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{ 竜王編 }
32. 再会
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「こちらは陛下からの贈り物です」
いつもと変わらず不機嫌な様子で、部屋に入って来た召使は、その手に持った大きな箱をハンナに手渡した。
「何かしら?」
背を向けたハンナの後ろで、召使はその顔を歪め、目を細め、私を睨みつけた。
あの一件以来、もう温室に行く気にはなれず、ずっと部屋で過ごしていたが……その時よりも一層、私に対する敵意が増したように感じる。
そんな敵意に心折られて自室にこもって……私はなんて情けないんだろう。
召使から目を逸らしたその時、ハンナが驚嘆の声を上げた。
「ルミリーナ様! なんて綺麗なんでしょう! ルミリーナ様の宴席用のドレスですね!!」
「こちらのドレスで、戴冠式の日の宴席にはご出席いただくように……陛下からのご命令です」
ハンナの喜びの声に対して、呆れるようにため息をついた召使は、無愛想にそう告げると、部屋を後にした。
「ねぇ、ルミリーナ様、さっそくご試着されませんか? こちらに合わせて装飾品も髪型も考えなくちゃあ!」
ハンナが嬉しそうにドレスを手に取り持ち上げる。
鮮やかなブルーのドレス。胸元は淡い水色で、裾にかけて濃紺に変化するグラデーションが、とても美しい。
袖はレースで仕上げられ、金糸の細やかな刺繍が随所に散りばめられている。
「わぁ、大胆ですねっ!」
ハンナが手に持ったドレスを翻した。
腰の中央の位置には、一匹の羽を広げた美しい蝶が、繊細に刺繍されていた。
そして両肩からその刺繍までは、スリットが入り、背中の部分が大きく開かれていた……。
そのドレスを、ただ黙って見つめ続けた……。
切り立った崖に追い詰められ……そのまま落ちていくような……足元がぐらつき、身体が冷えていく。
逃げ出したい。その思いだけがぐるぐると頭の中に渦巻いた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
周遊を終えて帰路に着く。
通常であれば、視察も兼ねて、各地の主要都市を見て周り、1月以上かけて城に戻るが、今回は携帯型の転送魔具を使用し、経由地を最小限に抑えて移動してきた。
だが、周遊の終盤、黒針林の樹海から大型の魔物が現れたとの報告を受け、急遽その狩りに向かった。
魔物の討伐となれば容易いが、魔瘴石を手に入れる為の魔物狩りは、魔物に瀕死の傷を負わせ、息のあるうちに体内からそれを抉り取らなければならない。その為、討伐より時間がかかる。
だが、今後のルミとの暮らしを考えれば、魔瘴石はあるに越したことはない。
それでも……予想を上回る魔物の数に、想定より帰城が遅れてしまった。
彼女を待たせてしまった。
最後に交わした約束は、思い出す度、心の支えとなって、彼女を渇望し苛立つ気持ちを律する事が出来た。
恐怖心に満ちた顔が、会うたびに変化し、いつしか穏やかな微笑みを向けてくれるようになった。
久しぶりに会う彼女は、また微笑みかけてくれるだろうか……。
やっと開いた彼女の心が、閉じていない事を……強く願う。
城の門をくぐったのは、戴冠式の前日夜半だった。
出迎えの列を作る者たちの顔には、疲労の色が浮かんでいた。
彼女の姿を探したが、そこには無かった。
「ですから『狩り』ではなく、『討伐』にしましょうと申し上げましたのに~。
戴冠式の主役が、前日の夜にこんなに魔物の血と泥にまみれて帰ってくるなんて~」
