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あの後自室へと運ばれたララーシュは医師により回復魔法を掛けてもらって、無事に後頭部の傷は塞がって跡も残らなかったと聞きました。医師からは「興奮し過ぎたんだろう」と言われたようですが、ララーシュだけは「あいつにやられたんだ!」と騒いでいる様です。誰も信じませんけどね。
ですが長男に継母に義妹と、連続して三人が『ロンナと会っていた時に体の不調を起こした』という事で、わたくしは今まで以上に使用人たちから遠巻きにされるようになりました。嫌がらせや聞こえよがしの悪口が無くなって快適になったので少しホッとしています。
でもこのままだとララーシュのようにわたくしが道具か何かを使って三人に危害を加えたと言い出す人が出てくるかもしれません。あまりにも不自然ですから。ですからわたくしから皆の気を逸らす為に、わたくしは更に何度かお兄様たちに同じ魔法を飛ばしました。
湿度による水分を使った水サーチ魔法(勝手に命名)でそれぞれの位置を把握して、遠隔から空気中の水分を使って魔力を飛ばせば、兄や継母や義妹は、わたくしが居ない場所であの症状に見舞われます。そしたらお兄様たちの症状は『病からくる異変』ではないかと皆が思ってくれるでしょう。ララーシュだけはさすがにあれを繰り返すのは危険過ぎるので、だいぶ力を弱めて貧血でふらつくくらいに留めています。呪いだと騒ぐ人もいるかもしれませんが、それこそそんな『高等魔法』に、わたくしが関係しているなんて夢にも思わないでしょうね。
大変なのは毎回呼び出される医師様ですが……そこは大変申し訳ないと思います…………
さて、そんな事をしている内に、わたくしが通っている学園の長期休暇が終わりました。お兄様とわたくしはまた学園に通う日常が始まります。わたくしは2年、お兄様は最終学年の3年生となります。
同じ邸からの登校となりますが……お兄様はわたくしと同じ馬車に乗りたくないと仰ったので、わたくしたちは別々の馬車を使います。一人で乗る馬車は静かでとても快適で、わたくしは一人で馬車に乗れる登下校の時間が大好きでした。
しかし学園自体は好きではありません……だって学園では絶対にカッシム様とお会いしてしまうのですもの……
ワゼロン侯爵家の嫡男、カッシム様……
わたくしの8歳の時からの婚約者で……学園に入学して半年ほどして“最愛の人”と出会われた方……
男爵家の御令嬢であるソフィーナ・マバ様と人目も憚らずに体を密着させてわたくしに見せつけてくるので実のところ心底鬱陶しいのです……
どうもカッシム様はわたくしが御自分に好意を寄せていると思っている様で……『親から無理矢理婚約させられた嫌いな女から好かれている事が不快で仕方ないからその意趣返しに好きな女性と親密になって見せつけている』と考えているのがありありと窺い知れる表情をしていて、その顔が本当に気持ちが悪いのです。
前のわたくしは、“自分が本来ならば生きる価値さえない存在でそんな無価値で欠陥品の女を嫁に貰って下さるカッシム様に感謝こそすれ嫌だと思う事さえ烏滸がましい”のだと思っていたのですが、前世を思い出してしまえば、そんな風に思う事こそが馬鹿馬鹿しくて無意味だと思えるようになりました。
ここに生きているわたくしを否定できるのは神様だけでしょう。
もしわたくしが今もなお水魔法を少ししか使えなくとも、だからと言って『わたくしの存在を否定できる人』なんて、本来ならば存在しないのです。……国王だって、わたくしの『存在を処刑』する事はできても『生まれてきた事の否定』はできないのですから……
前世を思い出し生まれ変わったわたくしは、カッシム様に会ってももう前のようにただ虐げられるだけの人形にはなりません。
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あの後自室へと運ばれたララーシュは医師により回復魔法を掛けてもらって、無事に後頭部の傷は塞がって跡も残らなかったと聞きました。医師からは「興奮し過ぎたんだろう」と言われたようですが、ララーシュだけは「あいつにやられたんだ!」と騒いでいる様です。誰も信じませんけどね。
