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{ 竜王編 }
35. 一縷の望み ※ ◀︎←R15程度の身体的な接触の表現がある場合は◀︎表記します。苦手な方は適宜飛ばし読みして下さい。
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すでに日が落ち、暗くなった室内を、燭台の灯りが小さく照らしていた。
そっと寝台に座らせると、黙ったままの彼女の背中に手を添え撫でる。
先程目に飛び込んだそれが、誤りで無い事を示すかのような……異様な感触を手の平で感じたその瞬間、彼女の肩が大きく震え、戦慄が走る……!
覚悟を決めて、その白い布を掻き上げた。
ドレスの大きく開いたスリットから露わになった、その細く小さな背中に残る……爛れた火傷の跡……。
それは、まるで火かき棒を押し付けたような……背の中程から腰にかけて、太い3本の線が刻まれていた。
無惨に引き攣った傷跡は……彼女の、滑らかで、透き通るような白い皮膚と対になるように……赤茶色く、禍々しい存在感を放っていた。
突如目の当たりにしたその光景の、想像を絶する悍ましさに、認識を拒否するように思考が停止するも……瞬間その苦痛を想像して、身体が凍てつく。
行き場の無い怒りに、体が打ち震える!
……これは……事故ではなく、故意につけられたものだ!
他者へのみ効果を発揮する、精人族の治癒能力。
精人族の姫でありながら、誰からも治癒される事なく放置されたのかっ!
『いったいなぜ、誰にやられた!』
叫びたい衝動を必死に抑えながらも……口をついて出てきた問いかけに、彼女が身を固くする。
「あ、あの、ごめんなさい。……隠していてごめんなさい。こ、こ、これはただの罰なんです。……でも、私は……私は!誤解なんです!私は、決して……悪いことはしていないんです……」
震える声が、徐々に泣き声に変わっていく。
瞬間、己れの愚かさを憎む。いつもこうだ……。
衝動のままに投げかけた問いかけは、彼女を傷つけ、追い詰める……。
ここに至る自身の言動の浅慮さに、激しい後悔が押し寄せる。
追い討ちをかけるように、彼女の表情が悲壮に歪み、震える唇から、発せられた言葉に胸を抉られる。
「ごめんなさい」
『ルミ』
「隠していてごめんなさい」
『ルミッ!!』
目が合うも、怯えに満ちたその瞳は、遥か遠くを見るようだ。
両肩をつかむが、こちらの呼びかけは、まるで届かず……ただひたすらに嗚咽し謝り続ける。
「どうか見捨てないでください! 愛玩動物でも召使でも、奴隷でも、なんだっていいんです。どうかお願いです。ここにいさせてくださいっ!」
そう最後に叫ぶと、泣き崩れてしまった。
出会ったころの、怯えと恐怖で満ちた瞳を思い出す。
全てが……ひとつに繋がった。
深呼吸し、心を落ち着け……努めて穏やかに、話しかける。
『ルミ。お願いだ……こちらを見て」
まだ、俯いたまま、寝台を涙で濡らす彼女の背中を……ゆっくりと撫でる。
『愛してる……』
そう呟くと、彼女が顔を上げた。
驚きと、困惑の表情で、瞳に涙を浮かべる彼女の頬に……そっと両手を添えて。
もう一度……今度ははっきりと。
『愛してる……。過去に何があろうとも、これから先、何が起きようとも……ルミ、お前へのこの気持ちが変わる事はない』
彼女の瞳から、大粒の涙が流れ落ちる。
それと同時に、溢れ出たその言葉が、感情の波となって自身に押し寄せた。
抑えきれないその波に、身を任せる。
彼女の目尻に唇を寄せる。
こぼれ落ちた涙が……唇を濡らす。
次に上気した頬に……そして、小さくため息を漏らした赤い唇に……吸い寄せられるように口付けた。
彼女は僅かに身じろぐも、その手が腕に触れ、しがみつくように力がこもる。
上半身を起こした彼女の背中に手をやり、ゆっくりと引き寄せる。
深く息を吐いたその隙間に舌を沿わせて……彼女の柔らかな口腔が僅かに向きを変え、こちらを深く受け入れたその瞬間、興奮と歓びと、猛る欲求が湧き上がる。
彼女が唇を閉じ……開き……今度は、自分の唇に合わせ、吸い付き、受け入れ、舌と舌が絡まり合う。
吐息が、重なり合った唇の隙間から漏れる。
いつの間にか嗚咽も止み、彼女の両肩からは力が抜けていた。
