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{ 竜王編 }
24. 約束
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陽の光を集めたような瞳に……吸い込まれるような感覚になる。
初めて目にした時は、畏ろしく感じたその瞳が、今は神々しさはそのままに……暖かく感じる。
だが途端に、スッと目を逸らされた。
席に着くも、全く何も……話しかけてこない。
この頃は、名前を呼んで、たくさん話しかけてくれたのに……
何か、失敗したかもしれない。途端に不安に襲われる。
料理が運ばれてきた。
今日の私の料理は、魚介のスープ仕立てだ。
ビーツのような甘みのある赤いスープは、香草と魚介のエキスが溶け込み、ハーブが香る。
花びらの形をした可愛らしいパスタも浮かんでいる。
芳しく、とろみのあるスープに口をつけると、少しホッとした。
が、相変わらず一言も発せず、黙々と食事を進める竜王は……明らかにいつもと様子が違う。
「あ、あの、な、何か無礼がありましたでしょうか……」
恐る恐る不安を口にし、問いかけた。
静かに顔をもたげた彼の瞳が、僅かに揺れた。
『そんなことはない。いちいち気にするな』
冷たい声だ。
あぁ、何か機嫌を損ねてしまったんだわ。
きっとそうよ。でも、どうしたらいいのか分からない……。
急に胃が重くなり、食欲も消え失せた。
だがこれ以上、彼に不快感を与えたくない。
静かに……スープを口に運んだ。
食事が終わり、いつものようにたくさんの菓子と紅茶が運ばれてきた。
竜王は相変わらず……考え込むように、黙ったままだ。
『少し歩かないか?』
唐突に投げかけられた提案に驚く。
「はい?」質問のような同意のような、よく分からない声が出てしまった。
竜王は席を立つと私のそばに来て手を差し出した。
戸惑いながらその手を取り立ち上がった。
そのまま、もう片方の手で私の手を掴むと、彼の腕に添えられた。
エスコートされ、ゆっくりと石畳を歩く。
温室のまだ通ったことのない道のさらに奥を、ガラスドームの壁面に沿って進む。
温室の外には、岩肌が切り立ち、まばらな木々には、新緑が芽吹いている。
日陰には僅かに雪が残っていた……。
花々が咲き誇る温室とは対照的に、ガラス一枚隔てた向こうは……まるで別世界だ。
ゆっくりとした足取りで斜め前を進む、竜王の……そのがっしりとした腕と、そこに添えられた頼りないほど小さな自分の手……比較すると幼子のようだ。
不安定な足元のせいで、どうしても竜王の腕に体重を預けざるおえない。
少しふらつきもたれかかったところで、びくともせず、竜王は安定した足取りで歩を進める。
自分を支えるその腕が、心強く感じると同時に……なんだかむず痒い気持ちになる。
『この城の、居心地はどうだ?』
「……はい。みなさんとてもよくしてくださいますので……居心地よく過ごしております」
彼の方を見上げる勇気が出ず、俯いたままそう答えた。
『そうか。それは良かった』
和らいだ雰囲気に緊張がほぐれ、少し心が軽くなった。
『明日から半月ほど、留守にする』
(えっ?)
