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第17話
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翌朝5時、ゆかは武の朝食を作ろうと、いつも通りに起きて支度をしかけると、
「あっ、今日休みだった?!」
と、おっちょこちょいの所があるゆかは、
たまに武に叱責され落ち込み、そういう時は気晴らしに散歩する事にしていて、今日は叱責された訳ではないが、武が休みで心に余裕ができたせいか散歩へ行こうと思い立った。
「最近、太ったような気がするし、散歩行こうかな!誰か良い人(男)歩いてないかな…♡」
と、男を誘う気は無かったが、まだ早いからとノーブラのままキャミソールの上に白のVカットの胸元が大きく開いたTシャツを着て、寝るときに身に着けていた薄いピンクのTバックのままラフな短パンを履くゆかだった。
一応、髪型を整えに洗面所に行き全身を鏡でチェックをみると、乳房の先端にシワがより微妙に乳首を意識させたが、朝早いからと意外と細かい事は気にしないゆかは、使い古したランニングシューズを履き家を出た。
散歩のコースは、ゆかの家の南側のリビングに面した桜並木風流な川沿いを歩くのを決めていた。
「あ~、きもちぃい~!朝早いのは良いな…」
と、いつも先ずは川沿いを川上へ歩き出し
頂上の公園でランニングコースを1、2周して、また川沿いの道を下りマンションへ帰るのだった。往復でゆかの足で1時間ほどのコースで、夏であれば帰ってくる頃には汗びっしょりで、恐らく今のゆかの装いでは下に身に着けているものが透けて見えてしまう、そんな少しドキドキすることでしか日常を忘れられないゆかだった。
しばらく、川辺の情緒を楽しみながら歩いていると、ゆかの直ぐ横を風を斬るような速さで男が駆け抜けていった。
「!…早っ?!」
と、その駆け抜けたタンクトップに短パンの男の姿を目で追ったが、先の曲がりくねっ道で直ぐに見えなくなってしまった。
ああ、この時間はあんな人もいるんだなあと思いながら、ダイエットのつもりで出た散歩だったが、あの人みたいには走れないしと終始マイペースで歩き続け運動になってないままいつも通り家に戻ってきてしまった。直ぐ様、濡れた衣服を脱ぎ捨て浴室でシャワーを浴び始め、何があったのか珍しく鼻歌を歌うゆかがいた。
「フンフンフ~ン♪フンフンフ~ン♪フ、フ、フ、フ、フン、フ~♪…、明日も歩いてみようかな」
と、前なら2日続けて歩く事は無かったが、あの追い抜いた男が気になったのか、珍しく明日も歩く気になっていた。それに、明日もあの追い抜かれた瞬間に感じた風を感じてみたいという思いがゆかにはあった。
と、突然、
「あっ、いけな~いっ!今日パンだったー?!どうしよう~?」
と、シャンプーしかけの泡を急いで洗い流しどうしようか考えたが焦るばかりだった。
もうすっかり、昨日の夜もパンを買うのを忘れたゆかは、何者でもなくただの物忘れの酷い主婦、おっちょこちょいの主婦としか言いようが無い有様だった。それがまた、専業主婦として一生懸命やっている結果で罪は無く、武に信じられているかは分からないが疑われずに暮らせているのは、ゆかの天真爛漫さの生き様からでろう。
ゆかは、いつも家事に関しては落ち度の無いように一生懸命こなす頑張り屋さんだったが、武には頑張っている様子が伝わっていないのか無関心なのか、ゆかはそれが嫌だったが文句一つ言う事なく武に尽していた。この時も必死で考えて
「あ~、もうあの人に頼むしか無い!」
と、まだ準備中で恐らく開いていない行き付けのパン屋に電話するゆかだった。
「あっ、もしもし?あの~、たまにそちらでパンを買わせてもらっている横山ですが…」
「…どなたでした?」
「あ~、前に買ったパンを落して交換してもらった事があって…」
「あ~、あの時の?!」
「すいませんが、今ってパンありますか?」
「ああ、ありますよ」
「今から買えますか?」
「良いですよ」
「じゃあ、今から直ぐに行きますので、適当にお勧めのパンを2千円分詰めておいて欲しいんですが…」
「ええ、分かりました。お待ちしております」
「ありがとうございます。急いで行きます」
財布を片手に急いで家を出て、10分程でパン屋に着いたが、まだ準備中の看板がぶら下がって店の中も暗かったのもあり、遠慮気味のゆかが入口でこまねいていると、
「から~んコロ~ん」
と、扉が開いた。
「お待ちしていましたよ」
「あっ、おはようございます。すいません。まだ、準備中なのに…」
「ああ、全然構いませんよ。どうぞ…」
ゆかが、このパン屋を訪れたのは久しぶりで、知り合いでもなくそんなに顔見知りでもなかったが、以前にこの店で珍事に見舞われ覚えていてくれる事を期待して電話したのだった。