その瞳を真摯に見つめながら……語りかけた。
『私にとって、ルミ、お前は特別で、唯一の存在だ。
……約束する。幸せにすると。
だから、どうか……私の妻となって欲しい』
ゆっくりとそう言い……また優しく口付ける。
------彼のその口付けを受け、深い深い海の底から引き上げられていく。
どれだけあなたの愛を感じても……私には一生解けない鎖のようなこの傷跡があった。
このまま、あなたの愛を受け入れ続けるなら、いつかは打ち明けなければいけなかった。
でも、この火傷跡の意味をあなたが知った時……私に変わらぬ愛を向けることは、出来ないだろう。
あなたの愛に浸る時、同時に真っ暗闇の深海でただ一人足掻くような気持ちになった。
だから、あなたが贈ってくれたこのドレスを見た時、これは罰なんだと思った。
隠し続けたい気持ちと、告白しなければいけないと思う気持ちがせめぎ合い、頭は常に混乱していた。
これは賭けだった……。布一枚で覆ったところで、この背中の傷を、完全に隠し切れるとは思っていなかった。
見つからなければ、まだこの夢に浸っていられる……もし見つかっても、夢から醒めるだけのこと。
でも、その賭けに、あなたは乗ることすらなく……全く違う選択をした。
自分でも、自覚していなかったほど、小さな……一縷の望みが……叶えられた。
こんな私を、受け入れ、愛してくれてありがとう……。
そして、今ようやく気付いた……。
あなたが、そんな……何かに耐えるような表情をする時、私はいつも打ちひしがれて泣いていた。
私が不安を感じた時、あなたはとても辛そうな顔をした。
不愉快にさせたとばかり思っていたのに……そうでは無かった。
私の心に呼応するように……同じように苦しみ、心で泣いてくれたのだ。
それが例え同情心や憐れみでも、誰かが、私の心に共鳴してくれた……前世でも今世でもそんな経験は一度もなかった。
感動が心を震わし、体中を感じたことのない快感が満たし……痺れる。
------また、彼女の瞳がうるんだが、先程とは違う、穏やかな一筋の雫が頬を伝う。
「こんな幸せがあるなんて……怖いんです」
彼女の置かれた境遇や、生まれ育った環境に、想いを馳せる。
彼女の恐怖の根元を断ち切るためになら、どんなことでもやるだろう。
彼女の為になら、全てを投げ出して……この身を犠牲にすることも厭わないだろう。
『どうか……安心して欲しい』
彼女を抱き寄せ、そっと寝台に身体を横たえ、その頬を撫でる。
切ないほど愛しくて、心狂わせる、この存在……。
お前の心と身体に負った痛みの、全てを知りたい……。知ってその全てを自分の身体で感じたい……そうすれば、お前の痛みに寄り添って、その心に近づく事が出来るだろう……。
『もう……不安に思うことは何もない』
微笑むと、縋るような瞳を向けられた。
「どうか……このままずっと……側にいさせてください……」
そう言うと、彼女は静かに、目を閉じた。
最後の涙の一滴がこぼれ落ちる。
『ああ、お前がそう望むなら……』
(いや、例えお前が望まなくても……もうお前を手放すことなど出来ないだろう)
『……愛してる』
初めて口にしたその言葉は……心地よく、甘美な響きに満ちていた……。
繰り返し、何度もその言葉を囁きながら……彼女の、頬を、髪を、背中を、優しく撫で続けた……。
時折確かめるように薄く目を開く彼女……微笑み見つめ返すと、その口元が柔らかに綻んだ。
不規則な呼吸音は、時間をかけてゆっくりと、本来の穏やかさを取り戻し……やがて小さな寝息となった。
……このままずっと、彼女の寝顔を見つめていたかったが、やるべきことがあった。
ゆっくりと寝台から身を起こす。
蝋燭の光が僅かに揺れ、彼女のまつ毛の影が、震える。
名残り惜しくなり、頬に口づけようと顔を近づけたが……まだその頬に涙の痕跡が残る彼女の……眠りを妨げてはいけない……拳を強く握り締め、自制した。
これから共に過ごすだろう、長い年月に想いを馳せる。
『時間は充分にある』
そう自らに言い聞かせるように呟くと、部屋を後にした。
そっと寝台に座らせると、黙ったままの彼女の背中に手を添え撫でる。
先程目に飛び込んだそれが、誤りで無い事を示すかのような……異様な感触を手の平で感じたその瞬間、彼女の肩が大きく震え、戦慄が走る……!
