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──12──[ヒロイン視点]

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「リゼリーラ様!!どうかもうお止め下さい!!!」

 『』に足を引っ掛けられ突然背中を押され耳元で悪口を囁かれ得体のしれないの視線に晒され続けた私の精神は1ヶ月も持たずに負けた。

 私の面倒を見てくれている教会で大掛かりな祈祷や万が一を考えて魔法反射の詠唱もしてもらったけれどどれも役に立たなかった。
 聖職者たちはみんな心底私を心配してくれているけどその反面得体の知れないモノからちょっかいを掛けられている私を訝し気に見てくる時が増えた。
 みんなは私がに足を掛けられたり背中を押される瞬間を見ているから私の自演を疑ったりはしないけど、浄化も防御魔法も魔法反射も意味を成さない私に恐怖を感じているのかもしれない……。
 でも私には分かる。ゲームの中でラスボスに成れる程に魔力のあるリゼリーラの魔法を教会に居る人の魔法では反射や防御が出来ないだけって事が。魔法反射や防御は『攻撃された魔力より上回る魔力で対応する』ものだから、ラスボスリゼリーラの魔法をどうにか出来る人なんか王様の周りにしかいないのかもしれない。
 私は完全に詰んだ。
 
 ゲームと同じ目に遭っても攻略対象者たちは私を守ってはくれない……というかから親密度なんか上がらない……親密度が上がらないと令嬢たちから嫉妬されない……ていうかその前にどう考えてもこの世界のリゼリーラが嫉妬に狂って私を襲ってくる未来が見えない……。

 自分が放った魔法で転んだ私を見ても心配そうな顔をするリゼリーラ。私に近付く事はないけれど、離れた場所から声を掛けてきた事もある。……何を考えてるのか知らないけれど私のお世話になっている教会に高級お菓子を近所に配っても余る程に送ってきた事もある。私を排除したいのか懐柔したいのか分からないけれど……私を嫌っている訳じゃ無い事だけは……分かった……。

『嘘吐き』

 耳元で囁かれる悪口はそればかり。
 なら……、もしリゼリーラが私が自演した事だけを怒っているのなら……私をがないのなら……謝ったら許されるのでは……?

 『』におびやかされる日々に心を折られた私はこの世界がゲームの世界だとかそのゲームのストーリーを守るだとか何の役にも立たない考えを捨てて平穏を取り戻したくてリゼリーラに謝罪した。


「私が間違っていたのです!!
 もう馬鹿な事はしません!!
 二度とあんな事はしません!!
 だからどうかリゼリーラ様!
 私を許して下さい!!」



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