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22>> あれから
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わたくしにとっては人生で一番穏やかな日々を過ごすことになりましたが、わたくしの周りではなんだか慌ただしく暗い日々となっていた様です。
まずお兄様ですが……
わたくしが定期的に魔法で窒息させていたのでどうやら脳への酸素供給が減ってしまい、活発だったお兄様がぼうっとする事が多くなった様です。
物忘れが酷くなり、物覚えも悪くなり、反応も鈍くなってきたとメイドたちが話しているのを聞きました。
そういえば、盗聴魔法など出来ないものかと試行錯誤したのですが、さすがにそこまで万能な使い方は出来ませんでした。できて人の位置を把握するぐらいなので、わたくしは忍者のように邸の中で盗み聞きをしています。
優秀な嫡男が居てパーシバル侯爵家は安泰だな、なんて言われていたのに今のお兄様には将来を心配する声が上がっているとか……
この世界の回復魔法が万能ではないと思っていましたが、案の定継続して起こる体内の不調には対処が難しいようで、お兄様の死んだ脳細胞は回復していないみたいですね。
その内お兄様もわたくしと同じ様に『無能』だと誰かに罵倒されるかもしれません。
次はお義母様ですが……
定期的に腕の太い血管の血を止めた結果、遂に腕が壊死して近い内に腕を切断する事が決まったそうです。
医師を呼んでその都度回復魔法は掛けていた様ですが、常に邸に医師が居る訳ではないので──いくら侯爵家といっても貴重な医師を専属で邸に囲うことはできません──ダメージが蓄積していった様ですね。
お義母様はわたくしだけでなく、使用人たちにも手を上げていたので、その『上げる手』が無くなり、今後の被害者が居なくなるのですから……わたくしは良いことをしたんじゃないでしょうか?
お義母様が付けたわたくしの腕の傷はもう消えることはありませんが、もう絶対にそんなことをされることはないのだと思うと、やっとホッとできる気がします……
さて、義妹ララーシュですが……
彼女に掛けた魔法は『頭に血が上ったら下げる』だけの簡単なものです。
実のところ、同じ魔法をわたくしが掛けられたとしても全く生活に影響がないと思える魔法なのですが、ララーシュにはそうではなかったみたいです。何をそんなに毎日興奮する事があるのかと思うほどにララーシュはほぼ毎日魔法が発動して貧血の様な症状に見舞われた様です。
クラッと目眩がして体のバランスが崩れて壁に手を突きたくなるとか、少ししゃがんでしまうくらいのものですが、ララーシュは毎日そんな症状に襲われたことに恐怖して、最近では部屋に閉じ籠もり侍女ともあまり会わないようにしているとか……
彼女が何にそんなに気持ちを高ぶらせることがあるのかとさっぱり理解できませんが、部屋で一人で居れば心穏やかにできているかと思いきや、彼女は一人でも何かに腹を立てて頭に血を上らせて倒れては、うめき声で部屋の外に待機している侍女を呼んで、駆けつけた侍女の所為にしては責め立ててまた興奮しては倒れるを繰り返しているとか……
血が多いのも考えものですね。
最後にカッシム様ですが……
遂に跡継ぎを外されたようです。
回復魔法を掛けてすぐは元気になるのに時間が経てばまた体調が悪くなりまた医師を呼ぶ……、そんなことを繰り返す長男にワゼロン侯爵は遂に決断したのでしょう。
カッシム様は婚約者であるわたくしとも仲が悪いですしね。飛び抜けてカッシム様が優秀であったのならばワゼロン侯爵ももっとギリギリまで決断を渋ったでしょうけれど、カッシム様の弟君たちも優秀だと聞いています。優秀で、婚約者との関係も良好で、婚約者の実家も悪くないとなれば、わざわざお荷物になる欠陥品のパーシバル侯爵令嬢を家に入れて周りから嘲笑される種を抱え込む必要もないですものね。カッシム様はその点でも次期当主候補としては不利となっていたのです。
婚約者は欠陥品で本人は病気持ち、ということでカッシム様は晴れて次期当主候補から外されました。ワゼロン侯爵家の後継者には次男様が選ばれたそうですわ。カッシム様は学園に戻ることなく領地に戻されて療養人生となるそうです。
わたくしの魔法が切れたら、きっと直ぐに元気になられるでしょうね。その時にワゼロン侯爵家の後継争いがどうなるか……ちょっと気になります……
あ、序にカッシム様の最愛のソフィーナ様ですが。
彼女は若さの新陳代謝により徐々に体の潤いを取り戻してきているみたいです。回復魔法は乾燥肌には効かないんですよね。それが効くのでしたらこの国の女性は死ぬまでお肌がピッチピチのはずですものね。そうではないのでイケるだろうなって思ってました。体の代謝で治ることも。
彼女には凄く嫌な気持ちにさせられましたが、そんな状態になったのも、全て“カッシム様が彼女を愛人に選んだから”だと分かっていますので、ソフィーナ様への仕返しはこんなものでいいかなって思います。だってカッシム様が愛人なんか作ろうと思わなければ、ソフィーナ様だって格上の侯爵令嬢に面と向かって暴言を吐くなんてことはしなかったでしょうから。
だから……いいのです……
あ、もう一回くらいは魔法掛けとこ。
そして…………
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わたくしにとっては人生で一番穏やかな日々を過ごすことになりましたが、わたくしの周りではなんだか慌ただしく暗い日々となっていた様です。
まずお兄様ですが……
わたくしが定期的に魔法で窒息させていたのでどうやら脳への酸素供給が減ってしまい、活発だったお兄様がぼうっとする事が多くなった様です。
物忘れが酷くなり、物覚えも悪くなり、反応も鈍くなってきたとメイドたちが話しているのを聞きました。
そういえば、盗聴魔法など出来ないものかと試行錯誤したのですが、さすがにそこまで万能な使い方は出来ませんでした。できて人の位置を把握するぐらいなので、わたくしは忍者のように邸の中で盗み聞きをしています。
優秀な嫡男が居てパーシバル侯爵家は安泰だな、なんて言われていたのに今のお兄様には将来を心配する声が上がっているとか……
この世界の回復魔法が万能ではないと思っていましたが、案の定継続して起こる体内の不調には対処が難しいようで、お兄様の死んだ脳細胞は回復していないみたいですね。
その内お兄様もわたくしと同じ様に『無能』だと誰かに罵倒されるかもしれません。
次はお義母様ですが……
定期的に腕の太い血管の血を止めた結果、遂に腕が壊死して近い内に腕を切断する事が決まったそうです。
医師を呼んでその都度回復魔法は掛けていた様ですが、常に邸に医師が居る訳ではないので──いくら侯爵家といっても貴重な医師を専属で邸に囲うことはできません──ダメージが蓄積していった様ですね。
お義母様はわたくしだけでなく、使用人たちにも手を上げていたので、その『上げる手』が無くなり、今後の被害者が居なくなるのですから……わたくしは良いことをしたんじゃないでしょうか?