ぶつぶつ言う侍従に舌打ちを返し、自室へ向かう。
自室の横に備えられた浴場で、熱い湯に体を浸す。
身体に染み付いた魔物の血とその臭気が湯に溶け流れていく。
(ルミはもう眠っただろうか……)
本当なら今すぐ彼女の部屋に駆けつけたい。
そしてその身体を抱きしめたい。
ため息をつき、天井を眺めた……。
理性が勝ってよかった。こんな薄汚れた姿は見せたくなかった。
彼女には、自分の完璧に整った姿だけを見て欲しい。
明け方、目を覚ますと、カーテンの隅間から光が差し込んでいた。
久しぶりの自室の寝台の上で……今日が戴冠式であることを思い出す。
戴冠式など、煩わしくて仕方なかった。
そして、宴席などはそれよりも更に面倒だった。
だが、王となった自分とルミが、衆目の前で連れ添い歩く……それが出来れば、彼女の立場を確立できる。
今日の、唯一最大の目的だった。
彼女を守りたいのか……自分に縛り付けたいのか……。
自分の必死な行動に呆れ、思わず苦笑する。
ふと、鋭く差し込む陽射しに目を向けた。
何の気なしに、窓辺に近づき、扉を開けバルコニーに出た。
賑やかな囀りと羽音と共に、小鳥たちが空を舞っていた。
朝日の眩しさに目を細め、顔を背け、彼女の部屋のバルコニーに目をやった。
そこには……こちらを見つめる彼女がいた。
心臓が締め付けられ声も出せず、ただ見つめるしか出来なかった。
ガウンに身を包んだ彼女は、驚いた顔でこちらを見つめ、しばらく後に、花開くような笑顔を見せた。
「カイラス様!」
明るい声が、朝の澄んだ空気に響いた。
心を雲らせていた不安は、一瞬で消し飛び、朝日に熱せられたように、身体が熱を帯びる。
「おかえりなさい……」
そう言い、彼女がバルコニーの手すりに手をかけて、体を前のめりにした。
『待てっ!』
思わず声をあげ、手で彼女を静止する。
出会った頃、バルコニーから身を投げるようなそぶりをした彼女の、その恐ろしい瞬間が蘇る。
片手で口元を抑え、乱れた息を落ち着かせる。
今すぐ、彼女のいるバルコニーまで飛び移りたい欲求を必死に抑えて……。
『待っていろ。すぐ行く』
そう声をかけ、バルコニーを後にした。
彼女の部屋の前にたち、一瞬躊躇していると、ゆっくりと扉が開いた。
夢にまで見た彼女がそこにいた。
「あの……このような姿で申し訳ありません」
『いや、気にするな』
「おかえりなさいませ。お疲れではありませんか?」
『いや、全く。……気にかけてくれてありがとう……』
「あの、カイラス様のお部屋がお隣だなんて、私知らなくて……」
なぜか申し訳なさそうな顔をする。
『あぁ、そのようだな』
フッと笑うと、彼女も微笑み返してくれた。
『不在の間、何か困ったことは無かったか?』
「いいえ……何もありませんでした」
どこか切実な様子で、首を振る。
沈黙が訪れる……。
美しい微笑みを浮かべながら、その澄んだ瞳で自分を見上げる彼女。
ただただ愛おしくて……
堪えきれず、彼女を抱きしめた。
片手で頭を撫で……つむじに顔を埋めるように口付ける。彼女の柔らかな髪が、唇と頬を撫でる。
一瞬身を固くした彼女だったが、ふと身体の緊張がとけると、背中に手を回した。
『しばらく、このままでいさせてくれ』
そう言い、彼女を包む腕にいっそう力を込め、彼女の頭に頬を擦り付けた。
ルミの柔らかな身体、その温度、遠征中何度も想像して、身を焦がした。
(全て、俺のものだ)
「カ、カ、カイラス様!!」
突然、彼女が慌て、背中を叩くと身体の隙間に手を入れて、離れようと押してきた……が……それが全力なのか?