覚悟を決めて、その白い布を掻き上げた。
ドレスの大きく開いたスリットから露わになった、その細く小さな背中に残る……爛れた火傷の跡……。
それは、まるで火かき棒を押し付けたような……背の中程から腰にかけて、太い3本の線が刻まれていた。
無惨に引き攣った傷跡は……彼女の、滑らかで、透き通るような白い皮膚と対になるように……赤茶色く、禍々しい存在感を放っていた。
突如目の当たりにしたその光景の、想像を絶する悍ましさに、認識を拒否するように思考が停止するも……瞬間その苦痛を想像して、身体が凍てつく。
行き場の無い怒りに、体が打ち震える!
……これは……事故ではなく、故意につけられたものだ!
他者へのみ効果を発揮する、精人族の治癒能力。
精人族の姫でありながら、誰からも治癒される事なく放置されたのかっ!
『いったいなぜ、誰にやられた!』
叫びたい衝動を必死に抑えながらも……口をついて出てきた問いかけに、彼女が身を固くする。
「あ、あの、ごめんなさい。……隠していてごめんなさい。こ、こ、これはただの罰なんです。……でも、私は……私は!誤解なんです!私は、決して……悪いことはしていないんです……」
震える声が、徐々に泣き声に変わっていく。
瞬間、己れの愚かさを憎む。いつもこうだ……。
衝動のままに投げかけた問いかけは、彼女を傷つけ、追い詰める……。
ここに至る自身の言動の浅慮さに、激しい後悔が押し寄せる。
追い討ちをかけるように、彼女の表情が悲壮に歪み、震える唇から、発せられた言葉に胸を抉られる。
「ごめんなさい」
『ルミ』
「隠していてごめんなさい」
『ルミッ!!』
目が合うも、怯えに満ちたその瞳は、遥か遠くを見るようだ。
両肩をつかむが、こちらの呼びかけは、まるで届かず……ただひたすらに嗚咽し謝り続ける。
「どうか見捨てないでください! 愛玩動物でも召使でも、奴隷でも、なんだっていいんです。どうかお願いです。ここにいさせてくださいっ!」
そう最後に叫ぶと、泣き崩れてしまった。
出会ったころの、怯えと恐怖で満ちた瞳を思い出す。
全てが……ひとつに繋がった。
深呼吸し、心を落ち着け……努めて穏やかに、話しかける。
『ルミ。お願いだ……こちらを見て」
まだ、俯いたまま、寝台を涙で濡らす彼女の背中を……ゆっくりと撫でる。
『愛してる……』
そう呟くと、彼女が顔を上げた。
驚きと、困惑の表情で、瞳に涙を浮かべる彼女の頬に……そっと両手を添えて。
もう一度……今度ははっきりと。
『愛してる……。過去に何があろうとも、これから先、何が起きようとも……ルミ、お前へのこの気持ちが変わる事はない』
彼女の瞳から、大粒の涙が流れ落ちる。
それと同時に、溢れ出たその言葉が、感情の波となって自身に押し寄せた。
抑えきれないその波に、身を任せる。
彼女の目尻に唇を寄せる。
こぼれ落ちた涙が……唇を濡らす。
次に上気した頬に……そして、小さくため息を漏らした赤い唇に……吸い寄せられるように口付けた。
彼女は僅かに身じろぐも、その手が腕に触れ、しがみつくように力がこもる。
上半身を起こした彼女の背中に手をやり、ゆっくりと引き寄せる。
深く息を吐いたその隙間に舌を沿わせて……彼女の柔らかな口腔が僅かに向きを変え、こちらを深く受け入れたその瞬間、興奮と歓びと、猛る欲求が湧き上がる。
彼女が唇を閉じ……開き……今度は、自分の唇に合わせ、吸い付き、受け入れ、舌と舌が絡まり合う。
吐息が、重なり合った唇の隙間から漏れる。
いつの間にか嗚咽も止み、彼女の両肩からは力が抜けていた。
その瞳を真摯に見つめながら……語りかけた。
『私にとって、ルミ、お前は特別で、唯一の存在だ。
……約束する。幸せにすると。
だから、どうか……私の妻となって欲しい』
ゆっくりとそう言い……また優しく口付ける。
------彼のその口付けを受け、深い深い海の底から引き上げられていく。