突然のことに驚き、立ち止まって顔を見上げる。
その表情からは、何も窺い知ることが出来ず……ただ厳しい視線だけが、こちらに注がれていた。
腕から手が離れたが、逆に私の手を掴むと、身体ごと引き寄せられた。
後ろの岩垣に、彼が腰を降ろすと……ちょうど真正面から目が合った。
『古から続く、王家のしきたりだ……。
即位式に先立って、支配地域を巡り、各地の領主と会談を行う。
王位の継承に伴って……新王に忠誠を誓わせ、誓約を結び直すのだ』
長い沈黙が流れる……。
「……はい。
どうか……お身体に気をつけて」
言葉を絞り出す。
『午餐はここで同じように取るといい』
『何かあれば、侍女に言うといい。
お前が望めば、何でも叶えられるだろう』
色々言われるが、何も頭に入ってこない。
冷静でいなければと思うほどに、息の仕方がわからなくなり、胸が苦しい。
彼の言葉が止み、唖然とした顔で、私を見ている。
頬が冷たい。
自分の頬が濡れているのに気がついた。
「す、すみません。
こんな…………
泣いてしまうなんて……。
ご、ごめんなさい」
この短時間で畏れ緊張し、彼の優しさに安堵して……さらにまた、大きく揺らいだせいか……感情の制御が出来ない。
彼が私の手を引いた。
そのまま身体ごと受け止められ、横抱きに、膝上に座らされる。
思いもかけないその行動に、頭が追いつかず……さらに、彼の手が、指先が……私の頬を優しく撫で、涙を拭う。
『泣くな……』
怒るのではなく、本当に困らせてしまっているようだ。
「……も、申し訳ありません」
『そうじゃない。謝るな。お前は……お前はいつも、何も悪くない』
「……」
涙の理由が……謝った理由が……そうじゃないと必死に否定するも虚しく、想いが溢れる。
(私は、私は……あなたに行ってほしくない。離れたくない。)
あまりに自分勝手なお願いだとはわかっている。
会うたびに重く苦しく込み上げてくるこの感情の正体に……今ようやく気づいた。
いや、もっと前から気づいていたが、必死に否定していたこの感情……
この涙の意味に……彼は気づいているのだろうか。
心が締め付けられる。
『ルミ……帰城後間も無く、戴冠式を行う』
この国を治める王の代替わりだ、当然に豪華な式典や宴が催されることだろう。
改めて、目の前の若者が……特別な存在なのだと認識した。
北大陸を統治する、竜人族の頂点に立つ王……。
自分と彼との大きな隔たりを感じる。本来なら、こうして側にいる事さえ叶わない相手ではないだろうか。
権力を持つ者は、持たない者に対して、時に残酷にその気持ちを振り回し、罪悪感さえ抱かない。
気まぐれに弄ばれ、飽きて捨てられれれば、もうその存在さえ思い出すこともないだろう……。
このように私に構うことが……彼の、竜王の一時の気まぐれなのであれば……
芽生えかけたこの気持ちも、浅はかな期待も抑え込まなければいけない。
「ご無事のお帰りを……祈っております」
自分の声でありながら、どこか他人のような空虚な声だった。
彼は変わらずじっと私を見つめている。
なぜそんな表情で私を見るのか?
顔が熱くなる。
『式典後の宴席で、お前をエスコートしたい』
「……」
『どうか、私の横に立ち……これから先も、共に歩んでくれないだろうか?』
唐突な申し出に理解が追いつかない。
相変わらず、熱を帯びたように瞳を潤ませ、乞うように、私をまっすぐに見つめてくる。
今の言葉は、まるで……
『返事はすぐでなくていい。ゆっくり考えてくれ』
見つめ合ったまま、また長い沈黙が流れる。
決意を込めたように、真剣にこちらを見つめる彼は、変わらず彫刻のように美しく……だが、その頬にはうっすらと赤みが刺していた。
先程、心に作った壁はあっけなく崩壊した。
