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 わたくしの名前はキャサリーナ・ロデウス。ロデウス侯爵家の娘。
 婚約者はこの国の第一王子。

 そして『この世界のヒロイン』は平民上がりの男爵令嬢フィーナ・セロン。

 セロン男爵がメイドに仕込んだ種が勝手に育った結果産まれ、2年前までは自分が貴族の血を引いている事も知らずに育った可愛らしい女。

 1年ではまともな教育は受けられず、それを『無邪気』と表現して、平民の立ち振る舞いで“貴族の子供だけが通う学園”で好き勝手に振る舞う女。

 無知を『少し前まで平民だったから仕方がない』と擁護され、貴族の幼児ですら守る最低限のマナーさえ守らなくても許され、本人もそれが当然だと思っている『根は優しい』女。

 実年齢より幼く見える見た目も相まって知り合った人々の庇護欲をそそり、何故か注意する方が『心の狭い者』だと逆に叱られる。
 そしてそれを「私が悪いの」と弱々しく泣いて見せて周りの関心を集め、注意した者を更なる悪役に仕立て上げる天性の才能を持った恐ろしい女。


 乙女ゲームでは、その『心の優しさ』から、確か光魔法に目覚め、聖女とまで称される様になったはず……

 そしてそんな『心優しき聖女』を虐め殺害しようとしたとして断罪されるのが悪役令嬢のキャサリーナ。

 聖女だろうがなんだろうが、婚約者のいる男性と懇意になる女が悪いと思うのだけれど、乙女ゲームはそんな事は気にしない。
 婚約者が居たとしても、その婚約者を無下にしていても、『真実の愛』で結ばれた方が正義で、その愛を邪魔する方が悪。

 でもね?

 その『真実の愛』が実るのを待つ必要って、あるのかしら?

 ヒロイン。

 悪役令嬢から言えば『敵』である相手が解っていて、つその相手が『自分よりも断然格下』と解っているなら、相手が動く前にこちらが動けばいいんじゃないかしら?

 だって、ねぇ?

 こちらは『悪役』令嬢、なのですもの。




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