渋々力を緩め、彼女を解放し、その目線の先を追うと……侍従が顔を真っ赤にしながら慌てふためいていた。
「わ、わ、私めは何も見ませんでしたー!」
両手で目を塞ぎ、そう一声発すると、自室へ続く控えの間へ素早く駆け込んでいった。
ため息をつき、そっと彼女の頬に触れる。
『今日は長い1日になるだろう。今は休んでおくといい……』
そう言うと、その手に彼女の手が重ねられた。
「……はい」
僅かに首をかしげた彼女の頬に……自分の手の平が密着する。
吸い付くようなその感触に、身体の深部が激しく震える。
限界まで自分を追い込むその仕草に、これ以上耐えられなかった。
自らの衝動に鞭を打ち、名残惜しい気持ちを必死に抑えながら、その場を後にした。
いつもと変わらず不機嫌な様子で、部屋に入って来た召使は、その手に持った大きな箱をハンナに手渡した。
「何かしら?」
背を向けたハンナの後ろで、召使はその顔を歪め、目を細め、私を睨みつけた。
あの一件以来、もう温室に行く気にはなれず、ずっと部屋で過ごしていたが……その時よりも一層、私に対する敵意が増したように感じる。
そんな敵意に心折られて自室にこもって……私はなんて情けないんだろう。
召使から目を逸らしたその時、ハンナが驚嘆の声を上げた。
「ルミリーナ様! なんて綺麗なんでしょう! ルミリーナ様の宴席用のドレスですね!!」
「こちらのドレスで、戴冠式の日の宴席にはご出席いただくように……陛下からのご命令です」
ハンナの喜びの声に対して、呆れるようにため息をついた召使は、無愛想にそう告げると、部屋を後にした。
「ねぇ、ルミリーナ様、さっそくご試着されませんか? こちらに合わせて装飾品も髪型も考えなくちゃあ!」
ハンナが嬉しそうにドレスを手に取り持ち上げる。
鮮やかなブルーのドレス。胸元は淡い水色で、裾にかけて濃紺に変化するグラデーションが、とても美しい。
袖はレースで仕上げられ、金糸の細やかな刺繍が随所に散りばめられている。
「わぁ、大胆ですねっ!」
ハンナが手に持ったドレスを翻した。
腰の中央の位置には、一匹の羽を広げた美しい蝶が、繊細に刺繍されていた。
そして両肩からその刺繍までは、スリットが入り、背中の部分が大きく開かれていた……。
そのドレスを、ただ黙って見つめ続けた……。
切り立った崖に追い詰められ……そのまま落ちていくような……足元がぐらつき、身体が冷えていく。
逃げ出したい。その思いだけがぐるぐると頭の中に渦巻いた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
周遊を終えて帰路に着く。
通常であれば、視察も兼ねて、各地の主要都市を見て周り、1月以上かけて城に戻るが、今回は携帯型の転送魔具を使用し、経由地を最小限に抑えて移動してきた。
だが、周遊の終盤、黒針林の樹海から大型の魔物が現れたとの報告を受け、急遽その狩りに向かった。
魔物の討伐となれば容易いが、魔瘴石を手に入れる為の魔物狩りは、魔物に瀕死の傷を負わせ、息のあるうちに体内からそれを抉り取らなければならない。その為、討伐より時間がかかる。
だが、今後のルミとの暮らしを考えれば、魔瘴石はあるに越したことはない。
それでも……予想を上回る魔物の数に、想定より帰城が遅れてしまった。
彼女を待たせてしまった。
最後に交わした約束は、思い出す度、心の支えとなって、彼女を渇望し苛立つ気持ちを律する事が出来た。
恐怖心に満ちた顔が、会うたびに変化し、いつしか穏やかな微笑みを向けてくれるようになった。
久しぶりに会う彼女は、また微笑みかけてくれるだろうか……。
やっと開いた彼女の心が、閉じていない事を……強く願う。
城の門をくぐったのは、戴冠式の前日夜半だった。
出迎えの列を作る者たちの顔には、疲労の色が浮かんでいた。
彼女の姿を探したが、そこには無かった。
「ですから『狩り』ではなく、『討伐』にしましょうと申し上げましたのに~。
戴冠式の主役が、前日の夜にこんなに魔物の血と泥にまみれて帰ってくるなんて~」
ぶつぶつ言う侍従に舌打ちを返し、自室へ向かう。
自室の横に備えられた浴場で、熱い湯に体を浸す。
身体に染み付いた魔物の血とその臭気が湯に溶け流れていく。