お義母様が付けたわたくしの腕の傷はもう消えることはありませんが、もう絶対にそんなことをされることはないのだと思うと、やっとホッとできる気がします……
さて、義妹ララーシュですが……
彼女に掛けた魔法は『頭に血が上ったら下げる』だけの簡単なものです。
実のところ、同じ魔法をわたくしが掛けられたとしても全く生活に影響がないと思える魔法なのですが、ララーシュにはそうではなかったみたいです。何をそんなに毎日興奮する事があるのかと思うほどにララーシュはほぼ毎日魔法が発動して貧血の様な症状に見舞われた様です。
クラッと目眩がして体のバランスが崩れて壁に手を突きたくなるとか、少ししゃがんでしまうくらいのものですが、ララーシュは毎日そんな症状に襲われたことに恐怖して、最近では部屋に閉じ籠もり侍女ともあまり会わないようにしているとか……
彼女が何にそんなに気持ちを高ぶらせることがあるのかとさっぱり理解できませんが、部屋で一人で居れば心穏やかにできているかと思いきや、彼女は一人でも何かに腹を立てて頭に血を上らせて倒れては、うめき声で部屋の外に待機している侍女を呼んで、駆けつけた侍女の所為にしては責め立ててまた興奮しては倒れるを繰り返しているとか……
血が多いのも考えものですね。
最後にカッシム様ですが……
遂に跡継ぎを外されたようです。
回復魔法を掛けてすぐは元気になるのに時間が経てばまた体調が悪くなりまた医師を呼ぶ……、そんなことを繰り返す長男にワゼロン侯爵は遂に決断したのでしょう。
カッシム様は婚約者であるわたくしとも仲が悪いですしね。飛び抜けてカッシム様が優秀であったのならばワゼロン侯爵ももっとギリギリまで決断を渋ったでしょうけれど、カッシム様の弟君たちも優秀だと聞いています。優秀で、婚約者との関係も良好で、婚約者の実家も悪くないとなれば、わざわざお荷物になる欠陥品のパーシバル侯爵令嬢を家に入れて周りから嘲笑される種を抱え込む必要もないですものね。カッシム様はその点でも次期当主候補としては不利となっていたのです。
婚約者は欠陥品で本人は病気持ち、ということでカッシム様は晴れて次期当主候補から外されました。ワゼロン侯爵家の後継者には次男様が選ばれたそうですわ。カッシム様は学園に戻ることなく領地に戻されて療養人生となるそうです。
わたくしの魔法が切れたら、きっと直ぐに元気になられるでしょうね。その時にワゼロン侯爵家の後継争いがどうなるか……ちょっと気になります……
あ、序にカッシム様の最愛のソフィーナ様ですが。
彼女は若さの新陳代謝により徐々に体の潤いを取り戻してきているみたいです。回復魔法は乾燥肌には効かないんですよね。それが効くのでしたらこの国の女性は死ぬまでお肌がピッチピチのはずですものね。そうではないのでイケるだろうなって思ってました。体の代謝で治ることも。
彼女には凄く嫌な気持ちにさせられましたが、そんな状態になったのも、全て“カッシム様が彼女を愛人に選んだから”だと分かっていますので、ソフィーナ様への仕返しはこんなものでいいかなって思います。だってカッシム様が愛人なんか作ろうと思わなければ、ソフィーナ様だって格上の侯爵令嬢に面と向かって暴言を吐くなんてことはしなかったでしょうから。
だから……いいのです……
あ、もう一回くらいは魔法掛けとこ。
そして…………
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□□■〔 注意 〕
※この話は作者(ラララキヲ)がノリと趣味と妄想で書いた物です。
なので『アナタ(読者)の"好み"や"好き嫌い"や"妄想"や"考察"』等には『一切配慮しておりません』事をご理解下さい。
※少しでも不快に感じた時は『ブラウザバック』して下さい。アナタ向けの作品ではなかったのでしょう。
■えげつないざまぁを求める人が居たので私的なやつを書いてみました。興味のある方はどうぞ😁↓
◇〔R18〕【聖女にはなれません。何故なら既に心が壊れているからです。【強火ざまぁ】】
☆ブクマにしおりにエール、ありがとうございます!
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