「いいえ」
一瞬、竜王の顔が暗く陰る。
「いいえ。あの……今お答えいたします。エスコートしてくださるなんて、光栄です」
私の何が彼の興味を引いたのかは分からない。
だがこのような分不相応な扱いをしてくれる相手に、私も誠意を持って応えたかった。
「カイラス様と……共にいられるなら……嬉しいです」
勇気を振り絞って、伝えた。
私の決意とは裏腹に、囁くような声になってしまった。
竜王の瞳が、また光を集めたように美しく輝き、その顔に微笑みが広がる。
『ありがとう』
私の手がふいに持ち上がった。
その時、彼の大きな手のひらに私の手が包み込まれていた事に気がついた。
そして、その手に……彼が口付ける。
『待っていてくれ』
そう言い、私をまっすぐに見つめる彼のその瞳は……大地を照らす太陽のようで……私の心の中にあった、冷たく固い何かを……溶かしていった……。
初めて目にした時は、畏ろしく感じたその瞳が、今は神々しさはそのままに……暖かく感じる。
だが途端に、スッと目を逸らされた。
席に着くも、全く何も……話しかけてこない。
この頃は、名前を呼んで、たくさん話しかけてくれたのに……
何か、失敗したかもしれない。途端に不安に襲われる。
料理が運ばれてきた。
今日の私の料理は、魚介のスープ仕立てだ。
ビーツのような甘みのある赤いスープは、香草と魚介のエキスが溶け込み、ハーブが香る。
花びらの形をした可愛らしいパスタも浮かんでいる。
芳しく、とろみのあるスープに口をつけると、少しホッとした。
が、相変わらず一言も発せず、黙々と食事を進める竜王は……明らかにいつもと様子が違う。
「あ、あの、な、何か無礼がありましたでしょうか……」
恐る恐る不安を口にし、問いかけた。
静かに顔をもたげた彼の瞳が、僅かに揺れた。
『そんなことはない。いちいち気にするな』
冷たい声だ。
あぁ、何か機嫌を損ねてしまったんだわ。
きっとそうよ。でも、どうしたらいいのか分からない……。
急に胃が重くなり、食欲も消え失せた。
だがこれ以上、彼に不快感を与えたくない。
静かに……スープを口に運んだ。
食事が終わり、いつものようにたくさんの菓子と紅茶が運ばれてきた。
竜王は相変わらず……考え込むように、黙ったままだ。
『少し歩かないか?』
唐突に投げかけられた提案に驚く。
「はい?」質問のような同意のような、よく分からない声が出てしまった。
竜王は席を立つと私のそばに来て手を差し出した。
戸惑いながらその手を取り立ち上がった。
そのまま、もう片方の手で私の手を掴むと、彼の腕に添えられた。
エスコートされ、ゆっくりと石畳を歩く。
温室のまだ通ったことのない道のさらに奥を、ガラスドームの壁面に沿って進む。
温室の外には、岩肌が切り立ち、まばらな木々には、新緑が芽吹いている。
日陰には僅かに雪が残っていた……。
花々が咲き誇る温室とは対照的に、ガラス一枚隔てた向こうは……まるで別世界だ。
ゆっくりとした足取りで斜め前を進む、竜王の……そのがっしりとした腕と、そこに添えられた頼りないほど小さな自分の手……比較すると幼子のようだ。
不安定な足元のせいで、どうしても竜王の腕に体重を預けざるおえない。
少しふらつきもたれかかったところで、びくともせず、竜王は安定した足取りで歩を進める。
自分を支えるその腕が、心強く感じると同時に……なんだかむず痒い気持ちになる。
『この城の、居心地はどうだ?』
「……はい。みなさんとてもよくしてくださいますので……居心地よく過ごしております」
彼の方を見上げる勇気が出ず、俯いたままそう答えた。
『そうか。それは良かった』
和らいだ雰囲気に緊張がほぐれ、少し心が軽くなった。
『明日から半月ほど、留守にする』
(えっ?)
