33 / 35
32.融けて混ざる
しおりを挟む
期待よりもずっと重い圧迫感が体内を満たす。息が詰まって、既に上手くできていなかった呼吸が一層乱れる。酸素が足りなくてくらくらする。やっと吸い込めた空気も、自分と同じシャンプーの匂いに混じってほのかに田宮だけに感じる匂いがした。肺の中まで侵されるみたいだ。時間をかけてすべてをおさめると、彼は一つ大きな深呼吸をして動きを止めた。
「ふーー……やっぱせまい、せまいのに柔らかくてヤバい」
「っレビューやめろ、」
「はは……余裕あるじゃん」
つい強がって雰囲気を壊すようなことを口に出してしまってから、まずいと思ったときにはもう遅かった。桃耶の弱いところひとつひとつにカリが当たるように腰を引かれる。彼は桃耶に余裕なんて無いと絶対に分かっているのだ。でも、田宮にも余裕は無かった。桃耶はそれを察していて、だから理性のギリギリで耐えてくれているのを刺激するべきではなかったのに、羞恥をごまかそうとしたのが仇になった。
「ッ! あ゛、っぁ、や、」
「桃耶ってけっこう余計なこと言うよね」
「~~ぅうあ゛! は、はあ、ッく、ぅ」
「普段はしっかりしてんのに、……っ、セックスのときはなんも考えられなくなっちゃってんの、っマジでバカみたいに興奮するわ」
単純な抜き差しではない、しっかり狙いに当てるような動きに精一杯になって、言葉らしい言葉も口にできなくなっていく。激しく欲情した田宮は、彼自身が快感を得るよりも桃耶を快楽の奥深くへ追い詰めるかのように責めたてる。弱いところをそっと撫でたあとに、こそいで抉る重い衝撃が桃耶の背を仰け反らせた。思わず脚をばたつかせて相手と距離を取ろうとする挙動を見せると、腰を固定する田宮の手に力が入った。もちろん距離を取ることなどできるはずもない。甘い声が抑えられずに、為す術なく桃耶は極めさせられてしまった。
「ぃ゛う、ひ、ッッぐ…………! は……ッ~……! 、んぅ゛…………っ」
すっかりメスイキが癖づいて、重く長く続く余韻に震えることしかできない。ぐしょぐしょの涙と少し垂れた鼻水で濡れた顔を拭うこともできず、薄く開いた口元も唾液で濡らしながら息も絶え絶えで放心する。あまりにも見るに堪えない姿だろうに、田宮は息を整えながら、そんな桃耶を熱っぽく眺めている。彼の目は今は桃耶だけを映していて、体温は上がったまま下がる気配も無かった。
桃耶の呼吸が少し落ち着いてきたころ、田宮がナカから出ていく感触があった。彼を感じていた分だけ少し寒くなった気がして、半分無意識に田宮の首に腕を回して身体を引き寄せる。田宮は一瞬驚いた顔をしたあと、思わずといった口調で今までに無い言葉をこぼした。
「桃耶、キスしてい?」
「ふーー……やっぱせまい、せまいのに柔らかくてヤバい」
「っレビューやめろ、」
「はは……余裕あるじゃん」
つい強がって雰囲気を壊すようなことを口に出してしまってから、まずいと思ったときにはもう遅かった。桃耶の弱いところひとつひとつにカリが当たるように腰を引かれる。彼は桃耶に余裕なんて無いと絶対に分かっているのだ。でも、田宮にも余裕は無かった。桃耶はそれを察していて、だから理性のギリギリで耐えてくれているのを刺激するべきではなかったのに、羞恥をごまかそうとしたのが仇になった。
「ッ! あ゛、っぁ、や、」
「桃耶ってけっこう余計なこと言うよね」
「~~ぅうあ゛! は、はあ、ッく、ぅ」
「普段はしっかりしてんのに、……っ、セックスのときはなんも考えられなくなっちゃってんの、っマジでバカみたいに興奮するわ」
単純な抜き差しではない、しっかり狙いに当てるような動きに精一杯になって、言葉らしい言葉も口にできなくなっていく。激しく欲情した田宮は、彼自身が快感を得るよりも桃耶を快楽の奥深くへ追い詰めるかのように責めたてる。弱いところをそっと撫でたあとに、こそいで抉る重い衝撃が桃耶の背を仰け反らせた。思わず脚をばたつかせて相手と距離を取ろうとする挙動を見せると、腰を固定する田宮の手に力が入った。もちろん距離を取ることなどできるはずもない。甘い声が抑えられずに、為す術なく桃耶は極めさせられてしまった。
「ぃ゛う、ひ、ッッぐ…………! は……ッ~……! 、んぅ゛…………っ」
すっかりメスイキが癖づいて、重く長く続く余韻に震えることしかできない。ぐしょぐしょの涙と少し垂れた鼻水で濡れた顔を拭うこともできず、薄く開いた口元も唾液で濡らしながら息も絶え絶えで放心する。あまりにも見るに堪えない姿だろうに、田宮は息を整えながら、そんな桃耶を熱っぽく眺めている。彼の目は今は桃耶だけを映していて、体温は上がったまま下がる気配も無かった。
桃耶の呼吸が少し落ち着いてきたころ、田宮がナカから出ていく感触があった。彼を感じていた分だけ少し寒くなった気がして、半分無意識に田宮の首に腕を回して身体を引き寄せる。田宮は一瞬驚いた顔をしたあと、思わずといった口調で今までに無い言葉をこぼした。
「桃耶、キスしてい?」
3
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。



寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる