
 乙女ゲームも悪役令嬢が出る『ざまぁ系乙女ゲーム』ばかりやっていたから悪役令嬢なんかに転生しちゃったのね。
 前世ではざまぁされた悪役令嬢の行く末を妄想したり与えられた罰の内容を妄想したりして楽しんだんだけど、自分がその立場になってそれをされたいかって言われたら、誰だってそんな目には遭いたくないわよねぇ。

 こういうのって「ざまぁ返し」っていうのかしら?
 ヒロインになっちゃったあの子には申し訳なかったけれど、拷問もせずに殺してあげたんだから許して欲しいわ?
 スプラッター映画を見ながら焼き肉ホルモン食べる女を悪役令嬢に転生させちゃあダメよねぇ(笑)


 でもわたくしは自分に牙を向けない者には何もする気はないの。
 だから何事もなければわたくしが『悪役』になる事は二度と無い。

 相手を『悪役』にしてしまう、
 『自称善人』の存在っていうのも、
 ほんと、やっかいよねぇ……







[完]
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(11件)

うつろ
2023.05.27 うつろ
ネタバレ含む
ラララキヲ
2023.05.27 ラララキヲ

感想ありがとうございます^^

『悪役令嬢にバレずに攻略対象者を落とせるか?!』みたいな心理戦乙女ゲームが出てもおもしろそうですね😆(笑)でも乙女ゲームやるタイプの人は簡単に好感度が上がるゲームの方が好きそうなので乙女ゲームより男性向け恋愛?ゲームの方が売れそうです(笑)

解除
千夜歌
2023.04.23 千夜歌
ネタバレ含む
ラララキヲ
2023.04.23 ラララキヲ

感想ありがとうございます^^
気に入っていただけて嬉しいです!

ヒロインは自分にヒロイン補正が神から適用されると思うんでしょうね(^∀^;)それか自分以外が全員CPUだと思い込んでしまうのかもしれません。基本現実が見えてませんね(^∀^;)
攻略対象者は基本『チョロい』と思いますよ〜惚れやすすぎる(^∀^;)笑

自分の好みの話を自分の気に入るように書いてますが、また気に入っていただけるものが書けたら嬉しいです。その時はこちらこそ宜しくお願いします^^

解除
nyon
2022.11.10 nyon

面白かったですーーー!!
こんな物語が読みたかったので嬉しいです
ありがとうございました!

ラララキヲ
2022.11.11 ラララキヲ

感想ありがとうございます^^

楽しんでいただけたようで嬉しいです!😁

解除

あなたにおすすめの小説

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

悪役令嬢の物語は始まりません。なぜならわたくしがヒロインを排除するからです。

霜月零
恋愛
 わたくし、シュティリア・ホールオブ公爵令嬢は前世の記憶を持っています。  流行り病で生死の境を彷徨った時に思い出したのです。  この世界は、前世で遊んでいた乙女ゲームに酷似していると。  最愛のディアム王子をヒロインに奪われてはなりません。  そうと決めたら、行動しましょう。  ヒロインを排除する為に。  ※小説家になろう様等、他サイト様にも掲載です。

悪役令嬢はあらかじめ手を打つ

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしは公爵令嬢のアレクサンドラ。 どうやら悪役令嬢に転生したみたい。 でもゲーム開始したばかりなのに、ヒロインのアリスに対する攻略対象たちの好感度はMAX。 それっておかしすぎない? アルファポリス(以後敬称略)、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことが多いので、コメントなどの受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした

ひなクラゲ
恋愛
 突然ですが私は転生者…  ここは乙女ゲームの世界  そして私は悪役令嬢でした…  出来ればこんな時に思い出したくなかった  だってここは全てが終わった世界…  悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

悪役令嬢はヒロインに敵わないのかしら?

こうじゃん
恋愛
わたくし、ローズ・キャンベラは、王宮園遊会で『王子様を巻き込んで池ポチャ』をした。しかも、その衝撃で前世の記憶を思い出した。 甦る膨大な前世の記憶。そうして気づいたのである。  私は今中世を思わせる、魔法有りのダークファンタジー乙女ゲーム『フラワープリンセス~花物語り』の世界に転生した。 ――悪名高き黒き華、ローズ・キャンベルとして。 (小説家になろうに投稿済み)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。