突然のことに驚き、立ち止まって顔を見上げる。
その表情からは、何も窺い知ることが出来ず……ただ厳しい視線だけが、こちらに注がれていた。
腕から手が離れたが、逆に私の手を掴むと、身体ごと引き寄せられた。
後ろの岩垣に、彼が腰を降ろすと……ちょうど真正面から目が合った。
『古から続く、王家のしきたりだ……。
即位式に先立って、支配地域を巡り、各地の領主と会談を行う。
王位の継承に伴って……新王に忠誠を誓わせ、誓約を結び直すのだ』
長い沈黙が流れる……。
「……はい。
どうか……お身体に気をつけて」
言葉を絞り出す。
『午餐はここで同じように取るといい』
『何かあれば、侍女に言うといい。
お前が望めば、何でも叶えられるだろう』
色々言われるが、何も頭に入ってこない。
冷静でいなければと思うほどに、息の仕方がわからなくなり、胸が苦しい。
彼の言葉が止み、唖然とした顔で、私を見ている。
頬が冷たい。
自分の頬が濡れているのに気がついた。
「す、すみません。
こんな…………
泣いてしまうなんて……。
ご、ごめんなさい」
この短時間で畏れ緊張し、彼の優しさに安堵して……さらにまた、大きく揺らいだせいか……感情の制御が出来ない。
彼が私の手を引いた。
そのまま身体ごと受け止められ、横抱きに、膝上に座らされる。
思いもかけないその行動に、頭が追いつかず……さらに、彼の手が、指先が……私の頬を優しく撫で、涙を拭う。
『泣くな……』
怒るのではなく、本当に困らせてしまっているようだ。
「……も、申し訳ありません」
『そうじゃない。謝るな。お前は……お前はいつも、何も悪くない』
「……」
涙の理由が……謝った理由が……そうじゃないと必死に否定するも虚しく、想いが溢れる。
(私は、私は……あなたに行ってほしくない。離れたくない。)
あまりに自分勝手なお願いだとはわかっている。
会うたびに重く苦しく込み上げてくるこの感情の正体に……今ようやく気づいた。
いや、もっと前から気づいていたが、必死に否定していたこの感情……
この涙の意味に……彼は気づいているのだろうか。
心が締め付けられる。
『ルミ……帰城後間も無く、戴冠式を行う』
この国を治める王の代替わりだ、当然に豪華な式典や宴が催されることだろう。
改めて、目の前の若者が……特別な存在なのだと認識した。
北大陸を統治する、竜人族の頂点に立つ王……。
自分と彼との大きな隔たりを感じる。本来なら、こうして側にいる事さえ叶わない相手ではないだろうか。
権力を持つ者は、持たない者に対して、時に残酷にその気持ちを振り回し、罪悪感さえ抱かない。
気まぐれに弄ばれ、飽きて捨てられれれば、もうその存在さえ思い出すこともないだろう……。
このように私に構うことが……彼の、竜王の一時の気まぐれなのであれば……
芽生えかけたこの気持ちも、浅はかな期待も抑え込まなければいけない。
「ご無事のお帰りを……祈っております」
自分の声でありながら、どこか他人のような空虚な声だった。
彼は変わらずじっと私を見つめている。
なぜそんな表情で私を見るのか?
顔が熱くなる。
『式典後の宴席で、お前をエスコートしたい』
「……」
『どうか、私の横に立ち……これから先も、共に歩んでくれないだろうか?』
唐突な申し出に理解が追いつかない。
相変わらず、熱を帯びたように瞳を潤ませ、乞うように、私をまっすぐに見つめてくる。
今の言葉は、まるで……
『返事はすぐでなくていい。ゆっくり考えてくれ』
見つめ合ったまま、また長い沈黙が流れる。
決意を込めたように、真剣にこちらを見つめる彼は、変わらず彫刻のように美しく……だが、その頬にはうっすらと赤みが刺していた。
先程、心に作った壁はあっけなく崩壊した。
「いいえ」
一瞬、竜王の顔が暗く陰る。
「いいえ。あの……今お答えいたします。エスコートしてくださるなんて、光栄です」
私の何が彼の興味を引いたのかは分からない。
だがこのような分不相応な扱いをしてくれる相手に、私も誠意を持って応えたかった。
「カイラス様と……共にいられるなら……嬉しいです」
勇気を振り絞って、伝えた。
私の決意とは裏腹に、囁くような声になってしまった。
竜王の瞳が、また光を集めたように美しく輝き、その顔に微笑みが広がる。
『ありがとう』
私の手がふいに持ち上がった。
その時、彼の大きな手のひらに私の手が包み込まれていた事に気がついた。
そして、その手に……彼が口付ける。
『待っていてくれ』
そう言い、私をまっすぐに見つめる彼のその瞳は……大地を照らす太陽のようで……私の心の中にあった、冷たく固い何かを……溶かしていった……。
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