中に招かれると、頼んでおいたパンが入った袋を手渡され、甘いマスクの店長の手が触れた。
「…」
この店に初めて訪れた時には、差ほど意識はしていなかったが、ここ最近のゆかはどんな男に対してもかなり敏感に反応ししまい、それはゆか自身も分かっていて、浩との戯れからかアソコが疼き身体が男を求めているのを感じていた。それもあり、ゆかは今までに感じていなかった店長のアソコが気になり想像して赤面し、ゆかの妖艶な上目遣いで見詰めながら
「あっ、ありがとうございます…ホントに助かります」
「…ああ、またいつでもいらしてください…」
店長もゆかの遠慮気味で奥ゆかしいゆかの姿勢に好感をもったのか、ゆかが帰ろうと振り返ると
「あっ、ちょっと待って…」
と、ゆかを呼び止めた。
「あっ、これっ、お口に合うか分かりませんが、召し上がってください…」
「えっ、いいんですか?」
「ええっ!」
「じゃあ、遠慮なく頂きますね。ホントに助かりました。じゃあ、失礼します…」
と、ドアベルが「から~んコロ~ん」と鳴り、ゆかは出ていった。
店長は、そのドアをしばらく見詰め、何かを感じたのかゆかの姿を思い返していた。
こうして、いろんな場面でゆかと出逢った男達は、ゆかの妖艶さと一生懸命生きているしたたかさを感じとり、ゆかを愛おしむ心が芽生え心惹かれていくのだった。ゆかもまた、出逢った男達にそれぞれの感情を懐く事が、武との結婚生活で今の自分を見失わない糧になると思っていた。
「あ~、早く帰らなきゃ!」
と、家を出てから30分程で戻り、事なくテーブルに豪華なパンを並べられた。
しばらくして、武が起きてきて
「…凄いな!こんなに…」
と、武が驚く程の、恐らく2千円以上のパンが入っており
「見て、たくさん買ってきたよ…熱いコーヒー入れるね」
と、ごく普通に幸せそうな夫婦生活に見えるのは、ゆかが素でもの凄く頑張っているからなのか、それともゆかが普通の主婦を演じているからなのか…それは、武の知らないところでゆかと接している男達だけが、ゆかの頑張りだということを理解しているのである。
「やっぱり、余ったな…」
「大丈夫だよ、冷凍にしておけばいつでもチンして食べられるからね」
と、武は席を立ち自室に戻った。
「これ、何だろう?」
と、店長が帰り際に手渡してくれた店の紙袋を開けてみると、
「あっ、ゆかの好きなクッキーだ!」
と、袋からクッキーを出し早速コーヒーを飲みながら、一人で美味しそうに食べるゆかだった。
「あ~、美味しかった。店長、ご馳走さまでした!」
つづく…
「あっ、今日休みだった?!」
と、おっちょこちょいの所があるゆかは、
たまに武に叱責され落ち込み、そういう時は気晴らしに散歩する事にしていて、今日は叱責された訳ではないが、武が休みで心に余裕ができたせいか散歩へ行こうと思い立った。
「最近、太ったような気がするし、散歩行こうかな!誰か良い人(男)歩いてないかな…♡」
と、男を誘う気は無かったが、まだ早いからとノーブラのままキャミソールの上に白のVカットの胸元が大きく開いたTシャツを着て、寝るときに身に着けていた薄いピンクのTバックのままラフな短パンを履くゆかだった。
一応、髪型を整えに洗面所に行き全身を鏡でチェックをみると、乳房の先端にシワがより微妙に乳首を意識させたが、朝早いからと意外と細かい事は気にしないゆかは、使い古したランニングシューズを履き家を出た。
散歩のコースは、ゆかの家の南側のリビングに面した桜並木風流な川沿いを歩くのを決めていた。
「あ~、きもちぃい~!朝早いのは良いな…」
と、いつも先ずは川沿いを川上へ歩き出し
頂上の公園でランニングコースを1、2周して、また川沿いの道を下りマンションへ帰るのだった。往復でゆかの足で1時間ほどのコースで、夏であれば帰ってくる頃には汗びっしょりで、恐らく今のゆかの装いでは下に身に着けているものが透けて見えてしまう、そんな少しドキドキすることでしか日常を忘れられないゆかだった。
しばらく、川辺の情緒を楽しみながら歩いていると、ゆかの直ぐ横を風を斬るような速さで男が駆け抜けていった。
「!…早っ?!」
と、その駆け抜けたタンクトップに短パンの男の姿を目で追ったが、先の曲がりくねっ道で直ぐに見えなくなってしまった。
ああ、この時間はあんな人もいるんだなあと思いながら、ダイエットのつもりで出た散歩だったが、あの人みたいには走れないしと終始マイペースで歩き続け運動になってないままいつも通り家に戻ってきてしまった。直ぐ様、濡れた衣服を脱ぎ捨て浴室でシャワーを浴び始め、何があったのか珍しく鼻歌を歌うゆかがいた。
「フンフンフ~ン♪フンフンフ~ン♪フ、フ、フ、フ、フン、フ~♪…、明日も歩いてみようかな」
と、前なら2日続けて歩く事は無かったが、あの追い抜いた男が気になったのか、珍しく明日も歩く気になっていた。それに、明日もあの追い抜かれた瞬間に感じた風を感じてみたいという思いがゆかにはあった。