どれだけあなたの愛を感じても……私には一生解けない鎖のようなこの傷跡があった。
このまま、あなたの愛を受け入れ続けるなら、いつかは打ち明けなければいけなかった。
でも、この火傷跡の意味をあなたが知った時……私に変わらぬ愛を向けることは、出来ないだろう。
あなたの愛に浸る時、同時に真っ暗闇の深海でただ一人足掻くような気持ちになった。
だから、あなたが贈ってくれたこのドレスを見た時、これは罰なんだと思った。
隠し続けたい気持ちと、告白しなければいけないと思う気持ちがせめぎ合い、頭は常に混乱していた。
これは賭けだった……。布一枚で覆ったところで、この背中の傷を、完全に隠し切れるとは思っていなかった。
見つからなければ、まだこの夢に浸っていられる……もし見つかっても、夢から醒めるだけのこと。
でも、その賭けに、あなたは乗ることすらなく……全く違う選択をした。
自分でも、自覚していなかったほど、小さな……一縷の望みが……叶えられた。
こんな私を、受け入れ、愛してくれてありがとう……。
そして、今ようやく気付いた……。
あなたが、そんな……何かに耐えるような表情をする時、私はいつも打ちひしがれて泣いていた。
私が不安を感じた時、あなたはとても辛そうな顔をした。
不愉快にさせたとばかり思っていたのに……そうでは無かった。
私の心に呼応するように……同じように苦しみ、心で泣いてくれたのだ。
それが例え同情心や憐れみでも、誰かが、私の心に共鳴してくれた……前世でも今世でもそんな経験は一度もなかった。
感動が心を震わし、体中を感じたことのない快感が満たし……痺れる。
------また、彼女の瞳がうるんだが、先程とは違う、穏やかな一筋の雫が頬を伝う。
「こんな幸せがあるなんて……怖いんです」
彼女の置かれた境遇や、生まれ育った環境に、想いを馳せる。
彼女の恐怖の根元を断ち切るためになら、どんなことでもやるだろう。
彼女の為になら、全てを投げ出して……この身を犠牲にすることも厭わないだろう。
『どうか……安心して欲しい』
彼女を抱き寄せ、そっと寝台に身体を横たえ、その頬を撫でる。
切ないほど愛しくて、心狂わせる、この存在……。
お前の心と身体に負った痛みの、全てを知りたい……。知ってその全てを自分の身体で感じたい……そうすれば、お前の痛みに寄り添って、その心に近づく事が出来るだろう……。
『もう……不安に思うことは何もない』
微笑むと、縋るような瞳を向けられた。
「どうか……このままずっと……側にいさせてください……」
そう言うと、彼女は静かに、目を閉じた。
最後の涙の一滴がこぼれ落ちる。
『ああ、お前がそう望むなら……』
(いや、例えお前が望まなくても……もうお前を手放すことなど出来ないだろう)
『……愛してる』
初めて口にしたその言葉は……心地よく、甘美な響きに満ちていた……。
繰り返し、何度もその言葉を囁きながら……彼女の、頬を、髪を、背中を、優しく撫で続けた……。
時折確かめるように薄く目を開く彼女……微笑み見つめ返すと、その口元が柔らかに綻んだ。
不規則な呼吸音は、時間をかけてゆっくりと、本来の穏やかさを取り戻し……やがて小さな寝息となった。
……このままずっと、彼女の寝顔を見つめていたかったが、やるべきことがあった。
ゆっくりと寝台から身を起こす。
蝋燭の光が僅かに揺れ、彼女のまつ毛の影が、震える。
名残り惜しくなり、頬に口づけようと顔を近づけたが……まだその頬に涙の痕跡が残る彼女の……眠りを妨げてはいけない……拳を強く握り締め、自制した。
これから共に過ごすだろう、長い年月に想いを馳せる。
『時間は充分にある』
そう自らに言い聞かせるように呟くと、部屋を後にした。
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