ですが長男に継母に義妹と、連続して三人が『ロンナと会っていた時に体の不調を起こした』という事で、わたくしは今まで以上に使用人たちから遠巻きにされるようになりました。嫌がらせや聞こえよがしの悪口が無くなって快適になったので少しホッとしています。
でもこのままだとララーシュのようにわたくしが道具か何かを使って三人に危害を加えたと言い出す人が出てくるかもしれません。あまりにも不自然ですから。ですからわたくしから皆の気を逸らす為に、わたくしは更に何度かお兄様たちに同じ魔法を飛ばしました。
湿度による水分を使った水サーチ魔法(勝手に命名)でそれぞれの位置を把握して、遠隔から空気中の水分を使って魔力を飛ばせば、兄や継母や義妹は、わたくしが居ない場所であの症状に見舞われます。そしたらお兄様たちの症状は『病からくる異変』ではないかと皆が思ってくれるでしょう。ララーシュだけはさすがにあれを繰り返すのは危険過ぎるので、だいぶ力を弱めて貧血でふらつくくらいに留めています。呪いだと騒ぐ人もいるかもしれませんが、それこそそんな『高等魔法』に、わたくしが関係しているなんて夢にも思わないでしょうね。
大変なのは毎回呼び出される医師様ですが……そこは大変申し訳ないと思います…………
さて、そんな事をしている内に、わたくしが通っている学園の長期休暇が終わりました。お兄様とわたくしはまた学園に通う日常が始まります。わたくしは2年、お兄様は最終学年の3年生となります。
同じ邸からの登校となりますが……お兄様はわたくしと同じ馬車に乗りたくないと仰ったので、わたくしたちは別々の馬車を使います。一人で乗る馬車は静かでとても快適で、わたくしは一人で馬車に乗れる登下校の時間が大好きでした。
しかし学園自体は好きではありません……だって学園では絶対にカッシム様とお会いしてしまうのですもの……
ワゼロン侯爵家の嫡男、カッシム様……
わたくしの8歳の時からの婚約者で……学園に入学して半年ほどして“最愛の人”と出会われた方……
男爵家の御令嬢であるソフィーナ・マバ様と人目も憚らずに体を密着させてわたくしに見せつけてくるので実のところ心底鬱陶しいのです……
どうもカッシム様はわたくしが御自分に好意を寄せていると思っている様で……『親から無理矢理婚約させられた嫌いな女から好かれている事が不快で仕方ないからその意趣返しに好きな女性と親密になって見せつけている』と考えているのがありありと窺い知れる表情をしていて、その顔が本当に気持ちが悪いのです。
前のわたくしは、“自分が本来ならば生きる価値さえない存在でそんな無価値で欠陥品の女を嫁に貰って下さるカッシム様に感謝こそすれ嫌だと思う事さえ烏滸がましい”のだと思っていたのですが、前世を思い出してしまえば、そんな風に思う事こそが馬鹿馬鹿しくて無意味だと思えるようになりました。
ここに生きているわたくしを否定できるのは神様だけでしょう。
もしわたくしが今もなお水魔法を少ししか使えなくとも、だからと言って『わたくしの存在を否定できる人』なんて、本来ならば存在しないのです。……国王だって、わたくしの『存在を処刑』する事はできても『生まれてきた事の否定』はできないのですから……
前世を思い出し生まれ変わったわたくしは、カッシム様に会ってももう前のようにただ虐げられるだけの人形にはなりません。
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□□■〔 注意 〕
※この話は作者(ラララキヲ)がノリと趣味と妄想で書いた物です。
なので『アナタ(読者)の"好み"や"好き嫌い"や"妄想"や"考察"』等には『一切配慮しておりません』事をご理解下さい。
※少しでも不快に感じた時は『ブラウザバック』して下さい。アナタ向けの作品ではなかったのでしょう。
■えげつないざまぁを求める人が居たので私的なやつを書いてみました。興味のある方はどうぞ😁↓
◇〔R18〕【聖女にはなれません。何故なら既に心が壊れているからです。【強火ざまぁ】】
☆ブクマにしおりにエール、ありがとうございます!
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