(ルミはもう眠っただろうか……)
本当なら今すぐ彼女の部屋に駆けつけたい。
そしてその身体を抱きしめたい。
ため息をつき、天井を眺めた……。
理性が勝ってよかった。こんな薄汚れた姿は見せたくなかった。
彼女には、自分の完璧に整った姿だけを見て欲しい。
明け方、目を覚ますと、カーテンの隅間から光が差し込んでいた。
久しぶりの自室の寝台の上で……今日が戴冠式であることを思い出す。
戴冠式など、煩わしくて仕方なかった。
そして、宴席などはそれよりも更に面倒だった。
だが、王となった自分とルミが、衆目の前で連れ添い歩く……それが出来れば、彼女の立場を確立できる。
今日の、唯一最大の目的だった。
彼女を守りたいのか……自分に縛り付けたいのか……。
自分の必死な行動に呆れ、思わず苦笑する。
ふと、鋭く差し込む陽射しに目を向けた。
何の気なしに、窓辺に近づき、扉を開けバルコニーに出た。
賑やかな囀りと羽音と共に、小鳥たちが空を舞っていた。
朝日の眩しさに目を細め、顔を背け、彼女の部屋のバルコニーに目をやった。
そこには……こちらを見つめる彼女がいた。
心臓が締め付けられ声も出せず、ただ見つめるしか出来なかった。
ガウンに身を包んだ彼女は、驚いた顔でこちらを見つめ、しばらく後に、花開くような笑顔を見せた。
「カイラス様!」
明るい声が、朝の澄んだ空気に響いた。
心を雲らせていた不安は、一瞬で消し飛び、朝日に熱せられたように、身体が熱を帯びる。
「おかえりなさい……」
そう言い、彼女がバルコニーの手すりに手をかけて、体を前のめりにした。
『待てっ!』
思わず声をあげ、手で彼女を静止する。
出会った頃、バルコニーから身を投げるようなそぶりをした彼女の、その恐ろしい瞬間が蘇る。
片手で口元を抑え、乱れた息を落ち着かせる。
今すぐ、彼女のいるバルコニーまで飛び移りたい欲求を必死に抑えて……。
『待っていろ。すぐ行く』
そう声をかけ、バルコニーを後にした。
彼女の部屋の前にたち、一瞬躊躇していると、ゆっくりと扉が開いた。
夢にまで見た彼女がそこにいた。
「あの……このような姿で申し訳ありません」
『いや、気にするな』
「おかえりなさいませ。お疲れではありませんか?」
『いや、全く。……気にかけてくれてありがとう……』
「あの、カイラス様のお部屋がお隣だなんて、私知らなくて……」
なぜか申し訳なさそうな顔をする。
『あぁ、そのようだな』
フッと笑うと、彼女も微笑み返してくれた。
『不在の間、何か困ったことは無かったか?』
「いいえ……何もありませんでした」
どこか切実な様子で、首を振る。
沈黙が訪れる……。
美しい微笑みを浮かべながら、その澄んだ瞳で自分を見上げる彼女。
ただただ愛おしくて……
堪えきれず、彼女を抱きしめた。
片手で頭を撫で……つむじに顔を埋めるように口付ける。彼女の柔らかな髪が、唇と頬を撫でる。
一瞬身を固くした彼女だったが、ふと身体の緊張がとけると、背中に手を回した。
『しばらく、このままでいさせてくれ』
そう言い、彼女を包む腕にいっそう力を込め、彼女の頭に頬を擦り付けた。
ルミの柔らかな身体、その温度、遠征中何度も想像して、身を焦がした。
(全て、俺のものだ)
「カ、カ、カイラス様!!」
突然、彼女が慌て、背中を叩くと身体の隙間に手を入れて、離れようと押してきた……が……それが全力なのか?
渋々力を緩め、彼女を解放し、その目線の先を追うと……侍従が顔を真っ赤にしながら慌てふためいていた。
「わ、わ、私めは何も見ませんでしたー!」
両手で目を塞ぎ、そう一声発すると、自室へ続く控えの間へ素早く駆け込んでいった。
ため息をつき、そっと彼女の頬に触れる。
『今日は長い1日になるだろう。今は休んでおくといい……』
そう言うと、その手に彼女の手が重ねられた。
「……はい」
僅かに首をかしげた彼女の頬に……自分の手の平が密着する。
吸い付くようなその感触に、身体の深部が激しく震える。
限界まで自分を追い込むその仕草に、これ以上耐えられなかった。
自らの衝動に鞭を打ち、名残惜しい気持ちを必死に抑えながら、その場を後にした。
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