と、突然、
「あっ、いけな~いっ!今日パンだったー?!どうしよう~?」
と、シャンプーしかけの泡を急いで洗い流しどうしようか考えたが焦るばかりだった。
もうすっかり、昨日の夜もパンを買うのを忘れたゆかは、何者でもなくただの物忘れの酷い主婦、おっちょこちょいの主婦としか言いようが無い有様だった。それがまた、専業主婦として一生懸命やっている結果で罪は無く、武に信じられているかは分からないが疑われずに暮らせているのは、ゆかの天真爛漫さの生き様からでろう。
ゆかは、いつも家事に関しては落ち度の無いように一生懸命こなす頑張り屋さんだったが、武には頑張っている様子が伝わっていないのか無関心なのか、ゆかはそれが嫌だったが文句一つ言う事なく武に尽していた。この時も必死で考えて
「あ~、もうあの人に頼むしか無い!」
と、まだ準備中で恐らく開いていない行き付けのパン屋に電話するゆかだった。
「あっ、もしもし?あの~、たまにそちらでパンを買わせてもらっている横山ですが…」
「…どなたでした?」
「あ~、前に買ったパンを落して交換してもらった事があって…」
「あ~、あの時の?!」
「すいませんが、今ってパンありますか?」
「ああ、ありますよ」
「今から買えますか?」
「良いですよ」
「じゃあ、今から直ぐに行きますので、適当にお勧めのパンを2千円分詰めておいて欲しいんですが…」
「ええ、分かりました。お待ちしております」
「ありがとうございます。急いで行きます」
財布を片手に急いで家を出て、10分程でパン屋に着いたが、まだ準備中の看板がぶら下がって店の中も暗かったのもあり、遠慮気味のゆかが入口でこまねいていると、
「から~んコロ~ん」
と、扉が開いた。
「お待ちしていましたよ」
「あっ、おはようございます。すいません。まだ、準備中なのに…」
「ああ、全然構いませんよ。どうぞ…」
ゆかが、このパン屋を訪れたのは久しぶりで、知り合いでもなくそんなに顔見知りでもなかったが、以前にこの店で珍事に見舞われ覚えていてくれる事を期待して電話したのだった。
中に招かれると、頼んでおいたパンが入った袋を手渡され、甘いマスクの店長の手が触れた。
「…」
この店に初めて訪れた時には、差ほど意識はしていなかったが、ここ最近のゆかはどんな男に対してもかなり敏感に反応ししまい、それはゆか自身も分かっていて、浩との戯れからかアソコが疼き身体が男を求めているのを感じていた。それもあり、ゆかは今までに感じていなかった店長のアソコが気になり想像して赤面し、ゆかの妖艶な上目遣いで見詰めながら
「あっ、ありがとうございます…ホントに助かります」
「…ああ、またいつでもいらしてください…」
店長もゆかの遠慮気味で奥ゆかしいゆかの姿勢に好感をもったのか、ゆかが帰ろうと振り返ると
「あっ、ちょっと待って…」
と、ゆかを呼び止めた。
「あっ、これっ、お口に合うか分かりませんが、召し上がってください…」
「えっ、いいんですか?」
「ええっ!」
「じゃあ、遠慮なく頂きますね。ホントに助かりました。じゃあ、失礼します…」
と、ドアベルが「から~んコロ~ん」と鳴り、ゆかは出ていった。
店長は、そのドアをしばらく見詰め、何かを感じたのかゆかの姿を思い返していた。
こうして、いろんな場面でゆかと出逢った男達は、ゆかの妖艶さと一生懸命生きているしたたかさを感じとり、ゆかを愛おしむ心が芽生え心惹かれていくのだった。ゆかもまた、出逢った男達にそれぞれの感情を懐く事が、武との結婚生活で今の自分を見失わない糧になると思っていた。
「あ~、早く帰らなきゃ!」
と、家を出てから30分程で戻り、事なくテーブルに豪華なパンを並べられた。
しばらくして、武が起きてきて
「…凄いな!こんなに…」
と、武が驚く程の、恐らく2千円以上のパンが入っており
「見て、たくさん買ってきたよ…熱いコーヒー入れるね」
と、ごく普通に幸せそうな夫婦生活に見えるのは、ゆかが素でもの凄く頑張っているからなのか、それともゆかが普通の主婦を演じているからなのか…それは、武の知らないところでゆかと接している男達だけが、ゆかの頑張りだということを理解しているのである。
「やっぱり、余ったな…」
「大丈夫だよ、冷凍にしておけばいつでもチンして食べられるからね」
と、武は席を立ち自室に戻った。
「これ、何だろう?」
と、店長が帰り際に手渡してくれた店の紙袋を開けてみると、
「あっ、ゆかの好きなクッキーだ!」
と、袋からクッキーを出し早速コーヒーを飲みながら、一人で美味しそうに食べるゆかだった。
「あ~、美味しかった。店長、ご馳走さまでした!」
つづく…
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